その前に、色々と情報を出していきますね。
来年の2月にイブニングが休刊になるようです。K2はこれからどうなるんだ……
星と別れて、城壁に向かうまでの間にも黄巾党が現れ、宙を舞う。相手の顔面に一撃をお見舞いしたり、こめかみにトーキックを喰らわせて、城壁までの道を拓いていく。
だがその道を拓く間も、思考で頭は一杯だった。頭痛など気にしない。
「押し通ぉぉるッ! 邪魔を……するなァァッ!!」
もはや趨勢は決していた。黄巾党に勝ち目などない。
自分は近藤一慶、実際は『慶』ではない。令和の世に生きる一介の研修医だったはずだ。三国志の世界に来たのはこれが初めて。だがこの記憶はなんだ? 別の慶としての記憶が流れ込んでくる。華琳と握手した時も、星と握手をした時と同じようにあった、自分の人生が終わる瞬間の記憶。
何度も考えては消えていく、自分は何回この世界に来ているのか。いや、自分は何回この世界で死んでいるのかという疑問。
あの自分の死んでいく感覚がリアル過ぎて、気分もドンドン悪くなってくる。
今しなければならないはずの、城壁への物資輸送任務も放棄していた。
記憶は華琳と星の二人分ある。しかしその記憶もそれぞれが独立した記憶であり、何が起きているのか分からないでいる。
他にも眠っている記憶があるのかもしれない。雪蓮や冥琳たちとは何もなかったけども。
謎が新たな謎を呼び、気が付けば城壁の真下にまで来ていた。荷台に物資が無い。太史慈たちが運び終えたのだろう。
気怠い脚に鞭打ちながら城壁を上がれば、孫と書かれた牙門旗と劉と書かれた牙門旗が見えた。劉備たちの軍勢も到着したようである。その軍勢を見て戦意を喪失したのだろうか、黄巾党は想像よりも大人しく投降し、この戦は終わりを迎えたのだった。
記憶のことは後回しにしよう。どうせ星と話すことになるのだ。そこで疑問点を洗いざらい質問すれば良い。物資輸送が終わった今、怪我人の治療が自分の最重要任務だ。
彼女のテンションの下がり方は顕著だった。防衛目標であった県令は既に姿を眩ましており、星たった一人で街を護っていたのだ。太史慈――いや『
自分はずっと梨晏と話を続けながら、手術を続けている。雪蓮たちの奮戦もあって、死傷者は非常に多かった。仕方のないことではあるのだが、これも戦争である。
会話を続けながらも、手だけは精密に動かす。誰が言ったか鬼手佛心。結紮する手は素早く、縫合も猛スピードで終わらせる。次の患者はどこだ。
「梨晏、守るべき人は無事に生き延びることが出来たんだ。そう思うことで気持ちを楽にするしかない」
「そ、そうだよね……」
県令が逃亡したと分かった後、梨晏は呉軍に加入することとなったため真名を交換したのだった。彼女の武力があれば更に呉軍は強くなる。雪蓮も冥琳も快く承諾したのだった。
それにしても、食客であって正規の将ではないにも関わらず街を防衛し、救援を呼んだ功績は大きい。その義理深さというか、仁義の心というものに自分は強く胸を打たれていた。それもあって、護衛も兼ねて治療所に詰めてもらっているわけだ。
「梨晏、選別は出来たか?」
「あ、うん! 出来てるよ!」
梨晏の手には余った四色の紐があった。輜重隊の面々は緑と黄の紐を手首に結ばれた負傷者の治療に当たっている。自分は赤の紐の担当だ。
黒は……雪蓮たちの隊が担当している。
「とりあーじ、だったっけ? これ、分かりやすくて良いね」
そう、建業の街で頼んでいたもう一つの物資、それはトリアージの紐であった。服屋に頼んで端材を加工してもらったものだ。
トリアージとは、医薬品などの医療資源が限られる現場において、より効果的に傷病者の治療を行うために優先順位を決定するものである。
〘トリアージ〙
黒…優先順位4位 死亡 救命不可
赤…優先順位1位 重症 最優先治療群
黄…優先順位2位 中等症 非緊急治療群
緑…優先順位3位 軽症 軽処置群
日本国内では阪神・淡路大震災以後に知られるようになったもので、複数の救急隊が出場する事案では隊と隊の間の意思疏通のために行われるものである。
ただ、トリアージは『全ての患者を救う』という医療の原則から外れた、例外中の例外であることを忘れてはならない。大量負傷者が発生する極限状況でのみ認められるものだ。トラブルの原因にもなりやすい。黒の紐、即ち『死亡』判定を下して切り捨てる、という決断が難しいからである。
「杏林様! 赤紐の人、運んできました!」
「了解、すぐこっちへ! 行きますよ……いちにっさんっ!!」
周囲にいた衛生兵も慣れてきたもので、即席の担架から患者を移す。呉軍の兵士だ。状態は酷く、矢が三本、腹部を貫通していた。
「貫通した鏃の部分を切り落としてください」
「分かりました」
「局所麻酔入りました……。では抜去術始めます。メス」
幸い、内臓の傷は酷かったものの、手術は成功した。腹部にはドレーンを留置して、予後観察となる。
「長丁場、鮮やかなお手並みでしたな、主」
治療室に現れたのは星だった。その肩越しに見える空はオレンジに染まりつつある。
「主、先程の話にございますが……」
「待ってくれ、場所を変えよう。しぇ……伯符にも報告してくるから」
「御意」
ちなみに雪蓮と冥琳に報告に行ったところ、休みなく動いていたために怒られてしまった。仕方ないじゃないか、衛生兵も休み無しで頑張ってたんだぞ。俺が休めるかっての。
そして二人とガッツリ握手するも、記憶が戻るようなこともない。二人に怪訝な顔をされてしまったが仕方ない。
記憶のことはまた後日、冥琳に言うことにしよう。
トリアージに関しては、会話で説明するのをやめました。
書けども書けども、グチャッとした文体になっていたので、簡易的な形で書くことにしました。ご了承ください。
追記
お気に入りの減少ヤバっ……