「断る」
彩人の言葉にシアだけでなくハジメ、ユエも驚いている。
「な、どうしてダメなんですか!!」
「簡単なことだ。確かに峡谷の魔物も帝国兵も敵ではない。だが、峡谷を抜けた後の事を考えているのか?」
「それは・・・」
「・・・どうせ山脈に着くまで守れとでも言いたかったんじゃないか?・・・・ふざけるな」
「・・・うう」
「フェアベルゲンや帝国を敵に回すのは確定するのにお前らは守られるだけか、いいご身分だな」
「・・・・・」
黙り込んでしまうシア。しかし彩人は揺るがない。その中でシアに助け船が。
「彩人、連れて行こう」
「・・・」
「!? 最初から貴女のこといい人だと思ってました! ペッタンコって言ってゴメンなッあふんっ!」
ユエの言葉で調子のいいことを言いだすシアをビンタするユエ。
「彩人君、嘘が下手だね」
続けてハジメがふふっと笑いながら言う。
「は、ハジメさん!嘘とは!?」
「シア、別に彩人君は『助けない』とは言ってないよ。峡谷を抜けた後を心配してるだけ」
「そ、そうなんですか!?」
「・・・・・・・まあ、どのみち樹海の迷宮には必要だしな。だが、ずっとハウリア族のボディーガードは出来ねえ。こっちにもやらなきゃならない事があるんだ(気を探っても善意しかねえ。家族を想う気持ちは本物だしな)」
「彩人さん・・・!ありがろうございますぅ~~~!!!」
「こうなるから一度断ったんだよ!!!!!」
再び彩人に抱き着こうとするシアにまた殺意マシマシのお仕置きが炸裂した。
とりあえず魔動二輪にサイドカーを付け、シアをそこに乗せて行く。
「彩人さんはどこに乗るんですか?あ、なんなら一緒に乗りません?私は大じょ「「あ?」」なんでもありましぇん・・・」
「俺は大丈夫だ。飛べるからな」
舞空術で浮かぶとシアは混乱した。
「え、え?彩人さんは魔力無いのに何で飛べるんですか?!」
「気の力だが?」
「あ、それ先ほどの気、でしたか・・・魔法とは違いますけど、凄いです!」
そうしてシアの案内で峡谷を駆け抜けていく。シアは魔動二輪を不思議がっていたが慣れてくると楽しいらしく子供のように目を輝かせて楽しんでいた。
そんなシアを妹を見守る姉のような表情のユエ。彼女は自身の境遇がシアと似ていることにシンパシーを感じている。そして、家族に愛され、守られていた事も。穏やかな表情がそれを物語っていた。ハジメもそれに気づき片手でユエの頭を撫でる。
それを見たシアがハジメ達に絡んでわちゃわちゃしているのを上から見下ろして楽しむ彩人だった。
しばらく進むと、
「! ハジメさん! もう直ぐ皆がいる場所です! あの魔物の声……ち、近いです! 父様達がいる場所に近いです!」
「分かったから暴れないで!」
「見えたな、ウサ耳を付けた人が見えるぞ・・・って魔物に襲われてんな、ハジメ、先行くぞ」
「う、うん、気を付けて」
とはいえすぐに追いつく距離だが、ワイバーンのような魔物…もといハイベリアが岩壁を攻撃して岩陰に隠れた兎人族を追い出したところだ。飯の時間だといわんばかりに口を大きく開き一人の兎人族に襲い掛かる、しかし。
「グワェっっっ」
「・・・え?」
ハイベリアは光の弾に空高く連れ去られ、弾が爆発して消滅した。兎人族の男性は呆然としている。
別のハイベリアも他の兎人族を襲っていたが、銃声と同時に頭が吹っ飛ぶ。こちらも呆然としていた。
同胞をやられてキレたハイベリア達が一斉に咆哮し兎人族は身を震わせるがそれとは別に聞こえる声。それは彼らが捜していた少女の声。
「みんな~、助けを呼んできましたよぉ~!」
「「「「「「「「「「シア!?」」」」」」」」」」
シアの名を同時に叫んだ。サイドカーから身を乗り出しているのだがなんとかハジメのドライビングテクニックで事故ってはいない。がハジメの事を考えずにリアクションするためハジメの堪忍袋の緒が切れた。
「え、なんで服を掴むんですか?ハジメさん?」
「それだけ元気があるなら少しは役に立って貰おうか・・・なっ!!!!」
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
投げました。そして集まってくるハイベリアをハジメと彩人が全滅させる。
双頭のティラノモドキ〝ダイヘドア〟と並ぶ強敵が叩かれたハエの如くやられていく光景に兎人族はただひたすら呆然とするだけだった。
「あぁあああ~、たずけでぇ~、彩人さぁ~ん!」
「はいはい・・・」
落下するシアを受け止めようと走った兎人族より先に彩人がシアを助ける。
「やっぱり彩人さんは優しいですぅ~!!ひょっとして私の事、好きになっちゃいました?ダメですよぉ~、私、そんな軽い女じゃないですから、もっと、こう段階を踏んでぇ~」
「そういう事言う奴、俺嫌いだな」
「ガーン!!」
とりあえず地面に降ろした。「乙女の純情を弄ぶなんて・・・」とか言ってたが悪意の気しか感じないのでシカト。
するとシアを見つけた兎人族がシアに駆け寄り無事であることに安堵していた。シアもうれしそうだ。シアから彩人達の事を聞いたのち初老の兎人族が彩人達にお礼を言った。
「彩人殿で宜しいか? 私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとか……父として、族長として深く感謝致します」
続けて後ろの兎人族も頭を下げる。
「亜人は人間を快く思っていないと聞いているがあなた方は俺達を警戒しないのか?」
「シアが信頼する相手です。ならば我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから……」
絆が強いのはいいのだが少々素直すぎる。これでよく逃げ切れたものだ、と彩人は呆れていた。
「えへへ、大丈夫ですよ、父様。彩人さんはとっても優しい人なので約束を利用したり、希望を踏み躙る様な外道じゃないです! ちゃんと私達を守ってくれますよ!」
「はっはっは、そうかそうか、紳士的な方なのだな。それなら安心だ」
周りも安心しきっている。
「彩人君が優しいのは元からだもんね」
「…ジェントルマン」
「・・・・そんなキャラじゃねえんだが」
想像以上に純粋なハウリア族に不安を抱えながら一行はライセン大峡谷の出口目指すが当然魔物が襲ってくる。兎人族を襲う前にハジメが脳天を打ち抜くか彩人に消し炭にされるため兎人族は安全だった。そんな二人を畏敬の視線で見つめる兎人族。子供に至ってはヒーローを見るようなきれいな瞳で見つめてくるので彩人は辟易しハジメは呆れていた。
「ふふふ、彩人さんとハジメさん。チビッコ達が見つめていますよ~手でも振ってあげたらどうですか?」
彩人に絡むシアだが即ハジメのゴム弾の餌食になる。彩人は頭を抱えた。
いまだに銃撃にさらされるシアをみて目尻に涙を貯めて娘の門出を祝う父親のような表情をしているカム。周りの兎人族も穏やかな視線を向けている。
「…感覚がズレてる」
ユエの一言で説明がついてしまった。その先へ進んでいくと崖を上るための階段を発見した。
ミレディちゃんは・・・
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ハーレム入り
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無☆視☆
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破壊しつくすだけだァ!