あ~う☆
『
「現実だ。そしてキサマは負ける・・・今ここで!」
『・・!?(は、早い!)』
超サイヤ人は戦闘力が50倍になる。パワーもスピードも、変身前の比にならない。しかも、理性を保っているためある程度拮抗していても大猿はパワー系の変身。対応する間もなく頬を殴り飛ばされる。あまりの速さにターレスは混乱を極めるが彩人がそれを見逃すはずもなくかかと落としを脳天に見舞う。痛みのあまり頭を抱えて叫ぶが、それで隙だらけの腹部を晒し、蹴りを入れられる。巨大な大猿があおむけで倒れこみ、その衝撃で大地が揺れる。
腹部の痛みに耐えながらなんとか起き上がろうとするが彩人の追撃がそれを阻む。再び腹部に高速で降下し、腹部のダメージのあまりターレスはゲホゲホとせき込み、唾を吐き散らす。流石にキレたターレスは口からレーザーを吐いて彩人をけん制し無理やり立ち上がり目の前で浮遊する彩人を視界に捉える。
『今のは効いたぞ・・・。だが実に勿体ない。それだけの力があって何故あんなモノを守る』
「・・・」
『宇宙を気ままに流離って好きな星をぶっ壊し、美味い物を食い旨い酒に酔う・・・こんな楽しい生活は無いぞ?』
「壊すだけじゃ・・・渇くだけだ」
『言ったろう、それがサイヤ人だ。こんな風にな!』
「キサマ・・・!」
するとターレスはホルアドの町に向けて攻撃を始めた。魔口砲や気弾、気功波を撃ち込む。彩人は瞬間移動で弾いたり無効化していくが、ターレスはホルアドに接近しながら広範囲を攻撃する。
『ハハハハハ!どうした、その程度か?超サイヤ人よ!!』
「この・・・下種野郎が・・・・!」
『ゴブッ!?き、貴様・・・それはヤードラットの・・・』
彩人は瞬間移動を駆使して大猿の顔面を殴り飛ばし、攻撃を封じる。今尻尾を狙えばまた町に魔口砲を撃たれる可能性があるからだ。
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「嘘だろ・・・轟のやつ、あんなバケモノを圧倒してやがる・・・」
「ああ・・・。だがあの変化意外とカッコいいな・・・」
彩人の強さにこうべを垂れる遠藤と坂上がそれぞれ感想を述べる。その後ろでも呆然とするクラスメイトと、檜山と同じ目にあわされるのではないかと完全に怯え切っている近藤、斎藤、中野の小悪党組。信じられないモノでも見るかのような天乃河。
ヒロインズはもちろん、ユエとハジメしか知らない彩人の超サイヤ人の姿に驚きを隠せないシア達。ヒロインズはハジメから、シア達はユエから説明された。ヒロインズはサイヤ人の事を知っていたので混乱はせず、ヴァルキュリア達は主の事、として全て受け入れた。シアはやや混乱していたが。
「パパ、キラキラで凄いの!カッコいいの~!」
「……そうじゃな」
「ふぇ?ティオお姉ちゃんどうしたの?どこかいたいの?泣いてるの」
「いや・・・そうではない」
ティオは、かつてその"サイヤ人"の存在について聞いたことがあった。強き力を持ちながら正しい心を持ち悪神に立ち向かった誇り高き戦士だと。神の正体に気づいていた一部の竜人族にとってはそれこそ救世主のような存在であった。その戦士が目の前に居ることに感動していたのだ。それが、利用しようとしていた事を知ってもなお自身を受け入れてくれた存在がそうなのだからティオは彩人に深く感謝した。
「あはは・・・また見れるなんて思わなかったよ。ヤモシ・・・」
ヤモシを知るミレディもまた、感動の涙を流していた。神の悪意に立ち向かい、自分たちでも敵わない相手をねじ伏せるだけの力を持ちながら共にエヒトに立ち向かい極悪のレッテルを張られながらも自分を含めた〝解放者〟を守るためにたった一人で立ち向かい、散っていった・・・そんな戦士が再び現れたのだから。
「オーくん、みんな・・・もしかしたら・・・今度は出来るかもね・・・」
ミレディはターレスもサイヤ人であると聞いたとき、ヤモシの言葉の意味を察していた。そして、彩人がターレスのようになるのではないかと心配していた。だが、己の身を削って町を守りながら大猿に立ち向かう彩人を見彼なら出来るかも、と希望を見出していた。
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『ハァ・・・ハァ・・・・』
「・・・そろそろ限界じゃないのか・・・?」
『フン、それは貴様もだろう?』
格闘戦では彩人が圧倒的に有利だがターレス不意を突いて町を攻撃してくるためそれを庇う彩人にもダメージが蓄積してきている。せめて大猿化を解除できれば・・・と彩人が考えていると、
『…彩人、聞こえる?』
「・・・ユエ、どうした?」
『私達も手伝いたい。何か出来ること…ある?』
「・・・!、まぁ、ターレスの尻尾を切ることが出来れば御の字なんだが・・・また障壁を張れるか?」
『…ん、でもさっきの爆発に耐えられるかは分からない』
「・・・そうか」
『でも、手伝いたいって皆が…香織達が言ってる』
「え・・・は!?いつの間に」
『…"同志"だから(ドヤァ)』
「・・・色々ツッコミどころはあるが・・・ホントに出来るのか?下手すれば死ぬぞ・・・?犠牲者は出したくねえ」
『…ん、出来る。いや、やって見せる』
「心強いな・・・それじゃ、皆に・・・」
彩人は申し訳ないとは思いつつも仲間に力添えしてもらうことにした。彩人がターレスを引き付けている間にゼータがターレスの尻尾を切るというシンプルなものだが、一応障壁を張っているとはいえ下手な真似は出来ない。スカウターが無いのが救いとなり、彩人はゼータの接近を感じているがターレスは気づいていない。
『(貰ったぞ!)』
『ハッ!!』
『・・・な!?』
しかし、振るった剣は空振りした。寸前でターレスがジャンプしたからだ。
『フフフ・・・残念だったな。だが今のはヒヤヒヤしたがな・・・まぁとりあえず貴様も・・・死ん・・』
ズバァッ
ターレスが勝ち誇った顔をした瞬間、大猿の尻尾が断ち切られた。
「八重樫流刀術・・・〝水月・漣〟」
『な・・・ッも、もう一匹いただと・・・!おのれぇぇぇぇ!よくもこのオレの尻尾をぉぉぉぉぉぉ!!!』
『見事だ、雫様』
「ううん、ゼータが気を引いてくれたおかげよ」
『さ、作戦だったのか・・・あ・・・・あ・・・・・・・』
「・・・二人共、助かった。ありがとう」
『いや、マスターの命に答えるのは我の使命』
「どういたしまして♪」
半ば申し訳なさそうにしながら彩人は二人に感謝した。一方でターレスは元の姿に戻ったが、大猿の反動と彩人から受けたダメージで少しも動けないようだ。
「く、クソ・・・・このオレがこんなやつらに・・・!」
「終わりだ、ターレス!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ウワァァァァァァァァ!!!」
彩人のエネルギー波がターレスを消し炭にする。すると彩人は超サイヤ人を解除し、その場にへたり込む。
「彩人!」
『マスター…!』
慌ててゼータと雫が彩人に駆け寄るが、彩人は心底疲れ切った顔をしながらも笑みを浮かべ、「勝った・・・でもづがれだ」とつぶやく。
「まったく・・・彩人ったら」
『マスター、町へ戻ろう』
「・・・そうだな」
二人に肩を貸してもらいながら町へと戻ると、障壁を張って魔力を消費してへばっている魔法組が出迎えてくれた。
「彩人…お疲れ様」
「彩人君が勝つって信じてたよ」
「わ、私もですぅ!」
ユエ、ハジメ、シアが真っ先に彩人に気づき、彩人に抱き着く。彩人は三人を優しく受け入れる。ゼータと雫が協力してくれたからと付け加えながらも彩人は嬉しそうだった。
「イクス、アクセル、ミレディ・・・と、ティオも居たか。ありがとな、町を守ってくれて」
『マスター…!お褒めに預かり至高の極みにございます』
『マスターの役に立てたなら・・・それでいい』
「へへっ、この天才ミレディちゃんにかかればこんなもんよ!」
「本当に…凄いお方じゃ・・・主様」
四人にはもちろん、他の協力者にも感謝の言葉をのべていると、彩人に飛びつく小さな影。
「パパー!!」
「うおっ、・・・ミュウか。ごめんな、待たせて」
「みゃう!キラキラのパパ凄いの!かっこよかったの~!」
甘えるようにくっつくミュウの頭を撫でる彩人は笑顔だった。するとその後ろから声が。
「彩人くん・・・」
「香織・・・?」
香織が涙を流しながら彩人に近づく。
「ありがとう。メルドさんを・・・私達を助けてくれて。・・・・生きててくれて・・・ありがとう。・・・あの時助けることが出来なくて・・・・ごめんなさい」
「ああ。だが俺は生きてる。だからもう泣くな。お前は笑ってる方があってるから、な?」
「彩人くん・・・彩人くーーん!!」
いつの間にかユエがミュウを、ハジメがシアを彩人から離しており彩人の胸で泣く香織を、彩人は優しく抱き返す。
「鈴も、恵里も、もちろん雫もな。
「「「・・・!」」」
その後ろでソワソワしていた鈴と恵里、少し離れた位置に居た雫にも声をかける。
「本当に遅いよぉぉぉぉぉ!!!でも会えてよかったぁぁぁぁ!!」
「彩人君・・・!やっと会えた・・・!」
「私からも言わせて頂戴。生きていてくれて、ありがとう」
鈴は大泣きし、恵里も嗚咽を漏らしており、雫は香織と同じく目に涙を浮かべながら彩人に感謝する。
温かい雰囲気の中、やはり水を差すのは一人。
「……ふぅ、香織も雫も、鈴も恵里も本当に優しいな。クラスメイトが生きていた事を泣いて喜ぶなんて……でも、轟は無抵抗の相手と檜山を殺したんだ。話し合う必要がある。もうそれくらいにして、轟から離れた方がいい」
非難と・・・わずかな嫉妬を交えた瞳で天乃河光輝は彩人を睨みつけた。
天乃河、一体どうしたというのだ?まさか、ご都合主義。
ご都合主義によって常識の壁を乗り越え始めてしまったというのか・・・
もしそうだとしたら・・・何もかもおしまいだァ・・・
(迫りくるムスコ)