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「(誘拐事件発生の通報を受けて現地に来ましたが、どうやら既に護衛に付けていたA小隊はあの
「(市治安維持当局員が誘拐ビジネスをやってるなんて。いったいこの街はどうなってやがる。)」
─ノーバディーはシエスタ市街に到着した直後、
「さっきの銃声で敵の増援が来るはずだ。周囲を警戒しつつ移動しろ。」
「B小隊は、後ろから回り込んで包囲しろ。C小隊は私と共に遠距離から攻撃を行い敵を引き付けろ。VIPを奪還し、A小隊の敵を取るぞ。」
─シュヴァルツがゆっくりと照準を付け、バリスタのようなサイズのクロスボウから
「スナイパー!」
「スモークを焚いて移動しろ!極力位置を悟らせるな。ライノ1-1へこちらノーバディー。戦車と人員回収用のIFVを通りに派遣してくれ。こちらはスナイパーに狙われて移動が出来ない。」
「ライノ1-1からノーバディーへ、ライノ2-3が指揮するD分隊とE分隊がそちらへ急行中。構成はレオパルトが2両、エイブラムスが2両、プーマが4両。」
「ライノ1-1へ了解した。…新車の初陣が市街地戦か。」
「スモークアウト!」
─スモークに紛れて隊員が移動する。直前まで遮蔽物にしていた壁がシュヴァルツの狙撃で破壊され、C小隊の一斉射撃による矢が降り注ぐ。
「ライノ2-3からノーバディーへ、現場に到着。」
「シュヴァルツさん、見たことがない車両が来たっす。」
「確かに、見たことがない車両だ。C小隊は少し下がった位置に移動しろ。」
「
「敵はおそらくあの外壁が赤いビルの2階から狙撃してきている。HEを撃ち込め。」
「了解。
「
「
「
「こちらへ突っ込んでくるぞ!」
「待て、あの車両何をするつもりだ!? は、早く止めろ!!!」
-レオパルト2A7Vの砲塔がビルの方を向いていた。
「
─レオパルト2A7VのDM11が建物の手前で起爆、C小隊に多数の負傷者を発生させた。
「状況を報告。」
「C小隊、負傷者多数。」
「よそ者め······。」
─シュヴァルツの狙撃で先頭の
「アイツ測距をしくじりやがったな…クソッ履帯をやられた!修理中。」
「(スナイパーが見えた!)」
「(あれは敵の指揮官!指揮官を倒せば。)」
「(マズイ、狙撃だ!)」
─ノーバディーがシュヴァルツを目視で発見してM13Bの引き金を引いた。そしてシュヴァルツが後方で指揮をしていたノーバディーへ射線が通ったと気付きクロスボウの引き金を引いた。
ノーバディーが放った2発の5.56mm弾はシュヴァルツの右上腕に命中した。
次にシュヴァルツが放った矢がノーバディーとっさに盾にしたM13Bを貫通してヘルメットに直撃し衝撃でノーバディーが倒れた。
「大佐!」
「俺は無事だ。スナイパーを警戒しろ。」
「くっ、撤退だ。旦那様の守りを固めろ。」
─右腕を押さえつつシュヴァルツが撤退を指示し、
ノーバディーの部下が
「無事か?」
「助かりましたわ。お礼をさせていただきたいのですがどちらにお住まいですの?」
「とにかく、無事で何よりだ。だがこっちはシエスタ市治安当局と戦った理由が正当なものだと証明できなければ国際指名手配犯にされかねない。証言を頼めるか?」
「当然ですわ。予備のアーツユニットを忘れて大変なことになった所を救っていただきましたもの。恩人がわたくしのせいで罪に問われるような事態になればモンベラン家の名前に泥を塗ってしまいますわ。」
「それで、敵から奪い返した君の通信機器を使えば、シエスタ市長に直通で繋がる。これで君たちから真実を伝えれば国際指名手配は避けられるはずだ。」
─スカイフレアが自前の通信端末でシエスタ市長に通信を開始した。
「へルマン市長、あなたを信用したのはどうやら間違いだったようですわね。あなたが付けてくださった護衛に薬を盛られましたわ!偶然現場に居合わせた人物が助けてくれなければ誘拐されるところでしたわ。」
「私は話が終わるまで部下からの報告を聞いてくる。終わったら呼んでくれ。」
「わかりましたわ。」
「A分隊へこちらノーバディー、状況を報告しろ。」
「建物を完全に制圧。敵は突入前に撤退した模様。」
「了解した。A分隊とD分隊は、C分隊とE分隊へ合流し周囲を警戒しろ。」
「了解。」
─へルマン市長との話を終えたスカイフレアがこちらへやってきて通信端末をノーバディーに渡した。
「へルマン市長があなたと話したいそうですわ。」
「君はノーバディーだったな。モンベラン家のご令嬢から君のことを聞いてな。君と少し話をしたいと思っていたところだ。まずは礼を言わせて欲しい。モンベラン家の護衛に付けていたはずの治安維持当局員が全員遺体で発見された。今回君がモンベラン家のご令嬢を治安維持当局員に変装した誘拐犯から救出していなければ、悲惨な結末を招いていたかもしれない。そこで圧倒的な戦闘能力を持つ君に頼みたいことがある。既にこちら側で逮捕した誘拐の共犯者から森林に他の被害者が監禁されているとの情報を入手した。2日後から森林にある古い屋敷を捜索して救出して欲しい。」
「シエスタの森林は生い茂る木で見通しが悪く。洞窟がそこら中にあって隠れる場所の多い待ち伏せには絶好の環境だ。そんな環境に突っ込めば洞窟を利用した待ち伏せで袋叩きにされかねない。ハッキリ言って土地勘と実力があって信用の出来る案内役無しでこの仕事はやりたくない。」
「ならシュヴァルツを案内役兼連絡係として君に付けよう。」
「何年も前からお嬢様の護衛を任されているシエスタ市長SP兼市治安当局局長。さっき戦ったあのスナイパーか、なら土地勘と実力、信用も問題ないな。なら受けよう。」
「決まりだな。では頼んだぞ。」
─ヘルマン市長との通信が切れたと同時にノーバディーはスカイフレアへ通信端末を返した。その際にスカイフレアの息が荒くやけに顔が赤いことに気づいた。
「熱があるな。大丈夫か?」
「ちょっと…部屋まで連れていってくださる?」
「あぁ、分かった。車両を手配する。」
─ノーバディーは車両を手配してスカイフレアをホテルへ送り届けた
「着いたぞ。部屋まで歩けそうか?」
「なんとか…歩けそうですわ…」
─ノーバディーがスカイフレアに肩を貸して部屋に入るとスカイフレアが部屋の鍵を閉めた。
「(ん?)」
「わたくしに1晩付き合ってもらいますわよ。」
「(まさか、盛られた薬ってのは…)やべっ!」
─ノーバディーが部屋から逃げ出そうとするが即座にスカイフレアに捕らえられてベッドに引きずり込まれた。