まさかの転生先からの異世界転移である。
飛ばされ礼拝堂だった。美しいステンドグラスや肖像画が飾られている。
…あの忌々しいエヒトらしき後光を放つ奴が人々を導き、目線の先にある金色のオーラを纏った気持ち悪い造形の猿(?)に立ち向かう姿が描かれていた。
「あれは……」
「おや、その絵画にご興味がおありかな?」
そして現れる一人の老人。
俺たちに深く礼をしながら外見に違わぬ落ち着いた口調で話す。
「ようこそ”トータス”へ。私は聖教教会にて教皇の地位に就いております…イシュタル・ランゴバルドと申します。以後どうぞ宜しくお願いいたします……」
そしてイシュタル氏に導かれるままに長ったらしいテーブルに座らされた。
全員が着席すると同時に推し量ったように飲み物をのせたカートを押しながらメイド達がぞろぞろと入ってくる。
男子は若いメイドに鼻の下を伸ばし、それを女子がゴミを見るような視線を向けている。
別に見るものでもないと俺は思っているのだが、五つほど視線を感じた。
無論ハジメ達だ、『あーいうのが好きなのか』とでも言いたげだな、オイ。
「さぞ混乱なさっていることでしょう、飲み物を飲みながら私の話を聞いて下され」
そういってイシュタル氏はこの世界の現状と俺達を召還した理由を語った。
内容は、
・この世界はトータスと呼ばれる世界で人間族、魔人族、亜人族が存在する。
・亜人は差別対象であり、亜人側も人間を快く思っていない
・人間族と魔人族は戦争状態で戦況は長らく拮抗していたが魔人族が強力な魔物を使役するようになり人間族が不利な状況
・この世界より上位の世界とされる俺達の世界から勇者候補を喚べというエヒトの導きで俺達は連れてこられた
要約すると、ここの人間族がヤバイから君たち戦争に協力しろ。
以上。
「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
唐突に机を叩きながら立ち上がったのは愛ちゃん先生である。低い身長のせいで迫力は無いがいち教師としてはもっともな意見を言う。素敵な先生だ、感動的だな、だが無意味だ。
イシュタル氏は先生の言葉で顔をしかめた。『エヒト様に選ばれたのに何がそんなに不満なんだ?』と。
ここで下手に反抗すると『異教徒め!反抗する気か!』とでも言われて帰るどころか全滅もありうる。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です。」
無慈悲なイシュタル氏の発言に動揺が走る。
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな。」
「そ、そんな……。」
帰れないという事実にクラスメイト達はパニックを起こし始める。
「嘘だろ、帰れないだって…?」
「戦争なんて嫌ぁ!死にたくない!」
「携帯も繋がらねぇ……」
「帰りたいよぉ……」
「ひ、避難だぁ!」
「何処へ行くんだァ…?」
「お、お前達と一緒に帰る準備だぁ!」
…何か一部変なのが混ざったが。
「しかし、エヒト様も寛大なお方。悪いようにはしますまいて」
結局エヒト様の気まぐれってことだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!
またまた無責任なイシュタル氏の発言に対し、新たに立ち上がった者がいる。………当然、天之河く……天之河である。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」
「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい。」
「俺達には大きな力があるんですよね? なんだか、ここに来てから妙に力が漲っている感じがします。」
「ええ、そうでしょう。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな。」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
何言ってんだおめぇ……。
これは殺し合いなんだぞ、ゲームじゃないんだ!
と言っても止まる気配なんて無い。むしろ賛同する奴も出てきた。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」
「龍太郎……」
坂上く……坂上が賛同するんだからな……ん?そういえば香織と雫が賛同する気配が無い、と思ったが。
「「………(ジーッ)」」
なんかこっち見てくるんだけど。
アレか?俺に賛同するって感じか?
「…仕方ない、戦う以外に道は無いんだから不本意だが参加する」
そして水を差すんじゃえねぇという視線を向けられる。
「確かに、今のところ、それしかないわよね。……私も気に食わないけど……やるわ。」
「雫……。」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「香織……。」
しかし偉大なる二大女神の存在でそれは無くなった。
次々参戦を宣言する生徒達に「ダ、ダメですよ~っ!」と叫ぶ愛ちゃん先生にほっこりした表情を向ける鈴と恵里が居た。
「イシュタル氏、俺達は戦いに参戦するに当たって一つ条件があるが、宜しいか」
「条件…とは?」
「”非戦闘系の者あるいは戦闘に向かない者の前線投入を強制しない”事。武器の量産や食糧の確保は戦争に大きく影響する」
「……それも一理ありますな。しかし全員後衛、というのは認められませんぞ?」
「構わない。あくまでも犠牲を増やさないためにも約束は守って貰いたい。貴殿方が崇拝なさっているエヒト様に誓って頂く」
俺の言い分に天之河が「皆で戦うべきだ!」とか言ってるが無視。イシュタル氏は何処か諦めた表情で
「承りましょう……”非戦闘系の者あるいは戦闘に向かない者の前線投入を強制しない事をエヒト様に誓います”。これで宜しいかな?」
「ええ。何卒その誓いをお忘れなく」
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さて、俺たちは魔人族と戦争する兵士にされたわけだが元々平和な日本で生活していた善良な市民であった人に殺し合いが出来るなどとそのような事があろうはずがございません。
そのためこの国…【ハイリヒ王国】の兵士が居る王宮へ赴くことになった。
本当は国王への挨拶が先なのだが。
教会の外に出て気付いたがここは【神山】と呼ばれる山の上であり、見たことの無い景色が広がっていた。
指示されるままにクラスメイト達が石の台座に乗ると、
「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん――〝天道〟」
詠唱と共に台座が動きだし、下山していく。まんまファンタジーである。麓に着き、豪華な王宮へ誘われ荘厳な廊下を進むと警備兵やメイド達の好奇の視線を浴びる。特に動揺している様子も無いことから俺達の事はある程度知っているようだ。長い廊下の先に一際大きな扉が見えてくる。
あの先に王が居るのだろう。
「「イシュタル様、ならびに勇者様方がご到着いたしました!」」
扉の前に居た二人の兵士が叫び、間髪入れずに扉を開いた。多くの生徒が内装の仰々しさのあまり恐る恐る扉をくぐっていく。長いレッドカーペットの先にある玉座の前に威厳ある佇まいで仁王立ちする初老の男性…恐らく彼がこの国の王であろう。
その隣には王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。国王の名をエリヒド・S・B・ハイリヒといい、王妃をルルアリアというらしい。金髪美少年はランデル王子、王女はリリアーナという。
周りには付き人や文官、護衛の兵士といった人が王室内に居た。
王への謁見後に晩餐会が開かれた。訓練教官の紹介や親睦を深めるためらしい。だが、飯を食いそびれた以上食べずにはいられぬぅ!周りの視線など知らぬぅ!
…おい、ハジメ達よ子供を見るような暖かい目で見るんじゃない。香織に(恐らく)惚れてるランデル王子が滅茶苦茶睨んでくるんだが。王家を敵に回すとか嫌なんだが。30年後に復讐しなきゃならなくなるから。
色々あったがこれで一日が終了し、個別の無駄に豪華な部屋で天蓋付きベッドにダイブし、寝た。
…夜、息苦しさを感じて目を覚ますと右腕を抱き枕のようにする雫、右半身に抱きつく香織、左腕を抱くハジメ、左半身に寄り添う恵里、腹の上に鈴が居た。う、動けん………。ってかいつの間に侵入したし。鍵かけたはずなんだがねぇ…って動くな………どぉぉぉぉぉうぬぅぅぅぅぅぅぅぅ娘ェに関節をキめられるとは…これもサイヤ人の定めか…………。
☆―――――――★
お、思ったより早く来たみたいだね
え、僕が誰かって?
残念だけどここでは明かせないなぁ。わかる人も居ると思うけど。
いずれにせよ、これはラッキーだね。
早速行動を起こさなくちゃ。
☆―――――――★
最後の人は誰でしょう?(わかる人いるんか?)
ヒロインズのヤンヤン度は・・・
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やりすぎ、自重して
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このままでいいよ
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もっと病ませろ
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そんなことより続き書け