ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達 〜碧き海の世界の物語〜 作:短号司令官
あの地獄絵図とも言うべき、南印度要塞を後にした紺碧艦隊司令官前原一征と西住みほの姿はここ錫蘭島 コロンボにあった。
ホテルに着いた二人には倉田航海長が待っていた。
三人はレストランで要目を聞くことにした。
倉田「お二人共一体、どうしていたのでありますか…?」
前原「実は夜豹師団に同行していてな、戦場を駆け回っていたよ」
倉田「なんと……!」
前原「早速だが倉田航海長、報告を頼む」
倉田「というわけで現在潜輸は入港中、新鮮野菜ほか物資を積み込み中であります」
前原「艦隊の方はどうだ?」
倉田「現在、朝日島であります」
みほ「皆さんの様子はどうですか…?私達大分留守にしてたと思うんですけど……」
倉田「大丈夫です、皆に変わりはありませんよ。しかし、ここのところ敵の偵察機がしばしば…」
前原「うん、万が一ということもある。危険になって来たか……」
倉田「は、我々には紅海封鎖という任務があるわけですが…それでも、やはり長期の任務とあって隊員達にも疲労が見えてきております」
前原「だろうな…」
倉田「隊員達は口にこそ出しませんが、全員紺碧島を恋しがっております」
前原「紺碧島は我々にとって第二の故郷だからな」
その後前原は、米軍情報などを聞き以後の指示を与え電報を受け取る。
電報の指示に従い、二人は動く。
翌日、二人はトリンコマリーへと向け移動した。
そこからさらに……
印度へ初めて配備された回転翼機:ヘリ(外観SHー60k)に乗る。
前原「回転翼機ですか」
「はい、量産型がやっと回ってきました」
前原「乗るのは初めてですが…お前は?」
みほ「私は似たようなのになら」
前原「そうだったか」
「音と振動があれですが」
前原「ははwお手柔らかに」
二人を乗せて、機は一路洋上へと向け飛び立つ。
彼らが到着したのは、高杉艦隊旗艦の健御雷へと到着する。
健御雷
前原「お久しぶりです!」
高杉「ご苦労だったな」
みほ「絹代さんに高杉さん!」
絹代「お元気そうで何よりです。西住隊長に前原司令官、ようこそ我が健御雷へ!」
前原「それにしても、7万8000tはでかいですな…!」
みほ「絹代さんが艦長をやってるんでしたよね。凄いです!」
絹代「いや〜恥ずかしいですな」
高杉「はっはははw田舎の小学校ぐらいなら、二校同時に運動会ができる。二人はこの艦は初めてだったか?」
前原「は、潜望鏡で見たことはありますが」
絹代「貴方方でよかったです。敵なら容赦なくやらせてもらってました!」
高杉「そういや西住、お前さんに客人がおる」
みほ「私に…?」
するとその時だった。
優花里「あっ‼︎居ました!西住殿ぉー‼︎」
声のする方は顔を向けると
みほ「あっ優花里さ…えっ⁉︎」
優花里の側には友達でもあり、ライバルでもある彼女が居た。
愛里寿「みほさん!」
みほ「愛里寿ちゃん⁉︎」
艦内 司令官休憩室
前原「電報を頂き、取るものも取り駆けつけました……しかし、まさかこんなことになるとは…」
みほ「びっくりしました…愛里寿ちゃんがこの世界にいるなんて」
優花里「島田殿は所属のチームと一緒に、この世界へやってきたそうです」
西「ですが、それも丁度お二人が印度洋で本格的に活動を始めた頃だったので」
愛里寿「みほさんが居なくなってから私、ショックだったけどまた会えて嬉しい…!」
みほ「愛里寿ちゃん…」
高杉「しかしこの嬢ちゃん、船酔いに弱いのにお前さんに会いたいって聞かなくてな。長門に継続のミカ?…とやらだったか、そいつと一緒に来よった。」
前原「ほぉ」
高杉「兎も角、呼び立ててすまなかったな。軍令部より軍令が届いたのでな、暗号無線でもよかったのだが折角だからな秋山や西、この子にも合わせてはやろうと思ってな」
前原「光栄であります」
高杉は酒を注いで話を切り出す。
高杉「諸君らに転戦命令が出たぞ…と言っても幽霊には命令書が来ない承知の通り、俺と高野総長の特殊暗号による指針だ」
前原「は、それで作戦目標は?」
高杉「南大西洋だ」
前原「南大西洋ですか…?」
西「詳細はよく分かりませんが、総長曰く紺碧島に戻れば分かる…とのことで」
みほ「島に帰れるんですか⁉︎」
優花里「西住殿達も連戦続きでしょうし、補給と休養を兼ねてゆっくりしてきてください」
みほ「でもそれじゃあ私達の任務は誰が…?」
前原「確かに、紅海の封鎖無くば印度洋の安全は無きものなのでは……⁈」
高杉「その心配は無用だ。雲の上で話が着いた様でな、印度洋とその沿岸部が一戦域となり、錫蘭島にマッカーサー元帥が着任する様だ」
前原「すると、高杉艦隊もその指揮下に入るのですか?」
高杉「いや、我々は大西洋へ向かう」
みほ「高杉さん達も…?」
優花里「恐らく西住殿達と共同作戦を取るものと考えられます」
前原「我々と…?」
高杉「世界戦局は極めて流動的だ。これからは米独直接対決の大西洋が、主戦場になるだろう」
前原「分かりました……で紅玉艦隊はどこへ?」
西「まだ最終決定ではありませんが、紅海封鎖作戦に投入される様です」
前原「ここへ来る前、トリンコマリーを見てきましたが米軍で溢れかえっておりました」
高杉「米式物量作戦というやつだな」
前原「ともあれ、貧乏人にとっては金持ちの肩代わりはありがたいものです」
高杉「ふははwその通りだ。この世界は前世ではない、今度は米国が大火傷をしない気でも無い」
前原「自分もそんな気がします、最も根拠の様なものがあるわけではありませんが」
高杉「やはり……」
前原「えぇ…」
二人が妙な予感が走る。
愛里寿「ねぇおじ様」
高杉「ん?どうしたね?」
愛里寿「みほさんと一緒に中を見て回ってもいいですか?今日は船酔いもなくて気分もいいんです」
秋山「あっ!それなら私も!」
西「なら案内役は私が!これでも艦長ですから!」
高杉「はははwあぁ構わんよ」
みほ「ありがとうございます!前原さんそれじゃあまた後で」
前原「あぁ気をつけてな」
四人が部屋を退出し前原と高杉が残った。
すると高杉はまた新たな話題を話す。
高杉「ところでなんだが、実は紺碧島の近くでとんでもないものが発見されたらしい」
前原「とんでもないもの…?なんですか?」
高杉「さぁな、俺も総長に詳しく聞こうと思ったが…それ以上は話せんと返ってきた」
前原「長官でも…」
高杉「うむ…だが総長曰く、それ一つでこの世界戦局そのものを変えかねない代物らしい」
前原「‼︎……そんなものが…」
その後、高杉艦隊を辞した前原とみほ、さらに彼女に着いて行くと言った愛里寿を加え、一同は朝日島へと向かった。
道中、前原は高杉との奇妙な意見の一致を思い出し反芻していた。
そして言い切れぬ不安を拭いきれないでいた。
朝日島
前原「我々が根気よく紅海封鎖を行なった為か、敵潜水艦は主たる作戦目標を大西洋から太平洋へと変えた様だ。今回も我々はこれを阻止しなければならない、獲物は戦艦・空母ではなく地味であるが重大任務だ!ところで我々が得た情報では第三帝国の潜水艦は急速な進化を遂げつつあるらしい、敵の新型潜水艦は優秀だと聞く。これまで我々は無敵であった……がこれから先も無敵であるという保証はない、これまで以上に気を引き締めるよう要請する。さて、当面の我々の行動だが……」
隊員一同が固唾を飲んで見守る……
前原「全員紺碧島へ帰投・休養し、英気を養うこととする!」
それを聞いた隊員達からは喜びの声が上がり笑みが溢れる。
前原「尚、朝日島は当面留守となるので武器弾薬の類は全て積み込み、余った燃料は十分に秘匿し掩蔽すること。以上、解散!」
撤収作業は迅速に進み、一同の心は早紺碧島に向かっていた。
そして翌日 一二五五
紺碧艦隊は故郷紺碧島へ向け、朝日島を出る。
前原「世話になったな、秘密基地朝日島」
島へ向け敬礼すると、前原は艦内へと戻る。
印度洋に於ける、紅海封鎖作戦を終えた紺碧艦隊は古巣の紺碧島へと向かう。それは戦いと戦いの間ではあったが、一時の安明と平和を意味していた。
だがその頃……
照和23年 9月9日
ブルターニュ半島 0600
海岸線上に設置されたトーチカから見張りをしていた独軍兵士が水平線上に敵の大軍を発見、押し寄せてきた大軍の正体は米軍であった。
第三帝国領仏ブルターニュ半島に米軍を中核とする、第一連合軍が上陸。
その規模は将兵17万6千人・船舶4200隻・戦爆輸送機1万4千にも及んだ。
時に照和23年9月9日、後にN DAYと呼ばれる史上最大の上陸作戦の幕は切って落とされた。
日本
首相官邸
高野「本日はやはりブルターニュの件で?」
大高「それもありますが、ブルターニュに上陸した連合軍は猛烈な反撃を受けているそうで」
高野「は、恐らくヒトラーが自ら指揮を取っていると思われます。」
大高「理性の術策からこの短時間で、よく回復できたものです」
高野「総理の戦況判断は如何なものですか…?」
大高「多分……負けると思います。ブルターニュ半島は独本国に近く陸続きで、補給のしやすい第三帝国が有利だと思います。制空・制海権は第三帝国が有利でしょうし、経済も第三帝国の一人勝ちと言っていいはずです」
高野「時期を少し早まりましたな」
大高「そう…ですな」
大高の予想は不幸にして当たっていた。
ブルターニュに上陸した連合軍はその物量に物を言わせ、
一度は侵攻を許しはしたものの、内陸に引き込み反撃を加える巧みな指揮と兵士、そして米軍が初めて本格的に遭遇する独戦車。
中でも第12SS重戦車大隊のミシャエル・ビッターマン中尉は50輌以上もの戦果を上げ、第三帝国の士気を大いに上げていた。
大高「何故アイゼンハワー氏がこの作戦を許可したものか……」
高野「目的は英仏海峡の防衛であり、仏本土開放はなかったはずですが…?」
大高「あれほどの鑑識のお方が、チャーチル卿やドゴール将軍に煽られたとは思えないのですが…次の選挙というファクターを考えて…」
高野「国内事情…次の選挙を有利に戦う為ですか…」
大高「そうです、アイゼンハワー氏は前任から政権を移譲されたという弱点があります。それから印度戦線ですが、近く米派遣軍を中心にロンメル軍を北へ押し戻す作戦を開始します」
高野「総理の狙い通りですな」
大高「狙い通りならいいのですが、予想ならロンメル軍団は北へ押し戻されパミール高原を越える筈、ヒトラーが北点作戦に気付けばロンメル軍をウラル要塞東側に展開させ、スターリンは包囲される」
高野「ロシア人をウラル東方で殲滅するというヒトラーの野望が達成されるわけですな」
大高「そして当方は蒙古高原に独軍を誘い込んで勝つつもりでした。ところが情報部からによりますと、中央亜細亜のイスラム系民族とヒトラーが密約を交わしたそうです」
高野「うーむ…勝ち馬に乗った訳ですね」
大高「蒙古決戦で勝つには、両中国の協力が必要なのですが」
高野「第三帝国は、中華中国への接近も行なっていると聞きますが?」
大高「はい、派閥が二つに分かれ激しい綱引きが行われていると聞きます、対応が不味ければ親独派が一気に台頭する可能性があるわけです…しかしそれにしても…」
高野「何か…?」
大高「ここのところの第三帝国の動きですが、何かが起こっている気がするのです。今までとは違う何かが…!」
大高の予感は当たっていた。
ここで時系列は一ヶ月前まで遡る。
総統宮殿
理性の術策で奇跡的に生き延びたヒトラーは、自身が回復するまでに起きた事態の失態をゲーリングの責任とし、彼は銃殺。
リッペ海軍元帥・ルーデンドルフ参謀長他、陸海軍の上級士官に更迭又は銃殺の前世スターリンも驚きの粛正の嵐が吹き荒れる。
その結果、第三帝国の支配層は世代交代を迎え、新しきエリート集団、血の純血と思想的な信頼を持つ金髪碧眼の総統の息子達と呼ばれる[新貴族]が台頭することとなった。
そして、第三帝国は神聖欧州帝国と名を改めて、ヒトラーは初代皇帝の座に就いた。
ヒトラー「マイントイフェル君、君がOKRの参謀長に就任してから連合軍の侵攻が止まった…いや!押し返している!流石は我が総統の息子随一の天才はあるな」
マイントイフェル「光栄であります!」
ヒトラー「ところで、私にはまだまだ問題が残っている。その一つは東部戦線だ。ウラル要塞に立て篭もるスターリンが目障りだ、それと…」
マイントイフェル「インドの狐将軍…」
ヒトラー「鋭いな」
マイントイフェル「恐れ入ります」
ヒトラー「あの時、老いぼれ共と一緒に処分できればよかったのだが」
マイントイフェル「ロンメル閣下は余りにも国民的英雄であり、兵士達からの人気も絶大であります、故ない処分は陛下とて良策とは言えません」
ヒトラー「うん…その様子だと何か考えがあると見えるが?言ってみたまえ」
マイントイフェル「インド攻略軍司令の任を解き、ウラル要塞攻略に向かわせるのです。ここのところ作戦の失敗が続いてる。閣下、名誉挽回をかけて命をかけて貫徹するでしょう」
ヒトラー「また奴の人気が高くなるではないか…」
マイントイフェル「ロンメル閣下にはウラル要塞攻略の暁に……ボルシェビキとの戦闘で
ヒトラー「!……なるほど、ロンメルを英雄の戦死として遂げてもらうのだな…」
マイントイフェル「御意」
ヒトラー「うむ、それはいい!その様にOKRに命じよう。だがもう一つは……ブリテン南部だ!」
マイントイフェル「チャーチルの号令以降、英国人は必死の抵抗を続けております」
ヒトラー「余はそれを一気に片付ける作戦を立案した」
マイントイフェル「月の兎撃ちであります」
ヒトラー「そうだ‼︎それをもってブリタニアの野蛮人共を一掃してくれる‼︎キィンストン・チャーチル覚悟しておれ‼︎余を手こずらせた貴様をただではおかん‼︎世界征服の踏み台に貴様の内臓をぶちまけ血祭りにしてくれん‼︎……ハァハァ……マイントイフェル君…月の兎撃ちを成功させることが、君のOKR参謀長としての最大の任務だ‼︎」
マイントイフェル「ハイル・ヒットラー‼︎」
大作戦を敢行しブルターニュ半島に上陸した連合軍であったが、内陸への進攻を阻まれ、沿岸部へと押し戻されようとしていた。
英国臨時政府首都 インバネス
チャーチル「だから‼︎ここが正念場だとそう言っておるだろう!米海軍にもそう伝えてくれ‼︎つまり増援だ‼︎ブルターニュにどんどん送ってくれたまえ‼︎」
『それはよく分かっておりますが、無理を言わんで下さい。輸送船もUボートの餌食になってあるのです!我々もできるだけのことはしておるのですぞ!』
煮えたがる様な欧州戦線とは変わって、ここインド戦線でも大きな変化が訪れようとしていた。
マニラからセイロン島へ移ったマッカーサー元帥は、連合軍を指揮。
物量にものを言わせて、ロンメル軍をデカン高原へと押し戻さんとしていた。
そして……
それまでの主役であった熊谷元帥率いる遣印軍は印度南方要塞を引き上げ、密かに満蒙へと移動していた。
さらにここデリーのロンメル軍司令部にも、
独軍インド方面軍デリー総司令部
「OKRは一体どういうつもりでしょう…」
「我がデカン要塞を抜かんと連合軍が企んでいるのは明白です!」
「このような時期に閣下に転戦命令とは何を考えているんだ⁉︎」
「ベルリンでは大粛正が行われて、重要ポストの大半が新貴族と称する者に変わっているそうです。閣下」
ロンメル「つまり机上で作戦を立てるだけの青二才からの命令か……まぁやむを得んだろう、命令は命令だ!」
「しかし閣下…!」
ロンメル「ここのところ、作戦を立て続けに失敗しておるからな。ウラル戦線に飛ばされても文句は言えん」
「しかし…作戦の失敗は全て閣下の責任とばかりでは……」
「全ては熊谷の術策に嵌められた我々の責任です……」
ロンメル「責任は長たる者が取るべきだ。それにこれには総統いや…閣下の意向も多分に含まれている。まぁ物は考えようだぞ。上層部が一掃されたということは、今までの様なゲーリングの妨害も無くなるわけだ」
「ということは……空軍の協力が得られやすくなると?」
ロンメル「そういうことだ」
「ヤーボに悩まれずに済むのか」
「ならばボルシェビキ共など恐るるに足らん‼︎」
ロンメル(とは言ったものの……転戦の裏に隠された真の意味が問題だ…)
変化の波はその周辺にも影響を及ぼす。
欧州より日本を結ぶ白鳳定期便に乗り、ある二人の人物が戻る。
首相官邸
大石「こんな時間にお伺いして、申し訳ありません」
大高「提督こそご苦労様です。それに西住さん、貴方もまた一段と綺麗になられましたな」
まほ「ありがとうございます」
大高「本来なら赤坂辺りで歓迎会をやりたいところですが、生憎と手元不如意でして」
大石「とんでもありません、総理自らの鍋奉行」
まほ「それだけでも十分すぎるほどです」
大高「いやはや、それでは」
大石・まほ「「頂きます」」
鍋を囲んで大石とまほは、大高にある提案を話す。
大石「どうでしょう?」
大高「なるほど、私は賛成ですが後はどうやるか…という実行手段ですな」
まほ「実はもう」
大高「考えておられるのですね?」
大石「はい、作戦計画書にしてこちらに来る前、軍令部に寄り高野総長に渡してあります」
大高「‼︎…あっははw手も足いいですな、高野さんもさぞ戸惑ったことでしょう」
まほ「同意を頂けなかったらどうしようかと、結構冷や汗ものでしたがありがとうございます」
大高「後世日本の強みはここにあります。この戦いは私一人の力ではどうにもなりません、皆が一人一人戦局をも考え独創的な案を出す。感謝するのは私の方です」
大石「身に余るお言葉です」
翌日
海軍省
高野「昨日渡された作戦計画書だが、自宅に持ち帰りじっくり読ませてもらった」
大石「如何でしたか?」
高野「よくできている。君達の勘が的中するなら、ヒトラーに一泡吹かせられるだろう」
まほ「許可を頂けますか?」
高野「あぁやりたまえ」
大石「ありがとうございます。二人して日本まできた甲斐がありました」
高野「ただし軍令部としては表立って許可とはいかん」
大石「分かっております」
まほ「マッキントシュ参謀長引いてはアメリカ国防省をも欺く程のものですから」
高野「俺はこれを見なかったことにするぞ」
大石「無論です。俺の独断ということになります」
高野「まぁた俺は言い訳を考えておかねばならんなぁ」
まほ「ご迷惑をおかけします」
大石「それといかが早いのですが、本作戦終了後は我が艦隊は作戦行動を北大西洋から南大西洋へと転じたく思います」
高野「…狙いは通商破壊か?」
大石「はい、そこで豪州に補給拠点を築く許可を取り付けられないかと」
高野「この後世世界では日豪は友好国だから可能だが、時間は掛かるぞ」
まほ「実はこの事に関しては昨夜、大高総理にお会いして既に外交ルートは取り付けてあります」
高野「相変わらず喰えんな君らは、いいだろう」
大石「再びですが、ありがとうございます」
高野「おぉ」
大石「ところで、最近紺碧艦隊の噂を聞きませんが、前原はどうしておりますか?」
高野「ほぉ知っておるのか?」
大石「兵学校で教師をしていた頃の生徒の一人で、開戦前に会って以来で妙に気になる男でした」
高野「そうか、その名前ここ以外で口にすると拘束されるぞ」
まほ「そうなのですか?それじゃあみほも…」
高野「今は富嶽太郎画伯と助手の武山華子だが、彼らは今秘密の作戦計画の準備中だ」
大石「秘密の…」
まほ「作戦計画…?」
高野「口外無用だ。太極計画という」
大石「太極計画…」
高野「太郎の太と北極の極で、古来中国より伝わる風水学の用語で中心を意味する」
大石「面白そうですな」
高野「そうだな…いずれは君達も関わることになるだろうが……今はまだ詳しくは話せんが、彼らは今東奔西走飛び回っている」
そしてこの年も秋から冬へ……
本州に雪が降る頃、前原とみほ、愛里寿の三人の姿は室蘭にあった。
降り積もった雪の上を歩き、三人はある場所に来ていた。
愛里寿「寒いぃ〜」
みほ「夏はいいけど…こっちの冬ってすごく厳しいと思います」
前原「ははw二人とも頑張れ」
検問所を通り、トンネルへと入るとある施設へと続いていた。
品川「お待ちしておりました。司令に西住さんそれに島田さん」
みほ「品川さん」
前原「品川先任早速だが、頼めるか?」
品川「はっ、この地下ドックは九割方工事を終えております。それでも
前原「そうか、終わったら彼らにたっぷりと休みを与えねばな。ところで、亀天の進捗状況はどうか?」
品川「艤装員が乗り込み、既に試験も終わっております。後は潜水試験などの航試を終えれば…」
前原「予定日は?」
品川「紺碧島の乗員の到着次第」
エレベーターでさらに地下へ降り、制御室へ入りドックの全貌を目にする。
前原「おぉ…!」
愛里寿「わぁぁ!」
みほ「これが…亀天……‼︎」
外には多くの作業員達が各所で作業をしており、そのされている三胴型に近い外観を持つものが亀天であった。そして……
品川「司令、奥の方を」
前原が顔を上げた視線の先に亀天を超える異形の姿があった。
愛里寿「……‼︎」
みほ「前原さん…もしかしてあれが……‼︎」
前原「あぁ……俺も実物は初めて見たよ…」
そこには艦首に備えた巨大ドリル、大口径の四連装砲が三基などと様々な武装や特徴的な外観を持つ艦……それこそ……‼︎
前原「海底軍艦……ラ號…‼︎」
第11話 新たな局面です! 〜終〜 次回へと続く