ありふれ世界のサイヤ人   作:M88星雲

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ああスマンな、クラスメイト側なんだ。

ほぼはしょっただけなんだぁ・・・


帝国の使者 byクラスメイト 前編

彩人が超サイヤ人に覚醒しヒュドラを瞬殺したころ。勇者一行は、一時迷宮攻略を中断しハイリヒ王国に戻っていた。

 

いまのレベルでは先の攻略が厳しい事とヘルシャー帝国から勇者一行に会いに使者が来るためだ。

エヒトの神託から勇者降臨までの猶予が短く通達が遅れたからだ。そもそも帝国自体が実力主義の国家であり名も知れぬ勇者など興味を示さなかった。しかし前人未踏の階層に到達したことで興味が湧いたのだとか。

 

そんな話を聞きながら帰ってきた天之河達は王宮に到着し全員が馬車から降りると王宮から走ってくる一人の少年、ハイリヒ王国王子ランデル・S・B・ハイリヒである。

 

ランデル殿下は待ちわびた飼い主に飛びつく大型犬の如く駆け寄ってきて叫んだ。

 

「香織! よく帰った! 待ちわびたぞ!」

 

香織以外にもいるのだが彼には香織以外は眼中に無い。 実は、召喚された翌日から、ランデル殿下は香織に猛アプローチを掛けていた。と言っても、彼は10歳。香織から見れば小さい子に懐かれている程度の認識であり、その思いが実る気配は微塵もない。生来の面倒見の良さから、弟のようには可愛く思ってはいるようだが。

 

「ランデル殿下。お久しぶりです」

 

子犬を愛でるような優しいまなざしで答える香織。ランデルも一瞬ドキリとしつつなんとか自分なりにアプローチする。

 

「ああ、本当に久しぶりだな。お前が迷宮に行ってる間は生きた心地がしなかったぞ。怪我はしてないか? 余がもっと強ければお前にこんなことさせないのに……」

 

香織は守られるだけなのは嫌だが子供をあやす母のような顔で相槌を打つ。

 

「お気づかい下さりありがとうございます。ですが、私なら大丈夫ですよ? 自分がやらなくてはならない事なので」

 

「いや、香織が気を張る必要はない。そ、その、ほら、もっとこう安全な仕事もあるだろう?」

 

「安全な仕事ですか?」

 

実らぬ思いをつのらせるランデルに察した雫が合掌する。隣で鈴と恵里も苦笑いしている。

 

「う、うむ。例えば、侍女とかどうだ? その、今なら余の専属にしてやってもいいぞ」

 

「侍女ですか? いえ、すみません。私は治癒師ですから……」

 

「な、なら医療院に入ればいい。迷宮なんて危険な場所や前線なんて行く必要ないだろう?」

 

医療院は王宮のすぐ近く。つまりは離れたくないだけなのだが香織には届かない。

 

「いえ、前線ならば直ぐに癒せますから。心配して下さりありがとうございます」

 

「うぅ」

 

結局惨敗するランデル。そこにやはりKY勇者が。

 

「ランデル殿下、香織は俺の大切な幼馴染です。俺がいる限り、絶対に守り抜きますよ」

 

本人は下心なしに守る、という意味で言っているのだがランデルにはこう聞こえた。

 

〝俺の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。俺がいる限り香織は誰にも渡さねぇ! 絶対にな!〟

 

しかも天之河と香織は実に絵になる。それがランデルの嫉妬心を加速させる。

 

「香織を危険な場所に行かせることに何とも思っていないお前が何を言う! 絶対に負けぬぞ! 香織は余といる方がいいに決まっているのだからな!」

 

「え~と……」

 

なぜ怒るのか分からない天之河と喧嘩の原因を理解していない香織、ため息をつく雫。微妙な空気の中、それを断ち切る声が。

 

「ランデル。いい加減にしなさい。香織が困っているでしょう? 光輝さんにもご迷惑ですよ」

 

「あ、姉上!? ……し、しかし」

 

「しかしではありません。皆さんお疲れなのに、こんな場所に引き止めて……相手のことを考えていないのは誰ですか?」

 

「うっ……で、ですが……」

 

「ランデル?」

 

「よ、用事を思い出しました! 失礼します!」

 

姉には逆らえないようだ。逃げるように去っていったランデルを窘めたのは王女リリアーナ。

 

「香織、光輝さん、弟が失礼しました。代わってお詫び致しますわ」

 

 リリアーナはそう言って頭を下げた。美しいストレートの金髪がさらりと流れる。

 

「ううん、気にしてないよ、リリィ。ランデル殿下は気を使ってくれただけだよ」

 

「そうだな。なぜ、怒っていたのかわからないけど……何か失礼なことをしたんなら俺の方こそ謝らないと」

 

全く理解していない天之河に苦笑いするリリアーナ。弟の気持ちを察しているため同情する。彼の不倶戴天の敵はべつにいるのでなおさらだ。

それはさておきリリアーナは14歳だが王女として礼儀正しくもフレンドリー、それでいて国民にも大変人気のある金髪碧眼の美少女である。自身の世界の問題に巻き込んでしまったと罪悪感を抱き一個人で生徒達と関わる彼女はすぐに打ち解けた。特に同年代の香織や雫達との関係は非常に良好で、今では愛称と呼び捨て、タメ口で言葉を交わす仲である。

 

「いえ、光輝さん。ランデルのことは気にする必要ありませんわ。あの子が少々暴走気味なだけですから。それよりも……改めて、お帰りなさいませ、皆様。無事のご帰還、心から嬉しく思いますわ」

 

そんな言葉を言われれば男子はもちろん女子もたちまちリリアーナに見惚れる。・・・約2名(鈴と恵里)を除いて。

その後も天之河の発言にリリアーナが困惑するのだが・・・それはともかく天之河達をねぎらいつかれを癒すように促した。

 

居残り組にベヒモスの討伐を伝え歓声が上がったり、これにより戦線復帰するメンバーが増えたり、愛子先生が一部で〝豊穣の女神〟と呼ばれ始めていることが話題になり彼女を身悶えさせたりと色々あったが天之河達はゆっくり迷宮攻略で疲弊した体を癒した。

 

その後、こっそり迷宮攻略に戻ろうとした香織を雫が連行したり迷宮を去る時に感じた凄まじいエネルギーについて語り合ったりしていた。

 

『うぬぬ・・・余は負けぬぞ!必ず香織の心を射止めて見せる!』

 

その夜にランデルは決意していた、しかし知る余地もない。彼の想い人は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はうぅぅぅぅぅぅぅ~~寂しいよお~~彩人く~ん~~~会いたいよぉぉぉぉ~~~~~!!(スーハースーハー)」

 

・・・彩人の使用済みのシャツを抱きしめてよがっているなど。

 




オチに関していう事はありません。
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