真・恋姫†夢想 〜日付のない墓標〜   作:世良緋那太

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貂蝉の文章難しいわ……。
頭カラッポにして読んでください。

次回、久々の幕間です。



終結〈3〉

 明晰夢をご存知……って前にやったなコレ。

 

 

 意識を手放して、その深淵に身を委ねられなかったのがこの俺だ。

 

 

「いや貴方たち誰ぇ!!」

 

「イヤだわご主人様……いえ、一慶くぅん」

 

 ねっとりした喋り方やめてぇ! 日曜日思い出すわ!

 

 

「え、一慶って……俺のこと知ってるのか!?」

 

 こんな知り合いいませんよ?

 

 

 真っ暗な空間に、筋骨隆々の男性二人が立っていて、一人はパンツ一丁。もう一人は純白のパンツと胸当てを装備した……変態だ。

 

 

「ま、まず名前だけでも教えてくれないか。何て呼べば良いのか分からないし」

 

 直視してもしなくても負けな気がしてきた。

 

 

「私はぁ……貂蝉(ちょうせん)ちゃんよぅん!」

 

 その時、間違いなく時が止まったんだ。

 

 貂蝉、あの傾国の美女と云われた貂蝉なの?

 

 俺、初めて洛陽に行ったときに貂蝉に会えるかもー、なんて軽く考えてたけどこの人が貂蝉? いやいやウソウソ。貂蝉って架空の人物で、三国志演義にしか出てこないんだよ知ってた? やめてウソちょ待っアッー!

 

 

「あらあらあらぁ、ご主人様泣いちゃったわぁん」

 

「うぬのせいであろうが、貂蝉よ」

 

 もう一人の大胸筋パッドを装備した白髪(はくはつ)のマッチョが憐れみの視線をこちらに向ける。

 

 

「ま、まさか傾国の美女がこんな……」

 

「だぁれが筋肉モリモリマッチョマンの変態ですってぇ!?」

 

「まだ言ってねぇよっ! しかも懐かしいネタだなオイ!」

 

 夢の世界だからって、何でもアリじゃあないんだぞ。やりすぎたら(BAN)される身の上だからな。

 

 

「あらぁ、それはイケないしメタだわぁ……っと忘れてた。こっちが卑弥呼(ひみこ)よん♪」

 

「はぁ!? 卑弥呼ぉぉぉっ!?」

 

 呼ばれてポージングすな。うわ、綺麗なオリバーポーズ。

 

 

「それ以上ツッコんでも、画面の前のみんなはぁ、もうお腹一杯よぉん! あらヤダ突っ込んでお腹一杯にさせるなんてっ! なぁに言わせるのご主人様!」

 

「お前が勝手に言ったんだろうがっ! ……で、卑弥呼、だっけ?」

 

「うむ、宜しく頼むぞ一慶よ」

 

 これ以上は慌てないように、ツッコミを避けていこう。疲れてきた。

 

 

「とりあえず、ここはどこだ。夢の中で合ってるのか?」

 

「合ってるわよぉん。ご主人様は覚えていなくても、私たちは何度も会っているわん」

 

 この真っ暗な空間に、幾つもの地球が浮かんでは消えていく。

 

 

「ご主人様が今いるのは、外史と呼ばれる正史から外れた別の歴史線」

 

「うむ、一慶の知る歴史が正史……大樹の幹とするならば、外史は別れた枝葉のようなものよ」

 

 だから女の子になってたのか、なら合点がいく。

 

 

「だが、そこが重要ではない。この世界に来てから、外史の記憶が戻ってきておろう」

 

「一番聞きたかったヤツだ。最初は華琳、次に星と天和……これは何なんだ」

 

「簡単なことよん。一つの外史でご主人様が斃れた時、別の世界にいるご主人様が、また別の外史に飛ばされてくる。何度も何度も……その果てに記憶の残滓(ざんし)が握手をすることで戻ってきた、ってところねん」

 

「じゃあ、俺は何度も三国時代に来て、何度も死んでるとでも……?」

 

 無言で貂蝉は頷いた。

 

 

「目的は何だ、卑弥呼」

 

「この大きく外れた外史を閉じること」

 

「閉じる? ゲームのエンディングみたいな感じか?」

 

「言い得て妙であるな、その通りだ」

 

「ただしぃ、どのルートがハッピーエンドなのかは分からないわ。それまでに死んじゃってるから……」

 

 

 ずっと繰り返してるってことは……あ、これいつの自分が始まりなのかも解らないヤツだな。タマゴが先かニワトリが先かなんて議論は無意味だと勝手に認識しておく。

 

 

「分かった」

 

「何が分かったのだ、一慶よ」

 

 貂蝉と卑弥呼、この二人はずっと俺を見守ってきたんだ。多分。

 

「俺は医者で、目の前の人を救うために尽力するのが大事だってことさ。人の命より大事なものなんてこの世にはない。目の前の命を見捨ててしまった瞬間に、俺は医者じゃなくなるんだ」

 

 俺の言葉に卑弥呼は笑った。

 

「どの一慶も同じことを言っておったわ」

 

「だろうな……俺は俺なりのエンディングを探してみるさ。ありがとう、二人とも」

 

「また会いましょうね、ご主人様」

 

「おうよ! あ、そうだ……俺が毎回死ぬ場所、教えてくれるか?」

 

「紅く燃える赤壁よ、必ずそこで命を落とす……」

 

「それが分かれば問題なしだ。赤壁の戦いを乗り越えるようにしないとな!」

 

 夢の中、半ばヤケになりつつも、貂蝉と握手する。

 

「また会おう、貂蝉!」

 

「えぇ、必ずねぇ!!」

 

 

 

 

 なかなかに濃い夢だけど、疑問点はほとんど消えた。

 

 この世界を閉じたらどうなるのかは分からない。戻れるのかすら不明だ。

 

 でも、できる限りのことをしていこう。この時代に根を下ろす勢いがなければ、赤壁以前に斃れる可能性がある。

 

(炎蓮さんが言っていた、御遣いの血を入れるっていうの、あながち間違ってなかったのか……)

 

 

 

 真っ暗な空間。幾つもの地球が浮かんでいる。何十、何百、何千という数。いや、それ以上に多い。それだけ大勢の自分が散っていったのだろう。

 

 

(早く戻って、皆に会おう)

 

 これは明晰夢。目を覚まそうと思えばいつでも起きられる。

 

 

 

 

 見慣れない天井、県令の城だ。

 

『慶!』

 

「ぐあっ!?」

 

 目が覚めた瞬間に、雪蓮と冥琳から熱烈なタックルとハグが待ち構えていたのだった。




パラレルワールドごとに慶が飛ぶわけだから、転生タグはつけないんだな。
久々にメタっぽいの書いたけど楽しい。


新年早々、怒濤の勢いで更新しました。
読んでくれてありがとうございます。

明日からはまたゆっくりの更新になりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

終結まで、どの話が一番面白かったか

  • 最初の手術(急性硬膜外血腫)
  • 杏林の名前が決まるとこ
  • 幕間:ガリレオのやつ
  • 洛陽に着くまで
  • 洛陽到着後、何進の手術(虫垂炎)
  • 華琳と慶のシーン
  • 術後の褒美
  • 梨晏来訪から戦闘後まで(慶の初戦闘)
  • 天和救助
  • 貂蝉と卑弥呼
  • それ以外
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