ここはオルクス大迷宮89層。
天乃河を筆頭に前衛を務める坂上、雫、永山、檜山、近藤を筆頭に後衛たちのサポートを受けながら襲い来る魔物を撃退し、油断なく周囲を索敵しつつ互いの健闘をたたえ合った。
「ふぅ、次で九十層か……この階層の魔物も難なく倒せるようになったし……迷宮での実戦訓練ももう直ぐ終わりだな」
「だからって、気を抜いちゃダメよ。この先にどんな魔物やトラップがあるかわかったものじゃないんだから」
「雫は心配しすぎってぇもんだろ? 俺等ぁ、今まで誰も到達したことのない階層で余裕持って戦えてんだぜ? 何が来たって蹴散らしてやんよ! それこそ魔人族が来てもな!」
「はぁ…まったく」
感慨深そうに言う天乃河を窘める雫だが、脳筋の坂上には通じず天乃河と拳を軽くぶつけ合っている。
雫は呆れてものもいえず、その場を離れる。
「檜山君、近藤君、これで治ったと思うけど……どう?」
「……ああ、もう何ともない。サンキュ、白崎」
「お、おう、平気だぜ。あんがとな」
「どういたしまして」
別の所では香織が〝治癒師〟として檜山と近藤を治癒する。二人は前衛であるため香織の世話になることが多い割に本人を前にするとしどろもどろになる。香織は治療が必要な人を探しにその場を離れようとする。
「し、白崎・・・あ「何かな?檜山君…?」・・・・っ、な、何でもない。治療頑張ってな」
「・・・うん」
「また玉砕したな、お前」
「う、うるせえよ・・・」
こういう事は一度や二度ではない。元より香織に対して歪んだ独占欲を抱く檜山は彩人達を落としたのち最悪強引にでも香織を手に入れたいと思っていたが、恵里による精神攻撃で怯み強硬手段には出ていないが、恵里の目を盗んでアプローチを仕掛けても雫や鈴に邪魔されたり、先ほどのように香織本人から圧を感じることが多くなっており、檜山は焦りと欲望に沈んでいる。
「……」
そんな野郎どもは眼中に無いと香織は迷宮の奥を見つめる。今の彼女の頭にあるのは"彼"の事のみである。原作より強い想いで彼らが生きていると信じていても不安は襲ってくるのだ。
「カッオリ~ン!! そんな野郎共じゃなくて、鈴を癒して~! ぬっとりねっとりと癒して~」
「ひゃわ! 鈴ちゃん! どこ触ってるの! っていうか、鈴ちゃんは怪我してないでしょ!」
「してるよぉ! 鈴のガラスのハートが傷ついてるよぉ! だから甘やかして! 具体的には、そのカオリンのおっぱおで!」
「お、おっぱ……ダメだってば! あっ、こら! やんっ! 雫ちゃん、助けてぇ!」
「ハァハァ、ええのんか? ここがええのんか? お嬢ちゃん、中々にびんかッへぶ!?」
「……はぁ、いい加減にしなさい、鈴。男子共が立てなくなってるでしょが……たってるせいで……」
そんな空気をぶち壊すのが鈴クオリティー。暴走しすぎて雫に制裁を下され、雰囲気も和やかになる。
「鈴ちゃん、いつもありがとう」
「気にしないでカオリン、まだ懲りてないアイツが悪いんだから」
「彼に会うまでは
・・・とは限らないのはいつもの事である。
「うぅ~、ありがとう、雫ちゃん。恥ずかしかったよぉ……」
「よしよし、もう大丈夫。変態は私が退治したからね?」
涙目で自分に縋り付く香織を、雫は優しくナデナデした。最近よく見る光景だったりする。
「あと十層よ。……頑張りましょう、香織」
「うん。ありがとう、雫ちゃん」
傍から見れば百合そのものであり、天乃河達がソワソワしているが彼女達は知ったことではない。
「今なら……守れるかな?」
「そうね……きっと守れるわ。あの頃とは違うもの……レベルだって既にメルド団長達を超えているし……でも、ふふ、もしかしたらハジメや彼の方が強くなっているかもしれないわね? あの時だって、結局、私達が助けてもらったのだし…」
「ふふ、もう……雫ちゃんったら……」
彩人達の生存を信じ切っている二人は、その会話に冗談は含まれていなかった。彩人がサイヤ人であることを知っているのもあるが、彼らの人知を超えた強さにおののく事になるとは思ってもいない。
それでも香織達は60層到達時点で騎士団のほとんどを上回り70層到達時にはメルド団長をも凌駕した。たった4ヶ月の成長ぶりにメルド団長は首を垂れながらも皆の成長を喜んだ。騎士団は現在70層で待機している。実は、70層からのみ起動できる、30層と70層をつなぐ転移魔法陣が発見され、深層への行き来が楽になったのである。メルド本人も戦闘の術を教え尽くしたとして彼らに任せることにした。
そんな彼らの現在のステータスというと・・・
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天之河光輝 17歳 男 レベル:72
天職:勇者
筋力:1000
体力:1000
耐性:1000
敏捷:1000
魔力:1000
魔耐:1000
技能:全属性適正[+光属性効果上昇][+発動速度上昇]・全属性耐性[+光属性効果上昇]・物理耐性[+治癒力上昇][+衝撃緩和]・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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坂上龍太郎 17歳 男 レベル:72
天職:拳士
筋力:900
体力:900
耐性:800
敏捷:650
魔力:300
魔耐:300
技能:格闘術[+身体強化][+部分強化][+集中強化][+浸透破壊]・縮地・物理耐性[+金剛]・全属性耐性・言語理解
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八重樫雫 17歳 女 レベル:72
天職:剣士
筋力:?
体力:?
耐性:?
敏捷:?
魔力:?
魔耐:?
技能:剣術[+斬撃速度上昇][+抜刀速度上昇]・縮地[+重縮地][+震脚][+無拍子]・先読・気配感知・隠業[+幻撃]・言語理解
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白崎香織 17歳 女 レベル:72
天職:治癒師
筋力:?
体力:?
耐性:?
敏捷:?
魔力:?
魔耐:?
技能:回復魔法[+効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・高速魔力回復[+瞑想]・言語理解
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雫と香織の百合百合しい雰囲気にあてられつつも天乃河達は下層へ進む。・・・が、
「……どうなってる?」
警戒しながら奥へ進む天乃河達だが、90層は異様な空間となっていた。見かけは80層とおなじだが、進めど進めど違和感は大きくなるばかり。それは・・・
「……何で、これだけ探索しているのに唯の一体も魔物に遭遇しないんだ?」
そう、どれだけ進んでも魔物一匹現れないのだ。隠れてるだけかと思いきや飛び出してくるどころか気配感知すら引っかからない。
「………なんつぅか、不気味だな。最初からいなかったのか?」
「あま……光輝。一度、戻らない? 何だか嫌な予感がするわ。メルド団長達なら、こういう事態も何か知っているかもしれないし」
不穏さを感じ取る坂上と天乃河に進言する雫。呼び名に違和感があったのに気づかぬ勇者は今の自分たちなら大丈夫と言って先に進む事を選んだ。
・・・しかしその先では魔物の血が。よく見ると壁の色に同化した血があちこちについている。
「天之河……八重樫の提案に従った方がいい……これは魔物の血だ。それも真新しい」
「そりゃあ、魔物の血があるってことは、この辺りの魔物は全て殺されたって事だろうし、それだけ強力な魔物がいるって事だろうけど……いずれにしろ倒さなきゃ前に進めないだろ?」
永山の提案にも天乃河のスタンスは揺るがない。
「天之河……魔物は、何もこの部屋だけに出るわけではないだろう。今まで通って来た通路や部屋にも出現したはずだ。にもかかわらず、俺達が発見した痕跡はこの部屋が初めて。それはつまり……」
「……何者かが魔物を襲った痕跡を隠蔽したってことね?」
「それだけ知恵の回る魔物がいるという可能性もあるけど……人であると考えたほうが自然ってことか……そして、この部屋だけ痕跡があったのは、隠蔽が間に合わなかったか、あるいは……」
天乃河が話を続けようとした時、知らぬ声が。
「ここが終着点という事さ」
天乃河の発言を引き継ぐように聞こえた声の方向を振り向くと、そこに居たのは・・・
「……魔人族」
誰かの発した呟きに、魔人族の女は薄らと冷たい笑みを浮かべた。
ヒロインズのステータスは未知数です。(白目)
檜山は…
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○す(オルクス)
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○す(王都侵攻)
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○す(王都侵攻後)
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反省して更正
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恵里に傀儡にされる
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肉壁
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戦犯として牢獄にぶちこまれる
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トランクスルー化