ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達  〜碧き海の世界の物語〜   作:短号司令官

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長らくお待たせしてすいません。今年最後の投稿です。どうぞ楽しんでください!


第2話 初空襲です⁉︎

前回までのあらすじ

 

前世の歴史をなぞりながら、照和16年12月8日日本海軍はハワイ・オワフ島・真珠湾を攻略、ここに米太平洋艦隊は壊滅した。

しかし突如として出現した大洗女子学園に混乱しつつも、勢いにのる日本海軍はパナマ運河を攻撃、米国の太平洋軍需物資運輸手段も遮断せ占めた。だがこの初戦の輝かしい戦果の陰に紺碧の艦隊と呼ばれる潜水艦隊が存在することを知るものは少なかった。

 

 

 

太平洋 マーシャル諸島 紺碧島

 

紺碧艦隊秘密基地

 

秘密基地では出航の準備が進められていた。

 

「出航準備ヨーソロ」

 

「連絡電話線切り離しまーす」

 

シャッターが開き、伊601は出航する。

 

入江「両舷微速前進」

 

前原はふと夜空を見上げた。空は雲一つない満天の星空で南十字星が見えた。

 

前原(南十字星か、戦争中だということを忘れたしまいそうだ。みほにも見せてやりたい)

 

 

 

 

 

 

出航後

 

司令室に入江が訪ねてきた。

 

入江「閣下、全乗組員士気は極めて大であります」

 

前原「結構」

 

コーヒーが出される。

 

入江「今のところ我が哨戒海域は静かなようですが、反抗があるとするならやはりフィジー方面かと」

 

前原「うん、哨戒潜は今以上に強化せねばならん。ハワイ方面が我が軍の手中にある以上、豪州を結ぶルートはフィジー諸島が最有力だ。アラスカからアリューシャン列島を伝い、千島列島から北海道に向かうことも考えられるがともかく太平洋は広い」

 

入江「はっ完璧な哨戒ラインを引くのは不可能です」

 

前原「しかしそれをやらねばならんのだ」

 

入江「可能でありましょうか?」

 

前原「水偵を搭載できて、長期間作戦行動のできる海台級潜水艦を200kmにつき1艦ずつ配備する。これだと東京を中心とした半径10000kmの哨戒範囲に75艦で済む。交代補給も考えればその倍も有れば計画は間に合うことになる」

 

入江「しかし我が国の造船能力では…」

 

前原「いや、間もなく実戦配備の予定だ」

 

入江「本当ですか!?」

 

前原「総長の鋭い予測の賜物だよ」

 

そう言ってコーヒーを飲む。

 

入江「で…では!」

 

前原「このコーヒーは美味いな!もう一杯貰おうか」

 

入江「はい」

 

軍令部総長 高野五十六は自らが率いる紺碧会の研究をもとに、海軍の膨大な金食い虫であるところの大和級戦艦の建造中止を提言、結果帝国海軍は総力を上げて潜水艦隊の増強に努めていたのだ。

 

前原「ま、今回の緊急帰蝶命令もそのためだ」

 

 

その後前原は艦と分かれ、小型艇で移動。陸上基地から星電で本土へと向かう。

 

前原「今のところ太平洋において、敵の目立った動きはない。だが、この戦先に仕掛けてきたのは米国だ。何を企んでるかは分からんが、はめられんようにせんとな」

 

 

一方場所は変わって、米国 ホワイトハウス

 

庭でゴルフをしている最中、ルーズベルトは報告を受ける。

 

ルーズベルト「何?XB30が完成したのか?」

 

「はっ、これでかねてよりの作戦計画が実行にうつせます」

 

ルーズベルト「ふふふそうかこれで奴らの頭を直接どやしつけることができるな…ふふははは!」

 

「それにもう一つ吉報が、かねてより建造中でありました。6万t級超大型空母を旗艦とする北太平洋艦隊が作戦行動に入ったとのことです」

 

「大統領閣下、我が星条旗作戦は着々と整いつつあります」

 

「開戦以来、奴らに足を掬われつつありましたがいよいよ反撃開始です!」

 

「国民も戦意高揚し、マスコミも我々を支持するでしょう」

 

ルーズベルト「うむ、是非ともそうあって欲しいものだが、いやならなければいかん!ふふふはははは!」

 

 

 

 

場所は変わり、前原の動向は

途中給油をしたが、前原搭乗の星電は霞ヶ浦航空基地に到着、休む間もなく前原はその足で陸路東京へと急いだ。

 

 

 

前原「はっ富嶽です…はっ昨夜いえ今朝早くに着きました…はい、それでは日比谷公園ということで…それでは後ほど」

 

電話に出た後、前原は出かけるのだった。

 

 

 

日比谷公園

 

前原はベンチで待ちつつ、絵を描いていた。そこへ子連れの家族を見かけた、父親いないのか母親だけだった。そうこうしていると

 

「閣下、閣下!」

 

前原「おぉ日向君、君か!」

 

日向「総長はあちらです」

 

指を指す方を見ると一台の車が停まっていた。

 

移動中 車内

 

前原「総長、ご無沙汰しております」

 

高野「うむ、これから首相官邸へ行き、総理にお会いする」

 

前原「はっ」

 

日向「閣下、どうもつけられてるようです」

 

高野「うん?また、聞屋(ぶんや)さんだろ?」

 

前原「乗り込むところを見られてしまいましたか、不味かったでしょうか?」

 

高野「構わんさ、それより君その格好は?」

 

前原「絵描きを気取ったのでありますが、見えませんか?」

 

高野「絵描きか、なるほど見える見える、はははは!もし尋ねられたら知り合いの報道画家だと言っておくよ」

 

前原「ところで閣下、世論はどうでしょう?」

 

高野「うむ、政府が悪く言われるのは世の常だ、それもクーデター政権とあってはな」

 

前原「はっはぁ」

 

その後首相官邸へ到着する。

 

 

首相官邸 応接室

 

大高「紺碧艦隊を率いる貴官の働きには深く感謝しております!」

 

前原「恐れ入ります」

 

大高「その功に昇進をもって報いることができず、残念に思います」

 

前原「いえ、そのお言葉だけで自分には充分であります」

 

大高「ま、どうぞおかけなさい」

 

前原「はあ」

 

大高「貴官が指揮されたパナマ運河封鎖作戦は予想以上の効果を発揮しております」

 

高野「うむ、敵の戦略物資の太平洋への輸送は大幅に遅れている。運河復旧までには後数ヶ月は要しよう。この期間を我々は最大限に活かす方法を講じなければなりませんなぁ」

 

大高「左様、陸軍では豪州侵攻を提案しておりますが?」

 

前原「僭越ではありますが、こう広大な豪州侵攻は容易ではありません。下手をすると、支那の二の前になります」

 

大高「うーむ」

 

日本帝国主義の中国大陸への進出は、日米開戦前から既に泥沼化しており膨大な戦費の支出と無益な兵員の消耗をもたらした。

 

前原「私見ではありますが、潜水艦による封鎖が得策ではないでしょうか?」

 

大高「なるほど、だが豪州を牽制する意味でもパプア・ニューギニアは是非とも占領しておきたい。この島には巨大なジャングルがあり、その中に無数の飛行場があり基地化されている。このままにはしておけん!」

 

高野「それにつきましては、海上より艦砲射撃を行い海岸から陸上部隊を各方面から上陸させてはと考えております」

 

大高「で準備は?」

 

高野「海軍はいつでも」

 

大高「うむ、いや問題は補給だ。前世のニューギニア戦線は繰り返したくないのでね」

 

前世大戦において東部ニューギニアはソロモン諸島と並んで、太平洋の戦局の要であった。高温多湿の悪条件の中、日本軍将兵は飢えと病魔を敵として次々とジャングルの中に倒れていった。

 

高野「前世大戦の反省に基づき、護衛艦の強化をはかるべく準備を急いでおります」

 

大高「陸軍は支那戦線を縮小したので余裕がある。彼らをパプア・ニューギニア攻略に向けましょう」

 

前原「しかし総理!中国大陸からの撤退は、中国軍基地化の危険が伴いませんか?!」

 

大高「大いにある、それに前世では…」

 

中国重慶政府に対する補給路の遮断をすべく、ビルマ攻略に踏み切った日本軍は中英両軍の反撃に合い、悲惨な敗退を喫したのであった。

 

大高「あの失敗を繰り返すつもりはない!高野さん!」

 

高野「我々は陸上からではなく、海上からインド、ビルマを封鎖する。今、坂本艦隊がその任についてあるのだが、一旦ことがあると遠すぎる。そこで役に立つのがハワイで鹵獲したキンメル艦隊です。現在速力を上げるための改造を行なっているが。ま、六月ごろには第一次改装が終わる頃だろう。司令官には紺碧会の川崎君に内定しておる」

 

前原「川崎?!中将でありますか!?」

 

高野「うむ、艦隊名も紅玉艦隊と命名された」

 

前原「紅玉艦隊…」

 

大高「総長は自分が乗りたいらしいがな」

 

三人の間で笑いが起こる。

 

大高「そういえば話は変わりますが、実は最近また新たな学園艦が発見されたのです」

 

前原「大洗とは別のものが?!」

 

高野「うむ、確か名前は"知波単学園"といったな。あそこの連中には敵わんよ」

 

前原「何があったんですか?」

 

大高「実はそこの方々がこの世界や我々のことを話すと、"私たちも協力させてくれ!"といってきましてな。私も終始困惑しましたよ」

 

高野「西住君がいなかったら凄いことになってただろうな」

 

大高「とにかく元気が良すぎる人達なのです。その人達の学園でも戦車道をやっていましてな、我々陸軍を手本にしておりました」

 

高野「突撃を売りにしておるそうでな、隊長の西君の気迫のすごいこと」

 

前原「はぁ」

 

高野「まぁ会ってみればかるさ」

 

こうして大高首相との会談も無事に終えた。

 

 

 

その夜、前原の姿は高野の家にあった。

 

前原「こうして閣下と盤を囲むのも久しぶりです」

 

高野「そうだな」

 

二人は碁を指していた。

 

高野「しかし、七目も置くと真っ黒だな。白がまるで日本のようだ」

 

前原「確かに閣下の白は我が国の如く列強に包囲されていますな」

 

高野「七目は、米、英、蘭に仏、豪に支那、そしてソというわけか。となると白は広い真ん中に出るしかないか」

 

前原「すなわち太平洋ですな」

 

高野「そうだ」

 

前原「確かに無数の島々の点在する太平洋は、碁盤のようであります」

 

高野「しかも背中はしたたかなソビエト、ドテッ腹には腹の深い支那ときた。オランダは潰したが英豪は未だ健在だ」

 

前原「おぉ!?閣下」

 

高野「さぁどうする?待ったはなしだぞ。インドの英軍が孤立しあったぞ」

 

前原「参りましたな、この一石は紅玉艦隊による紅海の封鎖ですな」

 

高野「ははは!しかし飛び石作戦とはよく言ったものだ。前世敵は豪州を基地とし、確実に石を伸ばしながら本土へと迫ってきた」

 

前原「は、我々は前世でミッドウェー海戦で大敗を喫しましたからな。もしあの戦に負けなければ敵も容易には!」

 

高野「あの海戦の失敗は俺の痛恨の極みだよ。帝都を空襲され、世論に負け、焦って墓穴を掘ったよ。まだ十分な研究もせず、敵を侮って出かけたが故の結果だよ」

 

前原「4月18日でした。この世界においても帝都空襲はあるのでしょうか?」

 

高野「さぁな、あるかも知れんし……またないかもしれん」

 

 

高野と前原はその現実の立場を離れて、師弟とも言えまた同志とも言える。久方ぶりの再会も歴史認識、戦争論と未来予測と止まるところを知らなかった。

 

前原「我が紺碧会でも海軍のマハン理論と陸軍のハウスホファー理論との対立はよく論議されていましたが」

 

高野「うむ、前世ではその考え方の相違が陸軍海軍の対立の原因だったな」

 

前原「それによるとマハン理論では強大な海軍国と陸軍国は併立しないとされておりますが」

 

高野「我が国は東に大海、西は大陸と接する島国だ。結果二つの考え方が並行し、命取りになってしまった」

 

前原「総理もそのことを強調しておられました」

 

高野「だから陸軍を抑えることに不審しておられる」

 

前原「総理は陸軍の出ですからな、さぞ恨まれてることでしょうな」

 

高野「まぁな、命すら狙われておる」

 

前原「それは閣下とて同じことです。くれぐれもお気をつけ下さいませんと」

 

高野「…そうだな、ところで君はいつ戻る予定だ?」

 

前原「は、しばらくはいるつもりです」

 

高野「そうか、だがせっかくだ横須賀に行って学園艦でも見てくるといい。俺も見てきだがあれは艦ではなくもはや海上都市だ」

 

前原「そんなにすごいのですか…」

 

高野「まぁそれにだ、久しぶりに西住くんに顔を合わせてこい。なんせ2ヶ月ぶりだろう?」

 

前原「確かにそうですな、では明後日にでも行ってきます」

 

こうして前原は大洗女子学園艦を訪ねることに、

 

 

翌日

 

ドアのノックする音で前原は目を覚ます。

 

前原「んん…誰だ?」

 

日向「私です。日向です」

 

前原「あぁ…入れ」

 

日向が部屋に入ってくる。

 

日向「おはようございます」

 

前原「あぁおはよう」

 

日向「総長に言いつかりまして、閣下をあるところにご案内します」

 

前原「あるところ?そうか、まだ食事をしとらんのだが何か食う時間はあるか?」

 

 

食事を済ませた後、前原は日向の案内の元とある場所に向かう

 

〜道中〜

 

前原「どこへ連れてってくれるのかな?」

 

日向「着いてからのお楽しみです」

 

その後到着したのは現在日本軍の航空機製造の中枢を担う泰山航空工業であった。

 

とある一角の工場

1人の老社長が前原らを出迎える。

 

前原「東野社長!」

 

東野「お待ちしておりました閣下」

 

この男、東野源一郎はこの泰山航空工業の社長であり、彼もまた紺碧会の一人でもある。

 

前原「では例の()()()を!」

 

東野「はい、ご覧になってください」

 

前原達は工場内に案内され、そこで目にしたものとは

 

前原「こっこれは…!」

 

東野「局地戦闘機"蒼莱"です!」

 

そこには前翼型の航空機があった。

 

前原「これが…蒼莱…!」

 

東野「前世での我が軍の戦闘機は高度10000mに達するのに熟練パイロットでも1時間はかかっていました。この蒼莱だと15分足らずで成層圏に達することができます!」

 

前原「なんと!」

 

東野「航続距離が短い代わりに、上昇力と高高度での運動性能を重視した機体です」

 

前原「まさに単機能高高度迎撃機だ!」

 

東野「はい、前世対戦末期開発に成功しながら日の目を見ることのなかった幻の海軍十八試震電の生まれ変わりです!エンジンは排気タービン過給器付き東式梅型発動機、二重反転式八枚プロペラ、機首にはレーダーと迫撃砲並みの57mm機関砲こいつの一撃が大型機をも粉砕します!前世では投弾して高高度を悠々と引き上げていく空の要塞B–29を完全に阻止できる日本機はなかった。あの悔しさは未だに忘れられません」

 

 

こうして前原は泰山航空工業の視察も終えるのだった。

 

 

〜帰り道〜

 

前原「日向君、ひとつ頼みたいことがあるのだが…」

 

日向「大洗のことですな、わかっております。総長から聞きました」

 

前原「話が早いな、明日頼めるか?」

 

日向「もちろんですとも」

 

 翌日 前原の姿は海軍横須賀基地にあった。

 

前原「おぉ…これが…!」

 

以前は潜望鏡越しにしか見えなかったが、こうして近くで見ると迫力が違う。タラップで艦に乗り、そこから車輌用の大型エレベーターで甲板へと上がる。

そこには自分の暮らしてきた世界とは違う世界が広がっていた。建物もこの時代とは違うものがあり、車もまた違った形をしていた。

 

前原「…なるほど、確かにこれは未来から来てるな」

 

改めて前原はこれが未来世界のもだと実感する。

現地住民から話を聞き、大洗女子学園へと前原は向かう。

 

 

 

 

〜大洗女子学園 正門前〜

 

前原「おぉここか」

 

前原はそのまま校内へと入っていった。

高野が事前に"広報画家がそちらに行く"と連絡を入れており、事務室で軽く身分の確認と手続きを済ませ、前原は校内を廻る。

どうやら学園は春休み中らしく部活動生や補習生を除けばほとんど生徒はいなかった。

 

案内図をもとに前原は戦車道部のもとへと向かう。

 

 

この日は大洗戦車道部にとってはとても良い日となった。なにせ、久方ぶりに他校との練習試合ができたのだ!相手はあの知波単学園で、なかなか手強かった。

聞いた話では知波単学園も大洗女子学園と似た経緯でこの後世世界に転移してきたようだ。あちらの世界では突如として大洗が消えたことに日本中が驚いていた。今度行われる予定だった無限軌道杯も一時延期とされ海自、海保そして航海の合間大学選抜戦で共に戦った各学園も捜索した…だがそれも虚しく、捜索は打ち切りにされた。そんな矢先、知波単学園もここに来たというわけだ。

 

西「いや〜それにしても西住隊長らも腕はおちていませんね!」

 

そう言ってみほに話しかけてきたのは知波単学園の隊長の西絹代だ。

 

みほ「そっそうですか?私ちょっとやってなかった時期があったんですけど」

 

西「いえいえ健在です!流石西住流です!」

 

みほ「あっありがとうございます」

 

今は練習試合も終わって、反省会をしていたところだ。

すると、

 

梓「先輩、ちょっといいですか?」

 

みほ「はい、なんです?」

 

梓「さっき、紗希が言ってたんですけど先輩にお客さんが来てるそうです」

 

みほ「えっ?お客さん?」

 

そう言われて、梓が指刺す方を見るとチューリップ帽を目深に被った人物か少し離れたところにいた。

 

みほ(誰だろ?お客さんだなんて…)

 

西「西住隊長?」

 

みほ「西さんちょっとお願いしてもいいですか?」

 

西「はいわかりました!」

 

そう言ってみほは客人の元へ向かう。

 

みほ「あの…私に何か…?」

 

「おぉ久しぶりだな、みほ」

 

みほ「え?」

 

「?俺だ、俺だよみほ」

 

みほ「えっと…どちら様ですか?」

 

「ふむ……これじゃわからんか」

 

そう言って彼はチューリップ帽を取る。

 

「俺だ。前原一征だ」

 

みほ「まっ前原さん!?」

 

彼の顔を見てみほもようやく前原だと分かった。驚きのあまりみほも大声で言ってしまった。

 

杏「ん?何あれ?」

 

桃「西住に客人か?」

 

王「あの人って先輩のお知り合いの方?」

 

梓「さぁ…」

 

西「西住隊長にあんな知り合いの方いたのか?」

 

おりょう 「さぁ、知らんぜよ」

 

そう言う者もいれば、

 

沙織「えっ?!前原さん!?」

 

華「そのようですけど…」

 

麻子「なんでここにいるんだ?」

 

優花里「理由はともかく私たちも行きましょう!」

 

そう言ってあんこうチームも前原とみほのもとへ向かう。

 

優花里「前原殿ーーーー!」

 

みほ「優花里さん!みんな!」

 

前原「おぉ君たちか、元気そうだな」

 

華「お久しぶりです前原さん」

 

優花里「ご無沙汰しております」

 

沙織「なんでここにきてるんですか?」

 

前原「別件で用事があってな、ちょっと寄ってみたんだ。急で悪かったな」

 

みほ「いえ!前原さんにまた会えただけでも嬉しいです!」

 

前原「そうかそれはありがとう」

 

麻子「髭生やしたのか?」

 

沙織「ちょっ麻子!?」

 

前原「あぁこれか、変装の意味でやってみたんだがどうだ?」

 

麻子「…あまり似合ってない」

 

沙織「ちょっ!それはさすがに失礼だって麻子!」

 

前原「ははは、そうか今度からは剃ってくるか」

 

沙織「そっそんなことありませんよ!ねっねぇみぽりん!」

 

みほ「う〜ん私は髭の無い方がかっこいいと思います」

 

沙織「えっ!?」

 

前原「そこまで言うか、はははこりゃ参った。はははは」

 

こうして両者達は久方ぶりの再会を楽しんだ。

 

その後みほ達から戦車道部のメンバー知波単のメンバーを紹介し、一旦解散。前原はホテルに戻るということで、みほが見送ることに

 

 

 

みほ「今日は来てくれてありがとうございます!」

 

前原「あぁ、俺もなかなか楽しめたよ。また来るよ」

 

みほ「……あの…前原さん、次はいつ戻ってくるんですか?」

 

前原「さぁな、それは分からん。今回は緊急で戻ってきたからな、またすぐ艦隊へ帰るから。しばらくは会えんな」

 

みほ「そうですか……」

 

前原「寂しいか?」

 

みほ「いえ、みんながいるので大丈夫です!」

 

前原「そうか、それなら大丈夫だな。それじゃあ」

 

前原はゲートへ向かう。

 

みほ「前原さん!」

 

前原「?」

 

みほ「また、生きて会いに来てください!」

 

前原「…あぁ、約束する」

 

 

それから数日後、前原は民間人の身分のまま機上の人となった。

 

途中でサイパン島で給油をし、そこからトラック島へ向かう。

トラック島からは迎えの雷洋で艦隊との会合点へ向かう。

 

 

伊601

 

前原は船内の様子がおかしいことに気づいく。

 

前原「少々慌ただしいな、何があったんだ?」

 

入江「はっ実は真珠湾北東600マイルの位置を西進中の敵空母群を無線情報で捉えたとのことです」

 

前原「何!?」

 

品川「現在高杉艦隊が追尾中とのことです」

 

前原「ふむ、臭いな」

 

入江「?」

 

前原「確か今日は…」

 

品川「4月11日でありますが、何か?」

 

そのとき前原の脳裏に不吉な考えがよぎった。

ちょうど通信兵が入ってきた。

 

 

「艦長、ホノルルからの無電であります」

 

入江「何だ?」

 

「はっ高杉艦隊から"追尾中の敵を完全に見失った"とのことです」

 

前原「何?」

 

入江「当初目標のホノルルに向かいますか?」

 

前原「いや、艦長これより我が艦隊は進路を北へとる」

 

入江「北へ?!」

 

品川「しかし閣下、敵の攻撃目標はハワイではないのですか?」

 

前原「ま、常識から考えればそうだが……」

 

入江「……やはり帝都だと?」

 

品川「えっ!?」

 

前原「開戦以来負け続けの米国は国内世論を沸騰させる必要がある。帝都空襲は絶好の話題作りになる」

 

品川「しかし、いくら敵とはいえ帝都空襲は無謀なのでは?」

 

前原「あり得ないことだから奇襲と呼ばれる」

 

入江「確かに欧州戦線ならともかく、対日戦では厭戦気分がみなぎりはじめていると聞きます」

 

前原「大高首相の駆使する対米心理戦が徐々にではあるが、効果を挙げつつあるのだ。敵には焦りがある、ハワイを攻撃すると見せかけて日本本土を狙っているに違いない」

 

その日より前原司令官率いる紺碧艦隊は進路を北へ取り、北緯45度 東経165度 を中心とする海域に撤退した索敵活動を行った。

 

だかそれから5日、何事もなく過ぎてゆくことに前原にも焦りの色が見え始めていた。

 

前原(万が一帝都の空襲を許すことになれば、大高首相は不況に立たされることになる!それにみほや学園艦の存在が米国に知らされてしまう!なんとしても阻止しなければ!)

 

そのときだった。

 

「艦長、イ701より連絡」

 

前原「見つけたか?!」

 

「いえ、敵哨戒機のようです。位置は北緯43度 東経170度」

 

すぐに地図で確認する。

 

入江「ここか…で機種は?」

 

「今のところ不明であります」

 

星電

 

「機種判明!米ダグラス艦載機SBDドーントレス」

 

 

イ601

 

「海軍機です!現在逃走する敵機を星電が追跡中です」

 

前原「方向は?」

 

「南であります」

 

前原「南?!」

 

一方で追撃していた星電は敵機が燃料切れで海上に不時着するのを見た。

 

入江「敵艦隊は我が艦隊を南にすり抜けるのではないのでしょうか?」

 

前原「あり得る」

 

品川「閣下直ちに南下して敵艦隊を待ち伏せしましょう!」

 

前原「焦るな!焦りは禁物だぞ!」

 

さらにそこへ報告が入る。なんと不時着した敵機のパイロットを敵潜水艦が収容すべく現れたのだ。

 

入江「敵潜がパイロットを救出だと?」

 

前原「艦長こいつはできすぎているとは思わんか?この広い海原にSBDのパイロットを収容しに敵潜とは…」

 

前原の疑問に追い討ちをかけるかのように、各哨戒機からバラバラの連絡が入る。

まずイ501の春嵐、次に502の春嵐と次々に入ってきた。それも機種がP38と陸軍機で逃走した方向が北東などとバラバラなのだ。

 

前原「見たまえ艦長、P38との接触はキスカを中心とする半径1000kmの中に入る。ということは」

 

入江「P38の基地はキスカに!」

 

前原「多分な」

 

入江「しかしそうなると海没した海軍機がどうも腑に落ちません。キスカからは大きく離れています」

 

前原「それは囮かもしれん」

 

入江「はぁ?」

 

前原「つまり敵艦隊は南にいると見せかけたいのだよ。だが敵艦隊は北に潜んでいるはずだ。だからこそP38を盛んに飛ばして哨戒にあたらせているとすれば、筋は通るではないか?」

 

入江「まさに…!」

 

前原「艦長、敵将がどんな男か知らんがこれはなかなかの狐だぞ。ふふふ敵がその気ならこちらも裏をかくまでだ。艦長、音通魚雷にて僚艦に伝え」

 

 

前原は各艦に音通八号にて指令を発する。

 

音通八号とは紺碧艦隊独自の艦隊間の音波通信システムである。遠距離通信には向かないが、敵に傍受される危険が少ない。

 

 

前原は紺碧艦隊を集結させ千島列島を目指す。ただイ502潜は別途任務を携え南へと向かう。

 

 

照和17年 4月17日 捨子丹島 東700km地点 海上

 

 

イ601 セイル

 

前原(この北の海のどこかに敵が潜んでいるはずだ。逃さんぞ!)

 

品川「閣下、閣下の読み通りでした!敵の西域ベーリング海に潜入したイ18潜がダッチハーバーに敵の軍港を確認したとのことです!」

 

前原は電文を受け取る

 

前原「おい品川先任!そんな格好じゃ風邪をひくぞ」

 

品川「はっ失礼します!ふぇっくしょん!」

 

くしゃみをしつつも品川は艦内へと戻っていった。

 

前原「6万t級空母2 戦艦2 重巡、軽巡その他戦闘艦多数集結。これは大機動部隊だな」

 

入江「太平洋艦隊が壊滅した現在、これらは新造艦ということですな」

 

前原「多分な、恐るべきは米国の工業力だ。こうなると軍令部でも戦略の根本的見直しを迫られるぞ」

 

ダッチハーバーはアリューシャン列島の付け根に近いウラナスカ島にある米海軍の根拠地だ。ここに集結した大艦隊が真南に進めばハワイ奪還の可能性があり、また南西に進出すれば日本本土を攻撃する可能性もあった

 

 

前原「ま、幸か不幸かは帝都空襲の俺の読みは外れたわけだ」

 

さすがの前原一征もこの時点では後世の歴史の以外性には気づいていなかった。

 

 

 

照和17年 4月18日 東京都

 

高野は海軍省に向かっていた。

 

高野「桜吹雪か、大きな戦争中だということを忘れてしまいそうだ」

 

日向「この静けさは前世とは違い無意味な防空演習をやっていないからでしょう」

 

高野「あぁ本土防衛も重要な問題だが、竹槍では飛行機は落とせんからな」

 

日向「自分も前世で大空襲を経験して我が軍が竹槍思想で戦っていたことを痛感しました」

 

高野「うん、思えば冷や汗が出る」

 

日向「全くです」

 

 

 

高野はダッチハーバーにて発見された敵新機動部隊に対する対策を協議すべく、紺碧会の幕僚たちを召喚させた。

 

「なんと言ってもハワイを抑えたのが効いているのでしょう。敵機動部隊は東西からの挟み撃ちを懸念して、我が本土への接近を躊躇っているのに違いありません」

 

「罠ということも考えられる!我々を誘い出そうとしているのではないか?」

 

「うむ、大いに考えられる!」

 

「だとすると、相当の狐だぞ」

 

高野「我が情報部によると、新機動艦隊の司令官はドナルド・D・リーガン少将のようだ」

 

「一体何者です?」

 

高野「今はまだ詳しくは分からん、だがかなりの戦略家のようだ。用心してかからんと前世のミッドウェーと同じ悲劇を生むことになる」

 

「やはり先に仕掛けるのは考えものです!接近すれば陸軍機の猛攻に晒されます」

 

「それを考えてリーガンも安全圏にいるのでしょう」

 

そのときだった。

 

「総長!」

 

「何事か!」

 

「敵機の来襲です!」

 

高野「何!?」

 

「空母からか?」

 

「いえ発進基地は麗水(リーショイ)のようです!」

 

高野(リーショイだと?!前世のドーリトル攻撃隊が降り立った場所か。逆コースを辿ってきたか!)

 

「尚、現在北九州工業地帯を爆撃、列島沿いに北上中とのことです」

 

攻撃隊は次々各地の工業地帯を爆撃していた。

 

「総長!敵機は新型の大型爆撃機のようです。迎撃機が近づくと高度を12000まで上げ寄せ付けないとのことです」

 

ここで高野はある予想が頭に浮かぶ、そのような性能を持つのはあれしかない。

 

高野(まさかB29…?!)「迎撃に飛び上がったのは?」

 

「は、零式戦です」

 

高野(兵器の進歩は我が国だけでなく米国側でも2〜3年早まっているということか……)

 

高野はすぐに会議を中断し、大高に連絡する。

 

首相官邸

 

大高「何!?侵入機は噂の新型機というのですか?!」

 

高野『その可能性極めて大であります』

 

大高「すると帝都空襲も…!」

 

高野『あり得ます』

 

大高「なんとしても阻止されたい!帝都への侵入を許すと……あっいや!万が一皇居にでも落ちたら陸軍の強硬派が息を吹き返すことになります!それにコース次第では横須賀にいる西住さんや西さんたちの学園艦が…!」

 

高野『お任せください。我に蒼莱ありです!』

 

 

 

この時点で本土防空の切り札と目される蒼莱は、まだ大量生産ラインには乗っておらず、ここ土浦に16機ばかりが試験的に配備されているに過ぎなかった。それでも頼みの綱には変わらなかった。

 

命令を受けた蒼莱隊は第一次攻撃に8機が飛び立った。残り半数は万が一に備えて地上で待機する。

 

敵爆撃隊は福岡、広島、神戸、大阪、名古屋と爆撃を敢行。半数は引き返したが残り13機は帝都へ迫りつつあった!

 

帝都では空襲警報が鳴り響く

 

海軍省

 

高野はベランダから迫り来る爆撃隊を発見する。

 

高野「来たな!」

 

日向「総長、危険です!中へ!」

 

高野「いや構わん。それより届くはずのないあの高射砲を黙らせろ」

 

日向「はっ」

 

高野(頼むぞ、蒼莱!)

 

 

一方で横須賀海軍基地にもこのことが伝わっていた。大洗、知波単両学園は春休みが明け新学期が始まって間もなかった。

 

 

 

大洗女子学園

 

聞きなれない警報に学園艦では戸惑いが走っていた。

 

沙織「ちょっ何の騒ぎ!?」

 

みほ「なんだろこれ?」

 

麻子「うるさいなぁもぉ!」

 

華「何かあったんでしょうか?」

 

優花里「空襲警報のようですが…訓練か何かでしょうか?」

 

すると上空に星電が飛来した。

 

《こちらは日本帝国海軍です。ただいま帝都に爆撃機隊が接近中とのことです!これは訓練ではありません!直ちに屋内に避難してください!繰り返します!こちらは…》

 

優花里「ばっ爆撃!?」

 

沙織「帝都ってことは首都に向かってるんじゃ…」

 

みほ「でも万が一ってことがあるかも知れません。皆さん校内に戻りましょう!」

 

知波単学園

 

西「爆撃だと!?」

 

玉田「隊長!チハで迎え撃ちましょう!」

 

細見「そうです!この世界の米軍に我々知波単の意地を見せてやりましょう!」

 

福田「おっお言葉ですが戦車では爆撃機には勝てないと思います!飛んでいる敵に砲弾を当てることが不可能だと思います!」

 

玉田「福田!貴様それでも知波単の生徒か!」

 

福田「もっ申し訳ありません!」

 

西「落ち着け!ここは福田の言う通りだ。戦車では爆撃機には勝てない!ここは高野総長閣下たちに任せて私たちは避難するぞ!」

 

 

その頃迎撃に出撃した蒼莱隊は高度13000にまで到達していた。

 

「各機に告ぐ!機関砲の試射を行え!ヨーソロ」

 

全機が57mmを発射する。どの機にも異常は見られなかった。

 

「ふ〜こりがほぐれるぜ。きたぞ!ヨーソロ」

 

下方に敵爆撃隊を捉える。

 

「デケェ!まるで鯨だぜ!」

 

「すると俺たちは鰯かよ」

 

「情けないことを言うな!連中がシロナガスなら、俺たちはシャチだと思え!」

 

「はっ!」

 

「いいか奴らの一匹たりとも帝都に入れてはならん!行くぞ!」

 

隊長機を先頭に敵爆撃隊に襲い掛かる!

 

一方で爆撃隊は

 

「機長!後方上空に敵機!」

 

「寝ぼけるな、俺たちは今高度10000を飛んでるんだぞ」

 

「しかし機長…」

 

「しかしもヘチマもあるか!俺たちより高く飛べる日本機なんてあるはずがない!」

 

このように接近しても全く動じなかった。

直後に蒼莱の攻撃を受け、一機が落ちていった。

それから爆撃隊も日本機の来襲を認め、反撃へと移った。だが高高度での速度性能と運動性を重視した設計になっている蒼莱には全く攻撃が当たらなかった。逆に一撃離脱戦法に近い戦い方で戦っている蒼莱は上空から57mmを撃ちまくり、主翼、胴体、エンジンと次々に風穴を開けていき一機、また一機と撃退していく。その内爆撃機内部では攻撃により発生した火災が爆弾に引火し、落ちていった。こうして帝都侵入を図った爆撃隊は全滅した。

 

高野(やってくれたな、蒼莱!)

 

首相官邸

 

大高「うむ……新型のB30?!…なるほど……いや、ご苦労でした」

 

敵は新型のB30であった。

これで大高も米国側の兵器の進歩を実感した。

 

 

一方でこのことは紺碧艦隊にも伝えられた。

 

入江「閣下、軍令部より入電です。帝都侵入を図った敵機は我が海軍の新型機がやってくれたそうです!」

 

前原「うむ、艦長次はいよいよ俺たちの出番だぞ!」

 

入江「はっ!」

 

前原「あの蒼莱が……!」

 

敵重爆撃機B30を持ってする米国の野望は蒼莱によって打ち破られた!

だが新たなる脅威、米新太平洋艦隊は名将リーガン提督が率い。アリューシャン列島奥深くでその牙を研いでいた!対する紺碧艦隊には策はありや?

 

 

前原「紺碧艦隊、全艦潜航!」

 

 

 

 

 

 

 

次回へ続く




今年最後の投稿になりました。今年一年短い期間でしたが私の作品を読んでくださった方々誠にありがとうございます。来年もまたよろしくお願いします。それでは皆さん良いお年をお迎えください。
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