───府中市内 『怪獣酒場 府中店』内────
「「「かんぱーい!」」」
ある日、トレセン学園のトレーナー達が飲み会を開いていた。
「っぷはぁ〜!美味ぇ……!」
トウカイテイオーを担当しているアンギラストレーナーと、
「この1杯のために生きてるねぇ……」
ファインモーションを担当しているゴモラトレーナーと、
「凄い飲みっぷりですね、お二人とも」
キタサンブラックを担当しているメフィラストレーナーの3人である。
同じ職場で働く成人男性同士、飲み会を開く事もあるだろう。
「店員さん、『禁じられた言葉』サラダをお願いします」
「こっちもこっちも!スカイドンの炎のチーズダッカルビ、オナシャス!」
「あ、じゃぁ俺は…グドンのおススメ!ツインテールフライ、頼みます!」
「かしこまりました…」
ウエイターのギララとガッパが厨房へと移動してゆく、美味しそうな料理を調理する音と匂いが、プンプンと伝わってくる。
やがて食事も運ばれてきた。3人はその味に舌鼓を打つ。
「ヨーグルトと大根をベースに作ったドレッシング。塩分と旨みを同時に楽しめる、私の好きなサラダです」
「チーズダッカルビかと思ったが、まさかまさかのカレーだとは?!火を吹く辛さとチーズのハーモニー、こりゃぁ割とガチ目で美味い!!」
「ツインテール。噂には聞いていたがここまで美味いとは…、しかも付け合わせの生ベーコンとサラダもなかなかいい味を出している…文句なしの満点だ」
その後、メインディッシュやデザートも食べ終わり、いよいよ完全に3人とも酔いが回ってきた頃だった。
「あー……出会いが欲しいです……」
「「それな」」
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───トレセン学園 地下室内────
「「「は?」」」
爆弾が落とされた。
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「なんかさー、出会い有んのか無いのか分かんねーよなこの仕事」
「っすよねー。女の子と会う機会自体は無限にあるっすけど」
「いやいやいや、女の子って言っても年下過ぎるでしょう」
「まあ、文字通り『女の子』っすもんね」
「もーちょい近い年代の人との出会いはなぁ……」
「近い年代……記者の人とか、笹針師の人とかどうでしょうか?」
「ねーよ」
「逆に聞くけどメフィラスさんはあの人達アリなの?」
「……無いですね」
「でしょ?」
「悪人ではないですが、なんか、こう……」
「うん、わかるよ。なんだかんだ善人ではあるからね」
「つーかあの人等が選択肢に入るレベルで出会いねーのか俺ら……」
「合コンでもする?」
「やったところでなぁ……」
「目ぇ肥えていますもんね、トレーナーって」
「右も左も美少女だからねぇ」
「……ちなみになんですが、担当と付き合おうとかは……」
「ないない、さっきも言ったけど俺、アイルランド語ムリ。以上」
「ですよねぇ、まぁ私も北島三〇さんに半殺しにされたくないので…」
「俺もだ、やっぱりゼンノロブロイとかイナリワンみたいなロリ巨乳は最高だぜ!」
「歳の差もアレだし、なあ?」
「犯罪ですよね」
「美少女なのはそうっすけど、恋愛対象としては……いやーきついでしょ(食い気味)」
「あ゛〜彼女欲しい……」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「……ふーん……」
「……へぇー……」
「チッ……」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやー……飲んだなぁ……」
「飲んだねぇ……」
「飲みましたねぇ……」
「盛り上がったなぁ……」
「盛り上がったねぇ……」
「盛り上がりましたねぇ……」
「というかさ、そもそも恋愛に現を抜かしてる暇なんて無いよね」
「まあ、そうですね」
「担当第一。他の事にうつつを抜かせる余裕なんて無ぇわな」
「だからこそ、俺たちの担当バらはいわゆる優良物件って奴なんだけど」
「でも逆に考えれば俺たちの担当バらにもそんな余裕は無い訳で」
「難しいですね……」
「理解のある人達ほど難易度が高いんだよね、この業界」
「矛盾ですね……」
「この分じゃ一生独身かもな、俺ら!」
「「「アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」」」
怪獣酒場での飲み会はお開きとなった。
だが3人は気づいていなかった。実は机の裏に盗聴器が仕掛けられていたという事実に…。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「きさまー、私とは結婚できないと申すか♡」ハイライトオフ
「へぇ…トレーナーさんはそんな心配をしていたんですね、もうお父さんには了承済みだというのに♡」ハイライトオフ
「へぇ…トレーナーそんな無駄な脂肪の固まりが胸についたメスブタが好きなんだ…」ハイライトオフ
メフィラスが「割り勘で良いか?」と会計を済ませ、全員が居酒屋を出てすぐだった。
3人の眼前に不幸にも黒塗りの高級車が出現し、その中からキタサンブラックとファインモーションがが迎えに来たのだった。
「トレーナーさん!今私と眼が合いましたね!!うまぴょいして結婚しましょう!!!」
「今夜はうまぴょいして王族入りさせるから寝かせないよ?覚悟してね?」
2人とも瞳のハイライトが無い。ハイライトはゼットンによって吹き飛ばされたのだろう。
「結婚…???待ってください、そんな事をしたら北島三〇さんに半殺しにされ…」
「もうお父さんには許可はとりました!だから安心してアタシに身を委ねてください…あそこのお城みたいなとこに行きましょう♥」
「こんな事したら国王がやばいってば!だからさ…」
「安心してトレーナー、お父様は王族入りを歓迎してるよ?アイルランド語もちゃんと教えてあげるね♡」
「「あ、アンギラス!た、助けてくれえェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
彼ら2人は助けを呼ぶ前に、担当バによって車の中へと引きずり込まれた。
そして車は走り去ってしまった。
彼ら2人の犠牲は無駄にはしない…合掌を心の中で済ませてから
アンギラスは急いで帰る事にした。
このままでは彼らの様にテイオーに捕まって逆ぴょい伝説不可避だ。
そして無事トレセン学園へと戻ってきた。だがしかし目の前に現れたのは…、
「トレーナーがロリ巨乳好きだなんて、まさか夢にも思わなかったよ…」
そこにいたのはなんとハイライトのない瞳で不気味に微笑むトウカイテイオーであった。
「すまんテイオー…俺ロリ巨乳じゃないと勃たないんだ…だからゆるしてくださいなんでもしますから」
「ん?今何でもするって言ったよね?」
「あっ(察し)」
「だからトレーナーの性癖を上書きさせてもらうね。…──好きになるべきはロリ巨乳の子か、ボクか。 その目でちゃんと確かめてよ。だからね…トレーナー、今夜は寝かせないよ♡」ハイライトオフ
「やなこった!」
アンギラスはトレセン学園の校門を破壊して逃げ出した。それを追うトウカイテイオー。
ウマ娘VS怪獣という二度とないであろうユメのレースが今、幕を開けた。
ネオンサインが煌めく府中市市内の繁華街。そこで今、全速力で逃げるアンギラスとそれを追うトウカイテイオーの一騎討ちが幕を開けていた。
路行く人を押しのけ、跳ねとばし、2人は黒い風のように走った。
野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ昇りゆく太陽の、十倍も早く走った。
一団の旅人と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。
「ファインモーションとキタサンブラックが結婚発表をしたそうだ、お相手はそれぞれ自身のトレーナーだってよ!」
「へぇ」
ああ、その2人の男、その2人の男の無念を忘れえぬためにアンギラスは、いまこんなに走っているのだ。急げ、アンギラス。逃げ切れ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。アンギラスもトウカイテイオーも、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、銀座の市の塔楼が見える。塔楼は、朝陽を受けてきらきら光っている。
その時偶然にも、黒塗りの高級タクシーがアンギラスの眼前を通りかかった。
「ヘイタクシー!乗せてくれ!!」
有無を言わさずタクシーの運転手はアンギラスを乗せてくれた。
タクシーの運転手はバイラス星人だった。
(親切なタクシーの運転手さん、本当にどうもありがとうございます…)
アンギラスは内心そう呟いた。だがその81分後。
「すみませんね、お客さん。雇われちまったんで」
タクシーが突如止まった。車の前にはテイオーが立っていた。そしてバイラス星人運転手はにやりと笑いながら言った。グルだったのだ。
冷静になってよくよく考えてみたら、あんないいタイミングで学園前にタクシーが来るのがおかしかったのだ。
それからのアンギラスの行動は彼自身も驚くほど早かった。川に飛び込んだのだ。一瞬で近くに会った川…隅田川に向かって。
あやうく捕まえられるところだったが、間に合った。幸いにも、川の流れはかなり急だった。昨夜の雨のおかげだろう。テイオーといえど、長距離走は苦手なはずだと祈りたかった。
水流に運ばれながら、冷静に考える。
どうしてテイオーはこんな行動に出たのだろうか?おそらく、自分からは逃げられないぞという意思表示のためだろう。
「さてと…俺もようやく自由だな」
「ううん、だめだよ?トレーナーはボクと一緒にいなくちゃいけないんだから」
危うくショックから溺れそうになったが、テイオーが助けてくれた。…正確に言えば、とうとう捕まってしまった、だがしかし彼は、そのまま岸辺に引き上げられることになった。
「…どうやって?」
「えっ?一緒に流されればいいだけじゃん」
「こりゃ一本取られたな…」
実にその通りであった。彼は川に飛び込むことの欠点を知らなかった。いつの間にかスマホまで取り上げられていた。
「女の子の告白を断って、しかも逃げるなんて…、惚れさせた責任を取るべきだと思わない?」
彼女はにっこりと笑って言った。ああ、もう逃げられない。
「トレーナー、もういいんだよ」
気絶させられる、と思ったら抱きしめられた。その温もりは、何か暖かいものを思い出しそうになる。
「辛くなったら、ボクに言ってほしい。ボクはトレーナーのこと、ずっと見ていたから」
「盗撮、及び盗聴で?」
「うん」
わかってはいたが、知りたくはなかった。テイオーは何もかも見抜いていたということなのだ。
…彼の目から涙が溢れ出した。2人の友人は逆ぴょいされ、とっくに消えてしまった。でも、今はテイオーがいる。テイオーはアンギラスを愛していた。トレーナーとしても、1人の怪獣としても。
テイオーは突然立ち上がって、彼を背負った。
「ほら、この近くに温泉があるからさ!そこで暖まろ!」
「…そうだな」
なお、その温泉が混浴だということを彼はまだ知らない。しかも、昨日の大雨のせいで誰もいないということも。
テイオーはそれを知っていて彼を運んだ。その後のことは…語るまでもないだろう。
ただ一つ言えるのは…この日、3人のトレーナーがトレセン学園を退職したということ。
関係ないけど、混浴の露天風呂って、よく同人誌の舞台になるよね?
おまけ
「ふふふふ…アーッハッハッハッ…アーッハッハッハッァ!!流石G1ウマ娘、ガッポリ儲けさせてもらったぜ!!さて、帰るか…うん?なんか女性の人が手を振ってる。乗せてほしいみたいだな!霧でよく顔が見えないけど!とりあえず、運転手としての義務を果たすか!」
数秒後…
「まさか幼馴染のライトハローちゃんだったとは!こんな場所で会えるなんて!」
「ええ、テイオーちゃんに場所を教えてもらったので」
「へっ?」
「カーうまぴょい(意味深)に興味ありませんか?あっ、強制なので答えなくていいですよ?」
「卑しか女杯(震え声)」
おしまい