ありふれ世界のサイヤ人   作:M88星雲

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清水を誘拐し魔人と共に魔物を率いた敵の正体とは?(すっとぼけ)


この世で一番強いヤツ 前編

清水幸利にとって、轟彩人という男は一番の親友である。根暗なオタクだった自分を勝ち組にしてくれた。そんな大恩を感じていた彼は彩人の危機には必ず駆け付けたいと思っていた。そしてオルクスで彩人の落ちる光景を見届け、白崎を守ろうとした。・・・それは無駄足だったが。

次いで清水は友の力になれるように自身の職業〝闇術師〟に関する技能・魔法に関する本を読み、積極的に迷宮攻略に参加したがヒロインズの闇に充てられたこと、勇者(笑)たちの活躍で出番が無いため愛ちゃん護衛隊に移った。

 

愛子に心配かけないために自身の恋人である辻綾子のみに修行の事を告げ、夜な夜な〝闇術師〟の技術を高めていた。しかし魔人族に目を付けられ魔人族の協力者によって洗脳装置を付けられた。

 

操られていても残った意識は清水の良心を傷つける。ティオの洗脳、ウルの町襲撃の為の魔物の収集。自分はこんなことをする為に鍛えたのではない、帰りたいという思いと異世界とはいえ多くの人の命が失われることへの罪悪感。

しかも自身を洗脳した者は親友の体を乗っ取ろうとしている。無念さと悔しさばかりがこみ上げ、清水は泣き続けていた。

 

「ーーーーんーーーーシーくーーー」

 

絶望のどん底に居る清水を呼ぶ声がする。清水は暗転しかけた意識を取り戻していく。

 

(そうだ。この声は・・・)

 

清水は眠りから覚醒していきーーーーーーーーーーー

 

「…あや、こ?」

 

「トシ君!良かった・・・!」

 

自身を見つめていた最愛の相手に抱きしめられて生きているのを実感した清水。

 

「ここは・・・?」

 

「ウルの町だよ、トシ君。轟君が助けてくれたの」

 

「サイトが・・・?」

 

ここはウルの町のはずれ。愛子と生徒達の他、護衛隊の騎士達と町の重鎮達が幾人か、それにウィルと彩人達だけが居る。

騎士たちは警戒しているが愛子たちは気が付いた清水に駆け寄る。

 

「清水君・・気が付いて良かった・・・」

 

愛子が辻に支えられて上半身を起こした清水に安堵する。

 

「せ、先生・・・は、早く逃げてくれ・・・!綾子も・・・!奴が・・・来る!」

 

「トシ君?ど、どういう事?」

 

「し、清水君?な、なにを」

 

心配する二人をよそにざわつく周りの中から親友の姿を見つけた清水は危機を伝えようとする。

 

「サイト!奴が・・・お前を・・・!」

 

「・・・ああ。そうらしいな」

 

しかし彩人は一方向を睨んだまま答えた。

 

「そこにいるんだろ?出てこい!!」

 

彩人の怒号で全員の視線が彩人の睨む先の茂みに集まる。

 

「ふん、やはり気づいていたようだな、Dr.コーチン」

 

「ヒョヒョヒョ、なあに問題ありませんとも。これからいただけばいいのですからな、Dr.ウィロー様」

 

そこから現れたのは巨大なロボットと老人。ロボットは大きな図体に細長い手足というアンバランスながら軽快な身のこなしで歩いてくる。だが彩人と知っている清水以外に戦慄したのはロボットのガラスで覆われた部分の中に巨大な人間の脳が入っていたことだ。その不気味さからユエやミレディですら顔が引きつっている。

 

「・・・あえて聞くが何が目的だ?」

 

「決まっている。轟彩人、貴様の体を頂いてやるのだ」

 

「「「あ”?」」」

 

ハジメ達がとんでもない声を出したがDr.ウィローは気づかず彼女達の地雷を踏みぬいていく。

 

「そこの娘たちも私が使ってやろう。特に白髪娘の技術は私の頭脳があればさらなる高みをめざせるだろう、私の為に兵器を作れることを誇りに思え。ウサギ耳の娘のパワーは可能性を感じる。轟彩人よりも上手く使ってやろう。そして金髪の二人、貴様らの魔法は素晴らしい。私の役に立てることを光栄に思うがいい」

 

「何でてめぇみたいなガラクタの為に錬成しなきゃならないんだぁ?」

 

「粉々がいいですかぁ?滅多打ちがいいですかァ?」

 

「スクラップ…消滅…どっちがいい?」

 

「・・・あのクソ神ほどじゃないけどウッザ・・・・てかキモ・・・・」

 

Dr.ウィローよりもハジメ、シア、ユエのブチぎれに戦慄する他メンバー。ハジメはありったけの装備を展開し、シアはドリュッケンを振り回し、ユエに至っては龍のオーラを出している。

 

「待たれよ、ならばなぜ妾と魔物を洗脳した?」

 

冷静なティオがウィローに問う。

 

「簡単な事。魔人族との契約だからだ。ウルの町の壊滅を手伝う代わりに最強の肉体を手に入れる手助けをする、とな」

 

「では、あの者を操ったのもそなたの計画か」

 

「その通りだ。清水という小僧を使えば轟彩人は必ず現れる。私の存在を葬った者達へ復讐するための最強の肉体を手に入れるためのな」

 

「下劣な・・・恥を知れ!貴様のせいで・・・どれだけの命を危機にさらしたと思うておる!」

 

「ふん、知ったことか。私の優秀な頭脳に比べればこの町の人間など、塵芥に過ぎん。そして、人の命の危機と言ったが貴様も同じだろう」

 

「・・・っ」

 

「小型スパイロボットで見ていたぞ?貴様が操られて人を殺すのをな!竜人族よ!」

 

ウィローが次々に暴露していく。ティオへ不信感を帯びた視線が集まる。

 

「これでわかったろう、貴様は誇りなどを掲げているが人殺し。そもそも誇りなどという下らぬものを掲げている存在がこの私にもの申すなど図々しい事この上な・・・」

 

「黙れ!妾は恨まれても構わぬが、妾達の・・・竜人族の誇りを嗤うなッ!!」

 

「ぬ・・・、痴れ者め!」

 

ティオが怒りの形相でブレスを放つがウィローのレーザーに押し返される。魔力が万全ではなかったからだ。

 

「私の偉大さが分からぬ愚者は・・・ここで死んでしまえ!」

 

「く・・・おのれ・・・・!」

 

ブレスがレーザーで押し返され、大爆発が起こる。・・・が、ティオは空に浮かんだ彩人の腕の中。

 

「・・・すまぬ・・・彩人殿・・・今の妾は・・・無力じゃ・・・」

 

「良いんだ、ティオ。お前は休め、俺がアイツをぶっ飛ばす」

 

「彩人・・・殿・・・・かたじけない・・・っ」

 

彩人は静かに地上に立つとミレディにティオを任せる。

 

「・・・彩人、アイツ、思いっきりやっちゃって」

 

「当然だ」

 

「私達もやらせてね・・・?」

 

「…彩人だけじゃなくティオを…竜人族をバカにした。万死に値する」

 

「さぁて、粉々にしてあげましょうか!」

 

ヤル気満々のハジメ達。

 

『ゼータ、イクス、アクセル。先生達を頼む』

 

『御意』

 

『承りました』

 

『承知』

 

続いてヴァルキュリア達が愛子やウィル達を街中へ避難させる。

 

「と、轟君・・・!」

 

「轟・・・」

 

愛子と園部が避難しながら彩人を呼ぶ。が、彩人は大丈夫というかのように笑顔で手を小さく振った。

 

「サイト・・・済まねえ、俺のせいで・・・」

 

「轟君・・・」

 

「気にすんな、アイツすぐにぶっ飛ばしてくるからな」

 

辻と清水も町に戻って行く。

 

「フン、もはやあの小僧も用済み。貴様の体をDr.ウィロー様に献上せい!」

 

「「「「断る!!」」」」

 

彩人達全員がとびかかる。だが、

 

「・・・邪魔はさせん!来い、キシーメ、エビフリャー、ミソカッツン!」

 

緑、ピンク、黄色の人型の魔物がハジメ達を足止めする。

 

「…邪魔…!」

 

「ヒャヒャヒャ!そんなこと言わずによゥ、凍っていけよォ!!」

 

エビフリャーがユエに両手を突き出し、冷気のビームを放つ。

 

「ううっ、この・・・!」

 

「無駄無駄。その程度じゃオレの電気触手は解けねえぜ」

 

キシーメがシアを血管のようなロープで拘束し電流で攻撃する。

 

「貫けない・・・!?」

 

「でへへ、この程度なら跳ね返せるんだな」

 

ハジメのドンナー・シュラークを弾力性のある体で跳ね返すミソカッツン。

 

「あの娘たちは我が凶暴戦士たちに任せるとしよう。さあ、覚悟しろ轟彩人、あまり私の体を傷つけてくれるな・・・!」

 

彩人は気を開放し、ウィローを殴りつけた。

 

「き、貴様よくもDr.ウィローさm「うるせぇ」・・・ヒぃ」

 

「俺の体は俺のものだ。ハジメ達はモノじゃねえし渡さねえ!そして、てめえは・・・親友の仇、ティオの・・・そして竜人族の仇だ!!!!」

 

「うおおおおおおお!!な、なんというパワー・・・!」

 

彩人の怒りの一撃がウィローを襲う。

 

「ケッケッケ、カチンコチンだn・・・!?」

 

「…閉じ込められるのは、もうたくさん!!」

 

エビフリャーの凍結拳で凍らされたユエだったが氷を粉砕して脱出する。

 

「そろそろ諦め・・・「うぅぅぅぅぅりゃぁぁぁぁぁ!」・・・な!」

 

「ウサミミ舐めるな、ですぅ!!」

 

キシーメの拘束を〝身体強化〟で破るシア。

 

「喰らえ、風船野郎!」

 

「ぬうううううう!!!む、無駄なんだなぁ・・・」

 

ミソカッツンに復活したメツェライをぶっぱなすハジメ。

戦いは始まったばかりだ。




Dr.ウィローでした。

清水は・・・(生存は確定)

  • 彩人達と一緒に行く
  • 愛ちゃん護衛隊に復帰
  • 胃薬もって迷宮組・・・
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