革命編のセリフ回しをブラッシュアップした感じでとても良かったです。感無量です。
え、まだプレイしてない?
ダウンロードしような!
予約をしてない?
特装版を予約しような!
恋姫やってない?
革命編安くなってるってよ!
これは、洛陽でのとある一日の記録である。
「あの……劉仁殿、大丈夫ですか? 顔色が優れませんが……」
「あぁ、大丈夫ですよ。むしろ宦官にならずに済んだことで、気分は晴れやかですから」
太医令を拝命し、その後徐州に向かうまで二週間の時間が与えられた。
その間の仕事として董卓と傾から言われたものが、
視察の理由は簡単であった。洛陽内の医療的な改善点を洗い出すこと、これだけである。言葉にすれば簡単そのもの。
だが、これをまとめ上げて報告書を作るためにはどうしても頭数が足りない。建業の時と同じ内容で提出してしまおうか悩む。悩んだ末に、董卓と賈駆を連れて街に繰り出すことにしたのだった。
「これ、自分の仕事じゃないんだけど」
賈駆は不満をぶつけてくる。軍務の要を担う賈駆にとっては雑用に等しいだろう。
「洛陽の道も分からないので……申し訳ありません、賈駆殿」
董卓と同じくらいの背丈の少女が、この国で軍師として活躍している。これは華琳に対しても思ったことだが、日本ならまだ学生として生活するような子供たちがこの国を憂い、戦いに身を投じていくことに驚きを隠せないでいた。それと同時に畏敬の念も生まれてくる。
今の自分に出来ることは、少しでも生きる喜びをまともに享受することの出来る体制を整えていくことだけなのである。非力といえばその通りだ。
調査の結果、今の洛陽は最初に三国時代に来た頃の建業と同じレベルだった。
何を言いたいのかというと、医療に関しては言わずもがな。民間療法と怪しい祈祷で済ませ、金のある者は大金を積んで効果のない薬を購入する始末。間違った知識が
「傾が作ろうとしている私塾に期待したいところですが、これは厳しい……」
「それは、私も思っていました。劉仁殿と同じ知識を持つ方がいなければ、私塾を作ることは難しいかと」
医療の前に衛生問題の解決が先。という結論に落ち着くのは必然であった。傾の言う通り、洛陽の医療レベルを引き上げたいのは分かる。しかし土台がしっかりするどころか無い状況下で建物を建てれば崩壊するのと同様で、見ず知らずの知識を振り撒いたところで朝廷に対する不信感しか生み出さないだろう。
手洗いやうがい、煮沸消毒といったものをどれだけ定着させることが出来るかが重要である。
「一応、街の調査はこれぐらいにしましょうか。城に戻って調べたいこともありますし」
「……? 劉仁殿、あれを!」
董卓の指差す先で黒い煙が昇り始めている。間違いない、火事だ。街の人も気付き始めてザワザワと煙から離れるように人の流れが出来てくる。
「董卓殿、賈駆殿! 警備兵を集めてください!」
「わ、分かりました!」
「あんたはどうすんのよ!」
「俺は救助に向かいます!」
二人は駆け出し、兵を呼ぶためにその場を離れていく。自分は
慌てふためき、逃げる人の波が多くなり、燃え盛る火炎が目に飛び込んできた。
「家に誰か残っていますか!」
「ここは空き家だから、誰もいないと思うが……」
延焼しないように消火活動をしていた男性が答えた。
「空き家から出火? 誰がこんなことを……」
当たり前のことだが、木造家屋ばかりの街で火災が起こると、たちまち炎が広がり始める。消火器も無く、放水技術も乏しい時代においては延焼しないために周囲の家を崩すのが定石だ。
「あ、あの……お兄さん……」
「ん、どうしたんだい? 怪我をしたのかい?」
負傷者の有無を調べていると、一人の少女が声を掛けてきた。お兄さんって言ってくれてありがとう。
膝でも擦りむいたのかと思って足元から観察をしたが、特に外傷は無さそうである。
「ううん、わたしは大丈夫。……わたしね、いつもあのお家で隠れて遊んでたの。親とはぐれた子猫が住んでて……お願い! まだお家の中にいるはずなの! お願い助けてっ!」
「……良く言ってくれたね」
頭を撫でて、火炎に振り返る。
「子猫はどのあたりにいるか、分かるかい?」
悪いことをしていたと思っている少女に対して、優しく声を掛けて次の言葉を促す。
「いつもは、一番奥の部屋に……」
「分かった」
当て布を水に浸して口元を覆う。そして水を勢い良く被った。
「これから進入します! 早く周りの家を打ち壊してください!」
「分かった! オメェら行くぞ!」
応! という声と共に聞こえてくる、槌で家を打ち崩す音を聞きながら、建物へと進入を開始する。這いつくばるようにしながら進むも、煙で前がよく見えない。手探り状態で奥へ奥へと進んでいく。
熱波が顔面を襲ってくるが、恐れること無く突き進む。髪が焦げようが気にしてはならない。
視線を上げると、天井を炎が這っていき、徐々に延焼範囲を広げていく。崩れるのは時間の問題だろう。退路を無くす前に発見、脱出を行わなければならない。
(一言で良い、鳴いてくれ……ッ!)
鳴き声を出してくれれば、助けられる確率は上がるのに!
その時、自分の願いが幻聴になって聞こえたのかもしれない。幽かに猫の鳴き声が聞こえた気がする。
「どこだ……」
聞こえた右ななめ前方に向かって進んでいく。もはや前は見えない。左側で大きく崩れる音がした。屋根に穴でも開いたのだろうか、地べたに粉塵が舞うも煙は上方に向かって流れていく。少しだけ手元が見えるようになってきて、徐々に周囲が見えてきた。
「どこにいるんだ……っ!」
一縷の希望に賭けるしか無い。
「……聞こえたッ!」
間違いない。弱々しいが聞こえた。打ち崩す音と炎の舞う音の中で確実に聞こえた。
一息に駆け出し、一番奥の部屋へと到達する。
運良く炎は回ってきておらず、中腰であれば煙は吸い込まずに済むほどの損壊だった。部屋の片隅に縮こまる厚い灰色の毛に覆われた虎柄の子猫を胸元で抱き込み、そのまま窓から飛び出す。
「劉仁殿!」
警備兵を連れた董卓が駆け寄ってきた。
「董卓殿……良し、警備兵の皆さんで怪我人の搬送をお願いします!」
鎮火作業で怪我をした人は少なからずいるはずだ。洛陽城の医局を使って治療を行えば良い。
「で、この猫はどうしたのよあんた。返してくるんじゃなかったの?」
怪我人の治療を終えた数日後。子猫は無傷で、女の子に返す予定だったのだが……。
「家で飼うことが出来ないと言われてしまったようで。あとこれを見てください」
自分は子猫の尻尾を持ち上げた。尻尾を触られても嫌がること無く賈駆を見つめている。
「……尻尾、長いわね」
そう、普通のイエネコに比べて尻尾が長いのである。そして洗って白くなった厚いヒョウ柄の体毛。
「猫じゃなくて、この子は
「ゆ、ゆき……!? 猛獣じゃないの! 元いたとこに返してきなさいよ!」
賈駆は自らを抱き締めるようにして後ずさる。
「何で洛陽にいるのか皆目検討がつきませんが、雪豹は西涼の地域から連なる高山地帯に生息しています。もう人の食べ物にも慣れてしまった……今更母親を見つけたところで、自然には還れないでしょう」
じゃあどうするのよ、という顔をしてくる賈駆。子猫、いや子雪豹……面倒だ。この子猫の背を軽く撫でる。尻尾を抱くようにして戯れていたが、自分の指を甘咬みする。
「雪豹は比較的、人間に懐きやすいと聞いたことがありますから、私が面倒を見ましょう」
「え゛……なかなかやるわねアンタ。食べられちゃっても知らないわよ?」
「その時はその時、ということで……董卓殿に呂布殿。ずっと立ってないでそろそろ部屋に入ってきたらどうですか?」
一言声を掛けると、部屋の戸が開く。予想通り董卓と呂布が入室してきた。
「楽しげにお話しされていたので、入りづらくなっちゃって……」
「ねこ……可愛い……」
そう言うと、呂布は手を出して子猫を撫で始める。
「呂布殿……」
危ない、という間もなく子猫は呂布の手を舐め始めた。
「……くすぐったい」
呂布は動物に好かれる、心根の優しい女性なのだろう。子猫を見つめる目も慈愛に満ちているように見えた。
「この子、怖がってたみたい」
そのままずっと子猫をいじくり倒している。強く噛まれてもお構いなしだ。
「っ、奉先さん!」
指先から垂れる血をみて董卓が声を荒げる。
「……怖くない。怖くない。少し怯えていただけ」
噛み締めて、フルフルと身体を震わせていた子猫はゆっくりと口を開き、呂布の指を舐め始めた。なんかこのシーン、とある風の谷で見たことあるな……。
その後は軽く治療をしてから、子猫にエサを与えたり、董卓や賈駆も撫でたりして、楽しい時間を過ごすのだった。
「ところで、名前は考えたんですか?」
「あ、忘れてましたね……」
早めに名前を考えなくては。いつまでも子猫と呼んでいられないし、そもそも猫じゃないし。
恋って、ナウシカ的要素あると思うんですよね。
あと、月と詠が可愛すぎる。