「パパ、パパ。お家に帰るの。ママが待ってるの! ママに会いたいの」
「そうだな、・・・っとそんなに急ぐと危ないぞ」
処罰が済んだのでミュウが彩人の右手を引っ張りながら家の方向へ誘導する。二か月ぶりに会えるので焦るのも無理はない。道中でも普段は明るくとも夜になると母親を思って泣いてしまう事もあった。一番母親に雰囲気が似ているというイクスと一緒に寝ることが多く、イクス離脱後は香織、ユエ、ティオが添い寝していた。ただ・・・
「彩人くん、さっきの話・・・」
「ああ、兵士の人・・・サルゼさんから聞いた話では命には別状がないが怪我をしていて精神的にもキツいらしい。精神的な面はミュウが居ればいいが・・・、怪我の方は頼む」
「任せて」
香織と会話しつつ先に進んでいくと複数の声が聞こえる。
「レミア、落ち着くんだ! その足じゃ無理だ!」
「そうだよ、レミアちゃん。ミュウちゃんならちゃんと連れてくるから!」
「いやよ! ミュウが帰ってきたのでしょう!? なら、私が行かないと! 迎えに行ってあげないと!」
壁に手を付けおぼつかない足取りで家から出てくる女性と女性を抑える複数の男女が。ミュウの帰還の知らせで出ようとしているのだろう。レミアと呼ばれた女性を見たミュウは満面の笑みを浮かべ、ダッシュでレミアに駆け寄った。
「ママーー!!」
「ッ!? ミュウ!? ミュウ!」
レミアは膝から崩れ落ちながらも走ってきたミュウを抱きとめる。ミュウももう離さないと言わんばかりにレミアを抱きしめる。
「ごめんなさい・・・・!そばに居てあげられなくて・・・・」
娘が無事であった事に対する安堵と守ってあげられなかった罪悪感からレミアの瞳からポロポロと涙がこぼれる。そんな彼女を心配し、ミュウはレミアの頭を撫でた。
「大丈夫なの。ママ、ミュウはここにいるの。だから、大丈夫なの」
「ミュウ……」
レミアを見つめるミュウの瞳は気遣いの色が含まれていた。レミアは怖い思いをしただろうと今まで不安に侵された日々を思い出し、改めて成長して帰ってきた愛娘を見てしっかりしないといけないと自分を恥じて涙をぬぐい、母娘は再び抱き合った。・・・が、
「ママ! あし! どうしたの! けがしたの!? いたいの!?」
レミアの足に包帯が巻かれているのを見たミュウが心配そうに叫ぶ。サルゼの言っていた事はこれである。海人族が殺気立ってたのはミュウの誘拐とレミアの負傷の為らしい。
だが私は謝らない。
ちなみにレミアは誘拐犯と接触してしまい誘拐犯による炎魔法で足を負傷し、自警団に助けられたためミュウが誘拐されたと分かったという。しかし発見が遅れたためレミアの足のやけどは神経にまで到達してしまい泳ぐどころかまともに歩けない状態だった。
しかしレミアは母親として娘に心配をかけさすまいと大丈夫と言いかけたその時。
「パパぁ! ママを助けて! ママの足が痛いの!」
「えっ!? ミ、ミュウ? いま、なんて……」
「パパ! はやくぅ!」
「あら? あらら? やっぱり、パパって言ったの? ミュウ、パパって?」
ミュウがこの世で最も信頼している最強の〝パパ〟に助けを求めるとレミアは少なからず動揺した。周りも当然動揺し、
「レミアが……再婚? そんな……バカナ」
「レミアちゃんにも、ようやく次の春が来たのね! おめでたいわ!」
「ウソだろ? 誰か、嘘だと言ってくれ……俺のレミアさんが……」
「パパ…だと!? 俺のことか!?」
「いや、俺でございます」
「親父ィ・・・なんだぁ・・?」
「きっとクッ○ングパパみたいな芸名とかそんな感じのやつだよ、うん、そうに違いない」
「おい、緊急集会だ! レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバー全員に通達しろ! こりゃあ、荒れるぞ!」
とんでもない誤解がまかり通る。それも当然、レミア、ミュウ親子はエリセンでも人気がありレミアは20代半ばと若くやつれているが美人である。この母にしてこの娘ありと言うべきか。
「パパぁ! はやくぅ! ママをたすけて!」
ミュウが彩人の手を取ってレミアの所へ行かせようとするので誤解が加速する。仕方なくレミアの近くまで歩み寄る彩人。
「パパ、ママが…」
「心配するなミュウ、必ず治る。だから泣きそうな顔をするな」
「はいなの…」
不安そうなミュウの頭を撫でて安心させる彩人。周りの視線が痛いが放置する訳にもいかないのでレミアに歩み寄り、
「・・・失礼します」
「え? ッ!? あらら?」
彩人がレミアをお姫様だっこするとレミアは勿論周りもどよめくが彩人はシカトして家に入り、近くのソファーに座らせる。次いで香織を呼んで診察させる。
「香織、どうだ?」
「ちょっと見てみるね……レミアさん、足に触れますね。痛かったら言って下さい」
「は、はい? えっと、どういう状況なのかしら?」
レミアが混乱するのも無理はない。娘が帰って来たかと思えば娘がパパと呼び慕う男が現れ、見知らぬ美女と美少女がぞろぞろ現れたのだから。それはそうと香織の診察の結果神経にダメージはあるものの治せないほどではないが、デリケートな部分であるため時間がかかるのだとか。
「・・・そうだ、レミアさん少し宜しいか」
「え…?その光は一体…?」
「少なくとも害にはなりませんから。・・・香織、これならどうだ?」
「え、あ、うん。えーっと・・・」
彩人がレミアに足に気を送り込む。
「・・・治癒力が上がってる・・・?これなら直ぐにでも治せそう。・・・これも気の力?」
「そうだ。簡単に言えばバフみたいなもんだな・・・この場合は"治りやすく"しただけだ」
「あらあら、まあまあ。もう、歩けないと思っていましたのに……何とお礼を言えばいいか……」
彩人の与えた気で治癒能力がアップした。香織が治療を行っている間に彩人は今までの出来事を伝えた。
「本当に、何とお礼を言えばいいか……娘とこうして再会できたのは、全て皆さんのおかげです。このご恩は一生かけてもお返しします。私に出来ることでしたら、どんなことでも……」
「そ、そこまでする必要は・・・」
あっという間に足が完治したのもあってレミアの感謝が止まらない。彩人はこれを折に別の宿を取ろうとするもレミアは自分の家を使って欲しいと言い始めた。
「どうかせめて、これくらいはさせて下さい。幸い、家はゆとりがありますから、皆さんの分の部屋も空いています。エリセンに滞在中は、どうか遠慮なく。それに、その方がミュウも喜びます。ね? ミュウ? 彩人さん達が家にいてくれた方が嬉しいわよね?」
「? パパ、どこかに行くの?」
レミアの膝枕でうとうとしていたミュウがレミアの一言で飛び起きる。
「あらあら、パパが娘から距離を取るなんていけませんよ?」
「・・・しかし俺は・・・それに俺達は行かなければ・・・」
「いずれ、旅立たれることは承知しています。ですが、だからこそ、お別れの日まで〝パパ〟でいてあげて下さい。距離を取られた挙句、さようならでは……ね?」
「・・・それを言われちゃ・・・」
「うふふ、別に、お別れの日までと言わず、ずっと〝パパ〟でもいいのですよ? 先程、〝一生かけて〟と言ってしまいましたし……」
「」
そんな事を言って、少し赤く染まった頬に片手を当てながら「うふふ♡」と笑みをこぼすレミア。・・・原作ではブリザードが吹きすさぶのだが、周りを見ると乙女たちはなにやらレミアを観察していた。それをどうとらえたか知らないがレミアは続けて
「あらあら、おモテになるのですね。ですが、私も夫を亡くしてそろそろ五年ですし……ミュウもパパ欲しいわよね?」
「ふぇ? パパはパパだよ?」
「うふふ、だそうですよ、パパ?」
と返してきた。
「これが・・・妻力」
「凄まじい余裕…でも参考になる」
「情報収集は基本ですぅ!」
「夫をたてる妻か…見習わねばのう」
「余裕・・・奥さん・・・」
「外見では勝てないけど・・・振る舞いなら!まず真似ることから・・・」
「いつか彩人と・・・うう、想像したら顔が熱いわ・・・」
「研究研究・・・」
「」
この始末☆
だが、迷宮攻略の為にも準備期間が必要なのでご厄介になることにした。
「パパ、パパ、キラキラのパパ、ママに見せてあげたいの!」
「キラキラ・・・
「ミュウ?キラキラのパパってなぁに?」
「すっごくきれいでかっこいいの!あと、とっても強いの~!」
「あらあら、それは見てみたいわね~」
見せる雰囲気を出されているが、エリセンでサイヤ人の扱いどうなってたっけと不安になるがいつかはバレる以上披露することにした。・・・ついでに彩人は自分に嫉妬の視線を向ける海人族(主に男性)への牽制になると思ったのだ。
家の外に出て、開放時の影響を考えてエリセン上空に浮遊し、気を限界まで高め・・・放つ。まばゆい閃光と衝撃波の末黄金の戦士は再び舞い降りた。
「・・・"キラキラのパパ"こと、
「わぁ~やっぱりきれいなの~」
「まぁまぁ・・・」
ホルアドで見ているミュウは目を輝かせ、レミアも黄金の戦士に驚きつつも感動している。浮遊する彩人に驚いていたギャラリーも黄金の戦士に驚きを隠せなかった。・・・が、一人の海人族がハッとした次の瞬間、
「ま、まさかその姿は!ホルアドの町を救った〝黄金の英雄〟か!金髪にエメラルドの瞳・・・纏うは金色の光・・・・間違いない!ホルアドで聞いた通りの特徴だ!!まさかこんなところで見れるとは・・・」
ターレス戦の事が広まっていたらしい。それを聞いた周りの海人族も賛同し始める。
「あれが・・・改めて見ると神々しいな・・・」
「うおっ、眩しい!!あれが戦士の輝きか!!」
「最強の戦士が父親か!くっ…これは認めざるを得ないっ」
「素敵・・・私もあんな人に守られてみたい・・・戦士さま・・・」
「ありがたやありがたや…」
牽制どころか誤解が加速した。
「やっぱりパパはすごいの!!」
「そうね、凄いわね…♡」
レミアの声に熱が入っており、何処かぼーっとした表情で彩人を見つめているので誤解が事実になりつつある。ハジメたちはドヤ顔していたが。
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それ以降、嫉妬の視線は無くなったがレミアの距離感が近くなり、レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバーから「レミアさんとミュウちゃんをよろしくお願いします」と言われ、ホルアドの噂が一瞬で広がったせいかおかげかエリセンにめっちゃ受け入れられていた。
・・・・ただ、夜寝るときにレミアから「夫婦なら一緒にしますか?」と言われたり「パパとママと一緒に寝る~」とミュウに言われて冷や汗をかいたが乙女達は特に何も言わなかった。仕方なく三人川の字で寝ているのだが・・・・
<Φ> <〇><ジーッ
<〇>× <〇><ジーッ
U<〇> <〇>U<ジーッ
<〇> <〇><ジーッ
<●> <●><ジーッ
川<〇> <〇><ジーッ
ζ<〇> <〇>ζ<ジーッ
<●----●> <ジーッ
= _ =<zzz
「(視線が痛い・・・・)」
研究の為に彩人達を囲む乙女達なのだった。