「シアを売れ、と?」
「ええ。珍しい青髪に美しい容姿の兎人族。これほどの商品はなかなかありません」
ユンケルの視線を怖がって彩人の後ろに隠れるシア。
「見れば相当懐かれているご様子。それなりの額は出しますが…いかがかな?」
「…答えは一つ、断る。たとえ一国の王や神が欲しがったとしても。彼女は俺の大切な
戦士の顔つきでユンケル氏に言い放つ彩人。
「…なるほど、ここは引き下がったほうが賢明の様子。ですが、その気になったときは是非、我がユンケル商会をご贔屓に願いますよ。それと、もう間も無く出発です。護衛の詳細は、そちらのリーダーとお願いします」
神をも恐れぬ彩人の強者のオーラを感じたユンケルはシアを手放す事はないと判断し、引き下がった。
「すげぇ……女一人のために、あそこまで言うか……痺れるぜ!」
「流石、決闘ブレイカーと言ったところか。自分の女に手を出すやつには容赦しない……ふっ、漢だぜ」
「いいわねぇ~、私も一度くらい言われてみたいわ」
「いや、お前、男だろ? 誰が、そんなことッあ、すまん、謝るからっやめっアッーー!!」
ギャラリーがうるさいがシカト。
「…?なに呆けてんだシア、行くぞ・・・うおっ」
「えへへ…彩人さんの大切…んふふ…♪」
「…」
デレデレ状態のシアが腕に絡み付いてきた。そのままハジメ達の所へ行くと、どこか頬が赤かった。
「彩人君、凄く格好良かったよ…!」
「…ドキドキした」
「ふーん、結構言うんだね、君。・・・・ちょっと見直したよ」
「フォローありがとう(白目)」
ウサミミ美少女に腕を抱かれ、美少女や美女に囲まれる様を女性陣は生暖かい目で、男性陣は死んだ魚の目で見ていた。
その後出発した時に人数が人数なので彩人とヴァルキュリアは浮遊して後を追った。当然冒険者達は勿論ユンケルも驚きを隠せなかった。浮遊するメイドというシュールな光景と、ヴァルキュリア達のスカートの中を覗こうとして女性冒険者に殴られる男性冒険者が居たとか。
その日の晩。
「今日はどの程度進みました?」
「約1/3といった所ですね。あと4日はかかるかと」
「…結構かかるな」
「して、食事はどうなさいます?食料の販売も行っておりますが…」
「それなら大丈夫。ハジメ、頼む」
「はーい、…よっと、シア、お願い」
「分かりましたぁ」
ハジメが〝宝物庫〟から食料の入った袋をシアに渡す。
「な、なんだねその道具は?!」
当然ユンケルは見逃さない。
ハジメが言っていいの?と目配せしてくるが、黙ってる理由もないので話すように返した。
「これは〝宝物庫〟って言って、見た通り物を自由に出し入れ出来「た、たのむ!言い値でいいから売ってくれ!」…わぁ」
「…まぁ、そうなるよな」
かなり必死だった。
その後に、簡素な食事しかしない冒険者からシアやイクス、ミレディが作った食事を羨ましそうに見られたのでお裾分けした。
「カッーー、うめぇ! ホント、美味いわぁ~、流石シアちゃん! もう、亜人とか関係ないから俺の嫁にならない?」
「ガツッガツッ、ゴクンッ、ぷはっ、てめぇずりぃぞ!だったらイクスちゃんは俺の嫁!」
「はっ、お前みたいな小汚いブ男が何言ってんだ? 身の程を弁えろ。ところでミレディちゃん、町についたら一緒に食事でもどう? もちろん、俺のおごりで」
「な、なら、俺はハジメちゃんだ! ハジメちゃん、俺と食事に!」
「ユエちゃんのスプーン……ハァハァ」
「ゼータちゃん、次の町に着いたら案内してあげるよ、二人っきりで、ね!」
「アクセルちゃん!アクセルちゃんは俺が案内するぞー!!」
「この食事を最後の晩餐にしたい奴は誰だ」
「「「「「「調子に乗ってすんませんっしたー」」」」」」
こんな問答があったり。
「もう、彩人さんったら、そんなに心配しなくても私は彩人さんだけですよぉ」
『わたくしはマスターのみに従います故、他の殿方へ向かうつもりはありません』
「えー、私も入ってるのぉ?ミレディちゃん、モテモテで困っちゃうなぁ~♪」
三者三様の反応。その後にユエやハジメなどに“あーん“される彩人に男性冒険者が内心、「頼むから爆発して下さい!!」と思ったとか。
その後、馬車は順調に進み後1日で到着する時、それは起こった。その異変に気付いたのはシア。
「敵襲です! 数は100以上! 森の中から来ます!」
馬車の屋根の上に乗ったシアの叫びで冒険者に緊張が走る。
「くそっ、100以上だと? 最近、襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか? ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」
護衛隊のリーダーであるガリティマが苦々しい表情で言う。護衛隊は15人。ユエ達を含めても21人。単純な数では勝てないと困惑する冒険者達。
「迷ってるなら俺らがやろうか?」
「何を言ってるんだ、相手は100体以上だぞ?!そこまで強くはなくとも数が…!」
ガリティマが彩人にそう言うが
「…彩人、私がやる」
「だそうだ。ユエ、頼む」
「…ん、任せて」
ユエが宣言し、シアのいる馬車の屋根の上に上がる。
「…姿が見えてきました!」
正面から狼型の魔物の群れが砂ぼこりを立てて迫ってくるのが見えた。津波を彷彿とさせる光景だ。
ユエが無詠唱で魔法を放とうとするが、彩人がテレパシーで伝える。
『ユエ、一応詠唱ありきで頼む。目立つからな』
『…ん、分かった』
ユエは一息つくと、詠唱(もどき)を始めた。
「彼の者、常闇に黄金の光をもたらさん、古の牢獄を打ち砕き、障碍の尽くを退けん、最強の一片たるこの力、彼の者達と共にありて、天すら穿つ光となれ、〝雷龍〟」
黄金の龍が魔物の群れに雷の如く降下して襲いかかり、魔物を一網打尽にし大地を真っ黒に焦がした。
「な、なにあれ・・・私ユエと長く一緒にいるのに見たこと無いよ・・・」
「お、私の重力魔法を上手く融合してるねぇ、やっぱり金髪ちゃんは天才だね~」
「おー、すげー威力」
「…ん、ミレディの言うとおり、雷属性の魔法と重力魔法の融合。ちなみに詠唱は彩人達との出会いを詠ってます(ドヤァ)」
その後、フューレンにたどり着いた。
するとユンケルはハジメに話しかけた。
「ハジメさん、貴女のもつアーティファクト。やはり譲ってはもらえませんか? 商会に来ていただければ、公証人立会の下、一生遊んで暮らせるだけの金額をお支払いしますよ。貴女のアーティファクト、特に〝宝物庫〟は、商人にとっては喉から手が出るほど手に入れたいものですからな」
「…………」
しかしハジメは彩人の方に視線を向けてなにも答えない。拒否と見たかユンケルは続けていった。
「しかし、そのアーティファクトは一個人が持つにはあまりに有用過ぎる。その価値を知った者は理性を効かせられないかもしれませんぞ? そうなれば、かなり面倒なことになるでしょなぁ……例えば、彼らの身に何かがッ?!」
「・・・それは宣戦布告ってことでいいのかな?」
彩人に危害が及ぶと分かった途端に凄まじい殺気を放ちながらユンケルにドンナーの銃口を突きつけるハジメ。
「ち、違います。どうか……私は、ぐっ……あなたが……あまり隠そうとしておられない……ので、そういうこともある……と。ただ、それだけで……うっ」
「・・・そっか。それじゃ、そういうことにしてあげる」
ドンナーをおろして殺気を解くハジメ。恐怖のあまりへたりこんだユンケルに続けて、
「でも、もし敵意を・・・特に“彼“に向けたら私は…ううん、私達は国であろうと世界であろうと血の海に沈めるから」
するとユンケルはハジメだけでなくユエとシアも似た目をしていることに気付く。そして、それに反応したのか無機質な表情で自分を睨むヴァルキュリア達を見て、理解した。彼女達を…特に“彼“を怒らせてはいけない。骨一本も残さないだろう、と。
「ま、今回は見逃すよ。次がないといいね?」
「……全くですな。私も耄碌したものだ。欲に目がくらんで竜の尻を蹴り飛ばすとは……」
竜の尻を蹴飛ばすというのは逆鱗に触れるってことで、触らぬ神に祟りなし、という事である。
ついでにユンケルの話しによると竜(正確には竜人族)はこの世界の宗教上、異端の存在らしいのでユエの先程の魔法は使わないほうがいい、とのこと。
…ついでにあれだけ恐ろしい思いをしても彩人達に「ご入り用の際は、我が商会を是非ご贔屓に」と宣伝するあたり、根っからの商人なのだと彩人達は思ったとか。
ヤンデレを敵に回してはいけない。(戒め)
ティオは・・・
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