ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達 〜碧き海の世界の物語〜 作:短号司令官
どうぞ!
前回までのあらすじ
昭和18年 4月18日 ブーゲンビル島上空で戦死した山本五十六は後世世界に高野五十六として転生。この前世とは異なるこの世界でも同じ過ちを繰り返さんがため、紺碧会を結成また陸軍の大高弥三郎中将も青風会とともにクーデターを決行、しかし戦争への流れはかえはことはできぬまま"照和"16年運命の開戦を迎える。勢いにのる日本軍はパナマ運河を攻撃、米国の太平洋への軍需物資運輸手段をも遮断した。その後幾多かの反抗があったが日本海軍はこれをことごとく打ち破り豪州も孤立した。だがこれらの戦果の陰には紺碧の艦隊と呼ばれる一群なる巨大潜水艦隊がいた。またこの世界には未来からの転移者達が数多くいた、彼らの名を学園艦と呼ぶ。
1943.3/27 ワシントンD.C.
ルーズベルトは原爆開発最高責任者のドッペンハイマンより進捗状況の報告を受けていた。
ルーズベルト「……ドッペンハイマン博士、原子爆弾製造の見込みがついたことはこの報告書でよくわかった…だが一部の科学者からは原子爆弾使用の動議的責任を取るべきだとの声があるが」
「はい、科学者の中にはまずデモンストレーション的実験を行い、日本に後部を迫るという手もないではありません」
ルーズベルト「博士!私はあなた自身の意見を聞きたい!」
「私の意見ですか?……大統領閣下、私は
ルーズベルト「……原爆開発の最高責任者であるあなたがそういうのなら他の科学者の意見は無視するとしよう。しかし博士、あなたはずるい人だ」
「はぁ?」
ルーズベルト「いや、なんでもない。兎に角私にとっては肩の荷が重すぎる問題だよ。誰かが私の後を継いでくれたらどれだけ楽か……」
「お気持ちはお察しします」
ルーズベルト「兎に角、日本の原爆開発は偽装されたものだとわかった。だがナチスは別だ!彼らの方が我々より早く完成するかもしれん!」
「ナチに先を越されるとは思いません」
ルーズベルト「もちろん私もそう祈っている、だが万が一…」
「万が一核攻撃の応酬があれば…」
ルーズベルト「世界は黙示録にある通りになってしまう…」
照和十八年 四月 東京
高杉は西とともに官邸に向かっていた。
高杉「戦時下にも関わらず国民が活き活きとしておる」
西「喜ばしい限りです」
高杉「これも大高首相の指導力の賜物だな」
夕方、首相官邸に到着する。
首相官邸
大高「お二人ともこういうものを書いてみました」
そう言って大高は二人に色紙を手渡した。
色紙には"天有顕道"と書かれてあった。
高杉「天に顕道有り…」
西「どういう意味でしょうか?」
高杉「うむ、天の示す道には必ず深い意味があり決して誤りのあるものではない…という意味でしょうか?」
大高「はい、今の私の心境です」
高杉「天に……私もこの後世世界に転生して国民の為に死するも天の命ずる道ならば…と感じております」
大高「だが高杉さん、現代の戦争は軍人だけでなく幼い赤ん坊をも巻き込みます。現在米国が開発中だというこの原子爆弾ですがこれは恐ろしい大量殺戮兵器です。これではもはや戦争とは言えません!それを阻止せねば、いや!開発を一年でも二年でも遅らせることができれば欧州での状況は変わってくるでしょう」
西「ナチスですか!」
大高「現在ナチスは超重爆を用いてソ連の工業都市を次々に破壊しております!その為にソ連は補給が続かず、苦境に立たされておるらしいのです。おそらくヒットラーの戦略は穀倉地帯のウクライナを抑え、ソ連を日干しにする作戦なのでしょう。実はそのナチスから密談がありましてな」
高杉「密談が?!」
西「どのような内容で!?」
大高「はいこのことは特に秘匿されたいのですが、三国同盟を復活させ関東軍をシベリアへ侵攻させろといってきたのです」
高杉「で閣下はなんと…?」
大高「…まだ返事はしておりません。ナチスは協力した場合の戦後処理としてバイカル湖より東を割譲しても良いと言ってきましたがお二人はどう思われますか?」
西「悪い話ではありませんが…」
高杉「我々がナチスと組めばこの戦の大義に反することになります」
大高「うむ、もう一つの条件として現在開発中の原子爆弾の一つを我が国に差し上げても良いといってきたのです」
高杉「原子爆弾を?!」
西「魅力的ですが、それでは…!」
大高「もし我々が原爆を使えば戦に勝てるかもしれません。しかし!」
高杉「それでは我らが前世の合衆国と同じになってしまいます!」
大高「その通りです。私は如何なる理由があろうとも、日本民族を罪もない幼子の命まで奪ってしまう悪魔の側にはしたくないのです」
西「私もそんなものにはなりたくありません」
大高「それを用いることは天道に反することだと思っております!」
高杉「同感です閣下」
これ以降大高はナチスの誘いにのることはなかった。
場所は戻って再びホワイトハウス
「閣下、ハーマン・ベル様がお見えになりました」
ルーズベルト「通せ」
そうして一人の男が入ってきた。
ルーズベルト「やぁハーマン待っていたぞ!」
ハーマン「カリフォルニアから来るとワシントンは寒くて敵いませんなぁ」
ルーズベルト「私も早く退任して温かいカリフォルニアで余生を送りたいものだよ」
ハーマン「ご冗談をw閣下には次の選挙にも勝って頂かねば」
ルーズベルト「君の為にかね?」
ハーマン「
ルーズベルト「君はそれを確かめる為にわざわざワシントンに出向いてきたのかね?」
ハーマン「資本家としては当然でしょう。全アジアの権益を失うかどうかの瀬戸際ですから」
ルーズベルト「安心したまえ、我々は1年後には勝利を掴んでいる」
ハーマン「信じて良いお言葉ですか?」
ルーズベルト「私が嘘をついたことがあるかね?」
ハーマン「いいえ、開戦前の夕食会で"諸君待望の戦争が始まる"と仰ったのをよく覚えてます。しかし…」
ルーズベルト「しかし何だね?」
ハーマン「日本は兎も角ナチスには勝てるでしょうか?」
ルーズベルト「勝つ!負けるわけにはいかんだろうが」
ハーマン「日本は必死に講和の道を探っているようですがこれ講和を受け入れるのですか?」
ルーズベルト「してほしいのかね?」
ハーマン「とは申しませんが…」
ルーズベルト「君達資本家が望むのは全アジアの市場化だろう?」
ハーマン「我々資本家の繁栄は祖国の繁栄でもあります」
ルーズベルト「ふん上手いことを言う。しかし君らにとってこの合衆国は本当に祖国なのかね?君らはこの欲を超えたこの新世界にただ寄生しているだけではないのかね?」
ハーマン「きついことを仰る。ですが我々にとって合衆国はなくてはならない存在なのです。この国が強力な軍事力で守ってくれるからこそ我々は安心して海外へ出かけいけるのです」
ルーズベルト「なるほど、わかりやすい説明だな」
ハーマン「我々は国民を養わなければならない利益効率の悪い国家システムは必要としないのですから。閣下の仰られたシャドーガバメントの理論は強力な軍事力を持つ国家に寄生し、共に共存共栄していき何世紀にも渡り国家が保たれるのです」
ルーズベルト「君らが享受してきたのは安全ばかりではあるまい!国家予算まで食い潰してきた!」
ハーマン「くくくwお互い様です。貴方とて我々のバックアップがなければ大統領にはならなかったわけですから」
ルーズベルト「勝手なことを言わんでくれ!……お陰で私は憂鬱だ…」
ハーマン「ほぉ?閣下が憂鬱それはまた何故?」
ルーズベルト「何故だと?!いずれ私は国家の最高責任者として一民族をも滅ぼしかねない新型爆弾投下の書類にサインせねばならんのだぞ!」
ハーマン「仕方がありませんな、まぁこの際閣下のお気持ちなどどうでもいいですから」
ルーズベルト「わしの気持ちがどうでもいいだと?!」
ハーマン「それが最高法院の決定ですから」
ルーズベルト「最高法院!?」
ハーマン「閣下といえど最高法院の決定には背くことはできませんからな。はははw」
不敵な笑いが執務室に響いた。
それからしばらく
日本 東京都 料亭田山
みほ「ワシントンD.C.に?!」
前原「ワシントンD.C.に直接降下するのでありますか?!」
前原とみほの二人は高野との面談だった
高野「うむ、弦月作戦の本質はあくまで原爆開発の阻止だ。がその為には合衆国東部方面の撹乱は是非とも必要だ。この作戦を"和"と名付けた」
前原「作戦和ですか…これは面白い」
高野「ジャーナリズムの強い国だから相当期待できる」
前原「私も私なりに研究して是非とも成功させます」
みほ「ところで肝心のロスアラモスへの攻撃は高杉さんが担当する…というのは?」
高野「いや、高杉くんには機動部隊を持って再びパナマを叩いてもらう。そして…さらにサンディエゴを叩く!」
前原「!!」
高野「然るのち敵の防御力が落ちたところで特攻艦隊を突入させる」
前原「特攻艦隊…」
みほ「特攻って……まさか飛行機に爆弾をつけてそのまま敵に突っ込ませるんですか…?それじゃあ…!」
高野「大丈夫だ西住くん、君の思ってる特攻ではないよ。それでも前世ではそのせいで西住くんのような多くの若者の命が……!」
前原「閣下、過ぎてしまった以上もう仕方がありません」
高野「そうだな…」
みほ「ごめんなさい…」
高野「君が謝る必要はないよ」
高野は酒を口した
高野「話を戻すが、担当するのは紅玉艦隊だ」
前原「敵から鹵獲したあの…」
高野「うむ。弦月作戦の為に大改装を施している、一種の奇想戦艦と言えるだろう」
みほ「奇想戦艦?」
高野「まぁ見たら西住くんも驚くぞ。二人して明日横須賀に行って見てくるといい」
前原「はっ」
高野は前原に酒を注いだ。
高野「まぁやってくれ、今日は俺の
みほ「えっ…?でも高野さん生きて……あっ…!」
前原「四月十八日…
高野「……しかし後世でこうして酒を飲んどるのも妙な気分だ」
前原「まさに…」
高野 前原 みほ「「「はははw」」」
高野「ところで遅くなったが西住くん、卒業おめでとう」
みほ「ありがとうございます高野さん」
高野「この後世では俺は子を持っておらんがまるで自分の子が卒業した気分だ。今年でいくつになるのかね?」
みほ「今18歳で、今年で19です」
前原「もう19か」
高野「卒業式にご両親は?」
みほ「あっ…それは…」
前原「閣下」
高野「うむ?…あぁそうだったなすまん」
前原「みほの卒業式には自分が親代わりに行ってきました」
高野「そうか…ところで君は今後どうするのかね?」
みほ「はい、大高さん達が生活支援はしてくださるそうなのですけど今後どうするかまではまだ…」
高野「…まぁ焦る必要はないじっくり考えて君なりの答えを見つけるといい」
みほ「はい!」
それからおよそ六ヶ月の月日が流れ…………弦月作戦決行の機は熟し、ユカタン半島に潜入していた諜報機関"東"の本郷少佐のもとに暗号電文「鷹」が送られた。
電文はすぐに本郷少佐によって超長波通信に書き換えられ大西洋で待機中の紺碧艦隊へと転送された。
イ601
前原「高杉艦隊は予定を変更して十一月一日に弦月作戦を決行する…か
」
みほ「少し早まりましたね」
前原「そうだな、艦長」
入江「はっ通信参謀僚艦に伝え、作戦和の決行を早めると」
「はっ」
入江「電文 これより三日後の○四○○にポイントTに集結、各艦攻撃機を発進作戦和を決行する…以上だ」
各伊号潜は機関を始動、ポイントTへと向かった。
三日後、ポイントTにて作戦は開始された。
紺碧艦隊は闇夜に紛れて浮上、艦載機を発進させる。
発進した九機の春嵐はボストン、ニューヨーク、フィラデルフィアを目指す。また雷洋はこれとは別に別途任務を帯び春嵐達と別れた。
前原「敵は我々が大西洋に現れるとは夢にも思っていないだろう」
入江「まさに!」
みほ「でもパナマ運河のこともありますよ?」
前原「そっち方面は気をつけてるかもしれんが首都ではそう思ったらんだろう。よし、帰還収容地点へ艦を回せ」
紺碧艦隊は作戦の成功を期して海中へとその身を没した。
さて発進した航空機たちはどうしたであろうか?
ここでは雷洋の動向を見てみよう。
大竹大尉の率いる雷洋二機はワシントンD.C.へ向け東進していた。朝日が雲を薄桃色に染める。
大竹「尾崎さん超低空で飛びますのでベルトの確認をお願いします」
尾崎「はい」
大竹「では……!」
敵のレーダーによる発見を警戒し高度を下げる。やがて攻撃隊は大陸を見る。
途中現地の農家に見られるもまだ朝も早く日も昇っていない為機体がよく見えなかった。寧ろ米空軍の演習だと思った。
大竹「見ろ!ワシントンD.C.だ!」
宮城「なんとか到達できましたね!」
ワシントンD.C.を捉えると雷洋は二手にわかれ、ニ番機は国会議事堂へ一番機は一度市街地へ降下、低空で何やらビラを撒きそのまま飛び去った。
「これは…!友好の証、記念樹の桜とハナミズキ…!」
ビラを拾った市民がそう言った。
東京市長 尾崎楽堂が送った桜の苗木はコトマック湖畔を彩り、返礼にワシントン市民から送られたハナミズキは東京 日比谷公園に根付き両市民の友好の証となっていた。
ルーズベルト「何?日本機が?!」
日本機来襲の報はルーズベルトの元にも届いていた。
するとそのとき、雷洋がホワイトハウスへと向かっていていた。
爆弾倉を開きルーズベルトの目と鼻の先に爆弾を落としそのまま飛び去った。
「大統領閣下!」
ルーズベルト「………!ふ、不発弾か?」
「時限爆弾かもしれません!直ぐに避難してください!」
ルーズベルトは補佐官に促され避難する。
一方で爆弾を投下した大竹大尉は……
大竹「ははははははww」
笑っていた。
大竹「
投下したのは実弾ではなく模擬弾であった。
大竹「尾崎さん準備はいいですか?」
尾崎「万端です」
大竹「尾翼に注意してください」
尾崎「訓練済みですよ。では!」
雷洋からワシントンへ一人の男が降りた。
大竹大尉は彼の健闘を祈り帰路に着く。
ルーズベルト「首都にまで奴らに降りられるとは空軍は何をしとるか?!」
ルーズベルトは怒り心頭していた。
ルーズベルト「長官を呼べ長官を!」
「閣下!先程の爆弾は模擬弾でした!」
ルーズベルト「何?!くそぅジャップめどういうつもりだ!?……うっ!!」
するとルーズベルトが突然胸を抑え、椅子に座り込んだ。
「閣下?!如何いたしたました!?」
ルーズベルト「なっ何でもない……体に触れるな!」
苦しそうに呼吸をするのがやっとといったようだ。
ワシントンに降り立った尾崎という男はどうしたであろうか?
彼はその場に居合わせた民間人に声を掛け、デイリーワシントン社へと向かった。
デイリーワシントン社
「平和の使者?」
尾崎「私は新聞記者で尾崎と申します。我が日本国政府が貴社が最も権威のある新聞社として信じております。そしてワシントンの議員司書も貴社を読み大きく影響を受けていると聞いております。そこで我々のメッセージを伝えたく参りました」
「日本政府のメッセージ…?」
男は訝りながらも封筒の中身開け読んだ。するとしばらくして顔を強張らせてこう言った。
「輪転機を止めろ!全部刷り直しだ!これを構成して印刷に回せ!もちろんトップ扱いだ!」
メッセージを編集へ渡すと周りにいた者は直ぐに取り掛かった。
「Mr.オザキ、編集長のハリマンです!」
ハリマンは尾崎に手を差し伸べ握手をした。
尾崎「ご理解いただいて感謝します。Mr.ハリマン」
この報は直ぐに全米を駆け巡った。
[本日未明、東部の数カ所に来襲した日本機の目的は爆撃ではありませんでした!日本機の目的は友好の証の桜とハナミズキをあしらったビラを撒くことにあったようです。またデイリーワシントンの報道によりますとパラシュート降下した日本人は平和の使者でありオオタカ首相から合衆国民へのメッセージを携えてきたとのことです!]
ルーズベルト「くそっ!」
ルーズベルトはラジオを切った。
ルーズベルト「こんな放送は直ちにやめさせろ!新聞も発行停止だ!逆らう奴は全員逮捕だ!」
「閣下、我が国は言論の自由な国であります」
ルーズベルト「黙れ!これは大統領命令だ!」
「そんなことをすれば合衆国全てのジャーナリストを敵に回すことになりますぞ!」
ルーズベルト「………!!…おのれオオタカめ!」
「閣下、冷静にお願いします」
ルーズベルト「黙れ!いいかこれはオオタカの謀略だぞ!奴は合衆国政府を国民から浮き上がらせようとしているのだ!」
「確かに巧妙ではあります。パラシュートで降下した男尾崎が言うには"戦争はスポーツ精神に乗っ取り、フェアプレイでやるべきでスポーツマンシップに乗っ取り正々堂々勝負するのがルールだと。戦争も同じことだと原子爆弾を使い民間人の大量虐殺をすればもはや戦争では無い"…と、これは我が国民に受けますな」
ルーズベルト「補佐官!君までが敵の肩をもつのかね?!」
「閣下…合衆国国民には閣下のスピーチより大高の呼び掛けの方が受けると申し上げたのです」
ルーズベルト「きっ君は……!」
「我々はこれまで日本側の和平提案を無視し続けました。それゆえにオオタカは我々合衆国政府ではなく、直接国民に訴えかける手段にでたのでしょう」
ルーズベルト「だからどうしたというのだ?!」
「国民にの望まぬ戦争に誰がどんな理由で引き摺り込んだか?この元凶は誰か?国民に気づかせようとしているのです。これは重大なことですぞ!対処を誤れば反戦運動が起こりかねません。それに尾崎は原爆開発競争の即時中止も呼びかけています!そして模擬爆弾はその警告だと…!」
ルーズベルト「ただのブラフだ!」
「いえ!彼らはナチスから原爆を入手できることを仄めかしております」
ルーズベルト「ナチスからだと?!」
「おそらくオオタカは気づいています。全世界を破壊と殺戮の渦に巻き込む為にこの戦争が我々の手によって仕組まれたことを!オオタカは恐るべき政治家です!」
ルーズベルト「そっそれがどうしたというのだ。世界新秩序建設には旧世界の破壊が必要なのだ!それが神のご意志とあればやむを得んだろう!」
「その為に世界が滅びようともですな?!」
ルーズベルト「っ!………あぁそうだ」
その後米国は日本政府に対しては何も音沙汰がなかった。
東京都 首相官邸
大高「残念ながらルーズベルトに我々の提案は通じなかったようですな。できれば米本土攻撃は避けたかったのですが……」
高野『総理のお気持ちはよく分かります……しかし少なくとも原爆開発計画の露呈はできました』
大高「そうですな、一応の狙いは達成されたわけですからな」
高野『ではいよいよ…』
大高「うむ、高野さん弦月作戦の実行をお願いします!」
高野『分かりました』
十一月十日 正午、高杉艦隊旗艦 比叡に戦闘旗が上がり弦月作戦は実行された。
一方、合衆国作戦本部は日本海軍による西部沿岸都市への攻撃を予想その対策に全力を挙げていた。
やがて攻撃はサンディエゴもしくはロサンゼルスのどちらかが濃厚とされ500km洋上に持てる戦力を集中配備し、三重四重の防衛戦を張った。
そしてまた数日が経過したこの日、防衛艦隊は雷撃を受けた。
だがこの雷撃は敵の目を欺く為の高杉艦隊の陽動だった。
このとき高杉艦隊はメキシコ沖ココ島500kmの地点まで迫っていた。
偵察機がこれを発見する。
比叡
西「高杉司令、どうやら発見されたようです」
高杉「そうか、おそらく敵さん大急ぎで航空機をパナマに向かわせようとしとるだろうな」
それから二、三日後高杉の予想通り、米軍司令部ではパナマ運河防衛の為に航空機、そしてカリブ海艦隊をコロンへ派遣させたが時すでに遅し。
その頃には高杉艦隊から出撃した攻撃機隊がパナマ運河に殺到していた。
艦上攻撃機 蒼山三機により魚雷攻撃で水門は再び破壊された。
そしてまたコロンへ急行したカリブ海艦隊も……
イ601
前原「みほ、敵艦隊はどうだ?」
潜望鏡で敵艦隊の様子を見るみほに聞く。
みほ「大丈夫です。パナマ運河に気を取られていて私たちには気づいていません」
前原「よしっ!僚艦に伝え、敵艦隊は殲滅攻撃へと移る」
待ち受けていた紺碧艦隊の六二式酸素魚雷の餌食となった。
ルーズベルト「パッ、パナマ運河が……?!」
「パナマ運河は完全に破壊され、カリブ海艦隊も全滅しました……」
ルーズベルト「っ!…………おのれオオタカめ……!!」
うち続く凶報に怒り浸透のルーズベルトであったが高野五十六必殺の弦月作戦の本番はこれからであった。
そしてその実行部隊の紅玉艦隊は作戦実行地点のPLへと到達しようとしていた。
紅玉艦隊 旗艦
「長官、いよいよであります」
紅玉艦隊司令は川崎 弘だ
川崎「うむ」
随伴の空母から次々に電征が発艦していく。
[電征の発進が完了しました]
「よぅし!爆龍隊発進準備にかかれ!」
艦橋下部のシャッターが開き特殊艦上攻撃機 爆龍が姿を現す。
主翼が展開し発動機が始動
[爆龍発進せよ!]
射出機から爆龍一番機が発進していく、二番機の準備が進められた。
ダージリン「驚きましたわ…」
アッサム「戦艦から攻撃機が発進するなんて…」
ローズヒップ「それもそうですけど、これからあの人達はどこに行くのですの?」
ダージリン「確かに……閣下、もう教えてくださってもよろしいのでは?今作戦の狙いを」
ダージリンは川崎に問いかける。
川崎「そうだな…ここまできたのならもう教えてもいいだろう。我々の目標は…ロスアラモスの原爆研究所だ」
ローズヒップ「原爆研究所?!」
アッサム「それじゃあ…あれは直接攻撃を仕掛ける為のものなんですか?!」
川崎「あぁその通りだ」
ダージリン「確かに…広島や長崎の悲劇は見たくありませんからね……」
「爆龍八機は電征に援護されて目標へと向かいました」
川崎「うむ、旧怨からまさに矢は放たれた。帝国の命運はお前達の働きにかけられている!……だが必ず帰ってこいよ」
川崎は攻撃隊の無事と成功を祈った
川崎「全艦回頭!」
紅玉第一艦隊は一切に回頭、PLから退避行動へと移る。そして……その頃
サンディエゴ軍港
空襲警報が鳴り響きサーチライトで照らされた先には三機の春嵐がいた。
爆龍発進を待ちかねたかのように紅玉第二艦隊から発進した春嵐が猛禽の如く殺到した。
これは
そして……航空機とは違う謎の攻撃が軍港を襲った。
陽動とはいえ攻撃は徹底して行われ、各目標にン式弾が雨霰のように降り注いだ。
これも紅玉第二艦隊によるものだ。
ン式弾はカタパルトに装填されると設定された角度まで倒れそこから次々に発射された。ン式弾は簡単に言えばミサイルだ。
ン式弾 正式名称ン式噴進弾 ナチスのV2号ロケット弾の推進機構に似ているが日本技術陣が開発した噴進弾で最大射程1500kmにも及ぶ代物だ。
ともあれ作戦は図に当たり敵の目を爆龍隊から逸らすことができた。
その爆龍隊は米国奥深く内陸部へと侵入していた。
電征は航続距離のギリギリまで爆龍を護衛しぬき帰投していった。
「ここまで無事に来られたのも各艦隊の陽動があってのものだ」
「はっ」
「それに報いる為にも失敗は許されんぞ」
「隊長、ギオグランデです」
「よぅしあそこを抜ければ研究所は目と鼻の先だ」
攻撃隊はギオグランデ、今で言うところのグランドキャニオンへと入る。
狭い谷間を直進し攻撃はもう直ぐかと思われたが現実はそうそううまくはいかない。
「電探に反応あり!」
「来たか…!」
「左舷後方、1…2…3…三機です!」
「爆龍一番から各機へいよいよ正念場だぞ!」
追尾してきた敵機はP51だった。
「ジャップめこんなところまで侵入しやがって…!1機たりとも研究所へ近づけるな!」
「「ラジャー!」」
目標のロスアラモス研究所では空襲警報が鳴り響き研究者達の退避が急がれていた。
研究所への侵攻の報はルーズベルトのもとへも
「大統領閣下!げっ原爆研究所に日本の攻撃機が向かっているとの報告が…!」
ルーズベルト「奴らの狙いはロスアラモスだったか…!」
P51 3機と爆龍隊の鬼ごっこは続いていた。
「隊長、奴らはいまだに複葉機を使っているのでしょうか?」
「お前にもそう見えるか?」
「はい、なら赤子の手を捻るようなもんだ」
米パイロットの目に爆龍が複葉機と映ってのも無理はない。
爆龍こそ、この作戦の為に泰山航空工業が心血を注いで開発した奇襲攻撃機である。
「研究所には指一本も触れさせん!喰らえ!」
機関銃を爆龍に向け放つが…
「何?!」
爆龍は一瞬で右に逸れて攻撃をかわした。
「なんだ今の動きは?!くそっ!」
再度仕掛けるがやはり同じように避けられ、
「甘く見るな!!」
爆龍の後部機銃の餌食となった。
米パイロットを驚かせたこの運動性能にこそ爆龍の爆龍たる秘密が隠されていた。
瞬く間にもう1機も撃退された。
「
「了解」
レバーを引き倒すと機体の下部が分離した。
「どういうことだ?!2機に分かれたぞ!?うぁぁ!!」
分離部分が接近したことでパイロットは回避するがその隙を狙われ、撃退された。
「貴重な飛行弾だ、うまく誘導しろよ」
「はい」
爆龍のあの不思議な運動性能もこれにある。爆龍とはそれ自体が飛行能力を持った子機爆弾を腹にかかえた新思考爆撃機なのである。
ちょうどそのとき研究所から退避しようとしていたドッペンハイマン博士達が爆龍隊とすれ違った。
「信じられん…!急げ!ソドムの市民になりたくなかったら少しでも研究所から離れるんだ!」
攻撃隊はそのまま無事に研究所を捉える
「全機飛行弾を切り離せ」
残る全ての機体が飛行弾を切り離した。爆弾は無線誘導である。
無線で誘導された爆弾はそのまま研究所へまっしぐらに突っ込んだ。数発が途中で対空砲の攻撃で被弾し火だるまになりながらも全弾研究所に突っ込んだ。
「弦月作戦は成功の内に完了だ!長いは無用撤退するぞ!」
ちょうどそのときだった研究所内の原子炉では内部の温度が爆発で上がり原子炉が暴走しついに…………………核爆発が起きた……
「っ!隊長!!」
「振り返るな!決して振り返っちゃいかん!」
爆龍隊は自分達の後ろで起こっている光景を見ようとはせず帰路についた。
一方でドッペンハイマン博士達はギリギリのところで安全圏に脱出することができことなきを得たが……
『大統領閣下……我々のマンハッタン計画は重大な危機に直面しました』
ルーズベルト「報告は先刻受けた。私も深刻に事態を受け止めている、技術者を救えたのが不幸中の幸いだ」
『はい、従って再開は直ちに可能であります。ですが…1、2年の遅れは覚悟しなくてはなりません』
ルーズベルト「やむを得んだろう」
電話を切ると拳を机に叩きつけルーズベルトは怒りをあらわにした。
ルーズベルト「オオタカめ!!今に今に見ておれ!!……うぅっ?!!」
すると突然呻き声をあげふらつきそのまま椅子に座り込んだ。
「閣下?!」
「大統領どうなされました?!しっかりしてください!」
補佐官の呼びかけに応じずルーズベルトはぐったりしたままだった。
「医者だ!医者を呼べ!」
「閣下!!閣下ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その日、米32代合衆国大統領 ヘンリー・ルーズベルトは没した。
死因は脳溢血と発表された。
次回へと続く
いやぁ大変だったわい。これで米国編は大体終わりか……