ありふれ世界のサイヤ人   作:M88星雲

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祝、50話!

・・・でも内容は期待しないで。


逃れられぬ再会

「お説教です!そこに直りなさい!轟君!!」

 

目の前で自分を指さして仁王立ちする少女・・・のような恩師に、好奇の視線を向けてくるクラスメイト。そんな光景に彩人は辟易していた。

 

「(どうしてこうなった)」

 

と。

事の始まりはウルの町に到着し、早速全員で米料理が食べられる店に入った時だった。

 

「米か・・・やっぱ日本人は米だよな」

 

「とっても久しぶりだから楽しみ~」

 

「・・・ま、元の世界と同じかどうかはわからんけど」

 

そんな会話をしながら入店したところまでは良かった。

 

「私、〝彩人〟さんの食べてたもの食べたいです」

 

「ん…私も〝彩人〟が食べてた料理、気になる」

 

「香辛料があればカレーとかあるかもな、〝ハジメ〟」

 

「あ、それいいかも!」

 

「なんか辛そうだけど、美味しいの?〝ハジメ〟ちゃん」

 

ミレディの質問にハジメが答えようとしたその時、彩人達が座っていた席の後ろのカーテンがシャーーッと開かれ、社会科教師(担任ではない)の畑山愛子が現れ、

 

「す、すみません!もしかして・・・轟君と南雲さん!?」

 

「な・・・・・・・・先生?」

 

「え・・・・・・・・先生?」

 

と答えてしまった。

 

「二人共・・・本当に生きて「いえ、人違いです」そんなはずありません!そこの男の子は間違いなく轟君です!」

 

ハジメが拒否するがハジメはともかく彩人はほぼ外見が変化してないのでごまかせなかった。

 

「何があったんですか? こんなところで何をしているんですか? 何故、直ぐに皆のところへ戻らなかったんですか? 轟君!南雲さん! 答えなさい! 先生は誤魔化されませんよ!」

 

二人、特に彩人に詰め寄る愛子。大声を出しているので他の客はもちろん、愛ちゃん護衛隊と近衛騎士団も集まってくる。

 

「…彩人から離れて、困ってる」

 

ユエが愛子にジト目で言う。・・・当然愛子はヒートアップし、

 

「轟君!こちらの女性達はどちら様ですか!?」

 

「いや、先生落ち着いて・・・この子たちは」

 

「……ユエ」

 

「シアです」

 

「ミレディちゃんだよ~☆」

 

「「彩人(さん)の女(ですぅ!)」」

 

『ゼータ』

 

『イクスと申します』

 

『アクセル』

 

『『『マスター、彩人のしもべ(にございます)(です)』』』

 

「」

 

とんでもない自己紹介だぁ・・・・

 

「何変な事言ってんだァ・・・・?」

 

「ひどいですぅ!私のファーストキスを奪っておいてぇ!」

 

「それは救命行為だ!」

 

「うう、ミレディちゃん、キズモノにされちゃったのに・・・しくしく」

 

「ミレディてめぇ、さっきの仕返しか!!?ボロボロにしたのはゴーレムのほ「轟君?」・・・・どうしたんスか先生」

 

彩人が愛子に向き直ると目を光らせて怒り心頭といった愛子の姿。

 

「南雲さんという人がありながら女の子のファーストキスを奪った挙句、ふ、二股した上に不純異性交遊なんて!!今まで帰ってこなかったのはお、女の子と遊び歩いていたからなんですか! もしそうなら……許しません! ええ、先生は絶対許しませんよ!」

 

「ちょ・・・」

 

そして、愛子は彩人を指さして、「お説教です!そこに直りなさい!轟君!!」へとつながるわけだ。

ギャラリーが出来て店の迷惑になるのと一度話をするため別室へ。

ニルシッシル(異世界版カレー)を注文し、カレーにそっくりな料理を楽しむ暇もなく愛子や園部優花達生徒から怒涛の質問を投げかけられる。

 

Q、橋から落ちた後、どうしたのか?

 

A、魔物を喰らって生き延びた

 

Q、なぜ南雲さんは白髪なのか

 

A、魔物肉による突然変異あるいは極度のストレスによるメラニンの枯渇

 

Q、南雲さんの右目はどうしたのか

 

A、眼帯です

 

Q、なぜ、直ぐに戻らなかったのか

 

A、戻れなかった

 

「・・・ところどころ気になる部分がありますが大体のお話は分かりました・・・今はとにかく二人が生きていてよかったです」

 

「やっと食えそうだ・・・」

 

一通り話は済んだのでニルシッシルを堪能する彩人。先に食べていたハジメがしつもんする。

 

「それはそうと先生はここで何してるの?」

 

「そ、そうでした・・・聞いていただけますか?」

 

「うん、食べ終わるまでならいいよ」

 

なおざりなハジメに待ったをかけるように愛子の隣に座る騎士がハジメを睨みつけた。

 

「おい、愛子がはなしているんだ、ちゃんと聞け」

 

「は?・・・・先生、誰、その人」

 

「あ・・・紹介しますね」

 

愛子が神殿騎士専属護衛隊隊長のデビッドを紹介した。しかしハジメは興味なしにニルシッシルを食べ続けていた。

 

「ふーん、で?」

 

「なっ・・・・」

 

ハジメの態度にイライラを募らせるデビッド。

 

「まあまあデビッドさん・・・」

 

「あぁ・・愛子、君はなんて優しいんだ。ここは君に免じて矛を収めることに「先生。続きを話して」・・・・っ」

 

「は、はい・・・あの轟君、クラスメイトの清水君を覚えてますよね?彼とは親しいようなので・・・」

 

「・・・?幸利とは親友っスけど・・・迷宮組じゃ」

 

「ええ・・・ですが精神的苦痛を抱えて交際中の辻さんと一緒に私の農地改革のお手伝いに・・・」

 

「(ヒロインズのせいだろうなぁ・・・幸利、済まん)・・・・?ではなぜここに居ないんスか」

 

「彼は・・・誘拐されました」

 

「・・・・?!」

 

親友の危機に戦慄する彩人。原作と違いコンプレックスは解消されてるから魔人族の誘いには乗らない・・・と考えていたが甘かったようだ。

 

「しかも、彼が誘拐される際に氷の魔法を使う魔物や槍や剣でも切り裂けない魔物がいたそうです」

 

「・・・・辻さんは」

 

「・・・彼が居なくなって以降、一人ででもさがしに行こうとしてました。今は厳重警戒中の宿で休んでいます」

 

「・・・」

 

「清水君の職業は〝闇術師〟です。他の系統魔法においても高い適正を持っています」

 

「だから狙われた・・・ってところっスかね」

 

彩人は真剣に犯人を考えるが、唐突にデビッドが吼えた。

 

「おい、お前ら! 愛子が話しているのだぞ! 真面目に聞け!」

 

どうやら彩人以外が聞いていないのが腹立たしいようだ。

 

「聞いてるよ。っていうか今私達は食事中なんだよ?もう少し行儀良くしなよ」

 

デビッドを一蹴するハジメ。するとデビッドは苦々しい表情で、

 

「ふん、行儀だと? その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな。せめてその醜い耳を切り落としたらどうだ? 少しは人間らしくなるだろう」

 

シアの方をみて言い放った。シアは外で初めて亜人差別を体験してしまった。頭ではわかっていてもシアの心はよどんでいく。顔をそむけたシアを見て勝ち誇っている表情のデビッド。周りの騎士もデビッドを咎めないあたりお察しである。そんなデビッドをユエが絶対零度の視線を突き刺す。

 

「何だ、その眼は? 無礼だぞ! 神の使徒でもないのに、神殿騎士に逆らうのか!」

 

「…小さい男」

 

「……異教徒め。そこの獣風情と一緒に地獄へ送ってや・・・グぅっ!?」

 

デビッドがユエに向かって携帯している剣を抜く前に、彩人がデビッドの鎧を掴み上げていた。

 

「な…がっ・・・は、放せ!」

 

「・・・先生の話は俺が聞いた。後は俺がどうにかするから余計な事をするな。不毛な戦いは誰も得しないぞ」

 

「だ、黙れっじゃまをするなら貴様も斬るぞ!」

 

・・・ならやってみろよ

 

「!?・・・て、テラタイト(硬度7)の鎧が!?」

 

すると彩人鎧を掴んだ手を握り、デビッドの鎧が粉々に砕ける。愛子、クラスメイト、騎士団が驚きのあまり目を見開く。

 

これでもやるってんなら、な

 

「・・・・っ、く・・・・・」

 

彩人は戦士の顔になっており、圧倒的な威圧感を放っていた。デビッドが剣を置くと彩人は覇気を収め、小さく震えるシアに話しかける。

 

「つらいかもしれないがシア、これが〝外〟での普通なんだ。いちいち気にしている暇はないぞ」

 

「はぃ、そうですよね……わかってはいるのですけど……やっぱり、人間の方には、この耳は気持ち悪いのでしょうね」

 

自虐気味に言うシア。すると、いつの間にかシアの手を握っていたユエが話す。

 

「……シアのウサミミは可愛い」

 

「ユエさん……そうでしょうか」

 

教会の教えを色濃く刷り込まれた奴ほど亜人への差別意識が高い。デビッドの評価だけが全てではないと彩人は付け加えた。

 

「そう……でしょうか……あ、あの、ちなみに彩人さんは……その……どう思いますか……私のウサミミ」

 

「・・・?可愛いと思うぞ?ふわふわで触り心地がいいしシアの気分でピコピコ動くのも、な」

 

「…ん、彩人、よくシアを撫でてる。彩人のお気に入り」

 

「そ、そうでしたか、彩人さんのお気に入り・・・えへへ」

 

「そうそう、ハジメもシアウサミミすきだったよねぇ。分かるよ分かるよ、あれは癖になるぅ~」

 

「ちょ、ミレディ、それは言わない約束!!」

 

その光景を見ていたクラスメイト達。

 

「あれ? 不思議だな。さっきまで轟のことマジで怖かったんだけど、今は殺意しか湧いてこないや……」

 

「お前もか。つーか、あの二人、ヤバイくらい可愛いんですけど……どストライクなんですけど…しかもあのミニスカ金髪の子も…可愛い…なのに、目の前にいちゃつかれるとか拷問なんですけど……」

 

「異世界の女の子と仲良くなる術だけは……聞き出したい!あと、後ろのメイドさんたちとお近づきになりたい! ……昇! 明人!」

 

「「へっ、地獄に行く時は一緒だぜ、淳史!」」

 

そんな会話する男子にものすごく冷めた目を向ける女子。

その一方でチェイスが、場の雰囲気が落ち着いたのを悟り、デビッドの治癒に当たらせる。と、

 

「お、おい、南雲。それ銃だろ!? 何で、そんなもん持ってんだよ!」

 

玉井の叫びにチェイスが反応する。

 

「銃? 玉井は、あれが何か知っているのですか?」

 

「え? ああ、そりゃあ、知ってるよ。俺達の世界の武器だからな」

 

実は彩人がデビッドを押さえたのはハジメがドンナーを抜いていたからだ。銃の存在がバレる可能性を考慮したが、結局バレた。

制作者はもちろんハジメ。・・・ってか自分で白状した。

戦争において強い武器は重要となるのでチェイスが銃の情報をえようとするがハジメは一切語らない。

 

「それを量産できればレベルの低い兵達も高い攻撃力を得ることができます。そうすれば、来る戦争でも多くの者を生かし、勝率も大幅に上がることでしょう。あなたが協力する事で、お友達や先生の助けにもなるのですよ? ならば……」

 

「なんと言われようと、私は彼以外に協力するつもりはないよ。奪おうというなら敵とみなす。その時は……戦争前に滅ぶ覚悟をしろ」

 

少女とは思えぬ威圧感を出すハジメ。

 

「チェイスさん。南雲さんには南雲さんの考えがあります。私の生徒に無理強いはしないで下さい。南雲君も、あまり過激な事は言わないで下さい。もっと穏便に……南雲さんは、本当に戻ってこないつもり何ですか?」

 

「少なくとも私は戻る気はないよ、先生」

 

「・・・そんな。轟君、南雲さんを「悪いけど俺も戻るつもりはないっスよ」・・・どうしてそんなことを言うんですか?清水君を見捨てるつもりなんですか?」

 

「・・・違いますよ、先生。幸利は俺が助けます。でも、俺は戻れない」

 

「な、なんでですか!」

 

「・・・・・俺が"サイヤ"かもしれないって言ったら?」

 

「な、なにを・・・「愛子!ソイツから離れろ!!」・・・チェイスさん?!」

 

「き、貴様ァ・・・よくも我らの前でその名を口にしたな!!!」

 

気づけば騎士団全員が敵意と殺気を全開にして彩人を睨みつけていた。

 

「チェ、チェイスさん!どういう事なんですか!」

 

「愛子!サイヤ・・・サイヤ人・・・は、我らの神に仇をなした不倶戴天の神敵!!その名を話すだけでも腹立たしい存在なのだ!!」

 

「・・・!!」

 

「・・・あくまでもかもしれない、なんだけどな・・・。つまりはそういう事。俺が居たら、うっかり禁句を言って迷惑になるかもしれない。それじゃあ、な」

 

「ま、待って・・・」

 

愛子の声も虚しく彩人達はその場を立ち去ってしまった。変貌した南雲と神敵の名を出した轟。クラスメイト達はもちろん愛子も重い空気で彩人達を見送った。

 

「・・・っ」

 

「…ミレディ?」

 

「あんのクソ神・・・自分がやられたからって・・・!ほんっと腹立つ!!」

 

「・・・ミレディさん」

 

「まぁ、そんなもんだろうよ」

 

「・・・彩人君?宿はそっちじゃないよ?」

 

「悪い、ハジメ・・・ちょっと寄り道する」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「・・・ふぅ」

 

愛子は、今日の出来事に思いを馳せ、ソファーに深く身を預けながら火の入っていない暖炉を何となしに見つめる。

死んだと思っていた生徒達が生存していたことに喜び、変貌したことを悲しみつつも二人とまわりの女性たちとの関わりから、信頼できるあいてに出会えたことに安堵していた。

 

ふと愛子が窓の外から物音が聞こえたので窓を開けると、浮遊している彩人が。

 

「さっきぶりだな、先生」

 

「と、轟君!?ど、どうして浮いて・・・」

 

「・・・それについても話すからさ、とりあえず落ち着いてほしい」

 

「え、ええ・・・分かりました」

 

そして彩人はオルクスの地下で語られたことを話す。〝解放者〟と狂神との戦い。世界の真実を。サイヤ人の事は上手くごまかした。

愛子はあまりの情報量に混乱していた。

 

「・・・とまあ、これが世界の真実ってこと。このあとどうするかは先生に任せるよ」

 

「と、轟君は、もしかして、その〝狂った神〟をどうにかしようと……旅を?」

 

「・・・まあ約束した人が居るし・・・・そうなるかな」

 

だれかの為になにかを為そうとしていると、愛子は少し安心感を覚えていた。

 

「アテは・・ありますか」

 

「大迷宮がカギだ。オルクスの地下奥底がその一つ・・・今のあのメンツじゃ攻略は不可能だろうけど。あの程度でおどろいてちゃ・・・・死ぬ」

 

話すことは話したと彩人が去ろうとすると、

 

「愛子!大丈夫か!・・・貴様、さっきの!」

 

見回りのデビッドが部屋に入ってきた。

 

「じゃあな、先生。少なくとも今のままじゃ元の世界には帰れない・・・ぜ!」

 

「と、轟君!ま、待って・・・消えた・・・?」

 

彩人は瞬間移動で去った。

愛子は悔しがるデビッドを尻目に彩人から伝えられた事を反芻し、思考の海へ沈んでいくのだった。

ティオは・・・

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  • ケツパイルしてもそのまま
  • ケツパイルなしでそのまま
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