長篇ドラゴンクエストⅢ ASTEL・SAGA   作:ちこちろん

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カンダタ

 

 

 「ニフラム!」

 

 手を合わせ祈るアステルが閉じた瞼を上げる。〈力ある言葉〉が広野に響き渡ると、四匹のアニマルゾンビの頭上に眩い光の渦が現れアニマルゾンビ達を次々と吸い込んで消えた。

 浄化呪文ニフラム。さ迷える魂や屍人を昇天させる祈祷に近い呪文。アステルが新しく覚えた呪文である。アステルは剣を抜き放ち、軍隊蟹(ぐんたいがに)の群れに向き直ると手を翳した。

 

 「初等火球呪文(メラ)っ!!」

 

 すぐ隣で燃える軍隊蟹を後目に、スレイは武器をドラゴンテイルから毒針に持ち替え、素早く軍隊蟹の腹の下に滑りこみ、殻と殻の継目に毒針を刺し込み急所を突くと蟹は塵と化す。腹筋を使って起き上がると毒針からアサシンダガーに持ち替え、蟹の目を切り裂く。

 蟹が怯んだ所をアステルのメラが再び炸裂した。

 

 「ぐっ!」

 

 キラービーの群れと対峙していたタイガの腕に、蠍の尾のような針が掠める。傷口からじわじわと感覚がなくなり、体が動かなくなる。

 

 「タイガ!」

 

 同じくキラービーを相手にしていたシェリルが叫ぶ。

 

 「むぅぅ!? キっアっリっクぅ~~!!」

 

 マァムの手から放たれる黄色の光がタイガの体を包み込み、パシンっと電気が走る。

 

 (体が動く……!)

 

 タイガは自分の間近まで迫っていたキラービーを叩き落とし、急に動いたタイガに動揺している残りのキラービー達にも回し蹴りをお見舞いする。キラービーの軍団は塵に消えた。

 敵はこれで最後だったようだ。

 

 「……ふぅ。助かったぞ。マァム」

 

 タイガがマァムの頭を撫でる。

 

 「ほんまや。いつの間に新しい呪文覚えたんや?」

 

 シェリルは原石を拾いながら聞く。

 

 「へっへっへぇ~~! 今っ! ピぃーンって浮かんだの」

 

 ピースするマァム。

 緩和呪文キアリク。火傷や凍傷、毒による麻痺を解毒緩和させる。

 

 「アステルも理力が上がってきてるんじゃないか? 新しい呪文やメラを連発してもあまり疲れてないだろ」

 「言われてみればそうかも……!」

 

 スレイの指摘にアステルは手の力を確かめるように握り拳を作る。アステル達は確実に力を付けていきながら、旅を続ける。

 カザーブを西へと進み、橋を渡ると広い平原に出た。

 

 そこからシャンパーニの塔がはっきりと望めた。

 

 

* * * * * * * 

 

 

 「ほあ~っ! たっかぁ~~いっ!!」

 

 マァムは額に手を翳し塔を見上げた。

 

 「マァム! 声でかい!」

 

 シェリルが慌ててマァムの口を塞ぐ。

 

 「……大丈夫。入口に見張りはいなさそうだな」

 

 タイガが辺りを見回した。

 

 「シェリル。聖水を出してくれ」

 「はいよ」

 

 シェリルは〈大きな袋〉から聖水を取り出すとスレイに手渡す。スレイはそれを四人にぶっかけた。

 

 「ぷひゃ!」

 「きゃ!」

 「なにすんねん!」

 「シェリル 声、声」

 

 叫ぶシェリルにタイガが突っ込む。スレイも頭から聖水を被った。

 

 「魔物避けだ。ここからはなるべく戦闘を避けたいからな」

 「聖水は野営の時ぐらいしか使わなかったのに……」

 「魔物との戦闘を避け続けてたら、力が付かないだろ。けど、ここでの戦闘は得策じゃない。相手にこちらの動きが丸わかりになる」

 「でも、話しして、〈金の冠〉返してもらうだけでしょう?」

 

 首を傾げるアステルにスレイは目を細めた。

 

 「カンダタがオレの知るカンダタじゃなかった場合の事も考えとかないとな」

 「あっ、そっか」

 

 

 塔に進入すると、そこはとても広い空間で、いくつもの行き当たりにぶつかる。

 スレイはいつものような宝探しの探索はせず、罠に警戒し、素早く上へと続く階段を見つける。魔物達は聖水の効力が効いているのか、アステル達に近寄る事なく、遠目からこちらを窺っていた。

 

 「ひゃあっ!!」

 「マァム!」

 

 煽られ飛ばされそうになるマァムの薄い腹にタイガの腕が回される。そのままマァムを持ち上げた。

 

 「ここ……壁がない……」

 

 塔二階から外壁が全くない造りだった。時々突風が吹き、体が煽られる。今いる場所の高さにアステルは一瞬眩暈がした。スレイに手を掴まれ、アステルははっとする。

 

 「しっかりしろ」

 「ごっ……ごめんなさい」

 

 シェリルは内壁に手を当てながら慎重に進む……と。

 

 「なんや? あれ」

 

 目の前には子供の背丈程の茸が六個ほど自生していた。赤地に緑の水玉模様の笠と毒々しい。

 

 「きのこのこのこぉ~~」

 「茸だな」

 

 マァムとタイガが言う。

 

 「いかにもよね」

 「どうみてもだな」

 

 アステルは剣を、スレイは鞭を抜く。

 茸達が一斉に動き出す。幹に短い手足が生え、黄色い目に、だらしなく出された長い舌が現れる。〈お化けきのこ〉達がよちよちと歩いてやってくる。

 

 よちよちよちよち……グサッ。

 

 シェリルが槍でお化けきのこ一匹をこちらに辿り着く前に突き刺した。お化けきのこはそのまま塵となる。

 

 「え?」

 

 あまりの呆気なさにアステルは間の抜けた声をあげる。

 

 「なにしに来たんや。こいつら」

 

 シェリルが半眼でぼやくと、お化けきのこはいきなりピンク色の甘い霧の息を吐き出した。

 

 「うわっ!!」

 「シェリル!!」

 

 ピンク色の霧がシェリルを包み……込まなかった。

 アステル達の背後から吹く追い風が、お化けきのこ達にぶつかる。ピンク色の甘い霧と共に。お化けきのこ達は再び地につき、静かになる。

 

 ……眠ったようだ。

 

 スレイは無言で前に出てドラゴンテイルを振るう。鞭で弾かれた眠るお化けきのこ達は塔の外へと落ちていった。

 

 「さあ、先を急ぐぞ……と、その前に」

 

 スレイは再び聖水をアステル達にぶっかけ、自分も被った。

 

 その後も聖水の効果がきれ、襲ってくる魔物を倒しては、聖水を被るを繰り返しアステル達は塔五階の部屋らしき場所に辿り着く。そこには黄金色に輝く鎧を纏った男達が寛いでいた。

 アステル達に気付くと慌てて立ち上る。

 

 「あの……」

 

 アステルがなるべく刺激せぬよう笑顔で男達に声を掛ける。しかし。

 

 「なんだ!? おまえらっ!!」

 「ロマリアの手の奴等かっ!!」

 

 そう言って男達は聞く耳持たずと言った感で襲いかかって来たので、アステルは慌てて剣を抜く。

 しかし、スレイとタイガが素早く前に出て男達に当身を食らわせ次々と昏倒させていった。

 

 「タイガ、殺すなよ」

 「わかった」

 「………くそっ!!」

 

 大勢いた盗賊が残り三人になった時、一人が壁のレバーを引く。ガコンッという音と共に足下の床が抜けた。

 

 「───なっ!!」

 「───きゃあっ!!」

 

 穴はすぐ下の階に繋がっていた。あまり高さがなかったのが不幸中の幸いか。

 タイガ、マァム、スレイは難なくひらりと着地するが、シェリルとアステルそして昏倒していた盗賊達も一緒に、強かに体を床に打ち付けた。

 

 「あいつらぁ~~っ!」

 

 痛むお尻を擦ってシェリルが槍を手に憤怒の表情で立ち上がる。アステル達は再び上の階に駆け上がる。いない。更に上の階に昇るとそこも誰の姿もない屋上だった。

 

 「逃げられた!?」

 「いや、まだ追いつく」

 

 スレイが屋上から下を見下ろす。すると盗賊達がこの真下の内壁ギリギリの場所に立っていた。

 

 「飛び降りるぞ」

 「えっ!?」

 「ほっほぉ~~いっ!」

 

 聞き返す間もなくスレイは飛び降りる。続けてマァムも飛び出す。

 

 「んな、軽業師(かるわざし)みたいな事出来っかい!!」

 「出来る出来る。シェリルはやれば出来る子だ」

 

 タイガがシェリルの腕を引っ張り一緒に飛び降りる。ひえ~っとシェリルの悲鳴が木霊した。

 

 「えっえっ!!?」

 

 アステルは完全に出遅れおろおろする。

 

 「アステル飛べ! 受け止める!!」

 

 スレイが階下で手を伸ばす。それを見てアステルは意を決して目を閉じて飛び降りる。

 

 「バカっ……!」

 

 スレイは青ざめ、塔の外へと落ちそうになるアステルの腕を掴み引き上げた。

 

 「目を閉じて飛び降りる奴があるかっ!!」

 「ごっごっごめっごめっ……!」

 

 怒鳴るスレイも怖いが、落ちるかもしれなかった恐怖の方が強く、涙ぐんだアステルは彼にしがみついたままだった。

 

 「こんなとこまで追って来やがって……!」

 「どうする! お頭今いないぞ……!」

 

 三人の盗賊があたふたする。……と。

 

 

 「───なぁにやってんだ? お前ら」

 

 「お頭っ!!!」

 

 盗賊達が歓喜の声をあげた。

 シェリル達は凍り付いた。

 声の感じから想像してたより(とし)若い。背と体格はタイガと同じくらいの男。

 しかし問題はその格好だった。

 筋肉粒々の裸に緑色のビキニパンツ一丁。革のブーツに手袋。そしてパンツと同色の、頭から被った覆面の役割りもはたしているマント。手には巨大な戦 斧(バトルアクス)

 

 「変態や」

 「変態さんだおぅ……」

 「これは……なんて言ったらいいものやら」

 

 シェリル、マァム、タイガそれしか言えず、スレイは額に手を当て項垂(うなだ)れる。覆面マントの目出しの奥の緑色の目玉がギョロリと動き、アステルを支えるスレイの姿を捉える。

 

 「ん? ……おおう! 我が愛すべき義弟(おとうと)スレイじゃねーか!」

 「え!? お頭の弟さんだったんですかい!! じゃあ、あなた様が《白銀の疾風スレイ》!!?」

 

 盗賊達が驚き、ははーっとひれ伏す。

 

 「カンダタ。その格好で義弟言うな。お前らその呼び名はやめろ。……そこ。ひそひそするな」

 

 マァムとシェリルが隅の方で「やだー」とか「恥ずかしー」とか「如何わしー」とかヒソヒソやっている。

 

 「なんだ。スレイの兄貴だったのか?」

 「……正しくは同じ師を持つ兄弟子だ」

 

 肩を叩くタイガの同情の眼差しがスレイを余計に苛立たせた。

 

 「なんだぁ? パーティ組んでんのか? 一匹狼のおまえが珍しい」

 

 カンダタがのしのしとスレイに近付き、そしてアステルの存在に気付く。

 

 「なんだスレイ! 女までできたのか? ……にしても少々ガキ臭くねえか? お前、幼女趣味なんかあったけ?」

 「そんなんじゃないっ……どうした? アステル」

 

 アステルは先程から黙ってカンダタを見詰めている。スレイは訝しげにもう一度彼女に声をかけようとした。

 

 その時。

 

 

 「───ポカパマズ……?」

 

 アステルがそう言った。

 

 「は……?」

 

 ヒソヒソしてた、マァムとシェリルも顔を上げ、タイガは「ポカ……なんて?」と首を傾げた。

 

 

 ────ドガッ!!

 

 

 カンダタが落とした戦斧が床に突き刺さる。

 

 「嬢ちゃん……どこでその名を!!」

 「父さんが……私の父が話してくれたお話に出てくる英雄の名前で、小さい頃父さんもよくそんな格好して遊んでくれたから……」

 

 『マジか』

 

 スレイ、マァム、タイガ、シェリルだけでなくカンダタの子分も声を合わせる。

 カンダタは体をぶるぶると震えさせ、アステルに顔を寄せた。スレイは思わずアステルを隠すように彼から遠ざける。

 

 「ポカパマズを知ってる親父……まさか嬢ちゃん、オルテガさんの娘さんかっ!?」

 「カンダタさん、父さんを知ってるの!?」

 

 アステルの目が輝く。カンダタはうんうんと首肯き、

 

 「知ってるもなにも、俺にとっちゃあオルテガさんとサイモンさん、そしてポカパマズは英雄の中の英雄! 俺の目指す(おとこ)だっ!!

 ああ……確かに。顔は似てねぇが、その綺麗で(あった)かな青色の目はそっくりだぜ」

 

 カンダタはスレイの方を見向く。

 

 「どうりで……だからか」

 

 カンダタの言っている意味がわからず、アステルはスレイを見上げるが、彼は何故かアステルから目を逸らした。

 

 「ところでカンダタ。あんたなんでロマリアの国宝なんて盗んだんだ?」

 

 気を取り直し発したスレイの言葉に、カンダタは目を見開く。

 

 「もしかして……オルテガさんの嬢ちゃん」

 「あっ! 私アステルっていいます」

 「そうか。アステル嬢ちゃんはロマリア王に頼まれてここに来たってのか?」

 

 アステルは頷き、カンダタは長い溜め息を吐いた。

 

 「全く……あの王は悪知恵だけは働く。自国のゴタゴタぐらい自力でなんとかしろってんだ」

 「いや、王冠盗んだあんたがそれ言うか?」

 

 シェリルは思わずカンダタに突っ込む。カンダタがシェリルをじっと見た。

 

 「……? なっ……なんや」

 

 シェリルはカンダタの視線におののく。

 

 「………まあ、いいや。おい! あれを出せ!」

 「へい!」

 

 カンダタ子分が背負っていた袋から大小の金剛石(ダイヤモンド)を散りばめた純金の冠を取り出し、カンダタに渡す。それをアステルに差し出した。

 

 「え?」

 「〈金の冠〉は返す。そのかわりに頼みがある」

 

 アステルは〈金の冠〉を受け取り、頭を傾げた。

 

 「カザーブの村を更に北上すると、ノアニールって村がある。その村の呪いを解いて欲しい」

 「……ノアニールか。昨日酒場の女将が話してた十年近く音信不通だって言ってた村の名前だな」

 

 タイガの言葉にカンダタは首肯く。

 

 「どんな呪いかは行ってみりゃわかる」

 

 「おまえロマリアをノアニールに誘導させる為に、〈金の冠〉を盗んだのか?」と、スレイ。

 

 「王国に下手に動かれて事態が悪化する危険もあったが、呪いを受けてからもう十年が経とうとしてる。このまま放置するのは忍びなくてなぁ」

 

 溜め息交りにカンダタは答えた。

 

 「せやったら、あんたがなんとかすりゃええやん」

 「したくても、俺にはどうする事もできん。嫌われてるからな」

 

 カンダタは拳を握りしめ悔しそうに呟いた。

 

 「誰に嫌われとるんか知らんけど、その格好が一番の原因やと思うで」

 

 ジト目で言うシェリル。

 

 「ああ。それはあるかもしれない」

 

 同じくジト目で同意するスレイ。

 

 「へぇ~ん~たぁ~いぃ~」

 

 タイガの背中に隠れるマァム。

 

 「俺達もやめといた方がいいって言ってるんすっけどねぇ」

 「お頭、頑として聞いてくれなくて……」

 「まともな格好すりゃ男前なんっすよ? お頭は。……もったいない」

 「ほぉ? そうなのか」

 

 三人のカンダタ子分といつの間にか意気投合して会話しているタイガ。

 

 「なんだとぉ! てめぇらこの格好を馬鹿にするって事はだなぁ! ポカパマズを……ひいてはオルテガさんを侮辱するも同然なんだぞっ! それと、そんな理由で嫌われてんじゃねぇやっ!!」

 「カンダタさん」

 「ん?」

 

 アステルがカンダタのマントをくいくいと引っ張り、にっこり笑う。

 

 「私はカッコいいと思います」

 「じょ……嬢ちゃぁぁぁんっ!!」

 

 感極まってアステルに抱きつこうとするカンダタを、スレイが素早くどついた。

 

 

* * * * * *

 

 

 「取り合えずシェリル。これ〈大きな袋〉に入れといて。……持ってるのなんだか怖い」

 

 アステルがシェリルに〈金の冠〉を差し出し、シェリルは受けとって袋に入れる。

 

 「せやな。壊したら一大事や……って、あんたさっきからなんなん!? 人の顔ジロジロ観くさって!!」

 「その珊瑚の髪にシェリルって名……お前、やっぱりマクバーンの令嬢か」

 

 シェリルの眉尻がピクッと動く。

 

 「だからなんや……」

 

 カンダタが覆面の下で笑った気配がした。

 

 「お嬢様が勇者の旅についていけるのかねぇ? ポルトガのお屋敷に帰って見合いでもしてる方がお似合いじゃねぇのか?」

 

 

 ────閃光が疾走るが如く。

 

 素早く突き出された槍が、カンダタの覆面の頬を切り裂く。

 

 「見くびんな」

 

 裂かれた部分から口の端が覗く。

 そこは楽しそうに釣り上がっていた。カンダタは槍を構えるシェリルから離れ、スレイとアステルの横を通り過ぎる。

 

 「カンダタ。シェリルと会った事があるのか?」

 

 すれ違いざまに尋ねたスレイに、カンダタはただ肩を竦めただけだった。

 

 「じゃあな、よろしく頼むぜ。スレイ、アステル嬢ちゃん、……お・じょ・う・さ・ま?」

 

 後ろ手に手を振り、立ち去るカンダタ。子分はアステル達にへこへこと頭を下げつつ、その後を慌てて追いかけて行った。

 

 

 「なんやねんっ! なんやねんっ!! なんやねんっ!! 変態のくせにムカつく奴~~~っ!!!」

 

 シェリルはその場で地団駄を踏む。

 

 「マァム達ぃ無視されたぁ~~」

 

 ぷうっと頬を脹らますマァムの頭を、宥めるようにタイガが軽く叩く。

 

 「スレイ?」

 

 アステルはスレイを見上げたが、彼は首を横に振る。

 

 「奴の行動と服のセンスは付合いの長いオレでも理解しきれない。……悪い奴ではないんだけどな」

 

 スレイの言葉にアステルも頷いた。

 

 「……ねえぇ~~アステルぅ~~~?」

 「なに? マァム」

 

 マァムが指をくわえ、トコトコとアステルに近付いた。

 

 「ポカポカ? の御話ってどんなのなのぅ?」

 「あっ! それウチも気になる」

 

 シェリルも地団駄を止め、アステルの方を見た。タイガも、スレイも。

 

 「ポカポカじゃなくて、ポカパマズね。……それが私もよく覚えてないの」

 

 『へ?』

 

 ウーンと唸るアステル。

 

 「凄くいい話だった気がするんだけどね。あの格好で追っかけられた事ばっかりが印象に残ってて……」

 

 タイガ、スレイ、シェリルは思った。

 それはいい思い出というより、むしろ心的外傷(トラウマ)になるのでは……と。

 

 まだ唸っているアステルの頭をマァムが気遣わしげに撫でた。

 

 








当物語のカンダタの見た目と中身は、ゲームイラストのようなムキムキマッチョ親父ではなくて、格好良いと思える感じのマッチョな青年です。
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