ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達  〜碧き海の世界の物語〜   作:短号司令官

40 / 46
やばい…終わるまで秒読み段階だ……


第17話 逆襲です!

 

モンゴル平原

 

ここに何やら護衛の着いた戦闘機とともに一式陸攻が降り立つ。

 

ロンメル「上空から見たゴビ砂漠は、過酷なこの上なく思えましたが…」

 

大高「この辺りは緑に和んでおります。土も柔らかく壕を掘るのにも適しています」

 

ロンメル「地盤もいい、雨も少なく戦車の運用には堪えませんな」

 

本郷「井戸を掘れば十分な地下水も得られます」 

 

大高「何よりだ」

 

ロンメル「途中で見て来たゴビ砂漠中央部は、草木一本も無い本物の砂漠だった…到底、戦場とはなり得ぬ土地だ」

 

本郷「阿弗利加を思い出しましたか?」

 

ロンメル「はっははwあそこに比べれば天国だよここは」 

 

大高「本物のゴビ砂漠に迷い込めば、敵味方双方とも戦わずして自滅するでしょう」

 

ロンメル「自滅…と…」

 

本郷「つまり、ここに防衛拠点を築くには行動の制限がいると…」

 

大高「そのお通りだが少佐、撤退も不憫だと考えるのは間違いだ」

 

本郷「は?」

 

大高「玉砕するような戦いはせんよ……そう……あれのように」

 

大高は丁度向こう側に見えるある物を指差す。

 

本郷「砂漠の蜃気楼で…ありますか?」

 

ロンメル「ミラージュ……」

 

大高「あのミラージュのように戦います。バイカル湖より東岸に展開する日満東シベリア連合軍は、地形の利を活かして鉄壁の陣を敷いておる。天山山脈に構える人民中国もそうだ。従って最も弱い陣所がここゴビ要塞となる」

 

本郷「はぁ…」

 

大高「モンゴルを堕とし、極東征服を狙うヒトラーをここで阻止せねばならん!それなら敵をしてこの大高を愚将と思わせることなのです」

 

ロンメル「おぉ…」

 

大高「私は蜃気楼のように形を無くしつつ、戦うつもりです」

 

本郷「成程…自分にも見えてきました。つまり孫子のところを…」

 

大高「無形の陣…その通りだ」

 

 

 

 

 

欧州帝国

 

皇帝別荘

 

ヒトラー「諸君、我が欧州帝国は年内を目度に連合軍と講和条約を結ぶ予定だ…しかし!これは千年帝国完成への布石である事をこの席にて宣言しよう!故に和平交渉が本格化する前に、敵の対抗を排し帝国の占領地域を拡大しておかなければならない、計画は既に動いており軍団を四方に派遣する!アジアに!英国に!アイスランドに!アフリカではイタリアと協力しエチオピアから南下し、南アメリカを含む全大陸を占領する!無論マダガスカル島の奪回作戦も実施する!」

 

「「世界を我らの手に‼︎」」

 

ヒトラー「諸君!我が千年帝国に乾杯しようではないか!」

 

「「ハイル・ヒットラー‼︎」」

 

ヒトラー(そして旭日艦隊…アドミラル・オオイシ!今度こそ貴様を地獄に叩き落としてやる‼︎)

 

 

 

 

対する連合軍もマダガスカル島防衛の重要性は熟知しているところである。

 

マダガスカル島 タマターヴ港

 

 

折から、大西洋から回航された高杉艦隊がマダガスカル島・タマターヴ港に入港する。

 

連合軍司令部

 

「アドミラルタカスギ・カワサキ両将が参られました!」

 

マッカーサー「ようこそ!タカスギ・カワサキ両司令官」

 

二人はこの日、セイロン島より移動して来た連合軍のマッカーサーの下を訪れていた。

 

高杉「元帥もやはり、講和は一時的なものと見ているのですな?」

 

マッカーサー「無論です。恐らくオオタカ閣下もそう考えておられるでしょう」

 

川崎「つまり…この後に第三次世界大戦もある…とお考えなのですな?」

 

マッカーサー「うむ、先のことを考えるならこのマダガスカル島は絶対に敵の手に渡してはならない」

 

川崎「阿弗利加大陸への足掛かりと反抗の拠点ですな?」

 

マッカーサー「その通りだ!いや…マダガスカル島のみならず、アフリカ東部も敵に渡してはならない、その為にも米・英・加他50万超す兵力をこの島に集めている」

 

高杉「アイスランド島に関しては如何ですか?」

 

マッカーサー「無論死守する!英国諸島ではスコットランドもアイルランドも守る!これは戦略の喝采です」

 

高杉「かつ!印度亜もですな?」

 

マッカーサー「無論です!インドの確保無くば反抗計画は成り立たない!」

 

川崎「さらにユーラシア東部には東シベリア共和国があり、満蒙は中国とともに守る…ですな?」

 

高杉「そういう世界地政学的な戦略・構想維持ができれば、例え南米の第三帝国化が進もうとも第三帝国包囲網が出来上がります」

 

マッカーサー「鋭いですな!しかしヒトラーにとっても同じことです。彼もまた合衆国包囲網を達成する事になる。合衆国にとってこの停戦は極めて不本意なものであり、我々と日本の同盟も不可欠になる!」

 

川崎「太平洋の確保無くば、貴国の安全確保は難しい…と」

 

マッカーサー「同じく日本を含めたアジアの安全もまた…我が国の協力無くば難しい」

 

高杉「休戦後……つまり講和が破られた時、太平洋・大西洋の戦いになります!印度亜洋の確保が第三次世界大戦の帰趨を決める…ということですな」

 

マッカーサー「それ故、東部ケニアからナンガ連邦における英国十字架決戦、秘匿名称"草原のライオン"が運命を決めるのだ。つまり東部アフリカを敵に渡しての停戦は絶対にあり得ない!これが私の結論だ」

 

両雄は互いの顔を見て頷く、この後も会談を続き……

 

高杉「これで決まりだ。我々もここでの作戦に参加する」

 

川崎「それはいいが、紅玉艦隊はもういかんぞ。主力艦は沈められたし、旧式の残存艦では海上護衛任務がいいところだ」

 

高杉「分かっておる、健御雷二番艦 健御名方に旧式で悪いが、駆逐戦隊と後で旭日艦隊の分遣隊も付ける。艦隊決戦にはちと足りぬが、船団護衛と対地支援任務には十分だろう。印度亜洋で使ってくれ」

 

川崎「ありがたい…!謹んで指揮を取らせてもらう」

 

高杉「頼む!大西洋の連中はもっと厳しいだろうからな……」

 

 

マッカーサーの戦略論は、大西洋を守る大石の下へも届けられていた。

 

 

大西洋

 

日本武尊

 

大石「予想はしていたが、米国の世論がそれほど厳しいとはな…」

 

「南米進行軍壊滅は、米政権に大きなダメージを与えております」

 

まほ「ですが、独第1・第3艦隊の戦功は米軍に譲ることで話が収まった筈では?」

 

「やはり損害が多すぎました。ワシントンでは反戦デモというものも起きております」

 

大石「あの国は国民世論を大事にする国だからな。大統領も針の筵だろうが……前衛遊撃艦隊を印度亜洋に出すことは、こちらとしても痛い」

 

「そこを曲げて……と高野総長や高杉長官からのお願いです」

 

大石「"草原のライオン作戦"の重要度も分かるし、何より先輩達からの要請だ。艦隊を出すのは構わんが、残った戦力でスコットランドを守りきるのは難しいぞ」

 

「はぃ……」

 

丁度そのタイミングだった。

 

「長官、暗号通信です!」

 

まほ「何処からだ?」

 

「キ連奏です」

 

大石「待ち人来たる…だな…」

 

電文を受け取り、黙読した大石。

 

大石「いずれ南大西洋は、ハーケンクロイツラインによって封鎖されるだろう」

 

「では日本武尊以下、司令艦隊が残るとなると大西洋からの脱出は困難になるのでは…?」

 

大石「そこがつけ目だ、敢えて居残りをする…その旨総長に伝えてくれ」

 

「はっ!」

 

大石「それから帰途米国に立ち寄った折、記者会見を開き、俺はメッセージを読み上げてもらいたい」

 

「は?」

 

大石「大団円近づいた今、米国の記者諸君をパーティに招待する」

 

「この船に従軍記者を…⁉︎」

 

大石「安全の保証はしない!たっぷりと保険に入ってくるよう伝えることを忘れずに」

 

「そんな保険を受ける会社はありません。狙いはなんでありますか?」

 

大石「今に分かる、大高・高野両氏なら分かるはずだ」

 

「はっ!」

 

連絡員はそのまま大石からのメッセージを受け取り米国へと向かった後……

 

 

 

先程のキ音の連奏は、ラ號の識別符牒である。

 

南大西洋にて、前原らは再び大石達との会合を果たした。

 

タラップから上がる二人を大石とまほが出迎える。

 

大石「亀に乗り、浦島太郎の到着か…」

 

前原「長官!」

 

大石「ラ號の活躍は、高杉長官から聞いているぞ」

 

まほ「よく来てくれたな、みほ」

 

みほ「また会ったねお姉ちゃん」

 

前原「大石長官とまた一緒に仕事ができて光栄です」

 

大石「それは俺の台詞だ!はははw」

 

前原「ところでどうですか?初めて見たラ號は」

 

大石「あぁ…凄いの一言に尽きるよ…この日本武尊もそうだが、それとはまた違った迫力と質量それに……懐かしさも何処か感じるよ」

 

まほ「…よかったですね」

 

大石「うん、ともあれまた四人で奇策でも考えるか」

 

前原「はい!」

 

両雄・姉妹南大西洋に集う、しかし……大西洋の守護神・大石長官打倒に執拗なる執念を燃やすヒトラーの牙が、今向けられようとしていた。

 

 

 

 

北アフリカ モーリタニア基地

 

管制塔から整備の様子を伺うマイントイフェルの下へ、ヒトラーからの直通電話がかかってくる。

 

ヒトラー『マイントイフェル君、超重駆逐爆撃機 アースの状況はどうかね?』

 

マイントイフェル「陛下の獰猛なる鉄の鷲共は、皇帝陛下の御命令を待ち、準備万端整っております」

 

ヒトラー『よかろう、機は熟した。弓は引き絞られた、後は放つのみ』

 

マイントイフェル「鷲を放つのは、こちらで決めてもよろしいでしょうか?」

 

ヒトラー『任せる』

 

それを聞いた彼は受話器を降ろす。

 

マイントイフェル「これよりアース飛行大隊は、24時間飛行態勢に入る。ヤマトタケルを発見次第、攻撃を敢行する!」

 

「「はっ!」」

 

 

そしてまた、

 

ヒトラー「ふっふふふw時来たれり、モンゴル侵攻軍に余の命令を出したまえ。全軍団満蒙に突入せよ‼︎」

 

 

 

マイントイフェル「そうだ…地中海第2・第4艦隊に出撃命令をだせ!……そうだ、例の作戦だ…作戦名"神々の黄昏れ"を決行する時が来た…!全速で目的地へ向かえ‼︎」

 

 

 

ヒトラー「ふっふふw」(第2・第4艦隊を生贄にしてヤマトタケルを葬り去り、大西洋の制海権を我が手に…!講和の前に鉄十字の鎌を完成させるのだ!)

 

 

 

 

 

 

その生贄となる地中海第4艦隊を旭日艦隊所属ア号02潜が捉らえる。

ア号潜からの情報は、南大西洋上の大石長官の下へと送られた。

 

日本武尊

 

大石「敵の艦隊は阿弗利加西海岸に沿って南下中だ」

 

原「いつものコースですな」

 

大石「地上基地空軍の援護を期待しているのだろう」

 

まほ「でも…囮…とは考えられませんか?」

 

大石「大いに考えうる」

 

第一遊撃打撃艦隊司令 牧野好祥

「いずれにしても、時間が経つに連れ戦機を逸し我々が不利になる」

 

大石「その通りだが、貴方には重大な任務がある」

 

牧野「私に…?」

 

大石「軍令部の要請で、前衛遊撃艦隊と共に印度亜洋に行ってもらう」

 

牧野「はっ!…しかし…」

 

原「ではその前に、仕掛けますか早速!」

 

大石「うむ、行ってみよう。どうだ?ラ號に先行を頼めるか?」

 

前原「はい、やります」

 

大石「何か案はないか?」

 

前原「そうですな……敵艦隊の進路からして、次の停泊地はダクラ」

 

まほ「そこには、ア04潜が張り付いています」

 

前原「そうですか、なら…"火遁の術 油地獄"というのはどうでしょう?」

 

大石「ほぉ…些か時代がかった命名だな」

 

まほ「なら、それをみほに着けさせたらどうです?みほ」

 

みほ「うぇぇ!?……えっと……火炙り作戦…?いや…メラメラ作戦……燻製作戦……?」

 

牧野「……ダサいな」

 

みほ「はゎ…!?」

 

原「牧野さん…‼︎」

 

牧野「あぁ…失礼」

 

 

 

大西洋で戦端が開かれようとしていた頃、中央亜細亜ではテンシャン回廊とバイカル湖畔において、第三帝国機甲軍団の侵攻が開始されたのであった。

 

 

第三帝国軍侵攻の報は、亜細亜防衛軍総長 大高の下へと直ちに伝えられた。

 

 

亜細亜連合軍 総司令部

 

大高「諸君、まず我々の行動は情報収集だ。気を引き締めてかかってくれ」

 

「「はっ!」」

 

大高「既に諸君は気づいていると思うが、最初我が軍は負ける!負けて負けて負け続ける、しかしこれには敵には戦術的撤退ではなく、あたかも本当に負けているかのように見せねばならん!後は計画通り、鋼鉄の軍団を袋の鼠にして葬る。これをカンガルー作戦として本作戦の総称を"亜細亜の曙作戦"とする!」

 

 

 

大西洋 ダクラ港

 

海中 ラ號

 

「沈滞自走機雷、配置終わりました」

 

前原「うむ」

 

みほ「前原さん、航空機の攻撃時間って確か〇三〇〇であってましたよね?」

 

前原「そうだ、どうかしたか?」

 

みほ「はい、それが油槽魚雷の準備が手間取ってるみたいで…」

 

程なくして、油槽魚雷の準備が整ったと報告が入る。

ラ號はそのまま作戦時間まで待機する。

 

ダクラ沖120km 遊撃航空打撃艦隊

 

装甲空母 信長

 

作戦は完璧に思えた…いや、完璧であった。

だがそれ故か、作戦開始を待つ牧野航空戦隊司令の胸には、いつにない不安が胸をよぎっていた。

 

牧野「今回の作戦……嫌な予感がする…」

 

猛将の胸によぎった不安…それは、的中するのかはたまた杞憂か……

作戦時刻になり、牧野は各機を発進させる。

 

 

日本武尊

 

富森「今頃は艦攻隊が発進しておりますな」

 

大石「あぁ、"火遁の術 油地獄"…見ものだぞ」

 

 

 

ラ號

 

前原「水雷長、作戦開始!」

 

その号令と共に、左舷魚雷発射管から四発の油槽魚雷は放たれる。

G7魚雷を改造して急遽作られた油槽魚雷は、気泡の代わりに油を放出、みるみる内に湾内は油で覆われる。

 

前原「ア04潜に下命!点火用魚雷発射‼︎」

 

 

ア04潜から放たれた魚雷は時限信管で爆破し、充満した油に引火する。

その光景はまさに火遁の術 油地獄‼︎

そこへ易々と侵入した攻撃機が殺到する‼︎

 

中には攻撃を掻い潜り、港外へ脱出を図ろうとする艦もあるが、それらの艦には事前に敷設された自走機雷が襲い掛かる‼︎

 

また攻撃を逃れた艦は、待ち受ける日本武尊以下、旭日艦隊の攻撃の餌食となりここに地中海第2・第4艦隊は壊滅……だが…

 

 

 

 

 

マイントイフェル「アース飛行隊発進‼︎目標、ヤマトタケル‼︎」

 

第2・第4艦隊壊滅の報を受けたマイントイフェルは直様、アース飛行大隊を発進、ヤマトタケル以下旭日艦隊を殲滅せんとしていた。

 

マイントイフェル(行け、我が破壊のワルキューレ達よ…そしてヤマトタケルを沈めワルハラに送り届けよ)

 

 

 

アース飛行大隊はしばらく飛行を続けると、先に被害を受けたダクラ港上空にさしかかる。

 

「くそっ!まだ燃えてやがる‼︎」

 

「司令、アングルボザから連絡です。ダクラより西400kmを南進しているヤマトタケルを発見、また撤退する日本機の跡を追ったところ空母を発見したようです」

 

「よし、両方喰うぞ!」

 

 

 

 

 

装甲空母 信長

 

艦隊を追尾していた偵察機を撃退したのを見届けた牧野は…

 

「来ますかな……?」

 

牧野「来るな…必ず」

 

「間も無く司令艦隊と合流です」

 

牧野(いやな予感がする……)

 

老将は、戦闘開始時に我が胸をよぎった不吉な予感を反芻していた……果たして

 

周囲を囲んでいた秋月型対空駆逐艦の一隻が敵機の大編隊を捉え、その報告は直様信長に伝わる。

 

信長

 

牧野「直ちに直掩機を向かわせ、さらに迎撃機を発艦!大石司令に詳細を通報!」

 

「はっ!」

 

牧野「我々で食い止める……!」

 

 

アース飛行隊は対空飛行で接近し、攻撃態勢を取る。そこへ直掩の閃電改の一隊が飛来し、迎撃を開始する。

 

機首部搭載の機関砲が敵に炸裂するも超低空飛行の為、連射が出来ない上、装甲が頑丈なのか全く通っていなかった。

 

それを尻目に、敵は機体上部のロケットランチャー発射口を開き発射態勢に入りつつ、艦隊へと迫る。

 

 

 

信長

 

直掩機を退避させ、各艦は対空射撃を持って迎撃を開始していた。

 

牧野「全艦!司令艦隊を守る為にも、心して撃退に専心せよ‼︎」

 

対空機銃・高射砲・高角砲・短距離誘導弾を駆使し、どうにか数機は撃退するが刹那、敵機から遂に反撃の一手となる無数のロケット弾が発射され牧野らに襲い掛かる‼︎

 

艦隊右舷を守っていた利根型・駆逐艦が次々に餌食となり、ロケット弾は主力艦三隻に迫る‼︎

 

牧野「ついに仇を取られるか……‼︎」

 

二発が命中し、一発は格納庫内に侵入。もう一発は艦橋に直撃し、背後から爆炎が上がるが牧野には被害はなかった。

 

牧野「被害報告‼︎」

 

「装甲板を貫通した噴進弾が格納庫内で炎上‼︎」

 

「機体が炎上中、消火不可能‼︎」

 

しばらく火災との格闘が続くが、もはや手のつけようが無くなりやむなく、機体・弾薬を海中へ投棄せざるを得なくなった。

 

「長官…これまでのようです……自沈命令を…」

 

牧野「あぁ…総員離艦!他艦にも無理をさせるな!」

 

「軍艦旗収納、負傷者を短艇に」

 

牧野「恐るべし…第三帝国の底力か……」

 

 

その後、航空打撃艦隊壊滅の報を受けた大石達は直様合流、残存艦隊と護衛空母 尊氏に駆逐戦隊十隻を付け離脱を命じ、その場には日本武尊のみが残る。

 

 

日本武尊

 

原「せめて防空巡だけでも残しては…?」

 

大石「いや、全てこちらに引きつける!本艦の火力と防御力に機動性を活かし、ここで巨人機と決着をつける‼︎」

 

ふとまほの方を向くと、彼女の顔はどこか不安を感じている様子だった。

 

大石「まほ、大丈夫か?」

 

まほ「はい…でも、何か……何か嫌な予感がします…」

 

微かに震える彼女の肩に大石は手を乗せる。

 

大石「大丈夫だ、お前には俺が着いている」

 

原「対空戦闘準備‼︎」

 

大石長官の大胆さもここに極まるといった策も、今度ばかりは裏目と出る……その動きは、高度2万m以上の目がまさに丸裸にしていたのであった。

 

そこには、無尾翼・ブーメラン状の大型機がいた。

 

『アース飛行大隊へ、ヤマトタケル撃滅作戦"ラグナロク"発動せよ‼︎』

 

 

 

対空機銃・両用砲・高角機銃群が準備を整えて敵機を待つ、上空には直掩機隊が飛来、中には殲鬼の姿も二機ほどあった。

 

 

富森「一番・二番・三番主砲対空ロ号弾、装填」

 

最後に目玉である51cm砲三基九門が、対空ロ号弾を装備し終える。

 

程なくして、対空用電探が敵編隊を捕捉する。

 

 

 

 

『諸君!今日は忌まわしきあの戦艦を葬り去る記念すべき日だ‼︎』

 

『第4中隊は距離30000を維持して待機、第3中隊は高度を下げて直進せよ!』

 

『了解!』

 

独超高空爆撃機 アングルボザⅡ

これこそが、マイントイフェルの切り札。

レーダーに写りにくく、超高空を飛行する最高機密兵器であった!

 

アングルボザⅡの目は、後方から接近する敵機の存在をも捉え、報告する。

アース飛行中隊はヤマトタケルを肉薄する為、速度を上げ、直掩機もそれを追う。

 

手始めに閃電改・神光が誘導噴進弾を発射するも、敵も馬鹿ではなく囮発熱体を放って無効化する。

 

次に機関砲斉射を浴びせるもやはり頑丈すぎたが……やけになった殲鬼二機が、機首部の30mm機関砲を浴びせると、巨人機の主翼から燃料らしきものが漏れだし次の瞬間、爆発を起こし海上へと落下していった。

これを知った二機はさらに攻撃を仕掛け、そこから四機堕としたところで弾が尽きるが、それと入れ替わる用に日本武尊が対空ロ号弾を放つと受け退避する。

 

大石「全艦!対空戦闘撃ち方始めぇ‼︎」

 

猛烈な対空砲弾幕が飛行中隊を襲い、数機を撃墜するも、敵はそれに怯むことなく尚も直進を続けてくる。

 

 

アングルボザⅡ

 

『ヤマトタケル、対空戦闘始まりました!』

 

『待機中の第4中隊へ、ロケット推進誘導魚雷を発射せよ』

 

 

『了解!』

 

機体底部ハッチが開き、そこから各機二発ずつ発射する。

 

またアングルボザⅡも爆弾倉を開き、レーダー照準爆撃を敢行しようとするも……

 

日本武尊

 

富森「本艦上空、一万五千に敵影捕捉!」

 

大石「何ぃ⁉︎」

 

「何故今まで捕まえて損ねたんだ⁈」

 

「いきなり現れました!突然のことで……!」

 

一方で敵編隊は接近し、ロケット弾を発射する!だがここで大石は敵の戦い方にある考えを見出した。

 

大石(そうか!噴進弾で対空砲火を阻止して、二の矢でトドメを指すつもりか!だとするとそれは強力な新兵器……まずい‼︎)

 「上空の機に誘導噴進弾発射‼︎主砲撃ち方用意‼︎」

 

「噴進弾接近中!」

 

富森「射程に入り次第、自由射撃!対空誘導弾諸元入力、一番から四番連続発射‼︎」

 

直様、アングルボザⅡ目掛けて四発が飛翔する。

 

富森「主砲ぅてぇー‼︎」

 

前部六門が一斉に火を吹く‼︎

 

大石「直ちに水噴射、ダッシュ‼︎」

 

敵弾と入れ違いでロ号弾が敵編隊へと向かい、誘導噴進弾はアングルボザⅡを追尾する、これに気づき投弾を急ぐも呆気なく堕とされた。

 

日本武尊は右舷スラスターを展開、取り舵と同時に水噴射も併用し、右舷砲塔・銃座・主砲で敵弾を迎撃しつつも、何箇所かが被弾する。

しかし同時に、ロ号弾が炸裂‼︎敵編隊はモロに気化燃料を喰らい消滅した………

 

原「空中に機影無し、数機が逃走した模様」

 

富森「やりましたな…」

 

大石「凌いだか……」

 

まほ「ふぅ……」

 

だが、一同が安堵したのも束の間。

 

「水中に高速推進機音多数‼︎」

 

大石「何ぃ⁈」

 

まほ「⁉︎」

 

それは、アース第4中隊の放ったロケット推進誘魚雷が日本武尊に突進しつつある音であった。

空・海・海中の三身一体立体攻撃、これこそが日本海軍の戦法を研究したマイントイフェル必殺の戦法‼︎

 

「面舵一杯急げ!」

 

水噴射も最大出力で稼動させて回避を急ぐも、魚雷は尚も接近していた。

前方から迫る魚雷はどうにか失速させたが、後方からのものは依然として追尾していた。

 

富森「最大戦速維持!」

 

「回避不可能‼︎」

 

しかし、その魚雷の後方にさらに何かがいた………

 

 

 

 

 

ラ號

 

「魚雷、尚も日本武尊へ接近中!」

 

「命中まだあと40秒!」

 

みほ「前原さん!このままじゃお姉ちゃん達が……‼︎」

 

姉の身を案ずる余りか、彼女の目には光るものが見えた。

だが、その心配を打ち消すかのように前原はそれを指で拭った。

 

前原「大丈夫だ、みほ。大石長官も君のお姉さんも、誰も死なせるつまりはない」

 

みほ「前原さん……」

 

前原「衝撃警報、総員衝撃に備え!これより本艦は艦首ドリルを使って、日本武尊に迫りつつある魚雷を薙ぎ払う‼︎」

 

「はっ!機関最大戦速!艦首ドリル始動‼︎」

 

 

日本武尊

 

もはやこれまでと察し、艦内では命中した場合に備えて対策班が準備をする。

 

大石「まほ…」

 

まほ「!…なんですか……?」

 

大石「……すまない」

 

まほ「……いいえ、貴方はやれることをしてくれました…もう十分です……」

 

大石「………」

 

 

 

 

ラ號

始動した艦首ドリルは勢いよく回転し始め、魚雷群の中へ突っ込む。

 

前原「日本武尊との接触を避ける為、魚雷を払った後急速潜航‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

魚雷をその巨体とスピード、そしてドリルで薙ぎ払い、ギリギリのところで日本武尊との接触を回避し潜航をした途端、発生した強烈な水流で魚雷はたちまち水柱と共に空中へと放り出される。

そして衝撃で魚雷の一つが爆発すると、それにつられて残る魚雷も誘爆を起こした。

 

海上での光景は日本武尊からも確認できていた。

 

原「何が起きた⁉︎」

 

富森「後部!被害報告急げ!」

 

「三番スクリュー軸に浸水!」

 

富森「二番・三番停止、微速へ!」

 

ここでようやく乗組員らにも起こったことが理解でき始めたが、肝心の原因が分からなかった。一部を除いて…

 

まほ「助かっ…た……?」

 

大石「あぁ……そうみたいだ…」

 

「しかし何が起こったんだ…⁉︎」

 

まほ「大石さん……今はもしかして……」

 

大石「うむ…おそらくそうだろう……」(やってくれたか…ラ號、前原……!)

 

前方に浮上してくるラ號を見ながらまほは呟く。

 

まほ「ありがとう、みほ……」

 

まさに危機一髪とはこのことである。恐るべし天才軍略家マイントイフェル、恐るべし第三帝国の底力!

亜細亜で、阿弗利加で、大西洋で決戦の火蓋は切って落とされた!

世界の明日はどうなるのか…そして手足をもがれたも同然の被害を受けた旭日艦隊の運命やいかに……‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第17話 逆襲です! 〜終〜 次回へと続く




ご感想…お待ちしております……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。