歌姫カガリのマクロス風SEED世界 作:ソロモンは燃えている
この話には、ある程度続編のネタバレが含まれるので注意。
これは、初期の構想によるダイジェスト版です。
実際のDESTINY編は、ダイジェスト版とは異なる展開になってます。
超機動戦艦アークエンジェル・ダイジェスト版
その日、ザフトによるオーブ侵攻が行われた。
少年は、家族と共にシェルターに向けて走っていた。
その途中で、妹が落とした携帯が路地に滑って行ってしまった。
「俺が取ってくる。
父さん達は先に行ってて!」
そう言って、路地に入っていく。
妹の携帯を拾い、通りに戻った少年の目に飛び込んできた光景。
上空にいるディンが銃を構えている。
その銃口の先には、少年の家族が居た。
ディンによる銃撃が行われた後、少年の家族の姿は無かった。
少年には、目の前の光景が理解できなかった。
父さん達は、何処に行ったんだ?
ついさっきまで家族が居た場所を呆然と見ていた。
周りでは、カガリがザフトを挑発して自分を狙わせようとしている。
しかし、少年にはその姿も声も入っていなかった。
少年は見つけてしまったのだ。
紅く染まった血溜まりの中で、小さな手が落ちているのを。
少年は、その手を拾い上げて理解した。
家族は、もう居ないんだと。
「うわあああぁぁぁぁ!!」
少年は、第3放送局へ向かって飛んでいくディンを怒りと憎しみの籠った瞳で見上げていた。
火星に到着したワルキューレ。
カガリ達は、火星の住民のためにライブを行おうとしていた。
しかし、そこに無人機の群れが襲来する。
「ヤキンで見た無人機!
どうして火星に!」
状況も分からぬまま、ワルキューレはアークエンジェルに守られながら離脱する。
「火星政府が裏切っていたわ!」
火星政府の裏切りによって逃げる場所を失ったワルキューレとアークエンジェル。
「民間船のワルキューレでは逃げ切れない。
船を放棄してアークエンジェルに移乗する!」
「でも、ワルキューレはウズミさんの」
「お父様の形見でも、みんなの命には代えられない」
「あの無人機達は、ワルキューレを狙っていたわ。
放棄するなら、自動操縦で囮にしましょう」
アークエンジェルは、ワルキューレを囮に使い火星を離脱する事に成功した。
その後も無人機の追撃を受けるが、なんとか撃退して地球圏にたどり着く事ができた。
しかし、地球圏もまた、混迷の事態へと陥っていた。
ラクスと同じ顔、同じ声の闇ラクスを名乗る歌姫の出現。
闇ラクスの下に集う、統合政府の政策によって切り捨てられた者たち。
一つ一つは、何も出来ない小さな勢力でしかない反統合政府勢力をまとめ上げ、反乱軍を組織していた。
それから間もなく、反乱軍によってプラントからインパルス、ガイア、カオス、アビスの4機のモビルスーツが強奪された。
その4機を中心とした反乱軍と統合軍による戦闘が始まる。
戦場に響く闇ラクスの歌が統合軍の兵士達の意識を朦朧とさせてしまう。
長く聴いていれば、トランス状態に陥り、行動不能になっていく。
戦力では圧倒的に勝っている統合軍が、闇ラクスの歌により苦戦を強いられていた。
その混乱に乗じて動き出す者達もいた。
地下に潜っていたザラ派のテロリスト達が決起。
パトリック・ザラの意志を継ぐ、我々こそが正統なるザフトであると主張。
自らをトゥルーザフトと名乗り、活動を開始した。
ザフトの脱走兵を取り込んでいた宇宙海賊達も、これに呼応して活動を活発化させる。
一方、地上ではアズラエルの私兵ファントムペインがネームレスと暗闘を繰り広げていた。
そして、ついにアフリカでネームレスの拠点と思われる施設を特定。
攻撃を仕掛ける。
そんな彼らの前に、ネームレスに雇われたアフリカ最強の傭兵スカーフェイスが立ち塞がる。
「くっ、傭兵にこれほど腕の立つ者がいるなんて」
スカーフェイスの前にアスランの駆るダークセイバーが苦戦を強いられる。
「スカーフェイス、騙して悪いが、お前にはここでファントムペインと共に死んでもらう。
これからの世界に、お前達は必要ない」
ネームレスの裏切りによって、大量の戦力に囲まれてしまう。
「ふん、どうやら依頼人に裏切られたようだな。
ここからは共闘と行かないか?」
「なっ、この声は、まさかお前は!」
「お前は、俺の過去を知っているのか?
ここを切り抜けた後、話を聞かせてもらうぞ」
過去の記憶を失っているスカーフェイス。
自らの過去を求めて、ファントムペインと行動を共にするようになる。
宇宙では、トゥルーザフトがユニウス7を地球に落下させようとしていた。
落下阻止に向かう統合軍。
その中には、アークエンジェルの姿もあった。
「駄目だ!メテオブレーカーが足りない!」
トゥルーザフトの妨害によってメテオブレーカーが破壊され、落下を阻止するための数が足りなくなってしまった。
「アークエンジェル、フォームチェンジ!モビルスーツ形態に移行します」
「了解!」
戦艦がモビルスーツへと変形する事態に、トゥルーザフトすら唖然としている。
「右手に光波防御シールド展開。
ピンポイント・バリア・パンチでユニウス7に穴を開けて、そのままローエングリンαを叩き込みます!」
「相変わらず無茶ですね、艦長
エンジェルアタックを行う。
ノイマン中尉、任せたぞ!」
「了解!
うおおおぉぉぉ!」
アークエンジェルの拳がユニウス7に突き刺さる。
そこから内部に改良されたローエングリンが放たれた。
これまでの戦闘で撃ち込まれたメテオブレーカーのダメージも重なり、ユニウス7が崩壊を始めた。
闇ラクスの歌に対抗するため、カガリとラクスはアークエンジェルに留まり、戦場で歌う。
闇ラクスは、喉に機械を埋め込み、擬似的なSEEDホルダーになっていた。
文字通り、命を削って歌う闇ラクスの前に2人掛りでも拮抗してしまう。
キラ達は、闇ラクスを守るインパルス達と激しくぶつかる。
そんな中、火星から無人機の軍団が地球圏に到達する。
歌と言う文化を滅ぼすために、カガリ達だけでなく闇ラクスも標的としていた。
状況は、三つ巴の戦いへと発展していく。
アークエンジェルにあの男が訪れる。
「やあ、皆さん。
新たな力を持ってきましたよ」
ロウ・ギュールと彼の相棒AI『ハチ』の協力により、歌を電子データに変換する装置が完成していた。
「これで歌を知らない無人機達に、歌の素晴らしさを教えてあげましょう。
アークエンジェルに搭載するのですから、そうですねエンジェル・ヴォイスと名付けましょうか」
アズラエルが持ってきたのは、それだけでは無かった。
「キラ君、カガリさんを守る君に、オーブから贈り物です」
モルゲンレーテがアズラエル財団と共同開発した機体。
OVMS-05『アカツキ』だった。
戦闘機形態『オオワシ』とモビルスーツ形態『シラヌイ』を持つオーブの最新鋭機がキラに託された。
戦場で響いたエンジェル・ヴォイスによって、無人機のAI達はカルチャーショックを受けた。
彼らは、歌を素晴らしい文化だと認めて、人間達に寄り添っていく事を選択。
創造主であるクリス・ライトマンに反旗を翻した。
「何故だ?
こんな事を引き起こす歌とは、いったい何なんだ?」
自ら創造したものたちによって、ライトマンはその命を終わらせた。
アカツキを駆るキラに負け、インパルスを失ったシン。
それでも戦いに行こうとする彼に、闇ラクスが問う。
「あなたは、なぜ私を殺さないの?」
「あんたが元プラント市民なのは聞いた。
でも、あんたは俺の復讐を否定しないでいてくれた。
それに、俺はアスハが嫌いだ
あんたもラクスが嫌いなんだろ?
なら、俺達は同じだ。
だから、俺があんたを守る」
闇ラクスがシンを後ろから抱きしめる。
「なら、必ず戻って来て。
ファクトリーから新しい機体が届いてます。
その機体、デスティニーを使って勝って来なさい」
宇宙へと上がって来たファントムペインによって、アークエンジェルでも激震が走る。
「グレイスは、ネームレスの構成員だ。
悪いが、拘束させてもらう」
「グレイス!どうして!」
「カガリ、バカな娘ね。
知ろうとしなければ幸せでいられたのに」
闇ラクスとカガリ達が決着を付けるためにぶつかる。
グレイスの裏切りを知った苦悩によって、カガリの歌は力を失っていた。
ラクスが、そんなカガリに平手打ちで喝を入れる。
今は、大切なキラを守るために歌う。
そう決めたカガリの歌声に力が戻る。
歌声は拮抗し、戦いは激しさを増していく。
その時、月から機動要塞『エデン』が浮かび上がる。
そして、エデンの中に組み込まれた電子の歌姫『シャロン・アップル』が目覚めた。
カガリとラクス、そして闇ラクスのデータまで取り込んだ最強の歌姫シャロンの歌声は、地球圏のあらゆる電子機器を通して人々を洗脳していく。
戦場でも、統合軍や反乱軍の兵士達が次々と寝返って襲ってくる。
「闇ラクス、あなたが反逆するのは私にだけ?
人々を洗脳しようとする、シャロンに反逆する勇気はないの?」
「ラクス、その安い挑発、乗ってあげるわ!
まずは、あのケバいおばさんからよ!」
三人の歌姫による反逆の歌が始まる。
しかし、最強の歌姫の前に押されていく。
次々と寝返っていく兵士達。
圧倒的劣勢に立たされてしまった。
その時、戦場に到着したファントムペインの母艦ガーディー・ルーから通信が届く。
「エデンを撃ちなさい!
あそこには今、ネームレスの幹部達がいるわ!」
世界の敵がそこにいると示された。
「シャロンの歌で洗脳されない唯一の場所。
それがエデンよ!
常に歴史を影から操っていた彼らが洗脳される側に回る訳がない。
何処にいるのか分からなかった彼らが、今だけは確実にあそこにいるの」
「これがネームレスを潰す初めてにして唯一のチャンスだと言う事だ」
その言葉をネオが補足する。
再び歌が始まる。
三人の歌声が世界に広がっていく。
シャロンの歌声にすら拮抗し、押し返していく。
「馬鹿な!
最強の歌姫が、なぜ押されている?」
「成長しているからよ。
シャロンが成長するためには、データを解析してインストールする必要がある。
だから、成長し続けるカガリ達に、この場で追いつく事は出来ないわ!」
「おのれ、裏切り者め!
だが、今の戦力でも十分に貴様らを始末できる。
そして、」
エデンが光波防御シールドで包まれる。
「これで、お前達には何も出来ない。
全滅する様をゆっくり見届けてやろう」
「アークエンジェル、フォームチェンジ!」
アークエンジェルがモビルスーツへと変形する。
「エンジェルアタックでエデンを落とす。
モビルスーツ部隊は、エデンまでの道を切り開け!」
アカツキを駆るキラが、デスティニーを駆るシンが、インフィニット・ジャスティスを駆るアレックスが、エデンへの道を切り開くために肩を並べて戦っている。
アークエンジェルがピンポイント・バリア・パンチを叩き込むために突撃していく。
ネームレスの中枢を潰す。
彼らを倒す事で、人々はようやく自分達の意志で未来を選ぶ事が出来るようになるのだ。
誰かに捻じ曲げられる事のない未来を手にするために。
大天使の拳が、バリアを貫く!
戦後、闇ラクスが率いる反乱軍と統合軍は対話を行う事を条件に休戦。
闇ラクスの世界に切り捨てられた者達のための歌が統合政府に届いたのだ。
すべての人々を満足させるような政策はない。
それでも、切り捨てられた者達を顧みないような世界ではいけない。
彼らの声にも、可能な限り耳を傾ける。
そんな姿勢を統合政府は示した。
世界の人々は、新しい、自由な未来へと歩き始めていく。
続編の本編については、2期のメンバーの扱いとかを煮詰めてから書き始めようと思います。
一気に書き上げたので充電と構想を固める時間をもらいます。
また、始動したらよろしくお願いします。