歌姫カガリのマクロス風SEED世界   作:ソロモンは燃えている

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SEED編
破られた平和


 

 

 コズミックイラ70、バレンタインの悲劇により地球・プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。

 誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利。

 しかし当初の予想は裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヵ月が過ぎようとしていた。

 

 中立国オーブ所有コロニー「ヘリオポリス」

 

 中立国であるためコロニー内は平和で活気に溢れていた。

 その中の一角にキラ・ヤマトはいた。

 彼の手元にある端末には地球での戦争に関するニュースが流れている。

 

(地球とプラントが戦争になるなんてないよ)

 

 プラントにいる幼馴染のことを思い出していた彼にカレッジの友人達が話しかけてきた。

 

「よっ、キラ」

 

「おはようキラ、何見てるの?」

 

 トールとミリアリアは、挨拶もそこそこにキラが見ていた端末を覗きこむ。

 キラは挨拶を返しながらも、肩越しに覗き込んでくる2人に少し迷惑そうな表情を浮かべる。

 

「カオシュンか、先週でこれなら今ごろ落ちてるんじゃない?」

 

「カオシュンなんてけっこう近いじゃない。大丈夫かな本土は?」

 

「大丈夫だよミリィ、近いったってうちは中立だぜ、オーブが戦場になるなんてまずないって!」

 

「そうよね、それならいいけど」

 

 プラントに幼馴染がいるキラは、目の前で行われる2人の能天気な会話に引っかかるものを感じて表情を曇らせてしまう。

 

「それよりカガリだよ!カガリ!」

 

 トールの声で我に帰りニュースを見ると、戦争の話題が終わり芸能ニュースに変わっていた。

 

『見てください、この宇宙港の人だかりを!

 戦争の影響で長らく延期になっていたヘリオポリスでのライブを行う為、カガリ・ユラさんが到着しました!』

 

 画面の中では、金髪の少女が笑顔でファンに手を振りながら待機している車へと移動していく。

 

「相変わらず凄い人気ね、カガリ」

 

「そりゃオーブが誇る歌姫、世界の妖精カガリ・ユラだからな」

 

「前も凄い歌手だったけど、変わったよねカガリの歌」

 

「ああ、エイプリルフールクライシス後のカガリの歌は魂が揺さぶられるって言うか、心に突き刺さるって言うか・・・」

 

「ライブ、明日からだね。いいな〜チケット取れなかったのよ」

 

「仕方ないって、チケットの抽選倍率えげつなかったらしいから」

 

 歌姫カガリ・ユラの話題で盛り上がってる2人に声をかける。

 

「たしか、ツアー中に巻き込まれて2ヶ月くらい行方不明だったんだよね?」

 

「なんだキラ、あんまり詳しくないのか?」

 

「うん・・・」

 

「ええっウソ!この世界に住んでてカガリの歌を聴かない日はないって言われてる、あのカガリだよ!」

 

「いや、歌とかあまり聴かないから」

 

「どんだけ情弱なのよ、プログラミングの課題ばっかりしてるからじゃない?」

 

「それはカトウ教授に言ってよ!」

 

「まあまあミリィ、ユーラシアで次のライブ会場へ移動中にクライシスの影響で行方不明になった。ここまではいいよな?」

 

「うん」

 

「その後、ユーラシアに人道支援で行ってたオーブ軍に保護されて帰ってきたんだけど、その時ウズミ代表の娘だって公表したんだよ」

 

「まさか本物のお姫様だったとは思わなかったわ」

 

「オーブ軍とアスハ家の全面協力の下、クライシスの被害が大きかった地域を巡って歌と支援物資を届けてたんだよ」

 

「そのあたりはニュースで見たよ。

 僕らと同い年なのに偉いなぁって思ってた。

 歌手として得た財産もほとんど支援物資のために使ったんだよね」

 

「本人もクライシスで地獄を見て来たんだ、安全で豊かなオーブで少しくらいゆっくりしても誰も責めないのになぁ」

 

「ねぇ、これは知ってる?クライシスから一緒に帰ってきたカガリのマネージャー、片腕無くなってたの」

 

「クライシスの時に怪我したの?」

 

「噂じゃ食料が無くなって死にかけた時に、自分の腕を切り落としてカガリに食べさせたんじゃないかって」

 

「ええっ!それ本当なの?」

 

「さぁ、でもクライシスで実際億単位の死者が出てるし、真実味はあるでしょ」

 

「世界救済ツアーって呼ばれてるそれに出発する時、マスコミに何故行くのかって聞かれて、返した言葉は強烈だったなぁ」

 

 トールが携帯端末のデータを再生する。

 

『あの地獄の中で、わたしの歌の力を信じてくれた人がいた。

 今も地獄の中にいる人達にどれくらい届くかわからないけど、絶望の中で歌ってみせると誓ったんだ。

 だから今、わたしが歌うべき場所は安全なオーブじゃない。

 ファンの皆、わたしのワガママを許してほしい』

 

「この歌の力を信じてくれた人ってのがマネージャーだって噂なのよ」

 

「実際クライシスの中で片腕無くして、それでもカガリの後ろで優しく見守ってる美人マネージャーってことでこの人も人気なんだよね」

 

「思ってたよりもずっと凄い人なのは理解したよ」

 

「もうこんな時間か、さぁゼミに行こうぜ」

 

「また教授に追加の課題出されるかもね」

 

「勘弁してよ〜昨日渡されたのだってまだ終わってないんだよ!」

 

「「はははっ!」」

 

 こうしてキラ達はカレッジに向かって行った。

 

 

 ヘリオポリス宇宙港・入国管理局

 

「プラントのミーア・キャンベルさんですね。

 ヘリオポリスに来た目的は?」

 

「もちろん、カガリ・ユラのライブのためです」

 

「ああ、チケットが当たったんですね。

 おめでとうございます」

 

「ありがとうございます。とても幸運でした」

 

「書類に不備は有りません。

 ヘリオポリスを楽しんで下さい」

 

「はい、それでは」

 

 ゲートを通過した少女は宿泊予定のホテルに向かう。

 

「明日は初めてのカガリ様の生ライブ、楽しみだなぁ」

 

 

 地球軍輸送艦

 

 ヘリオポリスで極秘に開発されているG兵器、そのパイロットに選ばれた新兵達を乗せた輸送艦がヘリオポリスに向かっている。

 展望室で1人の士官がイヤホンで音楽を聴きながら宇宙を見ていた。

 

「イレブン、そこに居たのか」

 

「フラガ大尉」

 

「相変わらず硬いな、ムウで良いってのに」

 

「性格ですから」

 

「カガリの曲か?」

 

「ええ」

 

「ヘリオポリスでライブの予定だったな。

 上陸したら会えるかもな」

 

「チケットも無いのに会えるわけないでしょう。

 あんなVIPが街中を歩いてるわけがありません」

 

「だよねぇ、せっかく任務で行く先にカガリがいるのに残念だな。

 それで、あのひよっこ達の様子はどうだ、使えそうか?」

 

「まだまだですよ。OSが未完成なのでろくに動かせません」

 

「そうか、俺が見た時ものろくさ動かすのが精一杯って感じだったな」

 

「ヘリオポリスで実機を使いながらOSを調整していくしかないですね」

 

「期待してるぜ、教官殿」

 

 

 翌日、カガリのライブが始まる。

 満員の観客達の前で、カガリがステージに立つ。

 

「わたしの歌を聴けぇーーーーー!」

 

 そして始まる歌に、観客は盛り上がり歓声を上げる。

 

 

 カレッジ

 

「ねぇサイ、あんたフレイに手紙送ったんだって?」

 

「ん?ああ、お互いの親が仲良くてさ。

 それで婚約って話が出てきたんだけど親が決めるような時代じゃないだろ。

 だから、フレイの気持ちを聞いてみようって」

 

「へぇ、どうだったの?」

 

「ミリィ、そんなに突っ込んで聞くなよ」

 

「なによトール、いいじゃない」

 

「いいよトール、大した話じゃない。

 返事はまだなんだ」

 

「ええ、そうなの?」

 

「カガリのライブチケットが当たって興奮しちゃってさ。

 ライブが終わるまでは、それどころじゃないみたいだ」

 

「マジで!フレイ当たったのか!」

 

「じゃあ今フレイ、ライブ会場にいるんだ」

 

「今頃カガリのライブ盛り上がってるだろうなぁ」

 

「何よ、カズイもカガリのライブ行きたかったんだ」

 

「当たり前だろ、おれ、デビューの時からのファンなんだよ」

 

 学生達のたわいもないおしゃべりを切り裂くように爆発音と振動が襲う

 

「なんだ!隕石か?」

 

「違うよ、隕石ならこんなに連続しないはず」

 

「何か分からないけど警報が鳴ってるんだから避難しようよ」

 

 少年たちは避難している中で、これがザフトの襲撃であると知る。

 ヘリオポリスの平和が今日破られたのだ。




短編と違い、歌エネルギーとか出てきません。
SEED世界にある、または、あるだろう技術のみで話が進みます。
カガリの影響で、無能な軍人や狂った人物が出てくる事は少ないです。(いないとは言ってない)
書いてる途中でプロットや設定が変わるかも知れませんが、完結まで書ききりたいと思ってます。
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