今回は原作最終話の重大なネタバレがあります。
未読の方はお気をつけを。
「凄い威力・・・」
「……」
明らかに強いと判断したサソリモドキを一撃で瞬殺した彩人を見つめるハジメと少女。
「ふぅ・・・やっぱ溜めに時間かかるのが欠点だな」
「え、いつの間に・・・って指を額に当ててたのって」
「まあ、その時からだな」
チャージしながら封印を解いていたのだ。サイヤ人の力の可能性にハジメと少女が感動している。
「・・・ん?・・・んん!?」
すると彩人は少女が封じられていたところにここでは有り得ないモノがあるのに気付いてしまった。
「(アレは・・・あの子の封印における真実が・・・・)」
本来最終決戦後に明らかになるそのモノ・・・もといアーティファクトが出現していた。
しかし同時に彩人は閃く。「(ここで真実を知ればエヒトの憑依を防げる・・・かはともかく氷雪洞窟で不覚は取らないだろう)」と。
「…?彩人…?」
彩人の反応に首を傾げる少女。
彩人は素早くそのアーティファクトを回収する。
「(…使える状態やんけ・・・、神代魔法が必要だったような・・・後で考えるか)」
「彩人君、それ・・・アーティファクト?」
「ああ。そしてこれは・・・きみ宛てだよ」
「・・・わたし?」
少女はきょとんとしながらも彩人からそのダイヤのようなアーティファクトを受け取る。
するとアーティファクトが輝き、ふっと映像を映し出す。そこに現れた相手を見て、少女が驚愕に目を見開き呆然と呟いた。
「……おじ、さま?」
なんと映像の人物は――少女の叔父、ディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタールその人だったのである。外見は少女と同じ深紅の瞳と美しい金髪であるため血のつながりを感じる。
真実を知っている彩人はともかくハジメと少女は混乱していた。
ディンリード氏は少女が言っていたような権力欲に取り付かれる人物とは思えないほど穏やかで荘厳な佇まいで話す。このアーティファクトは映像を残すものらしい。
彼は少女が神に狙われていたことを知り自ら悪役を演じて少女を殺したように見せかけて封印した。いつか神を打倒できる人物が来ると信じて。
それからは少女への溢れんばかりの愛情が語られた。守るためとは言え騙していた事や苦しめた事への謝罪、少女の幸せを願う言葉で締めくくられた。
それを聞いた少女は泣いていた。裏切られたのではなく、自身が愛されていた事に対する喜びと信じることが出来なかった申し訳なさ、もう二度と会えない事の悲しさに。
「……おじ、さま。ディン叔父様っ。わたしはっ、私も……」
嗚咽をもらしながら光が消えたアーティファクトをしっかりと抱きしめる少女。ハジメは少女が泣き止むまでそっと寄り添った。彩人は静かにその光景を見守った。
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「ありがとう、彩人・・・と」
「私はハジメ。南雲ハジメ、だよ」
「・・・ハジメ」
泣き止んだ少女に改めて自己紹介する。
「あー・・・っと、これからはアレーティアって呼べばいいか?」
「ううん、彩人に名前、付けてほしい」
なんでや、和解したろ。自分の名前大切にしろよ。・・・でもエヒトに目ぇつけられるか。変わらんけど。
「・・・それじゃ、〝ユエ〟ってのはどうだ?うちの世界の言葉で〝月〟を意味するんだ。吸血鬼って夜の王と呼ばれる事があってな。夜の象徴と言ったら月かなって「それがいい」・・・即答かい」
というわけで少女の名前はユエになりました。
「・・・そういえばどうしてユエちゃんはここに封印されたんだろう」
「反逆者……神代に神に挑んだ神の眷属のこと。……世界を滅ぼそうとしたと伝わってる、その人が作ったから…だって」
「・・・まあ、神が敵なら頼りたくなるのも分かるけど…私達をここに連れてきたのも神だよね?」
「まともな神なら俺たちみたいな学生を呼んだりしないだろ」
「確かに」
ハジメも察したようだ。そもそもこの世界の宗教がトチ狂ってるのは周知の事実(主に彩人の周り)。
「・・・二人はどうしてここにいる?」
ユエが聞いてくる。
「・・・聞きたいのか?そんなに面白いものでもないぞ?」
「構わない」
別に減るものでもないため話す。ここに来るまでの事を話すと「……ぐす……彩人…ハジメ……つらい……私もつらい……」と言っていた。
ついでにどのみちバレるとしてサイヤ人の力についてもユエに話した。魔法とは違う別次元の力にユエは目を輝かせていた。するとユエは不安げな表情で言った。
「彩人は…いつか、帰るの?」
「元の世界にか?・・・そりゃ帰りたいが」
「私は彩人君についていくだけ」
「…そう…でももう私、帰る場所、無い」
「・・・・」
「それじゃ、私達と一緒に来る?」
「・・・!」
まさかのハジメの提案。
「…いいの?」
「彩人君次第だけどね」
「彩人…」
「先に言われるとは・・・。ユエは行く当ても帰る場所もなさそうだしな。ユエがいいなら一緒に行こう」
するとユエはパァッと笑顔になり
「…行く!一緒に…!」
こうして仲間が増えました。
そのあと、ハジメが対物ライフル――シュラーゲンをサソリモドキの鉱物、シュタル鉱石で完成させ、弾丸の強化してフルメタルジャケット作るのををユエが興味津々に見ていた時、ある疑問が。
「・・・・そういえばユエはご飯とか食べるのか?魔物肉しかねえけど」
「食事はいらない」
「300年もあそこに居る時点でお察しだが・・・飢餓感とか感じたりしないのか?」
「感じる。だから彩人…こっち来て」
「・・・・(察し)」
「いただきます」
咬まれました。吸われました。・・・ユエさん、目をキラキラさせないで。
「彩人君の血のお味は?」
「とても美味。何種類もの野菜や肉をじっくりコトコト煮込んだスープのような濃厚で深い味わい・・・」
「人の血液で食レポしないで「隙あり!」ハジメぇ!?」
ユエが咬んで流れ出した血をハジメが舐めとる。
「ハジメ…どう?」
「とっても濃厚・・・♡癖になりそう」
「ハジメ、分かってる」
「おいお前らいつの間にそんなに仲良くなったし」
「「〝同志〟だから」」
「ワケワカンナイヨー!」
仲間が変態化して危機感を募らせる彩人だった。
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シュタル鉱石
魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石
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一方そのころ。
「「「「…ハッ」」」」
「・・・感じた?」
「鈴も感じた」
「僕も」
「私もだ」
「そう、みんな感じたのね。これは好機。味方は多いに越したことはないもの」
「どんな子かな~鈴、楽しみ!」
「そうだね。でも万が一彼を困らせたりしたら・・・ふふっ」
「その為にも強くなって彼を迎えましょう?」
「そうね。でもまずは・・・」
「「「「ようこそ、私達の〝同志〟」」」」