麻雀狂 ミダリ   作:かさばる

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書き方はまだまだ研究ですわー


第二十一話 二千は五千

点数状況

 

 

夢子:43000☆次局親☆

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:15500

 

 

 

芽亜里:22000

 

 

 

南入――――!

 

 

 

南一局。親は夢子。ここからが本番だ。南場より、{赤三赤3赤③赤五赤5赤⑤}の全ての赤牌は、面前でのみ有効の牌となる。

 

 

現状、トップ、夢子。二着、芽亜里。三着、妄。四着、豆生田。トップとラスとの点差は27500。

やはり前局の、夢子の三倍満ツモが効いている。

 

 

なんだよ。夢子。弱っているのかと思ったらそうでもないのか。三倍満の、しかも二盃口なんて作ってしまうなんて。

 

結局、強運。麻雀は半分以上は運のゲーム。蛇喰夢子という女。その強運によって、学園に来て最初のギャンブル《投票ジャンケン》では、知略に知略を重ねたにも関わらず、最終的にはただの偶然に八百万も張ってしまい、そして、あろうことか勝ってしまった。

 

そんな夢子。蛇喰夢子という女。麻雀も分かる。打てるのだと、はじめの頃に鈴井と話していた。

 

――南一局、親番。

 

 

「カンです」

 

 

{⑥⑥⑥⑥}

 

 

{⑥⑥⑥裏}

 

 

王牌:{裏裏1裏裏裏裏}

 

 

王牌は芽亜里の前の山だった。槓ドラは即乗りだ。芽亜里は、夢子がカンと言った瞬間にドラをめくる動作に入る。

 

 

{裏⑥⑥裏}

 

 

夢子はその間に、嶺上を引くのではなく、まず自分のカン材の左右を裏返す。そして卓の右端に置き、時間がかかるから人によっては嫌がるかも知れないが、ともかく夢子は丁寧な手順で暗槓を進行する。

 

 

王牌:{裏裏1赤⑤裏裏裏}

 

 

――夢子の暗槓:{裏⑥⑥裏}

 

 

乗った……ドラ四。

 

 

これが夢子の強運か。

 

 

(やっぱ、すげえよ。夢子。ツイてただけと言えばそうだけどさ。そのツイてたってのがなかなかに、そいつだからこそ起こるものだったりするもんな。ほら、赤木さんとかさ、あたしだってあの人の事は知ってるよ)

 

 

その後、夢子はほぼほぼ一人で局を進行した。芽亜里など、八巡目くらいまでは、元のドラの{2}を切るなど、ある程度勝負に行き、夢子の親をかわす手を作ろうとしていたようだが、九巡目か十巡目くらいを岐路として、徹底的に降りに回る。芽亜里は二着。このまま終わってしまっても、それはそれで。と考えた。

 

しかしその後。終盤。捨て牌も三段目になり。

 

 

「チーです」

 

{横④②③}

 

 

え?

 

 

夢子が、チー?

 

 

「ロンです」

 

 

{三赤三五五赤五六七} {八} {横④②③} {裏⑥⑥裏}

 

 

「12000です」

 

 

 

豆生田からの直撃だ。

 

 

 

ここで、よくよく考えてみる。

 

 

とりあえず、12000の放銃によって、点数状況は以下の通りとなった。

 

 

夢子:55000☆連荘☆

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:3500

 

 

 

芽亜里:22000

 

 

 

これを見て、妄は思った。夢子はやっぱり凄いのだと。夢子は{②③}から{④}を鳴いている。{①}が二枚切れている状態で{④}を鳴く判断ができるのは、枚数が減ってきた{①‐④}を形にし、タンヤオも確定させる絶妙の鳴き。そして、この麻雀は性質的に沈みウマに似ている。今局より場は南場に入っている。既に四着だった豆生田は、残り少ない局数で、嫌でも面前であがらなければならない。そんな豆生田の持ち点を大幅に減らす事ができて、逆転は更に難しくなり、敵が一人減ったようなもの。

 

 

 

しかし、芽亜里は、妄とは違う印象を感じていた。

 

{三赤三五五赤五六七} {八} {横④②③} {裏⑥⑥裏}

 

 

夢子の今のあがり。鳴いていて赤は無効だから、タンヤオドラ四の五役満貫。12000。

 

しかし、手には赤が二枚入っていた訳で。面前で行っていれば、リーチにドラ六。タンヤオも着けば八本で倍満だ。

 

と、いうかそもそも。

 

倍満になるかならないかはこの際問題じゃない。重要なのは、あがる前の夢子の持ち点が43000だったという事なのだ。と、いう事は、12000では届かないが、親の跳満18000なら、どうであれ持ち点は60000に届く。そうすればコールド終了だ。

 

 

(何故、それを目指さなかった?)

 

 

判断ミス?いや、そういう事というよりも…………

 

 

夢子は、やっぱり弱っている?

 

 

麻雀を打つに当たって、心のコントロールというものは非常に重要である。欲に負けない力。恐怖に負けない力。いずれも、いずれもだ。上手に織り交ぜて、それを行動に変える。鳴くか、鳴かないか。押すか、降りるか。

 

 

あがれたから良かったじゃないか……という話ではないのだ。

 

 

夢子はその辺り、今かなりメチャクチャになっているのではないか?

 

 

 

次局、南一局一本場。

 

 

「リーチ」

 

 

芽亜里四巡目でリーチ。

しかし、捨て牌は以下のようであった。

 

{⑥4赤五横西}

 

 

非常に濃い変則的な河だ。これなら四巡目とは言え、降りて逃げ切る事もそう難しくはない。

 

まず、現物である以上、{西}は完全安牌である。字牌の安牌がひとつでも確定しているのは嬉しい。そして当然{⑥4五}も完全安牌。

更に、今回に限らない事だが、他家のリーチから逃げる為の道具として、準安牌というものが存在する。つまり、早い話スジだ。芽亜里の捨て牌にあるのは{⑥}と{4}と{赤五}。つまり、このたった三牌が見えているだけで、{③‐⑥‐⑨}のスジ、{1‐4‐7}のスジ、{二‐五‐八}のスジは安全度が高いという事になる。

 

 

それを受けて豆生田はベタオリ。{4}のスジの{1}四連打。槓子落とし。これはもう絶対に刺さらない。

 

 

しかし終盤になって、豆生田がドラの{北}を強打。{北}はドラであった上に、リーチの芽亜里の風であった。

 

 

(……張ったか?豆生田。まあ、そりゃあな、流局してノーテンって訳にいかないもんな)

 

 

しかし十八巡目、最後の最後になって。

 

 

「チーです」

 

{横⑨⑦⑧}

 

夢子が、チー?

 

 

これで、妄のはずだった海底が、テンパイかも知れない豆生田に回ってしまう。

 

 

結局海底や河底で何か起こりはしなかったが――

 

流局。

 

 

全員テンパイだった。点棒移動なし。但し芽亜里のリーチ棒が供託され、親も連荘し、次は二本場。

 

 

「テンパイです」

 

 

{222234555赤5} {横⑨⑦⑧}

 

 

なんだよ、役なし形テンかよ……多面待ちなのはまあいいけど……

 

 

夢子:55000☆連荘☆

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:3500

 

 

 

芽亜里:21000

 

 

供託:1000点

 

 

 

そして、南一局二本場。親は夢子。

 

 

夢子は弱っている。確かにそう感じている者は今この場に多い。そして、分かりやすいリーチなどならまだしも、全くもって分かりにくい、例えばこんなやり方なら……

 

 

「ロン」

 

 

豆生田のあがり。夢子からの直撃。

 

 

{一二赤三三四五④④⑤⑥⑦78} {9}

 

 

「2000は5000」

 

 

……!

 

 

 

まずいじゃないか。夢子。

 

 

 

夢子:50000

 

 

 

妄:19500☆次局親☆

 

 

 

豆生田:9500

 

 

 

芽亜里:21000

 

 

ピンフドラ一。こんな手は普通はリーチが鉄則。しかし、夢子からなら、ダマなら出ると考えた。これにより、夢子は、5800でコールド到達の状態から陥落し、持ち点は50000。7700でも足りない。というか親番が終わってしまった。満貫8000でも足りない。もうコールド到達が、目標として適切ではなくなってしまった。

 

 

更に、豆生田の持ち点が、3500から9500に復活。これにより、既にさっきは二本場だったから、豆生田は、誰かの跳満ツモで飛んでいた。しかし、これでもうダメ。豆生田が親番の時に限っての、倍満ツモの二本場でないとトビに至らない。

 

もう、コールドもトビもそうは起こらない。ならば対局はオーラスまで続いてしまう。勝負はまだまだどうなるか分からない。

 

夢子…………?

 

 

次は南二局。親は、妄。

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