階段を上っていく彩人達。
するとシアが不安そうに、
「帝国兵はまだいるでしょうか・・・」
「・・・この感じ、まだ居るっぽいな。諦めの悪いことで」
「・・・!、そうですか・・・彩人さん、いいんですか?」
(兎人族は彩人の気探知を知っています)
「・・・人間族と対立することか?それだったらお互い様だろう未来を見たんじゃないのか」
「見ました・・・。で、ですが・・・」
「そもそも樹海までの案内の護衛なだけで私情は挟んでいない。一度無事に送り届けると約束した以上何が立ちはだかろうと吹っ飛ばすだけだ」
「・・・・そうですか」
一切の迷いのない彩人の言葉にそれ以上言えないシア。彼女の見た未来は絶対では無い。もし彩人たちが帝国側に・・・という考えが浮かんでしまうのだ。自分に責任があるのもシアの不安を増大させていた。
対照的にシアの父、カムは下手な正義感よりもビジネスライクのほうが信用に値するとして樹海の案内を快く引き受けた。
飲まず食わずのはずなのに平然と階段を登る兎人族の身体能力に驚きながらも彩人達が登りきると、
「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」
三十人の帝国兵がたむろしていた。大型馬車数台と野営の跡。何が何でも兎人族を手に入れたいようだ。
帝国兵は彩人の後ろからぞろぞろと兎人族が登ってくるのを見て品定めするように視線を動かす。
「小隊長! 白髪の兎人もいますよ! 隊長が欲しがってましたよね?」
「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」
「小隊長ぉ~、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ? こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ~」
「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ」
「ひゃっほ~、流石、小隊長! 話がわかる!」
帝国兵どもは獲物である兎人族だけでなくハジメやユエも狙っているようだ。二人がキレる前に彩人が帝国兵に近づく。テレパシーで動かないように指示をして。
「・・あ?なんだてめえ。兎人族・・・な訳ねえよな?」
かなり近づいてから彩人を認識した帝国兵に彩人は小さくため息をつく。
「人間だ」
「はぁ~? なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ? しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か?まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ「断る」・・・なんだと?」
とうぜん拒否。
「おいてめえ・・・俺達が誰だか分かってんのかぁ?」
「知っている。理解した上で拒否しているんだ、分かっていないのはそっちだろう」
「あぁ~なるほど、よぉ~くわかった。てめぇが唯の世間知らず糞ガキだってことがな。ちょいと世の中の厳しさってヤツを教えてやる。くっくっく、そっちの嬢ちゃん達えらい別嬪じゃねぇか。てめぇの四肢を切り落とした後、目の前で犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ」
それを聞いたハジメとユエが殺気立った。しかし彩人を信じて動かない。すでに臨戦態勢は整っているが。
「剣を抜いた・・・つまり覚悟は出来たと判断していいんだな?」
「あぁ!? まだ状況が理解できてねぇのか! てめぇは、震えながら許しをこッ!?」
小隊長が彩人を切りつけるが剣がへし折れた。
「なっ・・・・」
「話にならんな」
武器を失って動揺したところを気で吹き飛ばす。
「・・・っ、クソが・・・前衛は囲んでアイツを食い止めろ!後衛は魔法で援護しろ!」
小隊長が指示を飛ばす。腐っても軍隊らしい。だが無意味だ。
「覚悟しやが・・・うおっ!?」
「ちょ、まだ詠唱ちゅ・・・「ぎゃあああああ!!」」
前衛が囲む前に気弾で吹き飛ばし後衛にぶつける。一瞬で帝国兵を返り討ちにした彩人をみて歓喜する兎人族。
「・・・もう終わりか?」
「このガキィ・・・舐めやがっ」
彩人が小隊長の頬を掠めるように打った気弾がそいつの真後ろで大きなクレーターを作った。
「次は当てるぞ」
「た・・・助けてくれぇ・・・お、俺たちが悪かった・・・兎人族には手を出さない!だから・・・殺さないでくれぇ・・・・・」
「・・・・もう終わりか、情けない連中だ」
情けない声で命乞いする兵士に愛想が尽き彩人が立ち去ろうとしたその時、
「今だ!やれえ!」
倒れたフリをしていた兵士が弓矢と魔法弾で彩人を攻撃する。彩人のいた位置から大きな煙がもうもうと上がる。先ほどと逆転し兎人族は真っ青に、帝国兵は笑みを浮かべた。
「ヒャハハハハハ!騙されてやんのバーカ!これは殺し合いなんだよ!欲しいモノは力で奪う!それがヘルシャー帝国だ!!」
「彩人・・・さん・・・」
シアが涙を浮かべている。他の兎人族も絶望に染まっている。それでもユエとハジメは無の表情で帝国兵を睨みつけている。
「どんな手を使ってでも勝ちゃいいんだよ!おい、ガキは抑えとけよ!へへへ・・・手間取らせやがって・・・てめえらこっちに来・・・グベェ!?」
すると小隊長に飛んできたのはボコボコにされた兵士だった。
「・・・殺し合い、と言ったな?欲しいモノは力で奪うと言ったな?・・・じゃあ俺がそうしてもいいって事だよな!!!」
「な・・・あっ・・・・」
それからは阿鼻叫喚の嵐。戦闘民族の力はすさまじく兵士の武器や防具、魔法に至るまで一切通用せず四肢もプライドもズタズタにする。
「ぼう・・うぞはづかない・・・がらぁ・・・だづげで・・ぐだざい・・・・」
「どの口が言うんだ。そうやって命乞いする亜人をお前らは助けたのか?」
気功波で兵士を吹き飛ばした。
彩人が無事だったのに安堵していた兎人族だが急に彩人が人が変わったように兵士を追い詰めて一掃したのをみて恐怖心を感じていた。
「あ、あの・・そこまでする必要はないのでは・・・」
シアの一言で彩人ははぁ、と息をつく。どこまでも優しい・・・いや甘すぎる種族だ。そしてシアの言葉に答えたのはハジメとユエだった。
「殺意を持って襲い掛かってきた上にだまし討ちまでしといて見逃すなんて都合よすぎない?」
「・・・それは」
「……そもそも、守られているだけのあなた達がそんな目を彩人に向けるのはお門違い」
「……」
二人の静かな怒りに閉口するシア。他の兎人族もバツの悪そうな顔をする。しかし長でもあるカムは彩人に言った。
「ふむ、彩人殿、申し訳ない。別に、貴方に含むところがあるわけではないのだ。ただ、こういう争いに我らは慣れておらんのでな……少々、驚いただけなのだ」
「彩人さん、すみません」
「・・・気にするな。それが本来持つべき感情なんだからな」
彩人は背を向けたままそう返した。次いでハジメに頼んで魔動二輪を出し馬が無事な馬車と魔動二輪を連結した馬車を用いて兎人族を全員乗せてその場を立ち去った。彩人の放った気功波の跡のみが残った。
タイトル通りなのに殺伐としてる・・・
ミレディちゃんは・・・
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ハーレム入り
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無☆視☆
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破壊しつくすだけだァ!