麻雀狂 ミダリ   作:かさばる

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第二十話 賢明に考えて

点数状況

 

 

夢子:21500

 

 

 

妄:16000

 

 

 

豆生田:26000☆連荘☆

 

 

 

芽亜里:36500

 

 

次は東三局一本場だ。一本場は1500点。

 

 

北家、妄の配牌。

 

 

{23568一三五東西北北北}

 

 

ドラは{⑨}。妄は現状四着。逆転が求められるこの状況で、握ったのは翻牌の暗刻。しかし、雀頭が無い。

 

そして。

 

赤も、無い。

 

 

 

前局の反省を活かして。今度は逆のパターンだ。六枚入っている赤が、手牌に一枚も無い。

であれば降り?降り決定?いくら自風の暗刻があるとは言え、打点も安い。赤沢山の相手に対して勝負できる手牌ではない。

 

しかし、その思考に反するように、妄の第一ツモ

 

          {横東}

{23568一三五東西北北北}

 

 

(ぐっ、もう、訳分かんねえ)

 

 

点数をよく見てみる。今妄の持ち点は16000。原点から-9000だ。場は東三局一本場。一本場は1500点。ツモだろうがロンだろうが、ここで更に失点してしまうと、下手をしたら持ち点は10000を割る。そこから原点の25000に戻ろうと思ったら、満貫以上の得点を二回は獲らなければいけない。この局を逃したら、残るは東四局と、打点が大幅に下がる南場のみ。

 

意外とこれ、今ってもう中盤、いや、終盤に近い状況なのではないか?

 

(やっぱり、《沈みウマ》みたいだ)

 

沈みウマとは。通常麻雀は、25000の持ち点から始まるが、終わった時に30000点を基準としてポイント計算を行う。まあこれが《30000点返し》というやつだ。

沈みウマも多くの場合はこの返し点を基準に設定される特殊な順位ウマで、まあ、トップがプラスのウマになり、次点が二着。四着などはマイナスになる、という序列付けは通常のウマと変わらないが、沈みウマの場合、文字通り、基準点より下回っている沈み者の人数によって、トップに与えられるプラスが異なり、時には、誰が基準点付近にいて、その者を失点させて自分のウマを増やす、という行動もアリになってくる。

 

そういう沈みウマルールでは、南場の後半戦など特に、暫定で下位になっている者は逆転が強く求められるから、高い手を作る為に手が遅くなる傾向にある。だから結果的に速度で負けやすく、後半でも更に失点。早い話、東一局で振り込んだ倍満が致命傷になり、いかに東南戦でも撃沈。そういう事もよくあるのだ。

 

今回の麻雀は沈みウマではないが、性質がそれに近い。東場は、鳴いても最大で赤が六枚ある。その為高打点が出やすく、四人の差がつきやすい。しかし、南場になると、鳴き手では赤ドラが一切無効になってしまう。その為劣勢の者は、遅い面前手を強要される。

 

 

          {横東}

{23568一三五東西北北北}

 

 

妄、そんな後半戦を控えたこの状況で、あがりの芽が非常に高そうな{東}の雀頭を手にする。他家の翻牌の芽をひとつ潰せた事も嬉しい。

しかし、いかんせん赤が無い。どうしたものか。判断に困る。しかしまあここは打{西}とした。

 

しかし次巡。

           {横北}

{23568一三五東東北北北}

 

 

(あ……?槓子……?)

 

 

暗槓、すべきか。自分の手は役が確定しているが赤が無い。その為打点の為には、面前を維持してリーチをする事が望まれる。

 

 

「……カン」

 

 

{裏北北裏}

 

迷ったが、ここはカンをする事にした。

 

カンをしてドラが増えれば、裏ドラ狙いで全員が面前傾向に行く。その為赤が無くとも何とかなると考えた。そしてもしも後手を踏んでしまえば、{東}の対子で降りればいい。

 

すると。

 

ドラ表示牌:{⑧西}

 

(おっ!)

 

 

乗った!ドラ四!北ドラ四は満貫!リーチで跳満!裏次第で倍満!

 

 

嶺上から引いた牌が{赤⑤}。妄、これをツモ切り。

 

 

「チー」

 

{横赤⑤④⑥}

 

豆生田が鳴いた。そして打{⑦}。{④赤⑤⑥}を鳴いて打{⑦}だ。つまり手牌には{④⑥⑦}があった。そんな持ち方をして、尚且つチーをカンチャンで鳴いたのは。つまり、恐らく。

 

(三色か)

 

 

豆生田は四五六の三色を狙っている。タンヤオ三色赤一は、鳴いても5800。いや、四五六なのだからもう一枚くらい赤がある可能性もある。赤々なら満貫の12000になる。これはもう。ならば、妄は。

 

「チー」

 

{横二一三}

 

{一三五}と持っていた所から{二}のチー。そして打{五}。下家の豆生田の事を見て、五を早めに処理した。

 

「チー」

 

{横五四六}

 

しかし、鳴かれてしまう。豆生田、ますます濃厚になる鳴きの三色。

 

 

「……ははは」

 

妄、次の巡目に、引いた牌をツモ切り。それは{赤五}だった。

 

 

「…………」

 

 

当然豆生田は、これを鳴く事ができない。豆生田の{四六}のカンチャンに、どうせ赤が入る可能性があったなら、黒の{五}を先打して鳴かせてしまう。たまたまできた事だが、豆生田の満貫の芽を少なくした、これは妄の妙手だった。

 

東場なら{赤五赤5赤⑤}は鳴いても使える。それなのに{赤五}を切った妄を見て、ドラ{北}の暗槓も入っている事だし、豆生田、妄の現物を手出しで打ち、降りたようだった。

 

そして。

 

「ツモ!」

 

 

{23567東東} {1} {横二一三} {裏北北裏}

 

 

「2000.4000は2500.4500」

 

 

 

夢子:19000

 

 

 

妄:25500

 

 

 

豆生田:21500

 

 

 

芽亜里:34000☆次局親☆

 

 

 

妄、原点以上へ復帰して、二着浮上!そして次局は、一着である芽亜里の親!つまり!

 

(当てる!親被りだっ!)

 

例えばの話、次局、4000.8000のツモを成せば、親の芽亜里は他の者に比べて4000点損をする。

 

そんな風に考えた妄だったが。だがしかし、次局。

 

 

「ツモです」

 

 

{1122赤33發發二二三赤三四四}

 

 

「三倍満です」

 

 

「え?ちょっと待って?ほんと?リーヅモ、それと……」

 

 

「はい。ドラドラ赤々裏々ですから、十一本で三倍満です」

 

 

「いや、七対子の二翻を足しても十本じゃない?」

 

 

「いえ、これは七対子ではなく二盃口ですよ」

 

 

「えっ、えっ?あ…………」

 

6000.12000……

 

 

点数状況

 

 

夢子:43000☆次局親☆

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:15500

 

 

 

芽亜里:22000

 

 

 

南入――――!

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