鹿目まどかは自称特別捜査隊   作:鳩胸な鴨

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やっぱりこうなるよね。

P5RリマスターSwitchで買ったよ。ダウンロード版なんだけど、めっちゃ容量食うから気をつけてね。Steamの4のリマスター?お下がりパソコンなんでスペック低いから断念しました(血涙)


奇跡も、魔法も、あるけれど

「ごめんね、鳴上さん。忙しいのに付き合わせちゃって」

「いや、いい。護衛のついでだ」

 

見舞い品のCDの入った紙袋を提げ、さやかが悠に向けて微笑む。

まどかたちは「魔女の心の中に入る条件を明確にする」とのことで、悠たちとは別行動を取っていた。

最初こそは悠も同行しようとしたものの、「戦闘能力がない上、猪が服を着たような性格のさやかを一人にさせるのは諸々の不安が残る」と言われ、さやかの用事に付き合うこととなったのだ。

 

「にしても、ひどくないですか!?

何よ猪みたいな性格って!たしかにバカだけど、そこまでじゃないっての!」

「真っ直ぐな性格って意味じゃないか?

現に、惚れた男のために、CDを送り続けているんだろう?」

 

悠の言葉に、さやかが歩みを止める。

理解していくにつれて、さやかは自分の顔がひどく熱くなっていることに気づいた。

 

「いやいや!恭介はそんなのじゃ…」

「驚くほどわかりやすいな」

「うぐっ…」

 

悠の指摘に言い返す言葉が見つからず、たじろぐさやか。

わかりやすい、と言う自覚はある。

なにせ、そう言った話題にてんで興味のないまどかでさえも、自分が幼馴染に惚れていることを看破していたのだ。

気恥ずかしさに目を逸らすと、悠が苦笑を浮かべるのがわかった。

 

「すまない。少し揶揄いすぎたか?」

「少しじゃないし」

 

さやかはふくれっ面で言うと、ぷいっ、とそっぽを向いた。

幼馴染…上条恭介に惚れている。

その事実は認めているものの、他者に知られるのはなんだか照れ臭い。

こちらも少し困らせてやろう、と思い、さやかは悠に問うた。

 

「そういえばさ、鳴上さんってカノジョいんだよね?」

「いる。それがどうした?」

「いやさ。カノジョさんほっぽって、まどかんとこ来たのはなんでかなーって」

 

我ながら意地悪な質問である。

そんなことを思いながらも、さやかはあくどい笑みを浮かべた。

これで少しは困っただろうか、と期待を込めて悠の顔を見やる。

と。さやかは思わず、その足を止めた。

 

「恋人との絆は、確かに特別だ。

しかし、だからと言ってまどかとの絆がそれより軽いわけじゃない。

仲間の身に危機が迫っているのがわかっているのなら、なりふり構ってられない。

そんな時に独占欲だけで動くほど、俺の愛する人は薄情じゃないさ」

 

その顔は、ひどく優しかった。

歯の浮くようなセリフを臆面もなく吐く悠に、なぜだか自分が恥ずかしくなって、さやかは目を逸らした。

 

「…羨ましいな。そんな絆があるって」

「踏み出す勇気と向き合う気持ちがあれば、美樹さんにもできるさ」

「……だといいね」

 

病院に着くまで、悠の顔は見れなかった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

────奇跡も、魔法も、あるんだよ。

 

時は進み。

さやかはその言葉を胸に、病院の階段を駆け足で登っていく。

今は絶望的でも、彼の指はいつか回復する。

そう信じ、さやかは寄り添ってきたつもりだった。

だからこそ、決して安い買い物ではないCDを、見舞い品として頻繁に送ったのだ。

 

──── 僕の手は二度と動かない。奇跡や魔法でもない限り。

 

苦痛に歪む顔で、残酷な現実を告げられた。

善意でしていた贈り物も、彼の心を抉っていただけだった。

まどかや悠ならきっと、「そんな現実とも向き合わないと、人は前に進めない」、とでも言うのだろう。

さやかには、そんなセリフを吐けるほどの人生経験もなければ、まどかたちのように強い心もない。

しかし、借り物の奇跡を起こす権利だけなら、その手にあった。

魔法少女の定めも、魔女の正体も、全てを知った上で願わずにはいられなかった。

ばん、と音を立てて、屋上の扉を開く。

本来ならば、外出禁止の患者が散歩のために集っているそこには、人っ子一人いない。

さやかは必死になって、あの憎たらしい白いケダモノを探す。

 

「キュゥべえ!いるんでしょ!?」

「そんなに叫ばなくても聞こえてるよ」

 

さやかの声に応えるように、見たくもなかったシルエットが姿を現す。

 

「来ると思ってましたよ」

 

と。ソレを見計らったかのようなタイミングで、1人の女性が物陰から姿を現した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「……はぁ」

 

その頃。

処置を終え、包帯に包まれた腕を見やり、上条恭介がため息を吐く。

事故に遭ってからというもの、献身的に自分を支えようと頑張ってくれた幼馴染に、八つ当たりに近いことを叫んでしまった。

自分でも情けないとは思う。

確かに、バイオリンは自分の人生だった。心が弱るのも仕方ない。ソレ以外の生き方を知らないのだから。

しかし、だからと言って、支えてくれた女の子相手に「いじめているのか」などという問いかけは最低すぎる。

恭介がそんな自己嫌悪に陥っていると。

ふと、病室の扉が開いた。

 

「…上条恭介だな?」

 

その顔は、見覚えがあった。

名前は知らないが、さやかに付き添っていた大学生。

彼は恭介が寝転ぶベッドの隣に、椅子を引っ張ってきて座った。

 

「……あなたは確か、さやかの付き添いの…」

「鳴上悠だ。よろしく」

「よ、よろしくお願いします…」

 

差し出された手を、まだ動く手で握る。

鳴上悠。その名前には聞き覚えがある。

確か、鹿目まどかが事あるごとに口にしていた名前だったはず。

恭介がまどかの話題を出そうとするも、悠が先に口を開いた。

 

「すまないが、一部見てしまった」

「……っ」

 

見てしまった、というのは、先ほどの情けない姿のことだろう。

恭介は情けなさや自分への憤りに顔を歪め、ため息を吐く。

 

「…すみません。あんなところ見せて。

せっかくお見舞いに来てくれたさやかにも、当たってしまって…」

「…誰にだって弱さはある。それを誰かにぶつけてしまうことも。

大事なのは、それを自覚して、どう向き合っていくかだ」

 

悠の言葉に、恭介は目を丸くする。

てっきり、さやかに対して吐いた言葉に、お小言をもらうかと思った。

だがしかし。恭介からすれば、責め立てられた方がずっと気が楽だった。

 

「向き合うって言ったって…。この現実は、僕には辛すぎる…」

 

バイオリンこそが人生だった。

まだ14年そこらしか生きていないものの、それしか積み上げたものがなかった。

『腕はもう二度と正常に動かない』。そんな現実を受け入れろと言われても、無理に決まっている。

恭介が伏せ目がちに言うと、悠がその肩に、ぽん、と手を置いた。

 

「目を逸らせば、前には進めない。受け止めきれなくてもいい。潰れてしまってもいい。ただ、向き合うだけでいいんだ。

支えてくれる人は、もういるだろ?」

「……それでも…」

 

と。恭介が口を開いたその時。

ふと、包帯が巻かれた腕に違和感を感じた。

 

「…………えっ?」

 

そんな馬鹿な。確かに、自分の腕は感覚すら消えたはず。なのに、この違和感はなんだ?

ぐるぐると疑問が頭を駆け巡る。

だが、その答えに辿り着く前に、恭介はゆっくりと、動かないはずの腕に力を込める。

確かに動いた。はっきりと、正常に。

悠もその光景に目を丸くし、はっ、と天井を見やる。

 

「……止められなかったか」

 

そんな言葉を呟くと、悠はベッドの横にあったナースコール用のボタンを押した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「結局、入れずじまいでしたね…」

 

その頃、パトロールを済ませたまどかたちは、とぼとぼと帰路についていた。

その手元には、三つのグリーフシードが転がっている。

ヒルメに開花したはずの「魔女の心の中に入る能力」が、一切機能しなかったのだ。

だからと言って魔女を放っておくわけにもいかず、泣く泣く討伐。

結局、救えた魔女はマミだけだった。

マミは落ち込むまどかの背を摩り、優しく微笑んだ。

 

「何か条件があるのかしらね。…グリーフシードからでも元に戻せたらいいのだけど」

「…思ったんですけど、戻せたとしても、体はどうしましょう?」

「あっ…。そ、そうよね…。魔法少女の体はなかったものね…」

 

あくまで救えるのは、魔女の心だけ。

これまで確認した魔女の結界には、それらしき魔法少女の体は見当たらなかった。恐らくは、生まれたばかりの魔女が食らう、最初の人間となるのだろう。

いくらソウルジェムを元に戻そうと、体がなければ死んでいるのと変わらない。

二人してため息を吐き、天を仰ぐ。

 

「キュゥべえは何が目的なんでしょう?」

「さぁ…?マッチポンプもいいところだけど、その真意が見えないのは不気味ね」

「そこなんだよなぁー…」

 

いくら考えても、キュゥべえの目的が一向に見えない。

情報が少なすぎる。

根本的な疑問として、そもそもキュゥべえとは、どのような存在なのか。それがわからない以上、その真意も探りようがない。

しかし、神という存在を否定した以上、イザナミやヒノカグツチのような存在ではないのだろう。

複雑に絡まった情報を前に頭を抱えたまどかは、マミへと目を向ける。

 

「マミさん。長い間付き合いがあるんですし、キュゥべえのことなにか知らないんですか?」

「ごめんなさい。キュゥべえのことはあまり詳しく知らないの。

その…。すごく恥ずかしい話なのだけど…、魔法少女モノによくあるマスコット的ななにかだと思ってたから…」

 

思わずマミに呆れた半目を向けるまどか。

マミは居た堪れなくなったのか、「し、仕方ないじゃない!」と涙目で叫んだ。

 

「アイツ、煙に巻くのがすごくうまいのよ…。

今思えば、都合よく誰かを利用するためだったのかもね」

「それだけじゃないです。

なんていうか…、根本的に価値観が相容れないというか、私たちにあってキュゥべえにはない『なにか』があるというか…」

 

その『なにか』を形容する言葉が見つからず、悶々と唸るまどか。

マミがソレに苦笑を浮かべていると、ふと立ち止まった。

 

「…マミさん?」

「……そんな、まさか…」

 

マミは愕然とした表情を浮かべ、意識を集中する。

魔法少女の能力の一つ、念話。ただ念じるだけで、魔法少女と会話できる能力。

その能力によって、聞き覚えのある声が自分に語りかけているのがわかった。

 

「…鹿目さん。失礼を承知で聞くけど、美樹さんって、『魔法少女になる動機』はあるかしら?」

「あ、ありますけど……。…まさか!?」

 

マミの言いたいことが伝わったのか、まどかは驚愕に目を剥いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

時は少し遡り。

突如としてさやかたちの前に現れた女性は、険しい顔つきでキュゥべえへと歩み寄る。

淡麗な顔つきと、モデルのようなプロポーションに思わず目を奪われそうになるが、さやかは咄嗟に問いかけた。

 

「あ、あんた誰!?

キュゥべえが見えてんの!?」

「ええ。契約が可能な少女のみ視認できるという情報でしたが、どうやらペルソナ使いも視認できるようですね」

「もしかして、まどかや鳴上さんの…」

「仲間ですよ、美樹さやかさん。

もし、貴女が契約に走りそうになったら止めてくれ、と先輩に頼まれていました」

 

言うと、女性はサイレンサーが付いた拳銃を片手で構え、キュゥべえに向ける。

よく見るエアガンのようなチープさはなく、警官が持っているような、無骨な光沢が走るソレ。

詳しい知識はないものの、「本物だ」と感じたさやかは生唾を飲んだ。

 

「悪いことは言いません。やめておいた方が賢明です」

 

その言葉に、さやかは目の前が真っ赤になった。

相手が銃を持っていること忘れ、さやかは彼女に詰め寄る。

 

「恭介の指を治したいって気持ちがいけないことなの!?」

「その思いやりは素晴らしいものです。

願いの代償が大きすぎる、ということを言っているんです」

「覚悟は出来てるよ!!

死んじゃったとしても、魔女になったとしても、私は恭介の腕を治してあげたいの!!」

 

反論を押しつぶすような凄まじい剣幕で捲し立てる。

覚悟なんて出来ている。恭介を救いたいと言うこの気持ちは、決して嘘ではない。

さやかの慟哭に近い叫びに、女性は難しい表情を浮かべた。

 

「人を救うと言うことは、君が思う以上に難しいことです。

目の前に与えられた選択肢だけを盲目に信じれば、必ず破綻する。

僕はそうなってしまった大人を知っている。

だから、僕は君を止めに来たんです」

「……キュゥべえ!!」

 

そんな事、知ったことか。

さやかは内心で吐き捨て、傍観していたキュゥべえへと叫ぶ。

女性が引き金を引くよりも早く、さやかは願いを叫んだ。

 

────恭介の腕を治して!!

 

弾丸は、間に合わなかった。




白鐘直斗…独自に魔女事件を追ってたら、見滝原にたどり着いた。取り敢えず悠に指示を仰いだところ、「美樹さやかを尾けて、契約しそうだったら止めてくれ」と頼まれたが、失敗。弾はシャドウワーカーのツテで手に入れた。

美樹さやか…フラグがウォーミングアップを開始しました。

鳴上悠…さやかを止めに走らなかったのは、直斗がいたのに加え、ヤケになりつつあった恭介を放っておけなかったから。仲間に任せるべきは任せる。ちなみに、走ったとしても契約は止められなかった。
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