麻雀狂 ミダリ   作:かさばる

8 / 23
第八話 序章終局

――――――

 

 

 

この時、会長の待ちは{147}。妄が掴んだ{4}はロン牌だった。

 

 

 

――――――

 

 

 

どうする?打つか?この{4}……

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

……待て。何故豆生田は{⑤}を鳴く?

 

 

 

 

 

それは、南一局の終局間際の時の事。

 

 

 

 

「ポン」

 

{⑤赤⑤横⑤}

 

「ポン」

 

{五五横五}

 

「ポン」

 

{5赤5横5}

 

「ポン」

 

{11横1}

 

 

 {裏} {11横1} {5赤5横5} {五五横五} {⑤赤⑤横⑤}

 

 

豆生田、裸単騎。直前に{②と④}を切っているから、待ちは{③}単騎と思われる。そうだ、今にして考えれば、{③}には赤が入っている事が明らかだから、{赤③}単騎だった可能性もあるだろう。

 

……しかし?本当にそうか?本当に豆生田は{③}待ちだったのか?

 

(あっ……!)

 

 

豆生田は、{②と、④と、22}という対子を落としている。つまりそれは、鳴き始める前、豆生田の手牌は、{115赤5五五⑤赤⑤22裏裏裏}。対子五つと残りの何か。七対子のイーシャンテンだったと言える。

あの時、場はもう十六巡目。山が尽きて流局の間際だった。つまり、残りのツモの可能性が僅かな為、面前で七対子を目指す事をやめ、一か八か、形式テンパイの為に鳴きに行くのも選択としてあるだろう。

しかし。

豆生田は、{②と、④と、2と、2}を、持っていた。持っていたのだ。つまりその四枚と、鳴く前の牌を合わせて手牌を見ると。

 

{②④⑤赤⑤五五5赤51122裏}

 

 

{裏}の牌が、最後まで残って裸単騎になった何かであるという訳だ。

 

 

え――――?

 

 

この形から、{⑤}を鳴くのは、変、じゃあ、ないか?

他の部分を鳴くのは納得できる。しかし、{②④⑤赤⑤}の形を持っていたなら、{②}を払った上での{④⑤赤⑤}の複合形で、{⑤}は元より、{③⑥}の受けを持っている事ができた。

それが、おかしい。

そこが…………

 

裸単騎の余り牌が、{11223}。一盃口受けの{3}であったなら。

 

 

「…………」

 

 

 

 

赤…………!

 

 

あの時のあの牌は、{③}ではなく{3}!そしてそれは、赤牌の{赤3}!そして、会長は結局、両方の麻雀牌のセットに、赤の三の牌を仕込んだ。ならば、今、南四局で使われているこのセットにも、{赤3}は、入っている……!

 

 

 

妄は、{4}を河に放った。妄は{1}を暗槓で四枚抱えている。だから{14}を会長が待っている可能性は高いと考えた。当たってもいい。倍満振ってもいい。倍満まで届いても逆転には至らない。そして、最後の最後に気付いた事実、{赤3}の存在。ならば尚更……!

 

 

 

打、{4}…………!

 

 

 

「ロ――」

 

 

 

「あっ!!」

 

 

 

気付いた。駄目だ。間違っている。そんな訳は無い。会長の待ちは{147}。それが、{2赤3456}の、赤牌含みの可能性は確かにあった。しかし、倍満狙いの会長が、満貫に縛られてしまう赤牌を使っている訳が無い。無論、他に手変わりが効かず、どうしようも無かった。避けられなかったという事ならあり得る。しかし……

 

 

会長の、捨て牌。

 

 

{九④横⑤}

 

 

そうだ。両面のターツを落としているのだから。両面を一つ外しておいて、手に残した両面が赤牌入りなんていう事はあり得ない。

 

 

{23456④⑤⑥四五六二二}

 

 

ドラ表示牌

 

{九白赤三白}

{⑤一南②}

 

 

「メンタンピン一発三色に、ドラと裏三。十役は倍満よ。16000」

 

 

「くっ……」

 

 

……あと一本、指が折れていれば、三倍満に届いていた。24000の打ち込みは、詰まる点差が48000。有していたリード33000を超過して、逆転されていた。

 

 

 

こんな事も、あるのだ。ギリギリの、一か八かの、危うい、危うい展開。これが麻雀。

 

 

 

 

「……あー」

 

 

 

妄はぼやく。

 

 

 

「だぁめだ。冴えてねえ。負けたようなもんだぜ。すげえよ。会長」

「ふふ、そうかしらね?すごいのかしらね。そんな事無いと思うけど」

「ええ~?」

「だって……」

 

 

 

 

 

 

「だって、私の、力じゃないもの」

 

 

 

「え……?」

 

 

横を、見る。右側、下家を。

 

 

「……ロン」

 

 

{南南南白白56} {4} {88横8} {横赤546}

 

 

 

「ダブロンだ。南ホンイツドラ一、8000」

 

 

「あっ…………」

 

 

 

 

豆生田は、拮抗相手の清華と3000点差だった。ゆえに、清華を逆転する為には三役必要。それを、やられた。最終局で。

 

 

 

「ふふふ。お話はまあ後でするとして、楽しかったわねえ?いいわねえ、麻雀って。妄。この勝負は私の勝ちよ。いえ、私と楓の勝ちかしら。ねえ?楓?」

 

 

 

「……どんな現実からも目を背けずに」

 

 

「苦境を抱えつつも、前へ。場を拓く。ね?ふふふっ……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。