ルッキング!アットミー!!   作:はひろ

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15 トレーナー!!!

午前の授業の終わりのチャイムが鳴った

 

クラスメイトは、食堂に走ったり、談笑していたりと青春を楽しんでいる

 

…私もか

 

何なら1番青春してるかもしれない

 

将来、こんなこともあったなぁと笑い話に出来るが、今まさに起こっている事態は笑えない

 

お陰で授業の内容は入ってこなかった

 

「どうしたんですか?昨日から様子が可笑しいですけれど」

 

隣のホクトちゃんと、いつの間にか前の席に座ってこちらを向いているコウちゃんが心配そうにこちらを見ていた

 

「あはは、ちょっとね…」

 

そう言うと、更に二人の視線が心配そうな物になっていく

 

「悩み事は相談したほうが楽になれますよ?」

 

「そうだよ。出来れば言ってほしいかな」

 

い、意外と押しが強いんだなぁ

 

言わないと開放されなさそうだからとりあえず、伝える

 

「いやぁ、ちょっと朝スカウトされちゃって、どうしよかなぁって、多分オッケーしたほうが良いのかなぁとか考えてますです」

 

「良かったですね!やっぱり昨日の走りだとそうなりますよね」

 

「何かあったんじゃないかと思ってびっくりしたよ。るっちゃんはなんて答えたの?」

 

「いやぁ、なんかヤバそうだったから後で話聞くようにしちゃった。これって話しかけられたときにお願いするべきだったのかなぁ...」

 

「ヤバそう…ですか?」

 

「うん、女の人が正門前で待ってたんだよね。流石に怖いかなって」

 

「熱心とは思うけど怖いってどういうことかな?」

 

「なんかこう、目が怖いというか?あと告白みたいなことされたし?」

 

『告白?!』

 

「声大きいよ二人とも!...まあそんな感じで変な人だし怖いなって」

 

「どうしましょう?告白って…ついて行ったほうがいいですか?」

 

「いやいや!流石に大丈夫だよ?多分…」

 

「トレーナーだから変なことはされないだろうけど不安だね」

 

「そ、そんなことないかも知れないし...あ、時間がないよ!速くショクドウニイカナイトー」

 

「るっちゃん?!逃げないでくださいよ!」

 

私は怒られない程度の速さで逃げた

 

やっぱりある程度隠したほうが良かったような気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにか放課後までいなした後、私は指定された喫茶店に居た

 

ホクトちゃんとコウちゃんは着いてくると言っていたが、丁重にお断りした

 

ガチ告白だったら困るしね。後、真面目に話しているところはあんまり見られたくはない

 

今更ながら思春期の男子高校生のように気持ちが浮ついてきた

 

落ち着け

 

今はJKだし、中身はおっさんだぞ

 

気持ちを落ち着けるために、注文したコーヒーに口をつける

 

んん?なんか独特というか、でも喫茶店で出てくるとちょっとがっかりするような?ホットコーヒーとしか書いてないのは罠だったか

 

前世ではそれなりに喫茶店に通っていたせいかそこが気になる

 

顔を顰めていると、扉の開く鈴の音がした

 

そちらに目を向けると、指定した本人が入ってきた所だった

 

身なりを整えているからか少しドキッとした

 

ナチュラルメイク?ってやつなんだろうけど、隈は隠れてるし、顔全体が明るく見える

 

素材もいいから映える?ってやつなんだろうな

 

そんなことを考えていると、こちらに気がついたのか、笑顔で近づいてくる

 

「ごめんなさい、私が呼んだのに待たせちゃったみたいだね」

 

店内に飾られている時計を見ると、まだ集合時間の5分前だった

 

「いえ、私が早く着いてしまったので、気にしないでください。寧ろ気を使わせてしまいすみません」

 

「そう言ってもらえるとありがたいかな」

 

「あはは、あ、何か注文されますか?私は先に頂いてるんですけど…」

 

「あー、ココアとかあるかな?甘めのやつ」

 

「確かあったと思いますよ。すみませーん!」

 

メニュー表を開きながら店員さんを呼ぶ

 

意外と子供っぽいんだなぁ

 

エナドリかコーヒーキメてるイメージだった

 

店員さんが来たので、ココアと自分の分のコーヒーを注文して、店員さんが去ってから彼女の方を向く

 

「えっと、とりあえず、自己紹介しますか?」

 

「あ、そうだね。まだしてなかったよね。私は、律野 香里奈、一応5年目で、前はそこそこ有名なチームのサブトレやってました。データ分析が得意です。よろしくね」

 

「ルッキンアットミーです。芝ダート不問、脚質自在、距離も短距離から長距離まである程度やれると思っています。目標は、クラシック路線で重賞を取ることです。後は1日でも長く走りたいです。よろしくお願いします」

 

「ふふふっ、なんか、面接みたいだね。そんなに固くならなくていいんだよ?」

 

「すみません、こういう喋り方が楽なので、気にしないでください」

 

「そうなんだ?なんか学園の時と印象と違うね」

 

「そこは、切り替えと言いますか。こういう喋り方が楽なのは本当ですよ」

 

「ごめんね?変なこと聞いて」

 

「いえ、こちらこそ…」

 

「ふふふっ、ホント印象違ってびっくりするね。ちょっと、その、本題に入る前にいくつか聞いていいかな?」

 

「?ええ、構いませんよ」

 

「昨日のレースなんだけど、何かあった感じなのかな?」

 

「ちょっと、感覚的な話になるんですけど、凄い見られているなって思って視線を辿ってた感じですね。それでレースに集中できてませんでした」

 

「そうなの?疑うようでごめんけど、何か貴女を見ている確信があったりする?」

 

「視線に関しては敏感なので、後は目があった先輩方が目を逸らしていたので間違いではないかなと」

 

「そうなんだ。ちなみにレース中に影響あったりする?」

 

「そうですね。結構あると思います。名前の通り私を見てってことで見てもらえるとやる気がでます」

 

「ふふふっ、そうなんだ。じゃあ最後の坂もそうなのかな?それとも狙ってた?」

 

「狙ってはないですね。出遅れた時点で行き当たりばったりの所も大きかったですし、二度とやりたくないですね」

 

「凄いキレ脚だったよ。昨日のレース全体でも最速なんじゃないかな」

 

「そうなんですね。ありがとうございます」

 

「あんまり嬉しそうじゃないね…次の質問なんだけど、クラシック路線の重賞って言ってたけど理由とかあるかな?後、具体的に狙ってるレースとか」

 

「正直な所、私はG1を勝てると思っていないのでG3取れたら最高というのが前提で、上も下も速い子が多いので限定戦の多いこの時期を狙っているって感じです」

 

「確かに、1つ上には怪物がいるし、怪物を除いても豊作だもんね。しんどいのはわかるよ?でも、今の完成度であれば勝ち負けを考えていいところにいるよ」

 

「そこまで評価していただけるのはありがたいですね。でも、同期も強いですよ」

 

「うん、でも、まだ本格化してない子ばかりだよ」

 

「阪神、朝日、ホープフルsなら勝ち負けを狙えると?」

 

「君次第で」

 

少し考える

 

果たして本当に取れるのだろうか?確かに取る過程まではすごくワクワクする。でも、私が取っていいのかという思いもある

 

単に、IFなのはわかっているけど、改変したくない厄介原作厨と同じ思考になってるだけなのだけど

 

でも…うん

 

「…ありがとうございます。参考になりました」

 

そこまで言って貰えると純粋に、嬉しい

 

そう感じたので微笑んで返すと、香里奈の動きがおかしくなると同時に、店内から変な視線が飛んでくる

 

何事かと思っていると、香里奈が口を開く

 

「ど、どういたしました?え、えっとそれでね?あ、朝の話を覚えていますでしょうか…?」

 

どもり始めた彼女を見て、いよいよかーと思いながら頷く

 

「えっと、まず告白みたいなこと言ったけど、ちがくて…いや、ちがくはないけど、語弊というか、言い間違えというか、表現の間違いというか…」

 

うん、最初に予想したとおりで良かった

 

うん、告白じゃなかったね

 

うん…なんでちょっと残念がってるんだろうか?

 

うん?

 

店内から向けられる視線に込められた感情が強く?

 

視線だけそちらに向けるが、学生が数人話したり雑誌を読んでいるくらいかな?

 

気のせいか?

 

視線を戻すと顔を真っ赤にしてまだワタワタしてる香里奈の姿が

 

「落ち着いてください。言わんとする事は何となく察せますので。その、間違ってたら私も恥ずかしいんですけど、スカウトされたいということでよろしいでしょうか?」

 

「そう、そうなんだよ!スカウトしたいんだよ!…ということでスカウトさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「え、っと、はい、よろしくお願いします。」

 

私まで吃ってしまって恥ずかしい思いをしながらも、人目を憚らず喜ぶ香里奈を眺める

 

こんな感じで良かったのかなぁと、いつの間にか置かれていたお替りのコーヒーを啜りながら、彼女が落ち着くのを眺めていた




遅くなりましたが、あけましておめでとうございます
今年もルッキングアットミーをよろしくお願いいたします
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