歌姫カガリのマクロス風SEED世界   作:ソロモンは燃えている

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ガンダム強奪

 

 

 ヘリオポリスで秘密裏に開発されていた5機のモビルスーツの奪取を目的としたクルーゼ隊による攻撃が始まった。

 ザフト艦2隻による外からの攻撃で守備隊の注意を引き、同時に潜入部隊が仕掛けていた爆弾を爆発させる。

 突然の攻撃に動揺している隙をついて3機のGデュエル、バスター、ブリッツが鮮やかに奪われてしまった。

 そして残りの2機がある格納庫でもザフトの部隊と守備隊の間で激しい銃撃戦が行われている。

 地球軍技術士官マリュー・ラミアスは、自分達が開発した兵器を守るために抵抗していたが、味方はほとんどやられてしまい奪われるのは時間の問題であった。

 彼女は覚悟を決めて物陰から身を乗り出し敵兵士を撃ち抜く。

 

「ラスティー!!!」

 

 激昂したザフトの兵士、アスランが銃を乱射しながら突撃してくる。

 最後まで抵抗していた味方が撃たれ、マリュー自身も負傷してしまった。

 弾が切れたのか銃を捨てナイフを構えたアスランが彼女に迫る。

 ザフト兵はナチュラルより遥かに高い能力を持つコーディネーターである。この状況では誰もが彼女の死を予想するだろう。

 しかし、マリューは幸運だと思っていた。

 アスランとマリューが交錯する。

 ナイフはマリューが持つ拳銃で止められていた。

 

「なっ!」

 

 ナイフ術に自信を持っていたのか、攻撃を防がれたことに動揺するアスラン

 

「生憎だったわね、白兵戦には少し自信があるのよ!」

 

 マリューはその動揺で生まれた隙を逃さずに蹴り飛ばす。

 距離が開いたことでマリューは銃撃を加えていく。

 しかしマリューの負傷とアスランが撤退しもう一機のG兵器イージスへ向かったため銃弾が相手を捕らえることはなかった。

 爆発によって格納庫自体が崩壊を始めていた為、彼女もG兵器の中に避難する。

 

「私にだって動かすことぐらい」

 

 彼女は最後のG兵器ストライクを起動し、崩れ落ちる格納庫から必死に脱出する。

 しかし、彼女にとって最悪なことに脱出した2機のG兵器の下にザフトのジンが駆けつけてきた。

 ジンのパイロットは仲間に離脱するよう指示し、マリューの機体に攻撃を仕掛ける。

 間一髪でフェイズシフト装甲の起動が間に合い撃破は免れたものの衝撃で体勢を崩す。

 その時、イージスに乗っていたアスランは気づいてしまった。倒れ込む地球軍のモビルスーツの近くで逃げ回っている数人の民間人、その中に数年前に別れた親友らしき姿があることに。

 

「あれはキラ!いや、まさかそんな・・・だがここはオーブのコロニーだ、アイツが居てもおかしくない」

 

「何やっているアスラン、さっさと離脱しろ!」

 

「ミゲル、近くにオーブの民間人がいる!巻き込まないように鹵獲するんだ!」

 

「地球軍の兵器を作ってたんだ自業自得だろ!」

 

 アスランは迷っていた、ミゲルは自分の言葉を聞く気はないようでこのまま離脱すればキラらしき人物の身が危険に晒される。

 

 そこに更なる乱入者が現れる。

 青く塗装され地球軍のエンブレムが刻まれたジン、地球軍所属のコーディネーターが運用する鹵獲ジンである。

 鹵獲ジンの銃撃によりミゲルのジンが被弾し腕を損傷する。

 

「ちっ、裏切り者か!」

 

「ミゲル、この状況ではこちらが不利だ!離脱しよう!」

 

「仕方ない、覚えてろよ裏切り者!」

 

 アスランは鹵獲ジンの乱入を理由にミゲルを説得し撤退していく。

 キラらしき人物を死なせずに済んだことに安堵して。

 アスランは気づいていない、キラの他にも民間人が居たにも関わらずキラ以外の安否どころか存在すら認識していなかったことに。

 彼にとってキラ以外の中立国の民間人など何の関心もなく、どうなろうと気にもしない存在なのだ。

 

 

 ザフトの撤退を確認した鹵獲ジンのパイロットは、最後に残ったストライクに通信を入れるが返事が無い。

 ストライクのパイロットの安否を確認するためにジンから降りてストライクのコックピットを開ける。

 その中には攻撃された時の衝撃で気絶しているマリューがいた。

 戦闘が終わり物陰に隠れていたキラ達が近づいてくる。

 ストライクのコックピットから降ろされたマリューが負傷していることに気づいたキラ達が手当てを申し出るとジンのパイロットは機密に関わるためストライクに触れないことを条件に受け入れる。

 ジンのパイロットはマリューの手当てを任せ、ストライカーパックを調達してザフトの追撃に備えるがOSが未完成のためまともに動かすことが出来なかった。

 戦闘に特化していてプログラミング技術はその場でOSを組み上げる事が出来るほどではない。

 機体もストライカーパック等独自のシステムがありジンのOSを流用することも出来ないためストライクの戦力化を諦める。

 

 目覚めたマリューに現状を話し、キラ達に余裕が出来たらシェルターに送ると説明したところで再び状況が動いた。

 

 コロニーの中央シャフトからモビルスーツとモビルアーマーが侵入してきた。ラウ・ル・クルーゼのシグーとムウ・ラ・フラガのメビウス・ゼロである。

 しかし、これまでの戦闘でメビウス・ゼロは全てのガンバレルを破壊されていた為、シグーを抑える事が出来ない。

 鹵獲ジンも弾薬やエネルギーが枯渇しかけているため地上から牽制くらいしか出来ず状況が悪化していく。

 キラ達の付近にも銃弾が降り注ぎ友人達がパニックを起こしている。

 キラはどうにかしようとマリューの静止を振り切ってストライクに乗り込む。

 ストライクを起動させたキラは、そのOSのあまりの不完全さに面食らうが状況を思い出し、自分が使いやすいように組み直していく。

 メビウス・ゼロと鹵獲ジンが牽制してる間にある程度動かせるようにして武器の照準をシグーに合わせる。

 外ではマリューが必死に止めるよう叫んでいるが、当然中のキラには届かない。

 引き金が引かれランチャーストライクの主武装アグニが発射される。

 それはクルーゼが乗るシグーの腕を消滅させ、そのままコロニーの外壁に着弾、貫通させる凄まじい火力を見せつけた。

 クルーゼはそのモビルスーツのものとは思えぬ火力とシグーが損傷したこともあり撤退していく。

 メビウス・ゼロと鹵獲ジンは手傷を負ったシグーを追撃しようと追いかけるがそのタイミングで瓦礫を吹き飛ばしてコロニー内に侵入してきたアークエンジェルに気を取られて離脱を許してしまう。

 こうしてヘリオポリスでの戦いは一旦収束する事になった。

 

 

 アークエンジェル・格納庫内

 

 ストライクを動かしていたパイロットがコーディネーターである事が発覚して兵士達が銃を構えてしまう。

 訓練を受けてないはずの子供がモビルスーツを動かしたのだ、まずザフトのスパイを疑ってしまうのもやむを得ないことだった。

 そう言った事情に明るくないキラの友人達は地球軍兵士の反応に喰ってかかる。

 主だった士官が戦死したことで臨時の艦長となったマリューが取りなし険悪になった雰囲気を和らげ衝突を回避する。

 そこにもう1人のモビルスーツパイロットが近づいてくる。

 キラ達はモビルスーツのパイロットなのだから当然コーディネーターだと思っているが艦のクルー達は仲間として信頼しているようでキラに対する態度との違いに納得が行かない表情を浮かべる。

 鹵獲ジンのパイロットがキラの前まで来るとそのままキラを殴った。

 キラの友人達は怒りを顕にするがそれに続く説教で意気消沈してしまった。

 曰く、ストライクに触るなと言ったのは自分達を守る為だということ

 曰く、機密に触れたため拘束せざるを得ないこと

 曰く、民間人の戦闘行為は犯罪になること

 説明されればされるほど、マリューが自分達にしてくれた配慮を台無しにしてしまったことを理解してしまう。

 

「俺はイレブン・ソキウス少尉、地球連合所属のコーディネーターだ。

 だから君がコーディネーターだからと言って戦う必要はない。

 戦闘は俺に任せて大人しくしていろ」

 

 そう言って他の士官達とブリッジに向かった。

 

 

 アークエンジェル・ブリッジ

 

「ストライクをこれ以上中立国の、しかも民間人に触らせるわけには!」

 

「仕方ないでしょナタル、これは必要なことよ」

 

「同じコーディネーターのソキウス少尉ならそのまま乗れるのでは」

 

「おいおい、坊主が書き換えたOSのデータ見てないのか?

 イレブン、お前はどう思う?」

 

「乗って乗れないことはないでしょう」

 

「なら、やはりイレブン少尉が乗ればいいではないですか」

 

「ただOSの癖が強すぎて、性能を完全には引き出せません」

 

「・・・」

 

「決まりね、キラ君に頼んでOSをソキウス少尉にフィッティングしてもらいます。

 いいわねナタル」

 

「だが間に合うか?

 相手はクルーゼ隊だぜ。

 此方が出てくるのを待ってるとは思えない」

 

「落ち着くまでは、ジンで出るしかないですね」

 

「まぁ相手も奪ったGを直ぐには投入してこないでしょう。

 キラ君には私から協力要請をしておきます」

 

 

 ザフト艦ヴェサリウス・ブリッジ

 

「オリジナルのOSについては君達も知っての通りだ。

 ミゲルの映像データから、この機体も同じだと思われる」

 

 先程の戦闘でモビルスーツに記録された映像を元にブリーフィングを行っていた。

 

「にもかかわらず、私がコロニー内に侵入した際に被弾するほど動いていた」

 

「隊長、連合のジンはその時動いていたのですか?」

 

「ああ、動いていた。

 地上からの牽制射撃だけだったが、油断出来ない腕だったよ」

 

「ジンのパイロットが乗っていたわけでもないか」

 

「それじゃあ」

 

「ああ、裏切り者がもう一人いるってことだ」

 

 アスランはブリーフィング中に別のことで頭がいっぱいだった。

 

(もう1人のコーディネーター、あの場にはキラが居た。

 いやあいつが地球軍に協力する理由がない。

 だがあいつはお人好しでぼーっとしてる奴だ。

 地球軍に騙されて利用されてるのかもしれない)

 

「以上だ、ミゲル達はD型装備で出撃準備急げよ」

 

「了解」

 

「隊長、私も出撃させてください!」

 

「アスラン、どうしたんですか?

 あなたらしくないですよ」

 

「裏切り者共に対する気持ちは皆同じだ!

 今回はミゲル達に譲れ」

 

 ニコルやアデス艦長に嗜められたため、その場では引き下がった。

 

(違うんだ、ストライクにキラが乗ってないか確かめたいだけなのに)

 

 その後、アスランはイージスを無断で使用し出撃していく。

 普通の軍隊なら許されない愚行だが、民兵組織のザフトはその辺りが緩く、クルーゼの一言で認められることになる。

 

 こうして戦いは第二ラウンドへ移行していく。

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