町も門が近づいてきたので騒ぎを避けるため魔動二輪を〝宝物庫〟にしまって徒歩に切り替える。魔動二輪を気に入ったシアが不満そうだったが。
門に近づくと門番の詰所と思われる小屋から武装した兵士が現れた。ごく簡素な装備だが、兵士は四人を呼び止めた。
「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」
「主に食料の調達で。旅の途中なんだ」
兵士がふむ、と相槌をうちながらステータスプレートを確認する。ハジメに頼んで隠ぺい済みなので兵士は特に何も言わなかった。
「それで、そちらの二人・・・・」
兵士が彩人とハジメのプレートを確認したのちユエとシアに視線を向ける。・・・芸術的な美少女のユエと外見上は神秘的なシアに心奪われていた。
「魔物の襲撃のせいで、こっちの子のは失くしてしまって・・・。こっちの兎人族は…察してほしい」
「そ、そうか・・・・。それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか? あんたって意外に金持ち?」
そういう事ではないのだが・・・、適当にはぐらかして門をくぐる。
資金収集のために素材の換金場所を聞き冒険者ギルドで聞けばいいという情報を得てギルドへ向かう。
ホルアドほどではないにしろ露店がひしめく生活の喧騒は彩人とハジメにどこか安心感を覚えさせ、ユエは表情は崩さないが新たな景色に目を輝かせていた。
・・・シアだけは不満そうにしていたが。
「・・・なんでそんな不満そうなの、シア」
「この首輪! これのせいで奴隷と勘違いされたじゃないですか! ハジメさん、わかっていて付けたんですね! うぅ、酷いですよぉ~、私達、仲間じゃなかったんですかぁ~」
ハジメに付けられた首輪が気に入らないらしい。奴隷用ではないが疎外感を感じるからだそう。
彩人が一応フォローする。
「・・・シア。お前は愛玩用として人気高い上に珍しい白髪の兎人族な上に容姿端麗、スタイルも抜群・・・そんなのがうろうろしてたら格好の標的だぞ?いつ誘拐されてもおかしくな・・・・・なんで顔を赤らめてクネクネしてるんだ」
彩人のフォロー中に照れたように頬を赤らめイヤンイヤンし始めた。
ユエとハジメも顔が若干引きつっている。
「も、もう彩人さんってばこんな公衆の面前でいきなり何言い出すんですかぁ。そんな、容姿もスタイルも性格も抜群で、世界一可愛くて魅力的だなんてぇ、大丈夫ですよぉ~私はすでに彩人さんのモn・・・ぶげら!?」
「…時と場合をわきまえて」
ユエの容赦ない一撃が入る。
「気持ちは分かるけど今じゃないでしょ?」
ハジメもシアに説教する。ツッコミ所はあるのだが。
「うう、ごめんなさい…彩人さん」
「・・・分かったならいい」
仲間への強い憧れからそう割り切れない様子のシア。しかし・・・
「……有象無象の評価なんてどうでもいい」
「ユエさん?」
「大切な事は、大切な人が知っていてくれれば十分。でしょ?」
「………ハジメさん………そう、そうですね。そうですよね」
「……ん、シアは私達が認めた相手……小さい事気にしちゃダメ」
「……ユエさん、ハジメさん……えへへ。ありがとうございますぅ」
ハジメはともかくユエとシアは境遇がかなり近いのでシアは元気を取り戻していた。
「まあ、仮に奴隷じゃないとバレても見捨てはしない」
「街中の人が敵になってもですか?」
「・・・既に帝国兵とだって殺りあっただろ」
「じゃあ、国が相手でもですね! ふふ」
「何を今更。俺は世界どころか神の敵だ。手を出そうと言うのなら何であろうと吹っ飛ばす」
「くふふ、聞きました? ユエさん、ハジメさん。彩人さんったらこんなこと言ってますよ? よっぽど私達が大事なんですねぇ~」
「知ってるよ、彩人君の事だもん」
「…ん、それが彩人の素敵な所の一つ」
一歩リードしているような二人の発言にシアがムッとするがその瞳は嬉しそうだった。いざとなれば、自分のために世界とだって戦ってくれるという言葉は、やはり一人の女として嬉しいものだ。まして、それが惚れた相手なら尚更であろう。
「あ、そうそう、その首輪、念話石と特定石が組み込んであるから、必要なら使って。直接魔力を注げば使えるからね」
「念話石と特定石ですか?」
念話石は生成魔法により〝念話〟を鉱石に付与しており、込めた魔力量に比例して遠方と念話が可能になり、特定石は、生成魔法により〝気配感知[+特定感知]〟を付与したもので魔力量に比例してビーコンの機能を得る。
「ちなみにその首輪、きっちり特定量の魔力を流すことでちゃんと外せるからね」
ハジメの説明を聞いていたシアが彩人に気を扱えるのにコレを作らせた理由を聞いた。
「気ですぐに探せるとはいえ危険は無いに超したことは無い。ハジメに頼んでおいて良かった。俺は錬成できないからな」
「つまりこれはいつでも私の声が聞きたい、居場所が知りたいって事ですね・・・?ふふっもう彩人さんってばこんな回りくどい事しなくてもずっと一緒に居ますってばぁ~でも彩人さんに拘束されるのは悪くありませ・・・ごべばっ!?」
「だから自重してって言ってるでしょ?」
「…聞き分けなさすぎ」
「ぐすっ、ずみまぜん」
ハジメとユエのお仕置きと説教がありつつも冒険者ギルドにたどり着いた。ホルアドの物よりは小規模だが、重厚な扉を開くとギルド内は清潔感ある内装だった。入口正面にカウンターがあり、左手は飲食店になっているようだ。
当然彩人達に注目が集まる。ユエとシアが規格外なだけでハジメも十分美少女であるため周りの男性冒険者の視線が彼女達に集中し、見惚れて恋人なのか女冒険者に殴られている者もいた。
以外にもちょっかいをかけてくる者は居なかった。
カウンターに行くとニコニコと人のよさそうな笑顔を浮かべたおばちゃんが居た。ベテランの風格がある。
「そんなに可愛い子達引き連れてるのにまだ足りなかったのかい? 残念だったね、美人の受付じゃなくて」
「・・・そんな期待はしてませんが」
「あはははは、女の勘を舐めちゃいけないよ? 男の単純な中身なんて簡単にわかっちまうんだからね。あんまり余所見ばっかして愛想尽かされないようにね?」
「常に心に留めておきます」
その後、年取るとつい説教臭くなっちゃってねぇ~とおばちゃんに謝罪され、周りの冒険者達に同情の目を向けられた。ベテランなのは間違いないようだ。
「さて、じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」
「ああ、素材の買取をお願いします」
「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」
「承知しました、こちらを」
「ん?あんた冒険者じゃないみたいねぇ、買取にステータスプレートは不要だけど冒険者と確認できれば一割増で売れるんだけどねぇ」
ギルドと提携している宿や店は一~二割程度は割り引いてくれるし、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするよ、とつづけてきたので登録しておくことにした。
「どうする? 登録しておくかい? 登録には千ルタ必要だよ」
ルタとはこの世界の通貨であり青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金の種類があり、左から一、五、十、五十、百、五百、千、五千、一万ルタとなる。価値自体はこっちの世界と変わらない。
「せっかくだから登録させてもらいます。連れの一人ももってますのでそちらと合わせて。・・・ですが持ち合わせがないので査定額からの差し引きでお願いできますか」
「可愛い子三人もいるのに文無しなんて何やってんだい。ちゃんと上乗せしといてあげるから、不自由させんじゃないよ?」
面目ないがおばちゃんのご厚意に甘えることにした。ハジメと一緒に隠ぺい済みのステータスプレートを渡す。ユエとシアの分は断った。
返ってきたステータスプレートには今までの職業とは別に〝冒険者〟の表記と青い点が追加されていた。
「えへへ、彩人君とお揃い♪」
ハジメが嬉しそうにしている。その背後で羨ましそうにユエとシアがハジメを見ている。
これは冒険者のランクで通貨の色と同じ価値となる。非戦闘系の限界は黒らしいが。
「男なら頑張って黒を目指しなよ? お嬢さん達にカッコ悪いところ見せないようにね」
「え、ええ。それで、買取はここで行えますか?」
「構わないよ。あたしは査定資格も持ってるから見せてちょうだい」
そして前もって出しておいた獲物袋から中身をとりだし、並べていく。
「とんでもないものを持ってきたね。これは…………樹海の魔物だね?」
「ええ、そうです」
一瞬ここで奈落の魔物出したらどうなるか考えたが騒ぎになるのも面倒なので樹海の魔物にした。
おばちゃんの反応から、やはり珍しいらしい。
「樹海の素材は良質なものが多いからね、売ってもらえるのは助かるよ」
やはり霧の影響で好き好んで樹海に入る者は居ないため珍しいそうだ。一瞬おばちゃんの視線が彩人の背後に居たシアに刺さり、シアに頼ったと判断されたらしく特に言及はされなかった。
それからオバチャンは、全ての素材を査定し金額を提示した。買取額は四十八万七千ルタ。結構な額だ。
「これでいいかい? 中央ならもう少し高くなるだろうけどね。」
「いえ、この額で構いません」
こうして資金を得ることは出来た。異様に硬貨が軽いのが気にはなったがかさばっても〝宝物庫〟があるので問題はない。
「そういえば門番の方からこの町の簡易な地図を貰えると聞いたのですが・・・」
「ああ、ちょっと待っといで……ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」
そして渡されたマップは精工かつ分かりやすく店の説明もしっかりとしている。おおよそ無料でもらっていいモノではなかった。
「このマップ、十分お金が取れますよ、無料でいいんですか?」
「構わないよ、あたしが趣味で書いてるだけだからね。書士の天職を持ってるから、それくらい落書きみたいなもんだよ」
超人すぎる。彩人はそう思った。
「あ、ありがとうございます」
「いいってことさ。それより、金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、その二人もそうだけどそこの白髪のお嬢さんも十分さね。そんなの関係なく暴走する男連中が出そうだからね」
「お心遣い、ありがとうございます」
お礼を言ってギルドを去っていく彩人達。食事処の冒険者の何人かがコソコソと話し合いながら、最後までユエとシア、ハジメの三人を目で追っていた。
「ふむ、いろんな意味で面白そうな連中だね……」
後には、そんなオバチャンの楽しげな呟きが残された。
ミレディちゃんは・・・
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ハーレム入り
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無☆視☆
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破壊しつくすだけだァ!