ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達  〜碧き海の世界の物語〜   作:短号司令官

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最後にアンケートを置いておくので宜しかったら是非そちらもお願いします。



第12話 満州でこそこそ作戦です…!

 

都内 料亭 神田

 

大高「そうですか、お二人はもう戻られましたか」

 

高野「大石は現場の好きな男です。今頃はイーサフィヨルズに帰着し、二人して作戦準備に入ってるでしょう」

 

大高「第三帝国いや、今や神聖欧州帝国ですか。総統いやいや、ヒトラー皇帝も手強い男を敵に回したものです」

 

高野「はははw、そんな他人事の様にw」

 

大高「はははw、いやごもっとも」

 

高野「しかし、あの男は敵に回すと不気味で恐ろしい男です」

 

大高「そんな人に、まほさんはよく懐いてらっしゃる。我が海軍で良かったと思います」

 

高野「本人達にそう伝えます」

 

熱燗を一口飲むと、大高はある事を言い出す。

 

大高「はぁ…それにしても、あの日から随分と時が流れましたな」

 

高野「後世世界も、今や照和24年です」

 

大高「開戦、そして西住さん達にお会いしてから足掛け九年…今夜の様に酒を酌み交わした事を思い出しますなぁ…」

 

 

夕食を済ませて、後にしようとした際、大高は待ち構えていた記者団に取材を受ける。

そこで大高はアメリカとの貿易協定や新たに道州制から連邦制へ移行した事、また国内に限るが学園艦の存在公開など様々な質問を受けた。

 

 

大高「記者諸君も大変ですなぁ」

 

高野「お断りになってもいいのでは?」

 

大高「そうはいきません。国民の問いには出来るだけ応えます」

 

高野「成程」

 

 

二人を乗せた車は都内を走る。

 

高野「ところで例の計画ですが……海軍としてはあれを前提として、今後の作戦計画を練っていきたいのですが」

 

大高「結構です。陸軍は既にその計画に沿っております」

 

高野「分かりました。では我々海軍もその様に。ところで豪州政府との交渉はどうなっておりますか?」

 

大高「上手くいく筈です、あっここで止めてくれたまえ」

 

車両は道端に寄り停車する。

 

大高「官邸まで歩いて行きたいのですが、付き合っていただけますか?」

 

高野「お供します」

 

二人は車を降りて夜の都内を歩く。

 

高野「豪州はフィリピンとともに、マッカーサー元帥率いる印度方面軍の重要な支援拠点です」

 

大高「例えユーラシア全大陸がナチ化したとしても、太平洋の島々・豪州大陸は別ですからな、特に米国はこれを注視し工業都市が進出しつつあります」

 

高野「しかし、これからのことを考えると…我が国民には想像を絶する苦難が待ち受けているのでしょうか……?」

 

大高「かもしれません。前世の償いを全部の国民で成すのであれば、やむを得ません……国民は覚悟していただけるか…我が身を投げ出してでも助けようとする自己犠牲の精神……そういう無言の行いこそ、世界の国民から信頼を得られるのだと思いますが…」

 

高野「我々軍人だけの犠牲で済みませんでしょうか…?」

 

大高「必ずしも全国民が背負う必要があるとは言いませんが、その覚悟だけは持ってもらいたい」

 

高野「はい…」

 

大高「故に我々は断固として勝つのではなく、負けてみせます」

 

高野「総理の持論、そして最終戦略…負けるが勝ちの大戦略ですな」

 

高野「おっと、もう耳にタコでしたかな?」

 

「「はははw」」

 

決意新たに両雄は明るく笑う。

己を虚しくし、志を同じとする者は両雄とも孤独ではない…だが……

世界の覇王たらん者は己の野心以外に頼るものはなく、その栄養はただ勝利のみ……

 

 

ベルリン宮殿

 

ヒトラー「英国侵略…月の兎撃ち作戦…これの最大の邪魔者は旭日艦隊……これをどうする……おのれ‼︎アドミラルオオイシ‼︎インド方面は良い!クマガイが去った今、マッカーサーでは要塞化したデカン高原を抜くことは出来まい…東部ウラル戦線……スターリンめウラル要塞に篭って粘っておるな……それも時間の問題だ!…ロンメルが行くぞ…ロンメル装甲軍団が…‼︎ウラル要塞など崩壊させてやる‼︎スターリン貴様の命運もこれまでだ‼︎スラブもアラブも我が帝国に平伏するのだ‼︎はっははっはw!そしてロンメル貴様もだ‼︎お役御免の暁には帝国を挙げて英雄として葬り去ってやる!」

 

 

 

その先にある運命を知ってか知らずか、覇王の野心を背負ってロンメルはパミール高原を行く。

タシケントへと抜かんと、ロンメル軍団は猛攻を加える。さらにはこれまで要請できなかった航空支援により、猛烈さは今まで以上に増す。

 

一方で、ソ連軍は余りの恐ろしさに逃げ出すも味方の攻撃より容赦なく撃ち殺され、戦車軍団も歯が立たずにやられていった。

 

これに呼応する様に、欧州帝国東部方面軍もウラル要塞へと進撃を開始した。

 

 

ウラル永久要塞

 

スターリン「なにぃ⁈ロンメルが⁉︎」

 

「はっ…同志スターリン、ロンメル軍団はパミール高原を抜かんとタシケントへ向け侵攻中です。また欧州方面でもナチスの攻撃が開始されました」

 

スターリン「うぅ…‼︎ファシスト共め……‼︎」

 

「如何致しますか、同志スターリン…」

 

スターリン「なんだと⁈死守するのだ‼︎母なる祖国を最後の一兵まで守り抜くのだ‼︎ロシアの地を愛国者の血で守るのだ‼︎」

 

 

 

 

所変わって……

 

 

 

日本国 首都東京

 

首相官邸

 

大高は趣味の囲碁を縁側で日向ぼっこをしながら勤しんでいたその時だった。

電話の呼び鈴が鳴り響いた。

 

大高「ん?おい、電話だぞ」

 

呼びかけても誰からの返事もなく、呼び鈴が鳴り響くだけだった。

 

大高「おーい?おっ!今日はみんな出かけているのか」

 

自宅に居るのが自分だけだというのを忘れていた大高は、急ぎ受話器を取る。

 

大高「はい……私だ……あぁ桂君か……いや、今日は日曜だから誰もおらんのだよ……」

 

桂『せっかくのお休みの所申し訳ないのですが、これから伺っても宜しいでしょうか?』

 

大高「緊急の用ですか?」

 

桂『ロンメルが動き出しました』

 

大高「遂に動き出しましたか!分かりました。こちらから出向きます!」

 

大高は急いで支度を済ませると、陸軍部へと急ぐ。

 

 

大本営陸軍部

 

桂「お休みの所、申し訳ありません」

 

大高「なんの」

 

桂「直ちに満蒙軍に出動待機命令を出したいと思います」

 

大高「いよいよですな……」

 

 

作戦室

 

桂「以上のことから、マッカーサー元帥といえど、デカンを抜くのは今年いっぱい…いや、それ以上かと……」

 

大高「そうなると、ロンメルは背後を突かれることなく、パミール高原を越えられるな…」

 

桂「彼らはアレキサンダー作戦と名付けおるそうです」

 

大高「進撃路の機甲地点を特定できるか?」

 

桂「タシケント…と見て間違いないと思いますが、その先はまだ…総理はどのように?」

 

大高「進撃路は一つでは無いだろうが、タシケントに司令部を置き根拠地…補給地点を数多に分けて揮下の軍団を進める…」

 

桂「攻撃目標は?」

 

大高「ガラガンダを落とす筈だ。鉄道がサマルカンドからプハラ、アシカバードを経由し、カスピ海へと到達している。さらに海上を渡れば、豊富な油田地帯のバクーがある。このバクーからコーカサス山脈を通れば黒海の港ヤルタに至り、南方に渡ればバツーミに達する」

 

「既にこの辺りは、欧州帝国の支配下にあります」

 

「補給路の確立が完璧になります」

 

桂「東機関からの報告では、軍用列車が次々に東へと向かっているそうです」

 

大高「常識的に考えて長すぎる補給路だから、常時大量の補給が必要だ。だが問題はスターリン軍だ」

 

「もし、ガラガンダをロンメルに抑えられたら…」

 

「スターリンの命運は尽きます。神なき苦しみに耐えるイスラム系住民が、ヒトラーに加担するのは目に見えています!」

 

大高「さて…どうするかだ、人民中国の出方が問題だ」

 

その人民中国は、欧州帝国の足音が近づいているのを察し、既に大動員令がかけられ西部方面は持てる戦力で固められつつあった。

 

 

陸軍部を後にした大高は、その足である人物の下へと向かった。

彼が訪ねた先にいたのは、丸髪に太い眉毛で大柄な体格の男がいた。

 

「これは総理…!」

 

庭仕事の途中のところを大高は訪ねた。

 

大高「お邪魔しますぞ」

 

副総理 西郷南州

「ロンメルが動いたそうですな、いよいよ来るべき時が来ましたか」

 

大高「はい、各機関が総力を上げて情報収集に努めております」

 

西郷「中国の動向が気になりますな」

 

大高「そうですな」

 

西郷「人民中国はチベットに親独政権ができることに神経質になっておるでしょうからな」

 

大高「この世界の満州国は工業化が進み、中国大陸は三極化が進んでおります。人民中国・中華中国のみならず、全亜細亜の経済発展の機関車になっているのが満州国です」

 

西郷「前世はともかく、この後世満州国は実験国家であり成功しておりますな」

 

大高「うむ、満州国の主力人種は満州人と中国人です。そこに欧州からの亡命者と日本からの入植者の加わった共生国家ですが、日本人の比率は5%にも満たない少数派です、黒子に徹している姿勢が両中国にも認められている証拠です」

 

西郷「その信頼、裏切れませんな」

 

大高「はい、しかしこの亜細亜発展の基盤国となっている満州国ですが、欧州帝国に摂関される様なことになると…亜細亜は壊滅してしまいます」

 

西郷「現在、蒙古高原全域にある要塞で防ぎきれるでしょうか?」

 

大高「正直なところ……断言はしかねます……しかし私の見たところ、スターリンのウラル要塞は春までに落ちます。その前に満蒙要塞を己が目で視察しておきたいと思いましてな」

 

西郷「総理……もしや総理は……」

 

西郷には、大高が何を考えているかが分かったが、その先を言わなかった。

 

大高「私は明日から、箱根に静養に出かけることになっております」

 

西郷「……分かりもした。留守中はしっかりと国政を預かりますので、ご安心ください」

 

大高「よろしくお願いします」

 

 

 

それから三日後、何処をどう報道陣の目をくらましたものか、下関と釜山を結ぶ連絡船に一民間人に姿をくらました大高と前原、みほと愛里寿の姿があった。

 

船旅七時間余り、翌朝から四人は一昼夜かけて列車に乗り奉天へと到着する。

大陸横断列車亜細亜号にて、その日の午後には満州国の首都へと向かった。

到着後、東機関の本郷義昭少佐に出迎えられ、流石にここからは大陸の事情に精通した案内がいる。

 

翌日一行は、再び亜細亜号に乗りハルピンを目指す。

ハルピンから通常列車に乗り換えた一行は、ハイラルを目指す。

 

大高「ここは見渡す限りの大平原ですなぁ」

 

本郷「この地域は広大な砂金の産地として知られていますから、かつてはあらゆる犯罪が横行しており、不法地帯ともいうべき地域でした」

 

前原「十数年前まで、列車ごと馬賊の集団に襲われていたと聞きますが」

 

本郷「はい、ですがもちろん今はそんな事はありませんが」

 

みほ「よかった…」

 

愛里寿「襲われたらボコが見られなくなっちゃうかと思った……」

 

みほ「確かに…!」

 

三人「「「ボコ?」」」

 

ハイラルから満州里までは僅か数十km、まさにここは満蒙国境の地である。

 

大高弥三郎の満蒙視察は上空から始まった。

 

一式陸攻

 

大高「工業化した満州国は、強力な後方支援基地となる。しかし欧州帝国軍の後方は、無人の荒野だ」

 

前原「広大な空間に敵を引き入れ撹乱、補給路を断ち、神出鬼没の攻撃を繰り返し各個撃破を計る…ですか」

 

大高「うむ」

 

 

だがその頃、ユーラシア大陸の西側では……

 

ヒトラー『忠勇なる全軍勇士諸君、今海に空に鋼の勇気を持ち、その崇高なる使命を果たさんとしている諸君、神聖欧州帝国皇帝の名に於いて月の兎撃ち作戦の発動をここに宣言する‼︎』

 

遂に英国侵略作戦、月の兎撃ち作戦の発動を命じたヒトラーであったが、

その胸には一抹の不安が蟠ってていた…それは大石長官率いる旭日艦隊の動きであった?

 

 

日本武尊

 

旭日艦隊参謀長 原元辰

「長官、このままでは英国本土は……」

 

大石「分かっている。我々は今、レイキャビックの連合軍司令部の指揮系統に組み込まれている。そうそう勝手に動く事はできんよ」

 

「確かに、独断先行をやった理性の術策がありましたから…」

 

原「これ以上は、外交上の問題も大きいとは思います。しかし……」

 

大石「まぁこの海域の輸送路の確保も、独軍を牽制する上では重要な戦略だ。だが……」(計画はある…やるなら今だが…)

 

原(長官……)

 

まほ「大石さん、貴方は忘れたんですか⁉︎私達旭日艦隊の目的を‼︎」

 

原「西住くん…!」

 

まほ「私達の目的は、イギリスの支援でしょう⁈ここでただアメリカの言いなりになるままでいいんですか⁉︎何かを犠牲にしてでもやらなければならないことがあると、私に教えたのは貴方でしょう⁉︎」

 

大石「……ふっ…お前には敵わんよ」

 

まほ「‼︎…大石さん!」

 

大石「責任は俺が取る!直ちに全艦に通達!」

 

日本武尊艦長 富森正因

「長官、米第6艦隊スコット司令より入電です」

 

大石「なんと言ってきた?」

 

まほ「こんなときに…」

 

富森「は、"宛旭日艦隊 船団護衛ノ任ヲ解ク 貴艦隊ハ 弾薬補給ニ一時帰投サレタシ"…です」

 

原「妙ですね、弾薬ならまだ十分に…」

 

大石「返信、"貴官ノ厚意ニ 感謝スルト共ニ 信頼ニ応エルコトニ 確約ス"以上だ」

 

更に続けて指揮を出す。

 

大石「全艦隊、進路を英国本土へ変更、第三戦速」

 

原「航海長、進路を決定せよ‼︎」

 

「宜候‼︎」

 

米第6艦隊は、昨年のニルバーナ作戦時に独断先行中の旭日艦隊に助けられて以来、艦隊司令官スコット大将はレイキャビク連合軍司令部以上に大石に信頼の念を抱いていた。

 

大石『諸君、援英艦隊として派遣されてきた我々が、今再び命を懸ける時がきた!我々が戦う理由は一に義である、即ち義教師!自らが苦しい時、より苦しい者を助けて、そのとき真の友が得られるのだ。その為に、我々は率先して世界の友の為に尽くそうではないか!そここそ本艦隊の意義がある。武運は我らにあり!』

 

 

 

 

その頃大高総理一行は、ここバイカル湖のほとりにあった。

 

本郷「このバイカル湖の反対側にあるイルクーツクは、ソ連の工業都市でウラル要塞に立て篭もるスターリン軍にとっては重要な補給地点です」

 

みほ「でもウラル要塞は、もういつ陥落してもおかしくないんですよね…?」

 

大高「トロッキー氏を主班とする臨時政府を置くにはどこが良いだろうか…?」

 

本郷「いよいよ計画実施ですか⁉︎」

 

大高「準備をし始めたとして、早くはないだろう」

 

前原「??」

 

愛里寿「みほさん、誰トロッキーって?」

 

みほ「ううん…私も分かんない…」

 

大高(全てはあの御仁の人徳にかかっている……)

 

 

やがて一行はウランバートルへ到着、視察も大詰めを迎えていた。

大使館にて一晩休息の後、コビ砂漠そここそが大高の考える満蒙決戦の地であった。

 

前原「護衛戦闘機付きですか」

 

本郷「万が一の為に用意しました」

 

大高「そうか、済まない。前原少将それと西住さんと島田さん、これを見てほしい」

 

大高は三人に一つの地図を渡す。

 

前原「地図ですか?」

 

大高「蒙古決戦を想定して作られた機密地図です」

 

みほ「へぇー」

 

大高「少将、砂漠とは海の様ではないか、そう見えませんか?」

 

前原「……‼︎なるほど!自分にも総理の発想が読めてきました!」

 

愛里寿「え?どういうことですか?」

 

みほ「よく分からないんですけど…?」

 

大高「中国には寛海という言葉が有り、特にゴビ砂漠を指していうそうだが、寛は広いを意味して海は海を意味する」

 

本郷「中国では大砂漠を海として捉えるわけですか……あぁ!それで前原少将を!」

 

大高「そういう事だ。で私は蒙古決戦を行うなら、それは陸戦ではなく海戦であると発想したのだ。海上に戦線を引くのが不可能な様に、中国のような広大な地域に戦線の意味はないと考えたのだ!そこで私は、蒙古決戦では戦線形成は行わないことにしたのだ」

 

みほ「そう言われると…なんだか分かってきました!」

 

大高「それと、西住さんと島田さんにもあることをお伺いしたいのです」

 

愛里寿「なんですか?」

 

大高「貴方方は戦車道で戦線を形成せず、チーム戦で勝敗を決すると聞きまして、そこから蒙古決戦での戦術に何かヒントを得られないかと思い、来ていただいたのです」

 

みほ「そういう事だったんですか⁉︎」

 

前原「おぉ、それならみほ達を連れてきた甲斐がありました」

 

大高「私なんかより、若く柔軟な発想を出される西住さんと島田さんならどう戦いますか?」

 

みほ「広大な地域だと、それだけ部隊を広く大きく展開する必要があると考えるんですけど、それだと部隊と部隊の間に隙間ができると思うんです」

 

愛里寿「そこから、少数の部隊を侵入させて、敵の背後に回り込んで退路を遮断して挟撃すると思います」

 

みほ「でもこれは一例に過ぎませんし、かなり危険です」

 

大高「いえ、それだけでも十分です」

 

前原「自分も賛同できます」

 

大高「よかった、海軍作戦に強い少将と戦術に長けたお二人を連れてきてよかった。陸式ではなく海洋国家の発想を取り入れることで、敵には想像もつかない戦術が発生するのでないかと思ったのです。これが私の戦略的意図と発想になる」

 

前原「ところで、この赤い点はなんですか?」

 

大高「秘匿偵察基地です」

 

前原「随分あるようですな」

 

大高「二百は超えます。すまんがちょっと、第百五十二基地に寄ってくれ!上空を旋回するだけでいい!」

 

「分かりました‼︎」

 

 

一行が向かった先には、特に基地らしきものは見当たらなかった。

 

 

大高「何か見えるかね?」

 

前原「遊牧民のゲルと水溜りですが?」

 

愛里寿「後、羊小屋みたいなのが見えます」

 

みほ「それ以外は何も見えません」

 

大高「本郷君、三人にも見分けがつかん様だぞ」

 

本郷「航空偵察ではまず無理でしょう」

 

前原「では、あれが秘密基地ですか⁉︎」

 

大高「羊小屋があると言ったが、囲いの中が滑走路で小屋が格納庫だ」

 

みほ「じゃあ、外れにあるゲルが寝泊まりするところですか?」

 

大高「そうです。各基地に電探搭載機を一、二機と輸送機を一機配備し、哨戒範囲を広げ敵の動向を探る!通報を受けるや否や満州の基地から攻撃機が飛び立つ」

 

前原「なるほど先に見つけた方が勝つ、()()が主力基地となるわけですね?」

 

 

 

その後、一行は北京へ

大高の視察旅行も終わろうとしていたが、今回の視察にはもう一つの大きな意味があった。

車が着いたのは、市内の豪壮な邸宅であった。

その佇まいから、政府関係や領事館の類ではない。

そこから一人の男が出迎える。

 

「老師、遠路遥々よくぞ来てくれた」

 

大高「お元気そうで、閣下」

 

「長旅の由さぞお疲れでしょう、さっどうぞ」

 

ここはとある貿易商の迎賓用の邸宅であったが、トロッキー氏の亡命用にと東機関が用意した者であった。

 

大高「いよいよ時来たれりであります。トロッキー閣下」

 

トロッキー「同志よ、計画書に沿ってウラル戦線の崩壊を待ち、間髪を容れず我々は新国家を樹立・臨時政府の樹立を世界に宣言したい。首都はハバロフスクと思っております」

 

大高「なるほど、いずれはトロッキー市と改称されるかも知れませんな」

 

トロッキー「いやいや、トロッキー・グラードか」

 

大高「問題は新国家の政治体制でありますが、スターリンの如き全体主義国家にはならんでしょうな?改めて閣下のご決意をお伺いしたい」

 

トロッキー「もとより我が国は、マルクスの意思を正当に受け継いだ国家として建国されます。しかし、従来のソ連型計画計算を廃し、市場経済の雇用を実施いたします」

 

大高「ところで閣下は、やはり世界永久革命を目指されるのですか?」

 

トロッキー「無論です!この世界には抑圧された国家や地域が多くありますからな‼︎……」

 

大高「……お手柔らかに、私は少々柔らかめのファビアン主義者なので」

 

トロッキー「そうでありましたな」

 

「「はははw」」

 

時に厳しく、和やかに会談は進む。

大高の北京到着の夜を含み、会談は3日間にも及んだ。

ソ連スターリン軍崩壊後の道筋は、あらかたの方向が定まった。

 

大高の満蒙視察・会談の間も戦況は進み、ロンメル軍は早パミール高原を抜け、タシケントを目前としていた。

そして連合軍が欧州の命運をかけて敢行したブルターニュ上陸作戦は、独軍による巧みな反撃と封じ込めを受け、上陸地点近辺の橋頭堡の確保がやっと…という状態まで押し戻されていた。

そして翌る日、遂にその一部が突破される。

 

 

一方、大石長官率いる旭日艦隊は、ヒトラーの月の兎撃ち作戦を阻止すべく、作戦の要諦ハンバー河の遡上を敢行せんとしていた。

時は方と刻もその歩みを止めない。

 

 

隠密旅行の最終目的、トロッキー氏との会談を終えた大高は新型軍用輸送機(外観Cー1)に乗り、これまた新鋭戦闘機 光武改(外観F22ラプター)の護衛を受け帝都への帰路へ着く。

 

本郷少佐は本来の任務である東機関の情報収集活動の為、大陸の闇に紛れる。

 

そして前原少将・西住みほ・島田愛里寿の姿は渤海に突き出た半島、旅順港にいた。

つまりここ旅順こそが、前原の真の目的地であったのだ。

旅順に一体、何があるのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第12話 満州でこそこそ作戦です…! 〜終〜 次回へと続く

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