ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達 〜碧き海の世界の物語〜 作:短号司令官
照和26年 2月
後世第二次大戦も終結し、一時ではあるが漢達に休息の時が訪れる。
そんな中転移以来、まともに交流する暇がなかった後世海軍陸軍(主に紺碧会と青風会)と学生達はこの機会に互いのことをよく知り親睦を深めようと、ここ大洗女子学園にて交流会が催されていた。
大洗女子学園
学園のグランドにはテーブルが並べられ、その上には様々なお菓子やジュース・料理が置かれており、その周りで大勢の女子生徒達が何かを今かいまかと待っていた。
すると土手の方に誰かがいるのに気づいたみほが声を上げる。
みほ「前原さぁーん、皆さぁーん‼︎」
一同が顔を向けた先には、
軍令部総長 高野五十六
第一連合航空機動艦隊司令長官 高杉英作
紅玉艦隊司令官 川崎弘
旭日艦隊司令長官 大石蔵良 原参謀 富森艦長
そして我らが紺碧艦隊司令 前原一征 入江副司令 品川艦長
さらに新たに大統領に就任した大高弥三郎
陸軍から桂 虎五郎 参謀総長 熊谷 直元帥
それから各艦隊から乗組員らが少し、軍装で訪れていた。
生徒達から歓声が上がると、一同は少し驚いた様な表情を見せる。
高野「これは…これは…」
高杉「元気のいい連中だ…」
大石「まぁいいじゃないですか」
大高「そうですな、若者は元気があって当然ですから」
原「それにしても…見渡す限り女学生ばかりです……」
入江「女子学園と付きますから、それは当然かと」
前原「兎も角、行きますか」
熊谷「同感、せっかく準備してくれたのだから待たせるわけにはいかん」
一同はそのまま土手を降り、グランドの方へと向かうと各校の面々が出迎えてくれた。
みほ「皆さん、大洗へようこそ‼︎」
前原「ありがとうなみほ、我々の為にわざわざこんな催しをしてくれて」
大高「言ってくれれば我々の方で準備しましたのに、なぁ桂参謀」
桂「同感です」
優花里「いえ‼︎大高殿や桂殿達に迷惑をかけるわけにはいきません‼︎」
高野「しかし、本音を言うと楽しみにしていたよ」
ケイ「と言いますと?」
高杉「いやなに、我々はあまりこんな事をやることが滅多にないもんでな。士官の連中達が余程楽しみにしておったよ」
川崎「それになんだ、何やら見たこともない料理がちらほら見えるな。全く心が躍るわい」
大石「総長、今日ぐらいは構いませんな?」
高野「あぁ無論だ、目一杯楽しむといい」
それを聞いてみほ達は笑みを浮かべる。
桃「それじゃあ、今から挨拶を…」
「「はぁ?」」
それを聞いて声を上げたのは士官らであった。
「なんだ?今から挨拶だと⁉︎」
杏「えっなに?挨拶するのって普通じゃ?」
「参謀!長ったらしい挨拶なんてごめんです‼︎この日のために俺たち二日間飯を我慢して水だけで過ごして来たんですよ⁉︎」
原「おぉ…お」
沙織「水だけ⁉︎」
カチューシャ「アンタら本気⁈」
「心配すんな嬢ちゃん!最悪握り飯一個なんてときもあるからよ」
大高「そういう訳で河嶋さん、挨拶は抜きで」
桃「でも…」
高野「これ以上待たせると彼らが暴走しかねん……」
華「どういうことです?」
入江「その昔、とある補給艦に乗っていた料理人の作る羊羹をめぐって大規模な取り合いが起きるほどだ…」
絹代「羊羹一つで…⁈」
杏「しゃーない、かーしま乾杯だけにしよ」
桃「うぅ…分かりました」
それからステージに上がった杏から乾杯の音頭が取られる。
杏「よぉーし!それじゃあ各校のみんなに海軍、陸軍の人たち!今日は楽しんでってねー!かんぱーい‼︎」
「「かんぱーい‼︎」」
「「乾杯‼︎」」
大石「それでは各員に告ぐ、今日は仕事も規定も特にない、目一杯楽しむといい!」
前原「但しあまり羽目を外しすぎて迷惑をかけん事だ」
高杉「以上!総員、解散‼︎」
「「はっ!」」
敬礼を終えると各員は目の色を変えて向き直る。
「っしゃあーー‼︎飯だぁぁぁ‼︎」
「喰わせろぉぉぉぉぉ‼︎」
解き放たれた士官達は我先にと料理の方へと突っ込む、それを見て高野達は呆気に取られていた。
前原「大丈夫…でしょうか?」
高野「うーん……なんとも言えんな」
大高「とりあえず…我々も行きますか」
彼らが心配するのは、時代の異なる者同士が交流して何か問題がないかということを危惧していたが、しばらくすると……
小梅「それで!そこからどうしたんですか⁉︎」
木嶋「おぅよ!そこで敵艦のに主砲弾を叩き込んでやったって訳よ‼︎」
「「おぉ〜!」」
富森「あの時の砲術長の腕、見事でしたよ」
木嶋「いや〜艦長殿に言われちまうと」
玉田「それで、熊谷閣下‼︎中央軍はどうなったのでありますか⁉︎」
熊谷「うん、我が夜豹師団の瀬戸君らの活躍で中央軍は壊滅したさ」
ペパロニ「へぇ〜!凄いっすね‼︎熊谷のおっさん!」
ナオミ「おっさんってアンタ⁉︎」
熊谷「はっはははw構わんよ好きに呼びたまえ」
互いの打ち溶け、海軍は海の戦いを、陸軍は陸戦を語る。
大高「意外にうまくやってますな」
高野「うん、まぁ楽しそうで何よりです」
みほ「生まれた時代は違うのに、ここまで打ち溶けるんですね」
前原「我々がみほ達とできたように、彼らもできても不思議ではありませんでしたね」
しばらく宴が進んだ頃、
杏『あーあーみんな聞こえるー?』
マイクを持った杏がステージに上がる。
杏『盛り上がって来たみたいだから、ここでアレをやろうと思いまーす!』
富森「アレ?」
品川「なんでしょうか?」
杏『それじゃあ!高野さん達のことあんまり知らない人もいると思うしー皆さんに自己紹介をお願いしまーす‼︎』
「「ブフゥーー⁉︎」」
みほ「皆さん⁉︎」
突然の事に前原らは飲んでいた飲み物を天高く霧状に噴射した。
中には鼻に入ったり気管に入ったのか咳き込む者までいた。
まほ「お…大石さん⁉︎大丈夫ですか」
大石「ゲホッゲホッ…あぁなんとか…」
川崎「自己紹介…だと⁈」
高杉「そんな話は一言も聞いとらんぞ……」
前原「自分も初耳です……」
杏「あぁと言っても前原さん達だけだから」
「「いやいやいやいや」」
優花里「とっ…兎も角…皆さんステージにお願いします」
もはや言われるがまま、前原らはステージに上がる。
杏「それじゃあ誰からやりますー?」
そう言われて一同は隅の方でヒソヒソ話す。
高杉「どうする⁉︎」
川崎「秋山くん曰く、内容は名前、歳、趣味とか話せばいいらしいが…」
大石「俺なんて珈琲淹れることぐらいしか…」
前原「自分は絵を描くと…」
大高「囲碁だなんて……あの人達がうけるでしょうか…?」
高野「……言えん」
「「えっ?」」
高野「趣味が賭博だなんて……とても言えん……」
「「総長……」」
兎も角あぁでもないこうでもない話し合った結果、順序として大高→高野→高杉→川崎→大石→前原の順になった。
かくして、自己紹介が始まった。
大高『えー…コホン…どうも皆さん、私はこの度新たに連邦制へと移行した日本国首相、いえ…大統領の大高弥三郎です』
「「……えぇぇぇぇぇぇ⁉︎」」
「「⁈」」
大高『あぁ…何か…?』
沙織「いやいやいやいや!大高さん!いいいいいつの間に大統領に⁉︎」
エリカ「そんなの私達初耳なんですけど⁈」
大高『えっ?』
原「なんだ?新聞、見てないのか?」
そう言われて思い返してみると……確かにあった、だがしかし誰も大した気に留めてなかった為、覚えていなかったというのが真相である。
その後もあんなことがあったりこんなことがあったりと、時に川崎が下ネタ的な事を抜かして高杉に殴り飛ばされたりして一通り全員が終わり、次に個別の質問コーナーに入った。
流石に年頃な女性とあってか質問の中には好きな人はいるかなど聞かれた。(大石、前原は黙秘する、と一点張りだった)
質問がある程度進んだそんな中……
宇津木「あのー私からもいいですか?」
声を上げたのはウサギさんチームの宇津木 優季であった。
高野「いいよ、なんだね?」
宇津木「無理に話さなくてもいいんですけど、その……生まれ変わる前の事をいいですか?」
それを聞いてみよ一同の顔からは笑みが消えて慎重な顔つきになる。
澤「あぁ!御免なさい‼︎」
高野はそれに対して静かに首を振って応える。
高野「構わんよ…寧ろ、聞かれたなら話そうと思っていたよ。貴様らもそうだろ?」
聞かれた前原達は首を縦に振るだけに留まる。
高野「そういう事で…この場を借りて諸君らに語りたい、あの……地獄ともいうべき大東亞の戦いを、ほんの一部ではあるが……」
会場が静まり返り学生達は固唾を飲んで聞く。
初めに高杉が語る。
高杉「諸君らは、MI…いやミッドウェイ海戦は知っておるな?俺はそこで赤城という名の空母に乗って戦っておった……」
昭和17年 6月7日 ミッドウェー諸島
空母 赤城 艦橋
攻撃を受けた赤城の艦橋には南雲中将や草鹿参謀らがおり、退避を急いでいた。
そんな中艦長の青木泰二郎が副長に話しかける。
青木「副長、すまんが格納庫を見て来てくれんか…?もしかしたら逃げ遅れた者がいるかもしらん」
「…分かりました!」
青木「無理はするなよ、必ず戻って来い!」
そのまま副長は格納庫へと降りていった。
格納庫
到着するや否や副長は鼻を抑える。内部は燃料・爆弾・魚雷に引火しており、そこらじゅうが燃え上がっていた。
副長はそれでも怯まず奥へ進む。
「誰かぁーー‼︎生きている者がいたら返事をしろぉー‼︎誰かぁー‼︎」
業火の中を突き進む。しかしそのとき……
不意に何処かで爆弾か何かに引火したのだろうか、爆発が起きて副長はそのまま吹き飛ばされ壁に叩きつけられ吐血する。
「ガフッ!……くっ…ち……ちくしょお…!!」
おそらく肋骨が折れ、肺や心臓に突き刺さだているのだと感じた。
それでも彼はそのまま立ち上がる、格納庫から退避しようとそこから出るも、艦長や司令達の待つ前部甲板には………
高杉「……そこで、俺の意識は途切れた…」
みほ「それで……赤城は……どう…なったんですか……?」
高杉「そのまま沈んだよ…まぁ時間はかかったようだが……」
いつしか、その場にいる全員が一同の話に聞き入って居た。
それから、川崎、前原、大高、桂、熊谷らも話し終えて最後に大石が残る。
前原「長官、最後は貴方の……」
大石「うん、分かってるよ…」
彼は一つ深呼吸をして語り出す。
大石「君たちは、太平洋戦争と聞いて何を思い浮かべる?」
突然の問いかけに驚くも口々に応える。
紗希「ゼロ戦……」
ナオミ「真珠湾…パールハーバー…」
カチューシャ「シベリア送り……」
ルクリリ「あとは……」
まほ「……やまと……」
エリカ「えっ?」
まほ「戦艦……大和」
大石「そうだ…日本海軍を象徴する…世界最大の戦艦……大和……そこが…俺の最期だ……」
「「‼︎……」」
昭和20年 4月7日 鹿児島県 坊ノ岬沖
戦艦大和
押し寄せる米艦載機を果敢に迎え打っていたが、もはやその力も残されておらず…甲板上は血に染まり、あちこちで火災が起きていた。
船体も傾斜がきつくなり、20度を超えていた。
安全な左舷甲板に生き残りの乗組員達が集まっていた。
艦橋
伊藤整一「皆、ご苦労だった。残念だったね」
そう言い残し、伊藤は艦橋を後にする……
それを見届けた残りの者たちは、散り散りに檣楼の階段を伝って甲板へと向かって行った。
しかしそんな中、航海長の茂木史郎中佐は不可解な行動に出る。
なんと自分の脚を主羅針盤に縛り付けたのだ。
「航海長⁈貴方も早く‼︎」
茂木「いや……行ってくれ…俺は残る」
「しかし‼︎」
茂木「行ってくれ……大和をここまで進めるよう計画したのは俺だ……有賀艦長や伊藤長官だけの責任ではない……航海長としての俺にも責任がある……」
「‼︎………」
それを聞いた彼も敬礼をして艦橋を後にし茂木だけが残り、大和の傾斜はいよいよ増して来た。
茂木「うぉっ!……大和よお前だけを逝かせはせんよ!俺も付き合ってやる‼︎」
遂に艦が横転した次の瞬間、背後から物凄い爆風と熱波が押し寄せるのが分かった、それと同時に茂木の意識は途絶える。
大石「…というのが、俺の最期だ」
俯きかげんで話していた顔を上げる。
「「………」」
その壮絶さに皆が言葉を失っていた。
そんな中、まほが口を開く。
まほ「あの……大石…さん」
大石「ん?なんだ、まほ」
まほ「その……死ぬときって……痛みとか…」
大石「……いや、痛みは一瞬だ。一瞬きたかと思ったら次に来るのは眠気だ、あとは……なんだろうな…こう……スーッと眠りに落ちるような感覚だった……」
まほ「……」
大石「……だが、俺達はこれを辛い過去、苦しい過去とも思うし、同時に忌むべき過去とも捉えている」
前原「俺達が何故前世の記憶を引き継いで転生したか、それは同じ過ちを繰り返さない為だ」
川崎「過去は過去、現在は現在、変えようのないことさ、だが未来を知る者はその未来を変えようと過去を変えようとする、そうすれば未来は大きく変わる、良し悪しは何をするかにもよるが」
高杉「だが我々が変えようとしているのは日本の未来だけではない、世界の……いやこの地球の未来そのものをも変えようとしている」
大高「我々はこの後世でも再び軍人・戦争指導者という罪深きことを繰り返しています。しかし!それを承知でやるのです!誰もやらないことも、いずれは誰かがやらなければならない!」
高野「そんな血で血を洗う様な汚れ仕事を君達の様な、未来が…希望のある若者達にやらせ、背負わせるわけにはいかんのだ」
熊谷「君たちが背負うべきは未来、そして希望だ」
桂「我々は遥か先の未来を見届けることはできん、しかしここ後世に、過去を知る君たちが来た!そんな君達が、この世界の未来が、自分達の世界の未来とどう変わり、どう進むか!それを見届けて欲しい!」
みほ「皆さん……‼︎」
大石「歴史というのは変えようのないものだ。例え一秒、一分前でもそれは既に過去のものとなり変えることは出来なくなる、だがこの変えられた過去の中に君達や我々は生きている……その事をこの場にいる全ての者に自覚してもらいたい‼︎」
それを聞き彼女達は今までに感じたことのない何かを感じた、胸の奥に熱い何かを……‼︎
大石「些か湿っぽい話が続いて、つい我々の抱負まで語ってしまったな」
高野「さぁ諸君、楽しい宴を再開だ」
「「はい‼︎」」
後日談 みんなで交流会です! 〜終〜
ご感想お待ちしております。