ガールズ&パンツァー 鋼鉄の乙女と海の漢達  〜碧き海の世界の物語〜   作:短号司令官

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新年あけましておめでとうございます。今年も一年よろしいお願いします。投稿に長らく間が空いてしまってすいません。

今回紺碧艦隊とみほの登場は少ないです。そしてあのチート兵器が登場します♪ どうぞお楽しみください。


第3話 天弦作戦です!

前回までのあらすじ

開戦以来負け続けの米国は国内世論の高揚を図るべく重爆撃機B30を投入するも、日本海軍最新鋭機 蒼莱 によってその野望は阻止されるのだった。そしてまた米国の工業力によって新たに誕生した新機動艦隊を日本海軍はどう迎え撃つのか!?

 

 

 

この日の帝都は厚い雲に覆われつつあった。

 

 

 

首相官邸 

 

大高「我が帝国は他国の領土を必要としてはおりません。必要とするのはただ資源の購入でありまして、その資源を安全に本土に運ぶには領土ではなく東南シナ海の海上輸送路の確保であります。従って支那大陸に関しましては沿岸部のみを確保すれば十分でありまして、この支那街道の防空は帝都の空を守りぬきました蒼莱を量産配備し、さらには新式電探連動の対空火器を……」

 

このように大高は毎日激務におわれていた。

 

だが、そんな大高の胸中には拭っても拭いきれぬ不安があった。

 

 

大高(B30に原子爆弾が搭載されていなかった……だが……)

 

米国による原子爆弾の開発 これは大高高野などごく一部の者しか知らない超国家機密であった。大高や高野がいかに秘策を持ってこの戦争を戦おうと、米国が原子爆弾の開発に成功すれば……この戦争は今世紀最大の悲劇として終わるはずだ。

 

大高はこの日ある人物との面会に赴いていた。

 

とある邸宅

 

大高「一雨くるか…」

 

 

九重「おぉ総理待っていました」

 

某「それでは私はこれで」

 

九重「あぁ尾方君すまんな」

 

大高「あぁ尾方さんあなたにも関係ある話だから聞いてもらいたい」

 

某「はぁ?」

 

大高「支那に新秩序を作りたいと思いましてな、あなたにも意見を伺いたい」

 

九重「おぉそれなら尾方君には是非とも聞いてもらいたい」

 

 

尾方某 元旭日新聞の政治記者で、上海勤務の長かった支那事情通で九重侯爵の側近の1人である。だがその正体は、コミンテルン派遣のスパイなのであった。

 

某「小政権と中国共産党を和睦させるですと!?」

 

大高「はい、是非ともお知恵をお借りしたい」

 

某「無理です!根本的にイデオロギーの違う両者に和睦などできるはずがありません!」

 

大高「無論難しいのはわかっております。しかし…」

 

某「不可能です。水と油以上に両者の融合など考えられません!いかがお考えですか?」

 

九重「ふむ、大高さん。いくら気楽縦横の君でもこれはちと難物ですぞ」

 

大高「難しいのはわかっております。しかしやってみる価値はあるのではあるのではないでしょうか?支那は古来より我が国であって文化的に簒奪でありました。つまり恩師です!恩返しの代わりに内乱を収める手助けができれば侯がお考えの亜細亜の繁栄にも繋がるかと」

 

九重「亜細亜の繁栄には支那は欠かせぬ存在ですが…」

 

大高「小政権も中国共産党も腹の太い中国人同士です!ひょっとすすればひょっとするかもしれません!」

 

九重「なるほど!考えてみる価値はありそうですね!尾方君もどうです?」

 

某「はっはぁ、しかし…いやそうですな」

 

この反応を見た瞬間大高は彼が何かしらのスパイであることを見抜いた

 

 

大高「いやぁご賛同を得て心強い!実行のための方策は後日改めてと言うことに……実はもう一つお耳に入れておかなければならないお話がありまして」

 

九重「ふむ、あまり嬉しい話ではなさそうですね…」

 

大高「はい、実は……」

 

ちょうど雷と共に雨が降り始めた。

 

九重「げっ原子爆弾…⁉︎」

 

某「……」

 

大高「この新型爆弾は一発で一都市を消し去ると言われています。そして後には生物の生存を許さない放射能という物質が辺りに残ります。いわば究極の破壊兵器です!」

 

九重「そっそのようなことが可能とは信じ難いが…!」

 

大高「開発を急いでいるのは米国だけではありません。ナチスドイツも研究中とのことです」

 

九重「そのような爆弾が完成したらこの戦争は…!」

 

大高「その通りです。ですが仮に米国が原子爆弾を完成させたとしても使わせないようにすれば良いのです!」

 

九重「そのようなことが可能なのですか?!」

 

大高「はい開発競争で我々が先を越せばよいのです」

 

九重「帝国にも出来るのですか?!」

 

大高「ウラニウムという元素さえ手に入れば可能です」

 

九重「そのような物が我が国にもあるのですか!?」

 

大高「はい。これは超国家機密ですのでご内聞にお願いしたいのですが、岡山鳥取両県境にある人形峠と言う山中に極微力ですが純度の高いウラニウムが産出されておりまして、現在精錬と産出が順調に行われています。原子爆弾は多量に使えば敵も味方もなく、地球そのものを滅ぼす最終兵器なのです!しかし我々が持っていれば敵も使用を躊躇うでしょう」

 

 

 

 

この情報は尾方某を通じてコミンテルンへもたらされ、そしてホワイトハウスへと達した。

 

 

 

 

ホワイトハウス

 

 

ルーズベルト「信じられん!ありえぬ話だ。我々と同じ白人種のドイツ人ならともかく、日本人などに作れるはずがない!」

 

 

「閣下、彼ら日本人は恐るべき海中艦隊を建造し我々に挑戦してきております。先の東京空襲に関しましても我々の最新鋭機B30が全機撃退されたことも記憶に新しいことです。彼らを侮るべきではありません」

 

ルーズベルト「その情報は確度の高いものなのか?」

 

「モスクワが潜入させた大物スパイが大高首相から直に聞いた話だそうです」

 

ルーズベルト「大高か…あの男はとんでもない狐だぞ。確実な証拠を掴めそれも急いでだ!」

 

「全力を尽くしましょう」

 

ルーズベルト「奴らの原子爆弾を頭上に浴びることなど考えたくもない!」

 

「それは私も同じことです」

 

ルーズベルト「おぉ…本心とは思えんが?」

 

「どう言う意味ですか?」

 

ルーズベルト「君はこのワシントンが原爆で攻撃される可能性ががあると思うかね?!」

 

「その質問はペンタゴンにお聞きください。ただ彼らは易々とパナマ運河を攻撃したのです。正体は不明の()()()()を使って。OSSの情報によると地球を一周できる航続距離を有している巨大潜水艦隊だと聞きます。もしマゼラン海峡ワシントンを通過され、東海岸に来られるとホワイトハウスは無論、ニューヨーク東工業地帯が壊滅することは素人が考えてもわかることです!」

 

 

ルーズベルト「もう黙りたまえ!私は非常に不愉快だ!」

 

「いいえ!言わせてもらいます。日本を挑発し戦争へと引き摺り込んだのは、大統領!あなたご自身だ!米日交渉を通じ、譲歩に譲歩を重ねてきた、それをあなたは引き伸ばしはぐらかし続けた。そして開戦の準備が整うと態度を豹変させハルノートを突きつけた。口では正義と民主を唱えながらも裏では画策していた!あなたは二重人格者だ!史上最悪の大統領としてその名を後世に連ねることでしょう!」

 

ルーズベルト「黙れ!もういい!いきたまえ!出ていくんだ!」

 

「失礼します」

 

ルーズベルト「あぁ待て、近く君は解任されるだろう。どうも疲れているもうだからな」

 

「どうぞご自由に、しかし私にはジャーナリストの友人が多くいることをお忘れなく。それが幸か不幸かどうなるかよくお考えになることですな」

 

ルーズベルト「あの野郎…!」

 

「大統領閣下」

 

ルーズベルト「あぁ君かまだ居たのか」

 

「率直に考えて日本の原爆開発は大いにあり得ると思います」

 

ルーズベルト「何!?」

 

「原子爆弾はウラニウムという元素さえあれば、マサチューセッツ工科大学を卒業していない普通の学生でも()()()作れます」

 

ルーズベルト「何だと?!今()()()と言ったか!?」

 

「はい」

 

ルーズベルト「それでは聞くが、それほど簡単な物を作るのになぜ膨大な費用と時間がかかるのかな!?」

 

「コントロールが難しいのです。それができなければこの未知のエネルギーを人類の役に立てることはできんのです」

 

ルーズベルト「君たちは爆弾を作っているのではないのかね?!この戦争中に原子力を使って温室でも作るつもりなのかね?!」

 

「もちろん爆弾を作っておりますとも!」

 

ルーズベルト「ならばなぜ!?……」

 

「閣下、本来原子力というのは兵器としてではなく人類の未来のために平和利用すべきです!これは科学者の良心です!」

 

ルーズベルト「!………もういい!下がりたまえ」

 

「失礼します」

 

ルーズベルトは国内にも、いや己の足元にも敵がいることを知らされた。

 

 

 

日本 東京都 高野邸

 

この日高野はまたある人物と碁盤を囲んでいた。

 

高野「大高首相は敵のスパイを泳がせ、偽りの情報を流した。これを称して反間の計という」

 

前原「ははは大高首相も食えないお人ですな」

 

それは前原一征その人であった。

 

高野「ところでダッチハーバーにいるという敵の機動艦隊だが…これをどうみる?」

 

前原「ベーリング海は碁で例えると堅固に固まった墨地です。閣下ならこの墨地を潰すのにいかなる手を打つつもりですか?」

 

高野「そうだなぁ…」

 

前原「燦々に打ち込むか、打ち込みは二分の一とか色々ありますがさて?」

 

高野「君はベーリング海に潜入するつもりなのか?!」

 

前原「燦々に打ち込んで下手を狼狽させ、中央に出てくるのを待ち構えて太らせた体積を一網打尽にする!」

 

高野「なるほど!ということ天弦の一石はハワイということか!おもしろい!よし、早速研究しよう!」

 

前原「使えますか?」

 

高野「多分な!太平洋を碁盤に例えるとは面白い!うむこの作戦は天弦作戦と名づけよう!」

 

前原「結構ですなぁ!」

 

その夜、両雄は天弦作戦の構想を細部にまでわたって煮詰めた。

 

 

翌日 前原は天弦作戦の完成を待つため、土浦から星電で紺碧の艦隊の待つシンシル島へと戻った。

 

天弦作戦計画は軍令部の信玄型高速電算機によって、あらゆる角度から詳細に検討された。

 

信玄型電算機とは戦国の名将 武田信玄が狼煙や篝火などの通信ネットワークを活用していた故事に基づき命名された新鋭電算機である。

 

 

 

海軍省

 

日向「総長できました!」

 

高野「もうか?!まだ10日も経っておらんぞ!」

 

日向「信玄型電算機の威力です!」

 

作戦計画書を高野に渡す。

 

日向「しかし本作戦をもっと効果あらしめるにはやはり謀略が必要です!謀略は計算ではできません。優れた策略家の意匠を突く発想こそが作戦の成否を決めます!」

 

高野「仕上げにはやはり頭脳が必要か。諸君らの仕事を見ていると俺なんか予備役入りかと内心ヒヤヒヤしておったが笑笑」

 

日向「御冗談を!裏の裏をかくには老練な経験がいります!正確な計算による見積もりと行動計画が作戦の確立でしかありません」

 

高野「いや、君のいう通りだ!早速だがシンシルにある幽霊に会ってきてくれんか?」

 

日向「はっ!」

 

高野「あぁあと()()()も連れて行ってやってくれんか?」

 

日向「分かりました」

 

日を置かずして日向少佐は作戦計画書を携えある人物と共に横須賀基地からシンシル島へと向かった。

 

 

 

 

シンシル島

 

紺碧艦隊 旗艦 イ601

 

前原「これは大したものだ」

 

日向「総長からもお褒めの言葉をいただきました」

 

前原「それもそうだろう」

 

日向「その一言で疲れが飛びます」

 

前原「この計画書にもある通り、ダッチハーバーを直接攻撃するのはまずい。陸上機に狙われる可能性がある」

 

日向「はっ」

 

前原「敵さんをダッチハーバーから引き摺り出す必要がある。そこで俺のイ502潜の欺瞞情報を使うわけだ」

 

日向「仰せの通りです」

 

イ502潜の行動は当初敵機動部隊の帝都空襲を予想しての欺瞞行動であったが、空母からではなく支那のリーショイからであったため別意図の欺瞞工作に切り替えていたのだ。

 

すると誰かがノックをしてきた。

 

前原「ん?誰だ」

 

日向「あぁあの子ですな、入って構わんよ」

 

そうして入ってきた人物は…

 

みほ「お久しぶりです前原さん!」

 

前原「みほ!なんでここに!?」

 

日向「私がお連れしました。総長から学園が夏休みに入ったからお連れするように言われまして」

 

前原「なるほど、そうだったのか」

 

ここで前原はあることに気付く。

 

前原「みほ、ほかのみんなはどうした?今回はお前だけなのか?」

 

みほ「はい、今回は私だけです。沙織さんや華さんはお留守番です。優花里さんは別に参加します」

 

前原「そうか…まぁよくきてくれた。お前も座ってくれ、話を戻そう」

 

二人は席に着いた。

 

前原「今イ502潜はシアトル沖で盛んに偽情報を流している」

 

日向「シアトルを攻撃すると見せかけて、真の狙いはサンフランシスコ!というやつですな。敵さん引っかかるでしょうか?」

 

前原「引っかかるような暗号を発信している」

 

日向「引っかかるような暗号?一体どんな?」

 

前原「()()だ」

 

みほ「あれ?」

 

日向「……と言いますと前世で海軍が使っていた"レッドシステム"ですか!?」

 

みほ「レッドシステム?」

 

前原「あぁ」

 

日向「つまり閣下は前世ミッドウェー海戦での最大の敗因となった海軍D暗号を撒き餌としたのでありますか」

 

前原「その通りだ」

 

日向「は、ははは閣下もお人が悪い」

 

前原「お互い様だ」

 

みほ「あの…前原さんレッドシステムとかD暗号とかってなんなんですか?」

 

前原「おぉそうだな、レッドシステムというのはなさっきも言った通り前世で海軍が使っていた暗号システムのことさ」

 

日向「D暗号というのはその一つなんだ」

 

前原「詳しく説明しようとすると少々長くなるからこのくらいしか話せんが…」

 

みほ「いえ、少しでも分かるだけでも構いません!」

 

前原「うむ、兎に角暗号のSBがサンフランシスコだと気付くことを祈るよ」

 

日向「敵が前世と同じ手を使ってくれるとありがたいのですが…」

 

前原「使うさきっと。人間の考えることなんて変わらんよ」

 

前世大戦において、米国は急増する日本側の暗号から近く日本側が大作戦が展開することを予測。しかし暗号の"AF"の示す地点が分からず一計を案じた。つまりミッドウェー島から平文で[島内の蒸留水工場が故障した]と偽の電文を打った。日本側はまんまとかかり、AFで水が不足するだろうとコードで打電したため、AFがミッドウェーであることが知られ大海戦の敗因となったのだ。

 

 

 

その日のうちに日向少佐は軍令部へと戻った。

そして前原率いる紺碧艦隊はみほを加え、天弦作戦の必勝を祈願し海中にその身を没した。

 

時を同じくして、ハワイの高杉艦隊も行動を開始していた。

 

高杉艦隊 旗艦 比叡

 

高杉(天弦作戦…この高杉が盤上の中天とは甚だ愉快痛快極まる)

 

そしてまた……

 

優花里「いよいよ大作戦の開始ですね!高杉殿!」

 

西「高杉司令、今回の作戦同行させていただきありがとうございます!」

 

福田「ありがとうございます!」

 

優花里と西、そして福田の三人だ。

 

高杉「礼には及ばん、礼なら総長に言ってくれ。ところで秋山だったか?今回はおたくの隊長はいいのか?」

 

優花里「はい問題ありません!それに戦艦に乗れるなんて夢にも思いませんでした!」

 

高杉「はははそうかそうか」

 

一方の米海軍は、

 

ダッチハーバー海軍基地

 

 

「提督、高杉艦隊がハワイを出航。進路を北東へととっている模様です」

 

リーガン「動いたか!正直に言えばこの戦争はするべきではなかったのだ。欲望を食い散らかす豚どものために、合衆国の若者の命が犠牲にされる戦争など…」

 

リーガンはこの大戦に対し、否定的な考えを口にしていた。

 

「提督、国防総省からです」

 

国防総省から電話がきた。

 

リーガン「リーガンです……⁉︎承知しました。私は軍人です、命令にはしたがいますが万一の責任はそちらでとっていただきますぞ!」

 

『それはどういうことか?』

 

リーガン「X艦隊の所在が掴めん以上迂闊に出ることは危険極まりないということですぞ!」

 

『その心配はいらない。敵のSBの位置が判明した、シアトルは囮だ。敵の真の狙いはサンフランシスコだ!よってX艦隊もサンフランシスコ沖に集結しているはずだ!』

 

リーガン「それは確実ですか!?」

 

『確実だ。日本側は愚かにも我々が暗号を解読したことには気づいておらん!』

 

リーガン「分かりました。では後ほど正規の命令書を…」(いよいよ出撃か…)

 

 

 

 

 

イ601

 

「閣下、情報部からの連絡です。敵がついにSBをつきとめたそうです」

 

前原「引っかかったか!」

 

みほ「本当に引っかかった……!」

 

入江「動きますかな?敵は…」

 

前原「動く!必ず動く!」

 

 

日本艦隊を東太平洋で待ち伏せ、航空戦力を駆使し殲滅せよとの星条旗作戦は発令された。

 

米太平洋新機動艦隊の陣容は、空母 戦艦 重巡 駆逐艦、全てが30ノットを誇る高速艦隊であった。リーガン提督の座上する旗艦スペリオールは6万t級の新鋭空母で、姉妹艦ヒューロンと共に最後尾につけ、戦艦アパラチアとロッキーは先行する。その周りを無数の重巡、軽巡、駆逐艦が取り巻く。米海軍お得意の堂々の輪形陣だ。

 

リーガン(敵には指示者のアドミラル高野がいると聞く。果たして高杉艦隊の狙いは本当にサンフランシスコなのか?…直線距離でもハワイ、サンフランシスコ間は4000kmもある。米大陸の沿岸に近づけば哨戒も厳しくなる。もし俺が高野の立場なら、そうした無理はしない……寧ろ連中が狙っているのはこの俺の艦隊!?)

 

なんとリーガンはここで日本側の真の狙いに気付いたのだ!

 

リーガン(防備を固めたダッチハーバーからおびき出し!……いや、もう賽は投げられた)

 

リーガンは覚悟を決めてそのまま航行することにした。

 

その付近を我が紺碧艦隊がいた。

 

イ601

 

「離れました」

 

前原「よし!音通魚雷で高杉艦隊に知らせ!」

 

すぐさま音通八号が発射され、高杉艦隊に情報が行き渡る。

 

高杉艦隊 旗艦 比叡

 

「米機動艦隊はダッチハーバーを出撃、予測した進路を航行中とのことです」

 

高杉「動いてくれた!よし、奇襲部隊に発信」

 

比叡から各艦に発光信号が送られた。

 

高杉「頼むぞ、成功を祈る!」

 

西「いよいよ戦か!」

 

福田「きっ緊張してきました!」

 

高杉「お前たち今のうちに寝ておけ、戦闘となったら寝る暇もないぞ」

 

優花里「分かりました!それではしばらく仮眠をとってまいります」

 

三人は艦橋から居住区へ向かっていった。

 

ここで天弦作戦の要旨と敵味方の艦船の動きを説明しよう。

ダッチハーバーに引きこもる米新機動艦隊は日本側から見て、将棋で言うところの自陣に座った遠見の角とも言うべき邪魔で気になる存在だ。

この機動艦隊を誘き出し叩く。あわせて、鬼の居ぬ間のダッチハーバーを叩く!これが天弦作戦である!

 

そして目的にそい餌が撒かれ、その餌に釣られて米機動艦隊はまさに太平洋へと引き摺り出されたのだ。

 

 

米機動艦隊 旗艦 スペリオール

 

リーガン「今日こそ我々のラッキーデーにしたいものだ」

 

偵察機を見送りながら言う。

 

「提督昨夜遅く、不明な電波を傍受したのですが解読不能でした」

 

リーガン「何だと?レッド暗号ではないのか?!」

 

「はい、我々にとって未知の暗号のようです」

 

リーガン「潜水艦かもしれん…専務参謀、対潜警戒を厳重にしたまえ」

 

「はっ!すでにそのように!」

 

夜が明け、偵察隊が高杉艦隊を発見する。

 

 

『敵艦隊発見!チャートNo.2-3-0 戦艦1 空母2 駆逐艦5』

 

『機長後方上空に敵機!』

 

艦隊から発進した直掩機だ。

すぐさま偵察機は撃退されるが位置が知らされた。

 

比叡

 

「艦載護衛機が敵哨戒機を発見!これを撃退とのことです!」

 

「長官お聞きの通りです」

 

高杉「どうやら敵は罠にかかったようだな」

 

西「罠?」

 

高杉「敵空母からは慌てて攻撃機が飛び立ってることだろう」

 

優花里「はぁ…」

 

 

 

その頃、高杉の言った通り米空母からは満を持して攻撃機が発進していた。

 

リーガン(よし!先手を取ったぞ!)

 

この時点で高杉艦隊の空母が2隻であることはリーガンには入らなかった。

 

ちょうど同じ頃、我が高杉艦隊の星電が米機動艦隊を発見する。

 

星電

 

「機長敵機動部隊です!」

 

「旗艦に位置を知らせ!」

 

「はっ…敵です!」

 

米軍の直掩機だ。

 

「退散するぞ!三十六計逃げるに如かずだ!」

 

すぐさま星電はスタコラサッサと言わんばかりのスピードで逃げていった。

 

「くそっ!なんて逃げ足の早いやつだ!」

 

リーガンにこのことが知らされる。

 

リーガン「敵の哨戒機を逃しただと!?……問題はあるまい既にこちらが先手を取っているのだから」

 

リーガンは自分にそう言い聞かせ不安を捻じ伏せた

 

 

 

高杉艦隊 旗艦 比叡

 

「長官 敵機動部隊が攻撃機を発進させたそうです」

 

高杉「うむ 航空参謀各空母に護衛戦闘機の発進を準備させたまえ」

 

「はっ」

 

高杉「首席参謀 ダッチハーバー奇襲部隊は今どの辺りだ?」

 

「はっ この辺りかと…」

 

海図でのダッチハーバーの南を指差した。

 

高杉艦隊より分かれたダッチハーバー奇襲部隊は戦艦霧島に率いられた空母 瑞鶴、翔鶴、加賀、蒼龍の四空母からなる攻撃隊で、寧ろ本隊より編成は大であった。 高杉は大胆にも自らを囮としたのである。

 

高杉「…そろそろかな?」

 

手元の時計では奇襲部隊が攻撃機を発進させているであろう時間だった

 

「護衛戦闘機を発進させます」

 

優花里「いよいよ発進か!」

 

西「零戦の出番ですな!高杉司令」

 

高杉「いや、戦闘機は残念ながら零式戦ではないよ」

 

優花里「えっ??」

 

西「零戦ではない……ってどういうことなんなんですか……?」

 

高杉「…零式戦は本土の防空に回していてな。今作戦からは新鋭機を投入しておる」

 

 

その高杉の言う新鋭機が発艦しようとしていた。

 

機は一見すると零戦のようにも見えなくもないが風防が全天型になっており、プロペラは二重で6枚もついていた。

 

これこそが零戦に次ぐ海軍の新鋭機電征であった。

 

電征隊は次々に発艦し、各自索敵に当たっていた。

そのうちの一隊が敵を発見する

 

「敵編隊発見!10時方向下方!」

 

敵はまだこちらには気づいておらず飛行していた。

 

「これより攻撃にうつる。かかれ!」

 

電征が敵攻撃隊に殺到する!

 

比叡

 

「電征が敵と交戦に入りました」

 

高杉「いよいよだな」

 

「対空射撃用意!」

 

各艦の各銃座、砲塔が攻撃態勢に移る。

 

 

 

電征の突然の奇襲に攻撃隊はなす術もなく次々に堕とされていっていた

 

エンジンに機銃弾を受け黒煙を吹きながら堕ちていく機や、主翼の燃料タンクに引火そのまま撃退される気も出ており、既に半数以上が撃破されていた。

 

 

「やるなあの新米共!天狗にならなきゃいいが…」

 

ベテランパイロットの評価も高い

 

それはパイロットの技量よりも新鋭機電征の性能の賜物であった。

航空戦は格闘戦から、絶対出力と強力な火器の時代へと入っていたのだ。 電征の設計思想はまさに時代を先取りしていた。

 

 

米海軍 旗艦 スペリオール

 

リーガン「何!?第一波攻撃隊が全滅したと!?」

 

攻撃隊の全滅にリーガンは驚愕していた。こちらが先手を取ったにも関わらず、敵艦隊に到達することなく全滅したのだ

 

「敵の戦闘機はZEEK(零戦)ではないとのことです」

 

「日本海軍は新鋭機を開発したのでは……?!」

 

リーガン「馬鹿者!わかりきったことを言う暇があったら便所掃除でもしてろ!」

 

「提督、まもなく第二波攻撃隊が敵と接触します。こちらの主力は新鋭のF7F・エンゼルキャットです。それで奴らの実力が分かるはずです!」

 

リーガン「こちらが勝っていればいいがな……」

 

リーガンを不安にさせていたのは日本の新鋭機ばかりではなかった。

報告の内容に高杉艦隊の空母が二隻しか見当たらぬとの報告があったからだ。

 

リーガン(高杉の艦隊の空母は六隻のはず……他の四隻はどこにいるんだ?!いつどっから敵が襲ってくるか分からんではないか!!)

 

戦闘の興奮がリーガンから冷静な判断力を奪っていった。

他の四隻がその頃ダッチハーバーを目指していたとは気づくことはなかった。

 

 

 

比叡

 

[敵第二波攻撃隊接近!距離三万五千!]

 

高杉「来たか…」

 

福田「敵も必死なようであります」

 

西「いくら電征が優れているとはいえ、果たして防げるのでしょうか?高杉司令」

 

高杉「すべては無理だろう。だが彼らを信じるしかあるまい…航空参謀!護衛戦闘機隊にも知らせえぃ!」

 

高杉の勘は冴えていた。敵攻撃隊は厚い雲層を利用して護衛戦闘機隊の目を絡まそうとしていた。

 

 

護衛戦闘機隊は第二波攻撃隊を捉えていた。

 

「索敵電探に感謝だな!見逃すところだったぞ。雷撃は後回しだ、戦闘機から片付ける!いくぞ!」

 

 

 

「敵機だ!散開するぞ」

 

米軍側も迎撃に当たるべく、戦闘を開始する。

 

「敵も新型だ!油断するな!」

 

電征は武装や運動性能を活かし瞬く間に敵機を堕としていく!

 

 

海上からは上空に黒煙と光が確認できていた。

 

 

 

 

 

 

比叡

高杉「敵もなかなかやったらようだな」

 

優花里「今度は護衛戦闘機付きみたいですね!」

 

[正面雷撃機!電探連動砲用意!]

 

「電探連動砲用意!」

 

高杉「秋山、機種は分からんか?」

 

優花里「これだとよく見えないので双眼鏡をお借りしてもいいですか高杉殿?」

 

高杉は首に掛けていた双眼鏡を渡した。

 

優花里「機種は……TBF・アベンジャーです!」

 

攻撃のTBFは爆弾倉から魚雷を覗かせていた。

 

[三番連動砲用意よし!]

 

[六番九番用意よし!]

 

[一番用意よし!]

 

[二番三番用意よし!]

 

目標を捉えた機関砲は銃口から一斉に火を噴いた。前世とは違い電探と完全連動し、尚且つ自動攻撃にしてあるため命中精度はこれまでに比べ抜群に上がっていた。

 

濃密な弾幕が攻撃隊に殺到する。攻撃機はエンジンに食らい停止してそのまま海上に落ちるものや真正面から食らって機体がバラバラになる機体もいた。だが中には果敢に弾幕内に飛び込み魚雷を投下する機もいた。

 

「左舷に雷跡二!」

 

「面かーじ!」

 

見張員の発見が早く比叡は魚雷を躱した……だが!

 

「赤城上空に急降下!」

 

高杉「何!?」

 

西「なんだと!?」

 

急降下爆撃機は既にコースに入っていた。連動砲も必死に撃退を試みるが爆撃機から腹に抱えた爆弾が投下された!

 

高杉「!!」

 

次の瞬間赤城の甲板から爆発音と共に黒煙と火が上がった。爆撃機は撃退された。

 

高杉「あぁ赤城が……!」

 

西「敵にしてやられた…前方からの雷撃機に注意を逸らしてその隙に上空から急降下爆撃とは……」

 

福田「敵ながら天晴れであります」

 

赤城からは火災が何かに引火したのか爆発が起きていた。

 

高杉「火災は甲板だけのようだが……船務参謀確認をとれ!」

 

「はっ」

 

だが敵は待ってはくれなかった。

 

[二時の方向雷撃機多数 距離一万七千!]

 

優花里「ざっと見ても…50機以上はいるかと!」

 

高杉「第三波か…艦長飛龍が狙われるぞ!」

 

「はっ!取りかーじ 機関全速!飛龍の前へでよ!」

 

比叡とその取り巻きの駆逐艦は飛龍を守るべく、盾になる形で前に出た。

 

 

高杉「来たな!」

 

優花里「あの数は流石に機関砲では無理です!どうするですか高杉殿!?」

 

高杉「落ち着け、秋山」

 

「主砲射撃用意!」

 

比叡の一番二番主砲の砲口が敵雷撃隊に向く。

 

西「主砲……と言うことは()()()か!」

 

西の言った三式弾とは前世海軍の使っていた現代でいうところのクラスター砲弾である。

 

「電探に連動よし!」

 

「自動発射に切り替え!」

 

「切り替え完了!」

 

「距離一万四千」

 

攻撃隊は徐々に比叡との距離を詰めていた。果たして高杉はいかにして敵を防ぐのか!?

 

 

その瞬間、主砲が放たれた!

だがそこから放たれたのは明らかに三式弾ではなかった。

 

その攻撃を受けた攻撃隊は敵艦の主砲が何か撃ったかと思えば次の瞬間には自分たちの周りは青白い光に包まれており、彼らはそのまま自分たちの身に何が起きたかもわからないまま散っていった。

 

 

 

一方こちらでも何が起きたかが分からない者たちがいた。

 

優花里、西、福田の3人は自分たちの目の前の空に広がる光景を見て唖然としていた。

第一声を放ったのは優花里だった。

 

優花里「…なっ……何なんですか……あれ」

 

西「…福田……我々の目の前には……何が見える……?」

 

福田「わっ……分かりません……ただ……青白い閃光が広がっているようにも…見えます」

 

優花里「たっ……高杉殿……あれは明らかに……三式弾ではありませんが……何撃ったんですか……?」

 

すると参謀の一人が

 

「きっ…消えてしまった…これが新型三八弾の威力なのか…!」

 

西「新型…三八弾…?」

 

「つくづく米兵でなくよかったですなぁ」

 

「全くだ……」

 

優花里「高杉殿…いま言った新型三八弾って…あれのことですか?」

 

優花里は眼前の閃光を指差しながら聞いた。

 

高杉「あぁそうだ。さっき西の言っておった三式弾のこの後世世界版…といったところだ」

 

 

新型三八弾とは現代でいうところの気化弾である。砲弾から散布されたエアゾールが周りの酸素を奪って燃やし尽くす。まずは強烈な爆風が襲い、航空機は木の葉のようにもまれ、次いで強烈な熱波が燃料を爆発させる。

 

 

 

リーガン「56機ものアヴェンジャーが一瞬にしてだと……!?そっそんなことを…信じろと言うのか?!」

 

「はぁ…残念ながら…」

 

リーガン「!!……なんてこった…」

 

リーガンが信じられないのも道理だ。時代は航空機の時代に入りつつあり、艦隊決戦思想から航空機決戦思想へと変わりつつあるのだ。つまり戦艦は航空機に弱いと日本海軍はあの真珠湾攻撃で証明したにも関わらず、その航空機を一撃で葬り去る兵器を所持していたのだ。

 

リーガン(何故だ…なぜ奴らの科学力の方が勝っている?!…神はこの世を指導する者として我ら(アメリカ人)を作りたもうたのではなかったのか!?)

 

そのときだった。

 

「帰還機!」

 

リーガン「何機だ!?」

 

「一機のみです!」

 

帰還してきたのはボロボロのF7Fだった。ダメージが酷いのかエンジンが今にも止まりそうだった。それでもようやく甲板に着艦した…が次の瞬間、着陸脚の片方が折れ甲板を火花を散らしながら左へ左へと滑りついに海へ落下した。これで米海軍の帰還機は0であった。

 

リーガン「なんてことだ!!」

 

さらにリーガンたちに追い討ちをかけるように不報が入った。

 

「提督!ダッチハーバーが敵機動部隊の空襲を受け炎上中とのことです!」

 

リーガン「なんだと!?」

 

瞬時にしてリーガンは悟った、そして敗北を認めた。

 

リーガン「上空援護のない我々は丸裸だ。サンフランシスコに撤退しよう」

 

「はっ」

 

「敵機来襲!」

 

リーガン「何!?」

 

前方から電征の大群が迫りつつあった。

 

リーガン「これまでか…こうなれば武人らしく最後まで潔ぎよく戦って艦と共に沈むか……諸君、戦闘配置に着きたまえ」

 

「総員戦闘配置につけ!」

 

 

各銃座が一斉に攻撃を開始した。

だが向かってきた電征はたった一機だけだった、それも着陸脚を出しただ。

 

リーガン「何だ?戦う意思が無さそうだぞ。射撃をやめさせろ!」

 

電征はそのまま艦の後方に回り込み、甲板上空を通り過ぎる途中で何かを落としていった。

 

落とされていったのは連絡筒であった。中身はリーガンのもとに向かった。

 

リーガン「……見たまえ艦長」

 

中身の手紙を艦長に見せた。

 

「"貴艦への着艦を許可されたし。ハワイ方面軍司令 高杉英作"…一体どういうことでしょうか?」

 

「前代未聞の申し入れです!」

 

「謀略ではないでしょうか?」

 

リーガン「いや、着艦を許可したまえ」

 

発光信号で先ほどの電征に着艦許可を送った。

 

「着艦を許可する…か」

 

スペリオールの甲板に電征が着艦した。

 

リーガン「あれが我がF7Fを叩き落とした奴か」

 

「そのようですな」

 

コックピットハッチが開きパイロットが降りてきた。

 

「私は高杉司令長官である!リーガン提督にお会いしたい。」

 

何とやってきたのは高杉英作本人だった!それも一人である!

 

「しっ司令長官ですと?!」

 

高杉はそのままスペリオールの一室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

リーガン「それにしても、提督自らとは驚きですな」

 

高杉「リーガン提督にお会いして直接お話をしたく、不躾なながら参上いたしました」

 

リーガン「…して?その要件とは?」

 

高杉「武人同士率直に申し上げます」

 

リーガン「伺いましょう」

 

高杉「()()を勧告しに参りました」

 

リーガン「!?」

 

リーガン達は驚いた。一人で乗り込んできて何をいってるのかと

 

リーガン「ばっ馬鹿なことを仰らないでいただきたいはははw…できることではない!我々は祖国の誇りにかけて、最後まで戦い抜きます!」

 

高杉「失礼ながら、戦況はあなた方にとって最悪なのです」

 

リーガン「それは解せませんなぁ。我が方は航空機こそ失いましたが、全艦戦闘力は微塵も失われておらんのですぞ」

 

高杉「それでは…!」

 

高杉が立つのと同時に銃が向けられた。

 

高杉「証拠をお見せしましょう。デッキに出るのをお許し願いたい」

 

高杉とリーガンはそのままデッキへと向かった。

 

ちょうど目の前に戦艦アパラチアが通りかかった。

すると高杉は信号弾用拳銃を取り出した。

 

リーガン「アパラチアを…!?」

 

高杉はそれをアパラチアではなく上空に向かって撃った。

 

それは()()への合図だった。

 

 

 

海中 イ601

 

「電征より合図です!」

 

入江「うむ。発射!」

 

二本の魚雷が発射された。

 

その魚雷が先程にアパラチアに命中した。

 

リーガン「なんてことを…!」

 

高杉「ご安心ください。信管は抜いてあります」

 

リーガン「X艦隊か!?」

 

高杉「機密につき申し上げあれません」

 

リーガン「これは脅迫か!?」

 

高杉「いえ警告…いや、()()()()ですかな?」

 

リーガン「取り引き?!…条件は?」

 

高杉「我々の艦載機をこの空母でホノルルまで送っていただきたいのです」

 

リーガン「なっなんですと?!」

 

高杉「我々の空母赤城があなた方の急降下爆撃を受け、目下着艦不能なのです」

 

リーガン「…でホノルルに着いた後は?」

 

高杉「提督のお気に召すままの船旅を」

 

リーガン「ふっふはははwよろしい!我々だけで一時休戦といきますか!」

 

リーガンは手を差し出す。高杉はその手を硬く握った。

 

高杉「提督のご厚意に感謝します!」

 

リーガン「ww提督貴方には参りました。おいコーヒーを!…いやウイスキーだ!俺のバーボンをボトルごと持ってこい!」

 

 

両雄の間で交わされた休戦協定は艦内放送を通じて、リーガン提督から全将兵へと伝えられた。ここに太平洋の奇跡と後の世まで語り継がれる逸話が誕生した。

 

 

リーガン(彼らは我が艦隊を全滅させることもできたのに……こういう男達と我々は戦っているのか)

 

そう心の中で言うとウイスキーを飲んだ。

 

一旦合流した日米艦隊は名残を惜しみつつ二手に分かれる。

米艦隊はサンフランシスコを目指し、超空母スペリオールを加えた高杉艦隊はハワイ・ホノルルへと……わずかな日数ではあったが実に奇妙な航海であった。

 

 

〜道中〜

 

スペリオール

 

「提督、国防総省からです」

 

リーガン「うむ」

 

ことの詳細を知った国防総省からの連絡だ。

 

リーガン「私だ」

 

『リーガン貴様気でも狂ったのか!』

 

リーガン「俺は至って正気だ」

 

『ならば、そこにいるアドミラルタカスギ直ちにを捕虜にするんだ!』

 

リーガン「このスカンク野郎が!捕虜になってるのは俺の方だ!」

 

リーガンはそう啖呵を切って、受話器を勢いよく戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別地点 

 

イ601 艦橋

 

みほ「天弦作戦……上手くいきましたね。前原さん」

 

前原「あぁ」

 

入江「しかし壊滅できたはずの敵艦隊を高杉長官はなぜ見逃したのでしょう?自軍の航空機を助ける為だけとは思えませんが…」

 

前原「無論だ。前世において日本海軍の戦力思想は艦隊決戦だった。それを一気に覆したのが真珠湾攻撃だ。これは艦隊は航空機に弱いというのを教えてやったようなもので、のちに物量作戦となる航空決戦に誘導したようなものだ。そこで後世では敵に艦隊決戦思想に帰ってもらう必要があったんだ」

 

みほ「まさかそれを見越したの作戦だったんですか!?」

 

前原「その通りだ」

 

入江「なるほど、わかりました天弦作戦の真の意味が!高杉艦隊は殺到する航空戦力を阻止してみせましたからね」

 

前原「これで米国がもとの艦隊決戦思想に返ってくれるといいが…」

 

入江「はっ 潜水艦決戦思想という我々独自の戦法においてもその方が都合がいいですからね」

 

前原「紺碧艦隊は強力な戦力には違いないが、基本的には航空機には弱いからな。しかし資源の乏しい我が国が如何に戦争を継続できるかはこの方法しかあるまい」

 

 

天弦作戦の隠された狙いが成功し、米国においての艦隊決戦思想復活が急となるのは半年後のことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回へ続く




新型三八弾 あれはえげつない。
今後は作中の時期などを考えて割愛する話があるかもしれません。
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