麻雀狂 ミダリ   作:かさばる

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第二十三話 終局。壊れ。そして終章へ

点数状況

 

 

 

夢子:42000

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:17500☆次局親☆

 

 

 

芽亜里:21000

 

 

次は、南三局だ。この半荘も残すところ二局。夢子。本当に大丈夫か。夢子。

 

 

南三局。親は豆生田。ドラは{⑤}となった。

 

 

荒れそうなドラだ。残るは二局程度。面前なら赤も六枚ある。そんな状態で、真ん中牌の{⑤}がドラ。これは勿論鳴いても使える。

 

「リーチ」

 

南家の芽亜里がリーチを宣言した。

 

それに対し夢子。

 

一発で打{④}。

 

「ロン」

 

{②③66678234五六七} {④}

 

「8000」

 

メンタンピン、一発。裏なし。赤なし。表ドラなし。

 

何事も無かった。一発のせいで3900は満貫になったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

夢子:33000

 

 

 

妄:19500

 

 

 

豆生田:17500

 

 

 

芽亜里:29000☆次局親☆

 

 

あまりにも弱過ぎる、めちゃくちゃな夢子。

 

オーラス、芽亜里の親。

 

「ロン、1500」

 

夢子、芽亜里に放銃。この時点で、芽亜里、手持ち30500。夢子、31500。

 

オーラス一本場。夢子はリーチを宣言し、流局。全員テンパイ。夢子と芽亜里、同点30500。しかし起家が夢子の為、暫定トップは夢子。芽亜里はあがりやめに至らず、オーラス続行。二本場。二本場は3000点。供託が1000点。この局をあがった者は、どうであれ着順が上位になる。

 

 

「リーチッ!」

 

芽亜里が、恐らくは最後になるリーチを打った。

 

その時、夢子の手牌。

 

         {横⑨}

{西西中中④④③③⑦⑧北北北}

 

 

メンホンチートイのイーシャンテン。ドラは{北}。が、まあ暗刻という事もあり、夢子、打{北}。七対子決め打ちだ。

 

その後夢子は{⑧}を引いた。即ちテンパイだ。しかし、夢子、{⑦}も{⑨}も手を触れずに、打{北}。そのまま対子落とし。テンパイを崩す。

 

結局――

 

 

「ノーテンです」

 

流局。芽亜里の一人テンパイで試合は終了した。

 

その時、唯一言える結果論が、以下の通りである。

 

 

妄の、手牌。

 

{①①①②③④⑦⑧⑧⑧} {⑨横⑨⑨}

 

清一色。{⑥‐⑨}、{⑦}待ち。

 

夢子は、妄のあがりを止めていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢子は、なんなんだ」

 

考える。夢子。

 

夢子とは博徒。狂い。賭ケグルイだ。しかし、その根底には、少しばかり、もしかしたらプライドのようなもの、引くに引けない【見栄え】があるのではないか。

 

夢子は、赤木の死によりショックを受けた。それにより、本来の自分を見失った。

 

夢子において本来の自分とは、狂っている自分だ。それを失ったという事は、狂っていないという事。なら、つまりそれは正常?いや、それも違う。狂いが反転すれば、それは煌びやかな魅力を失った【壊れ】である。

 

バグ。

 

だから夢子は狂おうとする。本来人として必要も無いはずなのに狂おうとする。

 

賭ケグルイだから。矜持があるから。

 

大変だろうな。いや、こんな言葉ではとても表せないかも知れない。

 

狂うのか。まだ?まだやるのか?夢子?

 

 

 

 

「打てますか?」

 

夢子は、綺羅莉に問う。

 

「ああ、ごめんね夢子。今、三打ちも四打ちもできないの」

 

「え――?」

 

「だって、あなたのラストバトルの相手は、妄ですからね」


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