地球を救った白き英雄は無限の成層圏へ帰還する 作:白菜を身にまとった生命体
「…イチカ・ディフェンスフォース…」
先程の戦いを見たセシリアは自身の専用機 ブルーティアーズを確認しながらイチカの名前を呟く。
「…あのような動きをされては、勝てる可能性は限りなく低い…ですが、逃げるなんて選択肢は私にはありませんわ…私は、強くあらねばなりませんから」
ー
「…どうも、セシリア・オルコットさん」
「…あなたはどうして、そこまで強いのですか?」
アリーナでブルーティアーズを纏ったセシリアと絶狼式を纏ったイチカが目を合わせる。
「…そう言う環境だったからだ」
「そうなんですね…ですが、私が勝ちますわ!」
そう言うと、セシリアの周りにビットが展開される。
「…へぇ、無線兵器か」
そんな言葉と同時に開始のブザーが鳴り響き、それと同時にビットがビームを放ちながら接近する。イチカはそれを回避しつつセシリアを観察する。そして、ビームを搔い潜りセシリアに近づくとセシリアは上空に向かい、持っていたレーザーライフルを撃つ。そのレーザーを雪片終型で斬り防ぐと、セシリアとブルーティアーズの弱点を見抜く。
(なるほど、武装は遠距離装備が大幅に占めているな。接近時の動き的に近距離戦は苦手…しかも、ビット操作時のセシリアは操作に集中して動かなくなる…ただ、まだまだ成長できるくらいには才能はある…それに、このビットの動きには努力がひしひしと感じる…努力のたまものってやつだな)
そう思いながらもイチカはレーザーを回避すると、雰囲気が一瞬で変わった。
(変わった…?)
セシリアもそれを感じ取り、身構えつつビットを操作する。イチカは雪片終型を収納してヒュドラを展開して弾丸を放つと、二機のビットを破壊する。もう二機のレーザー型のビットにはベオウルフで狙い撃ち、破壊する。そして、
「諦め…ませんわッ!!!」
そんな言葉と同時に爆煙からショートブレードをイチカに向けて振るう。セシリアの決死の一撃を以てしても、イチカはショートブレードを振るう腕を掴み、防いだ。
「いい攻撃だった。あの攻撃は他の奴らなら喰らってただろうな」
「…どうして、あなたはそこまで強いのですか…」
武装はなく、何もできないセシリアはそんなことを呟く。
「…俺は、地獄を何万回…いや、そんな回数を超えるくらい体験した。人は死に、悲鳴が響き渡る地獄。武器を持ったカエル、人を喰らう巨大な蟻、人を撃ち殺すドローン、死を恐れず自爆してきたりするアンドロイド…そんな地獄をな」
「…そんな嘘が…いえ、あなたの顔を見ればわかりますわ…嘘ではないのですね」
「…じゃあ聞くけど、セシリアはなんで強くなろうとするんだ」
「…私は幼いころ、両親を亡くしました。それと同時に、両親の遺産を狙って近づいてきた人たちを見て、私は強くあらねばならないと…」
「…なるほど、じゃあ男に対して当たりが強いのは?」
「…父が婿養子で、立場で卑屈でしたから…」
「あぁ、なるほど…よく頑張ったな…セシリア」
「…えっ…?」
「あの戦い方は一朝一夕でできるものじゃない。まだ荒い部分はあるが、まだ成長できる…それに、そんな年齢で背負いきれるものじゃない。立派だし、とても強いよ」
「…イチカさん…」
「…というか、どうする?この試合…」
「…そうですね、もとはと言えば私がイチカさんを拒否したのが原因ですし…」
「クラスが俺を立候補させたってのも原因だしな…一応、隊長的なのを任されたりしたが…」
「なら、イチカさんがいいと思いますわ」
「…こっちでも任されるのか…」
そんなことを話し合いながらも、この試合はイチカの勝ちで終わった。
次回 代表決定戦終了後