ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達  〜碧き海の世界の物語〜   作:短号司令官

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聖グロとサンダースの面々が出てきますがほんの少しです。



第6話 狐が来ました……!

 

前回、ガンディ宅を訪ねた2人。

要目を伝えるべく彼との会談を行う。

 

 

前原「日本国首相大高弥三郎より預かって参りました。親書とアシュラームへの寄付金です」

 

赤い烙印の封がされた手紙と寄付金の入った包を渡すと、彼は合掌で感謝の意を伝える。

 

前原「我々の首相は、先生のお考えに深く親近感を抱いております」

 

ガンディ「それはそれは」

 

前原「先生を是非、日本にお迎えして膝をつき腹を割り、亜細亜の未来について語り合い御訓導を受けたいと申しております。首相はどちらかと言いますと、フェビアン主義者です。クロポトキンの思想にも興味を抱いております。近代工業化と農村、或いは手工業との共存する国づくりを目指しております」

 

ガンディ「つまり我々は、多くの点で一致を見ているわけですな」

 

前原「はい」

 

すると彼はこう聞いてきた。

 

ガンディ「御二人共、貴方方はインドが好きですか?」

 

みほ「えっ……?」

 

急な質問にみほは驚くが、前原は間をおいて伝える。

 

前原「私は、この国の民衆が好きです」

 

ガンディ「お嬢さんは…?」

 

みほ「え…えっと……よく分かりません……でも……私は、この国の人を嫌いになることは出来ない……そう思います」

 

それを聞くと、ガンディは微笑んで手を差し出す。

前原はその手を堅く握った。

 

ガンディ「大高首相にお伝えください。喜んで御招きに預かりますと」

 

前原「は!…ありがとうございます…!」

 

ガンディ「我々は多年の願いであった、英国からの独立を勝ち取りました。願わくば、折角手に入れたこの民族の独立を、第三帝国の野望から守りたいものです…!左様、大高閣下にお伝えください」

 

 

こうして、2人がアシュラームのガンディと別れを告げた頃………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三帝国インド方面軍は、首都デリーを無血占領。派遣軍最高司令官の(エルヴィン憧れの)コンラッド・ロンメル元帥は、摂取したマハラジャホテルの司令部へと着任していた。

 

 

ロンメル「なんだねあれは……⁈」

 

部屋の片隅に積まれた金銀財宝装飾品の山を見て、幕僚に尋ねる。

 

「権力という甘い蜜に群がる蟻共からの貢物です」

 

ロンメル「マハラジャ達か…!」

 

「商人…役人…政治家…僧侶、抵抗無く我らに鞍替えしてきました。意外と御しやすい国かも知れません」

 

ロンメル「どうかな…」

 

そのまま部屋のテラスから市内を一望する。

 

ロンメル「インドはもっと汚い所だと思っていたが…流石に英国人が作っただけの事はあるな。英国が長年にわたって利権を貪ってきたこの国を総統に献上しよう」

 

「総統閣下もさぞや喜ばれるでしょう…!」

 

ロンメル「……だろうな」

 

こうは言っているが、この頃にはロンメルは、ヒトラーの事を余り良くは思っておらず。実際は若干の不満を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、デカン高原の視察を終えた2人は、嵐龍(ガトリング積んだあの迎撃機)の輸送機型に乗りナグプールからコーチン要塞へと戻ったのは、時に照和22年 8月に入った頃であった。

その足で2人は病院の川崎司令とケイ、ダージリンの元を訪れた。

 

川崎「おぉ待っておったぞ。例の所がいい。それじゃあ2人共、わしと前原は」

 

そう言い残し、男2人は部屋を出て、3人はそれを見送った。

 

ダージリン「まだ退院もしていないのに、全く閣下は……」

 

みほ「あはは…まぁ、いいんじゃないですか…?」

 

ダージリン「みほさん、普通入院中にお酒を飲む軍人さんって、いらっしゃいますか普通?」

 

みほ「うーん…確かに……」

 

ケイ「……」

 

みほ「ケイさん…?」

 

ケイ「ミホ、あなた何かあった?」

 

みほ「うぇ⁉︎」

 

 

 

 

 

バーテラス

 

以前同様、ビールを片手に前原の報告会が始まる。

 

川崎「ところで、例のナターシャさん、君も隅に置けんな。ともあれ、マ島行きの船に乗せたよ」

 

前原「ありがとうございます」

 

川崎「船上の人となったが、綺麗な御婦人だった。君の恩は一生忘れないと言っておったよ。どんな間柄なんだ?」

 

前原「いえ別に…寧ろみほと…あっ」

 

川崎「っはははw言いにく…って待て、今なんと言った?」

 

前原「あぁ…そのー…」

 

川崎「君……まさか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

院内

 

ケイ「what's⁉︎」

 

ダージリン「まぁ、みほさん……」

 

みほ「……///」

 

あの夜、自分と前原の間に何があったか、そして今、彼をどう思っているかを、みほは洗いざらい話していた。

 

ケイ「oh my god……オッドボールが知ったらなんて言うかしらね…」

 

ダージリン「もしかしたら前原閣下、半殺しにされるのでは?」

 

みほ「えぇ…⁉︎」

 

ケイ「まぁでも、みんながどう判断するかだけど……あっ」

 

ダージリン「どうかしまして?」

 

ケイ「マホが知ったら…」

 

みほ「あっ…お姉ちゃん……」

 

ダージリン「まぁ、大丈夫なのでは?まほさんも今似たような状況でしょうし」

 

みほ「…?」

 

ケイ「そうね…」

 

ダージリン「ところで、みほさんこんな言葉をご存知?」

 

みほ「はい?」

 

ダージリン「"愛というのは自分を磨いていくもの"」

 

ケイ「尾◯豊のね」

 

ダージリン「貴方はかつて、大洗の皆さんに会って愛され磨きがかかった、でも今は、前原閣下のお陰でもっと磨きがかかっているわ。これからももっと磨きをかけて、立派になってくださいね」

 

みほ「…はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バー

 

川崎「はははw全く君というやつは、戦果だけで無くヤる相手もやばいなははw」

 

前原「恐れ入ります……」

 

川崎「まぁ気にせんでも良い、わしにも古傷の一つや二つある。それよりも、想いを伝えた以上はしっかりと守ってやれよ」

 

前原「はっ」

 

川崎「…ということで本題だ。報告を聞こう」

 

前原「はい」

 

前原は、コーチンを出てからバンガロール…ハイデラバード…ナグプールに至る前線視察の詳細と、ガンディ氏との会談の結果を伝えた。

 

川崎「うむ…ガンディ氏は噂に違わぬ人物のようだな」

 

前原「我々のガンディ氏への期待も益々大きくなるばかりです。戦況にも関わってくることだと思います」

 

川崎「うん、印度に強力なら、味方がつくことは喜ばしいことだ。しかし、戦況自体は厳しい」

 

前原「はい。印度にはヒンドゥーとイスラムの根深い宗教対立がありますからな。今までは、繁栄イデオロギー一本で纏まっておりましたが」

 

川崎「ヒトラーはこの感情的対立を利用して、イスラムを先導するだろう」

 

前原「独国には、イスラムという同盟国もあります。つまり、我々の独軍の後方輸送路の破壊と遮断が、益々重要になってきます」

 

川崎「その通りだ。我々とて、こんな所で安穏としてはおれん。ところでデカン要塞を持ってすれば、ロンメルの猛攻は食い止められそうか?」

 

前原「さぁ、私にはそこまでは…あっ、ただ熊谷印度方面軍司令官は、やる気十分のようでした」

 

川崎「そうか!陸軍に頑張ってもらわんと、我々海軍の活躍も無意味になってしまうからな!」

 

前原「熊谷司令官にも同じことを言われました。海軍に奮起してもらわんと、我々陸軍の戦いが無意味になってしまうと発破をかけられました」

 

川崎「ふははwそうかそうか、陸海軍が一致団結して立体的な戦略をとる。反発し合った前世の陸海軍とは大きく違うな」

 

前原「多分これも、大高首相の指導力あっての賜物でしょう」

 

川崎「確かにそうだな。大高総理の知略とヒトラーの謀略、そこに全世界の命運が掛かっとるのかもしれんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルリン 総統府

 

ヒトラー「どうかね?今し方ロンメルが送ってきたニューデリーの地図だよ。ゲーリング君英国人の作った街だ」

 

ゲーリング「しかし、今や我が第三帝国のものですな」

 

ヒトラー「ロンメルからの手紙も入っていた。読みたまえ」

 

ヒトラーは持っていた手紙をゲーリングに向ける。

 

ゲーリング「はっ…あ…私がですか……?」

 

ヒトラー「いやかね?」

 

ゲーリング「いっいえ!読ませて頂きます」

 

手紙の封を取り、中身を読み始める。

 

ゲーリング「えー…"敬愛する我がマインフューラー。ニューデリーの地図をご覧いただけたでしょうか?いずれ英国人の手になるこの街も総統閣下の手でより壮大になるでしょう。総統閣下よりお預かりした軍団を用いればインドの完全占領も時間の問題でしょう。占領計画が成功した暁には総統の忠実たる下部の私めはインドは総統府直属領になるべきだと考えております。コンラッド・フォン・ロンメル"…」

 

ヒトラー「ロンメルは余にインドをプレゼントするつもりでおるようだな。ゲーリング…君は余に何を献上するのかな?」

 

ゲーリング「‼︎……そっ…それは…!」

 

ヒトラー「…ふはははw良い良いゲーリング君、君は余への忠誠心だけで結構だ。ロンメルは連戦連勝の常勝将軍であり国民的英雄で兵士達からの人気も絶大だ。そんな君にロンメルと同等の事は望んではいない、気にするなゲーリングふははw」

 

まるで、嬲られているようなものである。

第三帝国高官の嫉妬心をもて遊ぶ見え透いたやり口も、ヒトラーに言われては奮起せざるを得ない。

それがカリスマ性を生みさらに独裁者の大胆な行動もエスカレートする……

 

 

 

 

 

 

 

8月15日 0001

 

 

 

遂に第三帝国は英国本土侵攻に踏み切る………‼︎

 

爆音と轟音が連日鳴り響き…海空から上陸、空挺降下で次々に英国本土へ、魔の兵士達が押し寄せる。

 

 

 

 

 

 

印度 コーチン市内のあるホテル

 

旅路の2人が、ホテルからのチェックアウトを済ませたそのとき…

 

「富獄太郎さん!富獄太郎さんとお連れの方はいらっしゃいますか⁈」

 

前原「富獄ですが?」

 

陸軍兵の呼び掛けに前原は応じ、そのまま2人は軍用車で、コーチン司令部へと向かう。

 

 

興鎮日本海軍遣印艦隊司令部

 

川崎「おぉ、来たか」

 

みほ「退院したんですか?」

 

ダージリン「えぇ、つい今し方」

 

ケイ「でも、今はそれどころじゃなくないわ」

 

前原「どうかしたのかい?」

 

川崎「……君達、ここじゃあなんだ…」

 

 

 

5人は奥の部屋で詳細を聞くこととなる。

 

 

みほ「イギリス本土にドイツ軍って……‼︎ダージリンさん本当なんですか⁉︎」

 

ダージリン「残念だけど…事実ですわ。イギリス司令部からの報告ですから、確度は高いです」

 

川崎「詳細を知ろうと英司令部に連絡を取ろうとしたが、繋がらなくてな」

 

前原「当然…印度戦線にも大きな影響があると考えられますな…」

 

川崎「現在独軍はウラル山脈に大軍を張り付けておる、スターリン軍との戦線は膠着状態に陥っておるがこれに加えてさらに英本土へと上陸…大西洋の独占が狙いか…」

 

前原「英国印度駐留軍に変化は見られませんか…?」

 

ケイ「今は何とも…でも何の影響も受けない方がおかしいわね…」

 

川崎「あぁ、心理的影響は計り知れないものがあるだろう」

 

みほ「ヒトラーはそれも狙って……⁈」

 

ダージリン「可能性は十分にありますわ」

 

川崎「こうなると、ロンメル軍団の本格攻勢も早まるぞ」

 

前原「そうなると、我々の出撃も急がなばなりません…」

 

川崎「そうなるな」

 

前原「自分とみほは、このまま秘密基地へ戻ります。申し遅れましたが、昇進おめでとうございます」

 

川崎「ん?あぁこれか」

 

肩の階章に目を向けると、桜が二つから三つに増えていた。

 

川崎「辞退しておったのだが、戦時特例というやつでな。無理矢理元帥にさせられてしまっただけだわい」

 

ケイ「もぉー、まぁたそんなこと言って!」

 

ダージリン「閣下、素直に喜んでもいいのですよ?」

 

川崎「はぁ…昇進してからは2人にこんな風に言われておってな…」

 

前原「あー…」

 

みほ「あは…」

 

苦笑いするしか2人にはできなかった。

兎も角両者は、再びイ901潜に乗り、朝日島へと戻る。

 

 

 

 

その頃、遥か遠く帝都東京では……

 

大高総理は通常の予定を大きく変更して、有楽町は日比谷公園に居た。

警護が見守る中、大高の待つある人物が現れる。

 

大高「小室先生、おはようございます」

 

大高の前には、一見すると風歳の上がらない中年男がいるが、この人物こそ、大高の影の経済政策のブレーン、小室直樹経済博士である。

 

小室「遂に始まりましたな、英本土侵攻が」

 

大高「いつかはあると思っておりましたが、ヒトラーが予想より早く、始めてしまいました」

 

ふと2人の前を子供が駆けていった。

 

小室「子供達は元気ですなぁ」

 

大高「いいですなぁ。第三帝国の動員力から見て、侵攻は来年か来春かと踏んでおりましたが」

 

小室「それもひとつの見方ですな。一つどうです?今が旬です」

 

そう言って彼は、持参した紙袋の中から桃を二つ取り出す。

 

大高「おぉ!ほほほw」

 

桃を片手に2人は語らう。

 

大高「いやぁ、何とも水々しくて甘いですなぁ」

 

小室「ヒトラーにとっても、英国は、この桃のように美味しい獲物ですわい」

 

大高「そうでしょうか?逆に腹壊すことにならんでしょうか?」

 

小室「現状の力の差を見ると、英国は遠からず降伏する。少なくとも南部の戦いは、一ヶ月で決着が着くでしょう。その後は、北部及びスコットランドでの激戦となるでしょう」

 

大高「ですな、南部を取ればヒトラーは採算がとれます。確かに」

 

小室「さすれば、独国の工業力はドーバー海峡で止まらず大西洋に直結する。さらに地中海沿岸まで海運で繋がる。この意味はお分かりかと思うが……地中海沿岸部の経済都市を発展させ、さらにその地域の軍事産業も促進させます。その力が、本流の如く紅海を抜け、印度洋へと及ぶ」

 

大高「…結果は印度戦線が重大な影響を受けることになりますな」

 

小室「そういうことです」

 

 

会談後、大高は首相官邸へと戻る

 

 

首相官邸

 

大高「でかいな、桂総長」

 

大高がデスクに広げた地図を共に見るは、陸軍総参謀長の桂 虎五郎である。

 

桂「確かに大きな戦場であります。東西ほぼ3000km…南北もほぼ同じです」

 

大高「北海道北端から九州南端に至るまでの距離の訳1.5倍か…問題はこの半島が、逆三角形であるということだ。南進するに連れて兵力を密集できる。もっともこれは、防御側にも言えることだが」

 

桂「そして問題は、スケール感の違いですな。前世我々は、中国戦線で尺度感覚の違いから、戦略を見誤りました。印度は、その尺度が中国と似ておりますが、三角戦場というのは中国戦線とも大きく異なるわけですが…総理は、これがいずれ大きな意味を持ってくるとお考えですか?」

 

大高「視覚的な直感ですが、桂総長、ヒトラーならこの三角戦場をどう見るかな?」

 

桂「はぁ!もし荘官がヒトラーならば…アラビア海沿岸を南下ボンベイを狙います。同時にヒンドゥースタン平原を東へ進撃し、カルカッタを陥落させます。現にロンメルは、そのような兆候を見せております」

 

大高「成程…」

 

桂「場合によっては、我々も兵力を増強させねばなりません」

 

大高「どのくらいだ?」

 

桂「………比嘉の兵力差…補給能力…航空支援…我が遣印軍は機械一個師団…歩兵編成…これに追加を考えると……あと十個師団は必要でしょう」

 

大高「それは無理だ…‼︎」

 

桂「荘官もそう思います。しかし、まともに守ろうというのなら、それくらいは必要です」

 

大高「だろうな…しかし、まともに守らなければどうなる?」

 

桂「……現段階では、英印軍の士気問題や独軍の作戦能力の為、一言では申せません。一応、研究はしておりますが……」

 

独軍の総司令官であるロンメルについては、彼について強力な知識人であるエルヴィンこと松本里子の協力の下、青風会では日々研究が行われていた。

 

桂「そこの所、総理の腹の内をお聞かせ願えますか…?」

 

大高「というと?」

 

桂「総理は印度を一旦独軍に蹂躙さs「待て」」

 

焦ったのか、大高はそれ以上話すのを止める。

 

大高「桂総長、その先を言うな」

 

桂「やはり!」

 

大高「流石に鋭いな」

 

桂「総理とは長い付き合いですから」

 

大高「陸大以来だからな。しかし、私の頭を除くのは参謀長…君だけであってほしい」

 

桂「そうですな。ヒトラーに腹の内が読まれるくらいなら、我々の負けです」

 

大高「敵を欺かんとするなら、まず味方を欺けと言うが、儂は英国政府、ひいては印度政府をも欺いている。正直辛いよ…」

 

桂「破壊無くば再生ならず……老大国の朽廃を改革するには、それしか無いと思いますが……しかし、総理も人が悪い……?」

 

その一言に、大高は沈黙を持って桂に伝える……

 

桂「いや…訂正します。小さな善が大きな悪を招く、そして小さな悪こそが大きな善を生む…と私なりに考えております」

 

大高「ありがとう総長。そう言ってくれて私の気も楽になる」

 

しばらくの後、帝都には厚い雲がかかり日を閉ざす。

 

大高「いずれ、印度のスワディ・ガンディ氏と会談をするが、そのとき素直に腹を打ち明けるつもりだ。誠意を持って話せば、きっと分かってくれると信じている」

 

桂「はっ……総理は印度の根本改革を狙っているのでないのですか?ガンディ氏は無抵抗主義の偉人だと聞いておりますが……総理のお気持ちは分かってくれると思います…!」

 

彼もそれ聞いて静かに頷くと、空を見てこう言った。

 

大高「一雨きそうだな…」

 

 

 

 

 

 

インド ニューデリー 独軍総司令部

 

ヒトラーの英本土上陸作戦謂わゆる"トド作戦"は、ロンメルをしてその行動を急かせつつあった。

 

ロンメル「諸君、遥か英本土では、総統閣下のトド作戦が開始された。我々も細やかではあるが、仕事に取り掛かろう!」

 

それを聞き、幕僚達からは期待の声が上がる。

 

ロンメル「敵将マウント・バッテンは本土を攻撃されて、肝そぞろになっていることだろう。この機を逃さず、ヒンドゥースタン平原へ侵攻する!各自物資と編成を確認し、侵攻計画を見積もって貰いたい……?」

 

ここでロンメルはある1人の将兵に気がつく。

 

ロンメル「バーセルマン中佐、何か気になることがあるのかね?」

 

「はっ…はい」

 

ロンメル「発言を許す、気になる所を言ってみたまえ」

 

「はっ…元帥閣下の決断に水を差すようですが、インドは今、雨季の季節です。インド洋にはサイクロンが発生し、侵攻に大きな影響を受けるかと」

 

ロンメル「君は私より着任が早く、この地の事情に詳しい。確かにこの地は、典型的なモンスーン地帯だ」

 

「とすれば、計画はやはり順当に年末に行うべきでは?」

 

ロンメル「その通りだ。しかしだ、戦いとは常識にとらわれたばかりでは勝てないぞ、バーセルマン君。諸君、聞きたまえ!インド亜大陸は、逆三角形の形をしているここが重要だ。卓越風の影響で気候がほぼ4つに別れている。北インドを例に取ると3〜5月はプレモンスーン期、6〜9月が南西モンスーン期、10〜11月がホストモンスーン期、12〜2月が北東モンスーン期だ」

 

拡大地図を指揮棒でトントンと突きながら説明する。

 

ロンメル「6月頃から、ヒマラヤ山脈周辺を北上するモンスーントラフに引き寄せられて風向きが変わる。これが雨季をもたらす南西モンスーンの正体である。ただ、このモンスーンはインド亜大陸を周回するように移動する為、デカン高原は乾燥する。ここデリーでは、6月に南西モンスーンが始まり、9月中旬には終わる。ところが、カルカッタでは6月中旬から10月中旬にかけてが雨季だ。デリーは3週間も早く雨季が終わるわけだ!よって、今動くべきなのだ。分かったかねバーセルマン中佐?」

 

「はっ!自分の詮量を恥じております」

 

ロンメル「分かればよろしい。続けるが、タール砂漠は既に我々の領地だ。来るべき時には全土が乾季になる。しかし、最も重要なのが補給線の確保だ!つまり、バセラからの海上連絡線が、完璧で無くてはならんのだ!」

 

「閣下!アラビア海はすでに我がUボートが支配しております!」

 

「既に日本の紅玉艦隊は壊滅寸前です!」

 

「情報では、地中海より伊仏海軍が、制海権確保の為に出撃するとのことですが事実なのですか?」

 

ロンメル「諸君らが陸軍なのにも関わらず、海上輸送路の確保の重大性を理解していることは非常に結構である!つまり、我々のアキレス腱はアラビア海の制海権なのだ!敵も十分それを理解している筈だ。奴らも我々と同じことを考えているだろう」

 

だが、ロンメルには大きな不安があった。

 

ロンメル(噂に聞くX艦隊の指揮官も、その考えに至っているだろう…我が地中海主力艦隊を全滅させたことで、今や伝説と化した海の魔物…もしそんな怪物がアラビア海に潜んでいたとしたら……我が100万もの軍団は、本国から孤立してしまうことになるだろう)

 

 

「ロンメル閣下我々にはジブチ要塞があります!」

 

ロンメル「その通りだ!ジブチは紅海な出口に築かれた要塞軍港であり、我々の補給線は確保されている!つまり、ペルシャ湾紅海の水路によっては我々は心置きなく戦える!私の方針をも言おう、まず、アーメダバードを陥落引き続きボンベイ!ここを新たな補給中継点にする!」

 

 

こうして、ロンメル軍団がアーメダバードへ進撃を開始した頃………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝日島 紺碧艦隊秘密基地

 

入江「出撃準備は完了しました。水…要食…燃料の積み込みは完了。いつでも出撃できます!」

 

前原「まぁ、連絡を待とう」

 

紺碧艦隊司令官前原一征はコーチンから朝日島へと戻り、出撃のときを計っていた。

 

「司令かぁーん!」

 

自転車に乗った連絡兵がやってきた。

 

「コーチンからの電報です!」

 

前原「来たか。みほ、すまないが読んでくれ」

 

電報を受けとったみほが読み始める。

 

みほ「"発興鎮遣印艦隊司令部 宛朝日島海軍特別根拠地部隊 8月20日早朝ロンメル軍団アーメダバードへ向ケテ侵攻ス 我今日未明ニ出撃ス 花子"…以上です。前原さん」

 

前原「ありがとう。返信」

 

「はっ」

 

前原「"太郎 門ノ外ニテ待ツ"…以上だ」

 

「復唱!"太郎 門ノ外ニテ待ツ"以上!」

 

前原「艦長聞いた通りだ。全艦に出撃命令を出してくれ」

 

入江「了解!」

 

島内に出撃の合図のサイレンが鳴り響く。

それを待っていたかのように、先程まで降りしきっていた雨が止む。

 

品川「全乗員配置完了!」

 

入江「水密扉閉鎖確認!」

 

機関が始動し、各艦の準備が整う。

 

前原「紺碧艦隊…出撃!前進最微速!」

 

 

基地司令らに見送られ、紺碧艦隊は湾外を目指す。

拡張工事で広げられた水道を慎重に進む。

 

無事通過し終え、全艦潜航する。

 

 

その頃……

 

独戦車軍団がアーメダバードを包囲せんと雄叫びをあげて進撃していた!

 

 

一方、紺碧艦隊が朝日島を出撃した頃。紅玉艦隊は合呼応して、コーチン港を出撃する!

 

 

米利蘭土

 

「我々紅玉艦隊は、このまま沿岸部を北上、アーメダバードを目指す!艦隊の総力を掛けて、カンベイ湾に殴り込みをかける!総員心してかかってくれ!」

 

「艦隊の航空戦力を持っての制圧ですな」

 

「敵補給路遮断の艦砲射撃ですな?」

 

「そいつは腕が鳴る!航空隊と砲術に発破をかけましょう!」

 

川崎「はっはははw、まぁ適当にやるように」

 

ナオミ「えぇ⁉︎適当にって……」

 

ローズヒップ「せっかくの出撃なのでよ閣下!最も派手にやりましょうよ!」

 

ダージリン「落ち着きなさいローズヒップ、私達の今回の目的はあくまで陽動よ」

 

アリサ「陽動…?隊長、どういうことですか…?」

 

ケイ「そのままよ。囮よ…お・と・り…分かった?」

 

オレンジペコ「でも、何の為にそんな…?」

 

川崎「ただしだ!対潜警戒だけは厳にしろ。鮫どもに先に餌だけ食われてはたまらんからな」

 

ナオミ「餌って……」

 

ローズヒップ「益々閣下の言ってる意味が分かりませんわ…」

 

オレンジペコ「ダージリン様、閣下入院中に何か悪いものでも食べたんですか?」

 

川崎「ペコ君、何か言ったかい?」

 

オレンジペコ「あっいえ…何でもー」

 

ケイ「頼むわよ…ミホ…コマンダー」

 

ダージリン「私達を沈めないで下さいね…」

 

 

アラビア海の鮫退治の為に、前原と川崎の立てた秘策は、かくして実行に移されようとしていた。

秘策よく独水中艦隊の牙を抜くか…アラビア海に嵐の予感迫る‼︎

 

 

〜終〜 次回へ続く




みほについてはあの日は安全日だったようです。
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