麻雀狂 ミダリ   作:かさばる

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第十四話 搾取

三回戦、東二局、親は妄。ドラは{白}

 

 

点数状況(原点は15000)

妄:13700

豆生田:15000

芽亜里:16300

ユメミ:15000

 

 

妄の配牌。

    

         {横一}

{13399一六八九南北白中}

 

 

(この麻雀、赤の祝儀の力が非常に大きい為、親と子、その違いはさほど無いのかと思いがちだが、そうでもない)

 

 

打、{九}。

 

 

(それはそう、一回戦の終了の理由、コールド終了の存在だ。一般的に四人麻雀では、トップの者が、60000点、あるいは55000点に到達したら、オーラスを待たずしてその時点で半荘を終了にする事が非常に多い。今回の麻雀でもそのルールはあった訳だが、しかし違うのは、そのコールドが発生する基準の点だ。ディーラーの清華は、40000点到達でコールド終了だと言った。これはかなり少ない額だ。勿論その理由というのは、配給原点が普通より一万点少ない15000で、四人全員の持ち点の総和が60000しか無いからだ。その総和の三分の二である40000点を保有できたら、その時点で勝ちとするのも、まあまあ分からないでもない)

 

 

二巡目。

 

 

         {横五}

{13399一一六八南北白中}

 

 

 

(しかし、それにしても、コールド終了の基準点は今回かなり低いと言える。赤の祝儀加点があるからだ。40000というのはそれなりに届きやすい)

 

 

打、{八}。

 

 

(だって、15000から40000に届くのに必要な差額は25000。普通の麻雀なら、24000。つまり三倍満か、親の倍満。それにリーチ棒が付いてやっと25000。そうじゃなかったら、役満の32000か、親の三倍満が必要になる)

 

 

三巡目。

 

 

         {横6}

{13399一一五六南北白中}

 

 

 

(逆の方向の現象として、トビ終了というものもある。通常の麻雀では、トビはそう頻繁には起こらない。しかし、原点が15000のこの麻雀。当然比較すればトビは起こりやすくなる。しかし、だ。それだって15000という数字は、倍満の放銃もしくは、親の跳満の放銃をしないと一発では割れない。いくらリーチ棒なんかで千点失ったところで、14000やそれの前後の点数というものは、麻雀のあがり点の中に存在しない。そういう訳で、飽くまで普段と比べたら起こりやすい、というだけであって、それでもまだ15000という持ち点はそう簡単には削れない)

 

 

打、{北}。

 

 

(しかし、今の二者。つまりコールドと箱割れ(上と下)。そのどちらにも、赤の祝儀ルールが採用されたせいで格段に実現の芽は増している。つまり、すっからかんにしたかったら、5200の二枚付け、15200を振ればいい。また、天井に届かせたかったら、25000以上取ればいい訳だから、親の跳満、18000(インパチ)の二枚付け。28000もしくは、ツモだったら30000だな。これをあがってしまえば事は終わり)

 

 

祝儀云々を抜きにしても、赤牌が入っている麻雀で、のみ手千点のあがりというのはそもそもあまり起こらない。無論ゼロではない。ただ、少ない。それは確かだ。

 

 

結局言える事は、親番はやはり大きいのだ。40000のコールドに届く為に必要な得点、親の跳満の二枚付けなら足りる。しかし、子の跳満では届かない。倍満が必要。倍満など、そんな難しい事を成す為には、ツモ、《面前自摸という役による一翻》が成就の鍵になる事が多い。面前赤々のツモあがりなんて、高望みも高望み。普通赤々の配牌を握れば、気が急いて鳴いてしまう。つまり倍満には届かない。だからできたとして跳満。でも跳満は跳満でも、親の跳満18000なら、二枚付けでコールドに届く…………

 

 

 

四巡目。

 

 

          {横白}

{133699一一五六南白中}

 

 

 

 

(来たよ……ドラの{白}だ。これで対子。メンツ手に向かうなら三シャンテンだが、七対子と見ればリャンシャンテンだ。チートイドラドラ。これだけなら9600だが、リーチして裏々付けば18000。敵の誰から出ても飛ばす事ができる)

 

 

打、{中}。

 

 

 

 

「ロン」

 

「え?」

 

 

 

{白白ポッチ⑦⑦⑧⑧中⑨⑨55三三} {中}

 

 

「6400」

 

 

 

チートイ、ドラ、ドラ……

 

 

芽亜里のあがり。芽亜里はリーチをしなかった。それは勿論、手に赤が無いからだろう。妄の手にも赤は無かった。互いに同じ事を考え、同じものを追い、同じような手を握り、一瞬の差し足で、どちらかが勝ち、どちらかが負けたりする。しかもこの一瞬に至っては、妄は親。芽亜里は子。弱い方が勝った。それもまた起こりうる事。

 

 

(ん?これは……)

 

 

 

点数状況

妄:7300

豆生田:15000

芽亜里:22700

ユメミ:15000

 

 

 

……次の局、豆生田が親である東三局。

 

 

 

「ロン」

 

 

またも妄、芽亜里に放銃。

 

 

{南南南5赤578} {9}  {横二三四} {横三二四}

 

 

「2000は7000」

 

 

妄、この放銃により、持ち点は7300から、残り300へ。いよいよ後が無い。

 

 

……ふむ?

 

 

この感じ、なんだかさっきも見たような。

 

 

 

 

 

一回戦、芽亜里は、残り点数が300となり、露骨に嫌そうな顔をした。リー棒も出せないのにまだギリギリ飛んでない。そのまどろっこしさが耐え難かったのだろう。

しかしその時は、妄が40000点に到達した為に、コールド。トビを待たずに終了となった。

あの時、きっと芽亜里は、霧が晴れたようなすっきりした気分だっただろう。

 

……そして今、妄の持ち点は、あの時の芽亜里と同じ、残り300。

しかし、その敵である芽亜里の持ち点は、まだ29700。40000には届いていない。

 

 

コールドもトビも起こっていなければ、当然対局はまだ終わらない。

 

逆転に必要な123というスコア。それを取り切るには、まあ妥当というか。

 

まさか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芽亜里は、じわじわと妄に迫る。

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