あれからクールダウンとリフレッシュ(意味深)を終えて何処かご満悦の乙女達と思考を放棄した彩人。
迷宮攻略と静因石探しを並行で行っていた。マグマの流れに違和感を感じたハジメの〝鉱物系探査〟により、静因石がマグマの複雑な流れを生み出していると分かったので明らかにおかしいマグマの流れの近くの岩を調べると、比較的大きい静因石を発見することが出来た。その方法で静因石を回収し、
先へと進んでいくが・・
「行き止まり…?」
道なき道を進んだ先にあるのはマグマの川。それ以外に道はなく、舞空術でマグマの川の先を探索すると奥へと続く通路になっていた。
「・・・この川を下っていくしかないよね」
「そんな事出来るの?」
「うん、少し待ってて」
ハジメの言葉に鈴が心配そうに言うがハジメは岩壁を船の形に改造し〝金剛〟の派生〝付与強化〟により小舟に金剛をかけマグマの川に浮かべる。ユエ達はすぐに飛び乗り、雫達も後から続いて乗りミレディと彩人も乗ってマグマの上を進む。
だが大迷宮のマグマがそうすんなり流れるはずもなくマグマが空中に舞い上がり、重力で沈みかけたがシアが咄嗟に重力魔法〝付与効果〟で小舟の重さを軽減したのでマグマに乗ることができた。〝付与効果〟は、シアが触れているものの重量を、自身の体重と同じように調整出来るというものだ。
「シアちゃんナイス!」
「ふぃ~まさかこんなところで役に立つとは思いませんでしたぁ・・・」
しかしまだ終わりではない。今までゆっくり坂を下るようだった空中マグマの流れる先が無かった・・・のではなく急こう配の下り坂となっていた。
「全員振り落とされるなよ!!」
彩人の声で全員が身構える。と同時に船はマグマの坂をス〇ラッシュマウ〇テンもビックリな異常な速度で下っていくがシアの重力魔法とティオの風魔法で安定していた。
「彩人!上!」
雫の声で上を向くとマグマコウモリの大群が集まってきていた。奴らは群れで襲ってくる上にここのはその比ではない。サンドワームを彷彿とさせるマグマコウモリの柱がよく見ると三方向から襲い掛かってくる。
「左と後ろは私とユエが!」
「ああ、正面は任せろ!シア、ミレディ、ティオ、船の制御を頼む!雫、鈴、恵里は万が一突破してきた奴を!」
「はいです!」
「うむ、任された」
「はいよ!!」
「分かったわ」
「りょーかい!」
「うん!」
それと同時にハジメがオルカンを左から迫る柱に向けてぶっぱなし、
「〝嵐龍〟」
「かめはめ・・・波!」
緑色の風の卵から生まれた風の竜がマグマコウモリをまとめて喰らいつくし、蒼き気功波が残りを消火するようにまとめて一網打尽にする。数匹突っ込んできたが鈴に阻まれ、恵里の風魔法で吹き飛ばされ、雫に一刀両断された。
「う~む、主様、そしてハジメとユエの殲滅力は、いつ見ても恐ろしいものがあるのぉ」
「流石ですぅ」
「向かうとこ敵なしって感じ」
「全く、敵わないわね」
「凄い・・・」
「・・・カッコいい」
余裕ありきでマグマロードをすすむが突如マグマの川が下りから上りに変わり、何処かの空間へと続く穴から放り出された。
「〝来翔〟」
ティオが船の落下速度を下げたことで難なく着水する。ライセン大迷宮の最深部よりも広いドーム状の空間。あちこちではマグマロードが暴れまわっている。地獄の釜のような空間に目を引くのは中央の台座の上にある小型のドーム。
「……あそこが住処?」
ユエが、チラリとマグマドームのある中央の島に視線をやりながら呟く。
「あ、私に聞いてもわかんないから答えられないよ?」
ミレディが釘を刺してきた。なので舞空術で中央の島を調べることにする。と、
「ゴォアアアアア!!!」
「・・・おっと」
突如マグマの蛇が飛び出してきた。元から知っている上に至近距離にいるからか魔物の魂と言える魔石の気を感じた彩人はバニッシュ移動で喰らいつこうとしたマグマ蛇を軽くいなす。しかしマグマを纏っているため熱源感知にも気配感知にも引っかからないのは厄介であることに変わりはないのだが。
その後もバニッシュ移動で皆の所に戻る間に彩人が進む先に次々とマグマ蛇が現れるが彩人のスピードには追い付けない。
「…彩人、大丈夫?」
「ああ。しかしガーディアンが現れたみたいだぞ」
ユエが聞いてくると同時に多数のマグマ蛇がマグマの海から浮上する。
「やはり、中央の島が終着点のようじゃの。通りたければ我らを倒していけと言わんばかりじゃ」
「・・・倒せるのかなぁ」
「いや、倒すことは可能だ。・・・はっ!」
彩人がマグマ蛇に気弾を撃つとその衝撃で魔石が露出する。・・・が、すぐに元通りになってしまう。
「なるほど・・・たぶん、バチュラム系の魔物と同じで、だからマグマを形成するための核、魔石が見えた。マグマを纏ってるときはマグマが邪魔で私の眼帯でも位置を特定出来ないけど……それをぶち壊すしかない」
ハジメが言うのと同時に20体のマグマ蛇が一斉に襲い掛かるが、
「久しぶりの一撃じゃ! 存分に味わうが良い!」
そう言って揃えて前に突き出されたティオの両手の先には、膨大な量の黒色魔力。それが収束し、圧縮されたかと思うといつぞやの暗黒の
しかし残った12体がマグマの海に潜ると再び20体のマグマ蛇が出現する。
「・・・?、魔石が吹き飛んだ瞬間は確認したのに・・・ 倒すことがクリア条件じゃないのかな?」
ハジメが訝しんでいると、シアが中央の島の方を指差し声を張り上げた。
「ハジメさん! 見て下さい! 岩壁が光ってますぅ!」
「え?」
シアの言う通り中央の島の壁にオレンジ色に光る鉱石が8つ。光ってないが同じ鉱石が中央の島を囲むように規則正しく埋め込まれている。
「あの間隔と島の大きさを考えると・・・100体くらいか」
「……この暑さで、あれを100体相手にする……迷宮のコンセプトにも合ってる」
ここにたどり着くまでにも集中力や体力の低下あるいは消耗が激しいのに一番神経を使う試練が最後に立ちはだかる。
そしてこの場に居る全員がやるべきことを理解した瞬間、彩人達は散開し各々の特技でマグマ蛇を迎え撃つ。
まずはティオが〝部分竜化〟で背中に翼を生やし風の刃を纏った竜巻で9体目のマグマ蛇を切り刻む。
「これで9体目じゃ! 今のところ妾が一歩リードじゃな。主様よ! 妾が一番多く倒したらご褒美を所望するぞ!・・・できれば二人っきりでのう・・・?」
なんか二人っきりの所でごにょごにょしたが、言いたいことは伝わった。
「なっ! ティオさんだけずるいです! 私も参戦しますよ! 彩人さん、私も勝ったら一晩ですぅ!」
次いでシアも参加する。ドリュッケンでマグマ蛇をぶん殴り、先ほどの〝魔衝波〟の衝撃で纏うマグマもろとも魔石を破壊する。空中に漂うシアを別のマグマ蛇が襲うもハジメ特製〝空力〟を付与した靴で攻撃をかわし、ドリュッケンに内蔵された発射口からスラッグ弾をぶっぱなしマグマ蛇を魔石ごと砕く。
「それなら私も参加するわ・・・ね!もちろん二人っきりよ」
雫も〝空力〟靴で飛翔しながら黒刀を振るいマグマ蛇のマグマの流れを乱し、見えた魔石を確実に切断する。
「あ、シズシズずるい!私も彩人と二人っきりぃ~!!」
すぐさま鈴が障壁でマグマをやり過ごし障壁を破裂させてマグマを吹き飛ばし破片で魔石を破壊する。
「それなら僕は丸一日彩人と一緒に居たいな・・・んふふ・・・♡」
恵里は先ほどと同じく風魔法でマグマを乱し、炎魔法で魔石を砕く。魔石自体に耐性は無いらしい。
「・・・ま、いっか」
「それなら私達もいいよね?さ・い・と・く・ん♡私が勝ったら一日付き合って!」
「……ん!私も二人っきりで一日デート」
「・・・・ま、がんばれ~」
投げやりな彩人が告げるとハジメとユエも参加する。
「・・・私もやる」
「ミレディ?別に無理しなくても・・・」
「いいの!もし勝ったら一日頂戴!分かった!?」
「ウィっス」
ここから真打ちの登場である。ユエは〝雷龍〟、ハジメはドンナー・シュラーク、ミレディは重力魔法と雷魔法を駆使してマグマ蛇を蹂躙する。・・・てか地獄絵図だった。3分もかからぬ間にものすごい速さで鉱石が順に光っていく。そして最後のマグマ蛇にトドメを刺そうとしたハジメの頭上からエネルギー弾が飛んできたが瞬間移動した彩人が弾き飛ばす。
「!?」
「・・・上だ」
そして、彩人が見上げている先には、いつの間にか開いていた火口、そしてそこから降りてくる三つの影。彩人達の前で浮遊しながら佇んでいるのはクラッシャー軍団のようにスカウターを装着した美形とレスラーのような大男、両生類のような奴。何者かと聞くと、
「サウザー!」
「ドーレ!」
「ネイズ!」
「「「我等、クウラ機甲戦隊!!」」」
と、三人揃ってポーズを決めた。
かめはめ波はフライパン山の奴のオマージュ(のつもり)