点数状況
夢子:42000
妄:19500
豆生田:17500☆次局親☆
芽亜里:21000
次は、南三局だ。この半荘も残すところ二局。夢子。本当に大丈夫か。夢子。
南三局。親は豆生田。ドラは{⑤}となった。
荒れそうなドラだ。残るは二局程度。面前なら赤も六枚ある。そんな状態で、真ん中牌の{⑤}がドラ。これは勿論鳴いても使える。
「リーチ」
南家の芽亜里がリーチを宣言した。
それに対し夢子。
一発で打{④}。
「ロン」
{②③66678234五六七} {④}
「8000」
メンタンピン、一発。裏なし。赤なし。表ドラなし。
何事も無かった。一発のせいで3900は満貫になったのだ。
夢子:33000
妄:19500
豆生田:17500
芽亜里:29000☆次局親☆
あまりにも弱過ぎる、めちゃくちゃな夢子。
オーラス、芽亜里の親。
「ロン、1500」
夢子、芽亜里に放銃。この時点で、芽亜里、手持ち30500。夢子、31500。
オーラス一本場。夢子はリーチを宣言し、流局。全員テンパイ。夢子と芽亜里、同点30500。しかし起家が夢子の為、暫定トップは夢子。芽亜里はあがりやめに至らず、オーラス続行。二本場。二本場は3000点。供託が1000点。この局をあがった者は、どうであれ着順が上位になる。
「リーチッ!」
芽亜里が、恐らくは最後になるリーチを打った。
その時、夢子の手牌。
{横⑨}
{西西中中④④③③⑦⑧北北北}
メンホンチートイのイーシャンテン。ドラは{北}。が、まあ暗刻という事もあり、夢子、打{北}。七対子決め打ちだ。
その後夢子は{⑧}を引いた。即ちテンパイだ。しかし、夢子、{⑦}も{⑨}も手を触れずに、打{北}。そのまま対子落とし。テンパイを崩す。
結局――
「ノーテンです」
流局。芽亜里の一人テンパイで試合は終了した。
その時、唯一言える結果論が、以下の通りである。
妄の、手牌。
{①①①②③④⑦⑧⑧⑧} {⑨横⑨⑨}
清一色。{⑥‐⑨}、{⑦}待ち。
夢子は、妄のあがりを止めていた――
「夢子は、なんなんだ」
考える。夢子。
夢子とは博徒。狂い。賭ケグルイだ。しかし、その根底には、少しばかり、もしかしたらプライドのようなもの、引くに引けない【見栄え】があるのではないか。
夢子は、赤木の死によりショックを受けた。それにより、本来の自分を見失った。
夢子において本来の自分とは、狂っている自分だ。それを失ったという事は、狂っていないという事。なら、つまりそれは正常?いや、それも違う。狂いが反転すれば、それは煌びやかな魅力を失った【壊れ】である。
バグ。
だから夢子は狂おうとする。本来人として必要も無いはずなのに狂おうとする。
賭ケグルイだから。矜持があるから。
大変だろうな。いや、こんな言葉ではとても表せないかも知れない。
狂うのか。まだ?まだやるのか?夢子?
「打てますか?」
夢子は、綺羅莉に問う。
「ああ、ごめんね夢子。今、三打ちも四打ちもできないの」
「え――?」
「だって、あなたのラストバトルの相手は、妄ですからね」