歌姫カガリのマクロス風SEED世界   作:ソロモンは燃えている

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長くなったので2つに分けました。


合流

 

 

 

「180度回頭、減速さらに20%、相対速度合わせ」

 

 アークエンジェルは、合流後、第8艦隊旗艦メネラオスと並走する。

 目の前に展開している大規模な艦隊に、ヘリオポリスの避難民達も安堵の表情を浮かべている。

 これ程の大艦隊に守られているのなら、もう安全だと彼らは思っていた。

 

「しかし、いいんですかねぇ。メネラオスの横っ面になんか着けて」

 

 アークエンジェルの操舵手ノイマンも、安堵から軽口を叩く。

 マリューも、本隊と合流した安心感から柔らかい表情で答える。

 

「ハルバートン提督もこの艦をよくご覧になりたいのでしょう。

 後ほど、自らも御出でになるとのことだし。

 閣下こそ、この艦とGの開発計画の一番の推進者だったのですからね」

 

 食堂では、休憩時間に入った学生組とフレイ、カガリが話している。

 

「民間人は、この後メネラオスに移ってシャトルに乗り換えだってさ。

 あっ、でも俺たちどうなるんだろう」

 

「機密に触れた俺たちは、然るべき場所まで降りれないって話だったよな?」

 

「ここが、その然るべき場所なんじゃないの?」

 

「そうだな、後で艦長に確認してみよう」

 

 学生組も大艦隊に囲まれている安心感から、声が明るくなっている。

 

「お前達にも礼を言わないとな。

 ずっと私たちを守るために、キラの負担を少しでも軽くしようと努力していたな」

 

「そんな、私たちの力なんて、たかが知れてますよ」

 

「そんな事はないさ、力の大小じゃない。

 重要なのは、誰かの為に努力できる想いだ」

 

 カガリが自分達の努力を認めてくれた。

 誰よりも、世界の人々を救うために努力してきた歌姫に認められたと誇らしさを感じていた。

 

「無事に艦を降りれたら、ライブに招待するよ」

 

「えっ、本当に!カガリのライブチケット、人気過ぎて全然手に入らないのよ」

 

「おおっ!これは一番嬉しい報酬かも」

 

 食堂は、明るい雰囲気に包まれていた。

 

 

 パイロット達は、格納庫で機体の整備を終えて片付けをしている。

 提督を迎えるために綺麗にしておかなければいけないからだ。

 誰もがもう大丈夫だと考えている中、ムウは嫌な予感を感じていた。

 空間認識能力をガンバレルではなく、戦場の状況を把握するために使うようになってから、感覚がより鋭くなっている。

 その感覚が、違和感を訴えてくる。

 そんなムウの様子にイレブンとキラが声をかける。

 

「どうしたんですか?ムウさん」

 

「何か心配事でも?」

 

「いや、どうも落ち着かなくてな。

 さっき撃退したローラシア級、撤退せずに着いてきてるだろ?」

 

「ええ、でもこの艦隊相手に一隻じゃ、さすがに・・・まさか?」

 

「ああ、援軍を待ってるのかもしれん、この艦隊を攻撃出来るほどのな」

 

「それじゃ、カガリ達の乗るシャトルが危険かもしれない!」

 

「何、もしもの時は俺たちが全力で守るさ。

 ここでならお前達の除隊手続きも出来るだろう」

 

「俺たちが命に代えても守る。だから安心しろ」

 

「それじゃ、ムウさん達が・・!」

 

「キラ、俺たちは仲間だろ。だから、俺たちを信じろよ。

 必ずシャトルは無事に地上に下ろす」

 

「お前は、俺たちが信じられないか?」

 

「そんな事ないです」

 

 そう言うキラの顔は晴れない。

 ムウ達の身を心配しているのだろう。

 

「これ以上、中立国の子供を巻き込むわけにはいかないさ。

 ここから先は俺たちの戦争だ」

 

「お前が降りないと、ヘリオポリスの友人達も降りづらいだろう」

 

 そう言って、二人は提督を出迎える為の準備に戻る。

 キラは、自分の心と向き合おうとしていた。

 戦争がしたい訳じゃない、でも、ここで降りる事を望んでいるのだろうか?

 オーブの民間人や友人を守るため戦いは終わる。

 自分には有るのだろうか、それでもなお、アークエンジェルに残って戦う理由が。

 

 

 格納庫での作業後、キラは自分の心を見つめるために展望室を訪れていた。

 宇宙を見上げながら、これから先の事を考える。

 自分が望む未来は、どんなものなのだろう。

 そこに、マリューが近づいてきて声をかける。

 

「邪魔しちゃってごめんなさい、キラ君。

 あなたと一度ゆっくり話しておきたくて。

 その、ちゃんとお礼を言っておきたかったのよ」

 

「えっ」

 

 突然の言葉に戸惑うキラの前で、マリューは頭を下げる。

 友人やカガリ達民間人を守りたい、そんなキラの優しさに甘えてしまった。

 自分達は、キラが安心して戦闘を任せてくれるほど強くはなれなかった。

 

「あなたには本当に大変な思いをさせて、ホント、ここまでありがとう」

 

 そう言って頭を上げたマリューの顔は、穏やかで優しいものだった。

 感謝の言葉を口にする、その様子から気持ちが伝わってくる。

 ようやく、戦いから解放してあげる事が出来る。

 穏やかで平和な日常に帰す事が出来る。

 仲間として、共に戦ったからこそ伝わるその思いに胸が締め付けられる。

 この人達を戦場に残して、自分は日常に帰るのか。

 迷いはあった。

 でも、目の前の彼女も、アークエンジェルのクルーの人達も、僕らが平和の中で生きる事を望んでいる。

 その平和を守るためにこれからも戦っていくんだろう。

 キラの中の想いが形になりつつあった。

 

 

 メネラオスから第8艦隊司令、デュエイン・ハルバートン提督がアークエンジェルに到着した。

 格納庫では、クルーが総出で出迎えている。

 

「ヘリオポリス崩壊の知らせを聞いた時は、もう駄目かと思ったぞ。

 それが、ここで君達と会えるとは」

 

「ありがとうございます。お久しぶりです、閣下」

 

 提督の労わるような言葉と表情に、過酷な戦いを切り抜けて尊敬する上司の下へたどり着いた事を実感したのか、マリューの目が涙ぐんでいる。

 

 他の士官達も前に出て敬礼をする。

 提督もその敬礼に応えて、一人一人労っていく。

 

「イレブン・ソキウス少尉、君がアズラエル理事から送り込まれて来た時は警戒してしまった。

 すまなかったね、よくアークエンジェルを守ってくれた」

 

「いえ、任務を果たしたまでです」

 

 初めて会った時と変わらず言葉は簡素だが、その姿に以前より人間味を感じた。

 ハルバートンはヘリオポリスに向かわせたのは間違っていなかったと自分の決断に満足していた。

 

「理事から君に荷物が届いている。

 後ほどアークエンジェルに運ばせよう」

 

「ありがとうございます」

 

 士官達の挨拶が終わり、提督は格納庫の一角にいる少年たちに目を向ける。

 

「そして、彼らが・・・」

 

「はい、艦を手伝ってくれました。ヘリオポリスの学生達です」

 

 提督は、優しい笑顔を浮かべて学生達に歩みより握手を交わしていく。

 彼らの為にわざわざ家族の安否まで確認してきたらしく、無事を伝えられて学生達は喜んでいる。

 学生達は、地球軍を代表して子供の自分達に頭を下げる提督を見て、やっぱり艦長達の上司なんだなと感じていた。

 

「閣下、お時間があまり・・・」

 

 副官に言われて、学生達との話を切り上げる。

 

「やれやれ、若者達とゆっくり話す時間もないか」

 

 笑顔で学生達に別れを告げ、格納庫を後にした。

 

 

 アークエンジェルの艦長室に入った提督は、今後の方針について話し合っていた。

 副官が本国から色々と言われていると伝えるが、提督は動きが鈍い上に権力争いで足の引っ張り合いに明け暮れている政治家達への不満から、アークエンジェルを全面的に庇っていた。

 訓練も受けずにストライクを動かしたと言う、怪しいコーディネーター、キラ・ヤマトについても言及された。

 艦長のマリューがキラの人となりを保証し、誠実な対応を求めた事で、提督も守秘義務の誓約書にサインする事を条件に除隊の許可を出した。

 

「この後、アークエンジェルは現状の人員編成のまま、アラスカ本部に降りてもらうことになる」

 

「現状のままで、ですか?」

 

「アークエンジェルへの補充要員は、先遣隊の沈められた艦に乗っていた」

 

「第8艦隊も再建途上だ。これ以上そちらに回せる人員の余裕はない」

 

 こうして、アークエンジェルの次の目的地は地球のアラスカとなった。

 

 

 格納庫では、アークエンジェルへの補給物資とアズラエルからの荷物が届いていた。

 

「スカイグラスパーが2機、おいおい大気圏内用の機体じゃないか!」

 

「ですが、それよりも気になるのは・・・」

 

「あれだな、見たことないモビルアーマー」

 

 格納庫には、大気圏内用の戦闘機が2機と白を基調とする戦闘機型のモビルアーマーが運び込まれていた。

 そのモビルアーマーこそ、イレブンに送られたアズラエルの荷物であった。

 

「これが俺の新しい機体ですか?」

 

「はい、アズラエル財団が独自に開発した機体。

 可変モビルスーツ、VMS-01バルキリーです」

 

 イレブンは、その機体の仕様書を受け取り、目を通していく。

 戦闘機とモビルスーツの二つの形態を持つ、イージスに近い機体のようだ。

 

「戦闘機形態で戦場に素早く展開し、モビルスーツ形態で戦闘すると言うコンセプトで作られた機体です」

 

 それは、危機に陥った仲間を守るために戦場を駆け回っていたイレブンが望む機体だった。

 

「モビルスーツ形態での操縦特性は、ジンの系譜を引き継いでいるのか」

 

「ええ、OSもほぼ同じですので機種転換訓練は必要ないでしょう。機体の性能に慣れれば、ソキウス少尉なら直ぐに乗りこなせますよ」

 

 イレブンは、機体と共に運び込まれたシミュレーターに入り、機体の性能を確かめる。

 ムウが敵襲を予想しているのなら、襲撃はあるだろう。

 仲間や民間人を守るために万全の状態にしておかなければならない。

 

 

 第8艦隊後方の宙域

 

 第8艦隊から離れた位置で監視していたガモフの下にヴェサリウスが合流していた。

 それも、ラコーニ隊とポルト隊を伴ってである。

 クルーゼ隊と合わせて3つの部隊が集まった事で、ナスカ級3、ローラシア級4と言う大部隊が編成された。

 当然、そこに収容されているモビルスーツの数も比例する。

 この過剰なまでの戦力を集めたプラントの思惑は、アークエンジェルの撃沈だけではなく、再建されつつある第8艦隊の撃滅であった。

 オーブが世界の国々に人道支援として軍を派遣する事を認めさせるために、高効率太陽光発電パネルの技術を無償公開していた。

 そのため、エイプリルフールクライシスで引き起こされたエネルギー危機は、時間と共に解消されつつあるのだ。

 もちろん、太陽光発電は発電量やスペースの問題で完全に原子力発電の代わりは出来ないが、連合が国力に見合った生産力を取り戻しつつあると分析していた。

 ここで、第8艦隊を撃滅する事で制宙圏を確かなものにする。

 それが、今後の作戦の為に必要だと判断したのだ。

 

「壮観ですな」

 

 その光景を見て、ガモフの艦長ゼルマンはこれ程の戦力ならば負けるはずがないと確信していた。

 

「司令部からの命令は、敵の殲滅だ。

 油断して逃げられれば、こちらの負けだと言う事を忘れるな」

 

「は、申し訳ありません」

 

 クルーゼの言葉に自分が浮かれていた事に気付き、謝罪し、気を引き締める。

 

「そちらの戦力は、どうなっている?」

 

「ブリッツとバスターは問題ありません。しかし、デュエルの修理は終わっていますが、パイロットのイザークが負傷し、今も治療中です」

 

「イザークは出られないか。ならば、ガモフからはブリッツとバスターのみ作戦に参加させよう」

 

 ザフトは、大艦隊と言っていい程の戦力で襲い掛かろうとしていた。






バルキリーは、SEED世界の技術で作られているので、マクロスの物とは性能が違います。
慣性制御技術等が無いので、ガウォーク形態もオミットしました。
UAも一万を超えました!
ご愛読ありがとうございます♪
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