「・・・ティオ、いつの間に」
「彩人殿と園部殿が話をしている時に乗っておったが?」
「…気づいてなかった、済まねえ」
「・・・う、うむ、こちらも話に入る機会を失っておった」
気まずい雰囲気になりつつも仕切り直し。
「・・・乗り込んだってことは付いてくるという事でいいんだよな?」
「そ、そうじゃが・・・妾が先に言い出したこととは言えど、良いのか・・・?」
「ダメとは言ってない。それに皆も納得してる」
ティオが周りを見渡すと全員笑みを浮かべていた。
その肯定の意志に、ティオは深くさげて「これからよろしく頼む」とお礼を言った。
とはいっても彼女達が彩人の決めたことだから肯定しているとはティオは夢にも思うまい。
「それはともかくなぜついてきたいと思った?」
「そ、そうじゃな・・・それを話す前に戦いに入っておったのう」
ティオはこほんと咳ばらいをしたのち、
「そ、その・・・彩人殿、そなたに・・・惹かれてしまったのじゃ」
「・・・え?どこに惚れる要素が?」
「まあ、そういうじゃろう・・・。妾、自分より強い男しか伴侶として認めないと決めておったのじゃ……じゃが、里にはそんな相手おらんしの……じゃ、じゃが…そなたに完敗して…あやつの攻撃から妾を救ってくれたしのう・・・その・・・」
「…守られたいと思った?」
ユエがもじもじしているティオを代弁するかのように言うとティオは小さくうなづいた。
「・・・守るというか俺は敵を倒すことしかできないんだが」
「そ、それでもその力と心の強さに惚れたのじゃ!守られたいと思うほどに!ただ叩きのめされるだけで惚れるなど、変態ではないか!」
「・・・・・・・・・・そ、ソウデスネ」
まさかティオに言われるとは思わなかった。
「・・・無論力だけではないぞ…、そなたがあやつに貶された我らの誇りの仇を討ってくれたしのう。感謝しておる…」
「まあ、ユエが尊敬するほど偉大な誇りをあんなマッドサイエンティストが貶していい訳ない」
「そ、そうか…も、もう一つ…お願いがあるのじゃが聞いてくれぬか」
「どうぞ」
「そ、その…
「・・・好きによべばいいさ。これからよろしく、ティオ」
「ああ…!感謝するぞ、主様!」
比較的にまともな仲間が増えてホッとする彩人だった。
「ハジメ、ティオは…?」
「悪くはない・・・かな」
「なら先輩として教えて差し上げないと!」
不穏でもあるが。
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これはまだティオが幼い頃。
故郷の国は竜人族を中心に様々な種族が共に平和に過ごしており、世界一美しい木と水の王国と称されていた。
しかし、突如起きた戦いにより、数百年かけて築き上げられた楽園はたった数年で地獄と化した。
ティオの父の話によると竜人族が神に仇為す"神敵"とされたため、だという。父親は総大将として戦地に赴いていたが結界を抜け出したティオを案じていた。だが、
簡素な十字架に磔にされたティオの母の亡骸が見せしめのように置かれていたという。
それを見たティオは目を血走らせ、怒りのあまり竜化しかけるティオを抑えるように父はティオを抱きしめ、
「ー我ら己の存ずる意味を知らず」
「この身は獣か或いは人か」
「この世界の全てに意味あるものとするならば」
「その答えは何処に」
「答えなく
「なればこそ人か獣か我等は決意もて魂を掲げる」
「竜の牙は己の弱さを嚙み砕き憎悪と憤怒を押し流す」
「竜の爪は鉄の城壁を切り裂き巣食う悪意を打ち砕く」
「竜の目は一路の真実を見抜き欺瞞と猜疑を打ち破る」
「仁失いし時「…我等はただの獣なり」」
その言葉で理性を取り戻したティオは合わせて続けた。
「されど「理性の剣を振るい続ける限り」」
「「我等は竜人である!!」」
と誓いを新たにしたティオに父親は本当の敵である"神"の存在を告げ、対策を施したが間に合わず神によって竜人族が滅ぼされる事を告げた。そして父の意志を継いだティオは死んだと思われていた自分の祖父の待つ隠れ里へ身を隠し、父親は戦を終わらせるため満身創痍の状態で戦火に突撃し、戦死したらしい。
「生きろ」
と言葉を残して。そこから500年後、彩人達の召喚を察知し、ティオがやってきた・・・というものである。
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「…(主様…すまぬ…そなたが父上の言っていた"サイヤ人"なのではないかと思うておる。唯一神に傷をつけた伝説の戦士・・・。じゃが、妾の思いもまた事実…許してくれとは言わぬが・・・死ぬときはそなたの手で死にたいのう)」
そんな思いを抱えつつもティオは彩人についていくと決心したのだった。
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一方、彩人達が去ったウルの町では、コーチンによって砂漠化したり彩人達の攻撃で荒れに荒れた大地の復興、おびただしい数の魔物の後始末に追われながらも町と人は無傷で済んだので避難していた人々が帰還し家族や友人、恋人との再会を喜んでいた。
彩人達の戦いは目撃者の語りで広まり、ハジメの作った防壁は〝女神の盾〟と名付けられた。
彩人達は〝豊穣の女神〟こと愛子の使いとされ愛子はもちろん彩人達も平等に敬われた。しかし騎士団のメンバーは緊急事態とはいえ愛子にキスされた彩人をあまり好ましくは思ってないが、町を救ってくれた恩もあるので考えあぐねていた。
清水は辻を始め生徒達の説得と愛子の鶴の一声で残留が認められ、愛ちゃん護衛隊として愛子のサポートをしている。
一方で当の愛子はというと、どこか上の空だった。生徒や騎士団員が話しかけてもボーっとしていたり適当な相槌をうったりしていた。
愛子は"戻るつもりはない"という意思のこもった目をした彩人と彼に追随するハジメやユエ達を見て、残念に思いつつも彩人を信じて見送ることにした。
だが、その時に胸の奥がチクリと痛んだのだ。見送ると決めたのに、ハジメ達が彩人に寄り添った時に・・・。その理由を考えているとふいに自身の唇に触れてしまいあの事を思い出してしまう。
「(あ、あれは人工呼吸! 救命措置! それ以外の何ものでもありません! べ、別に意外と柔らかいとか、まして気持ちよかった何て思ってません! ええ、断じて思ってなどいませんよ!)」
と考えて顔を真っ赤にして両手を振り回すので周りの目が凄いのだが逆に話しかけずらい状態を作ってしまっていた。が、〝水妖精の宿〟のオーナーであるフォス・セルオのアドバイスでなんとか落ち着くことが出来た愛子だったが、彼女は彩人に対する痛みに関して一つの仮定にたどり着いてしまい、別の意味で悶々とすることになるのだが・・・・。
それはまた別の話。
ヒロインズは・・・
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全員ついてく
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三人ついてく
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二人ついてく
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一人ついてく
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あえてついていかない