或る刀の一生   作:kiramaru

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伝説の侍の刀

ウォーターセブンを出航してからそれなりの時が経過したが、雪走の魂は未だこの世に留まっていた

やはり、自分の後任となる刀を見届けなければ納得できないのだろうか

《そんな事を考えていても…》

雪走は小さく首をふり、甲板で昼寝をする主の隣に座った

黄泉へ逝く方法など考えても仕方ないし、本体がゾロの手元にある間は成仏する必要もない

そのため、彼女はこうしてゾロ達の傍についていたのだった

相変わらず鬼徹は戦いに胸躍らせ、和道はそれを見守りつつ刀としての使命を果たす

ゾロも以前とあまり変わらない日々を過ごしていた

そんな中、彼と仲間達は霧深い海域に潜む海賊船【スリラーバーク】の悪夢に囚われた

 

*****

 

「ヨホホホ。この黒刀(こくとう)秋水(しゅうすい)”を、(わたし)から奪うと!?」

「正確には…お前の屍の横に落ちてる刀を貰う、だな」

ゾロは、目の前に立つゾンビの男に向かって不敵な台詞を言い放つ

ゾンビの名は【リューマ】

偉大なる航路(グランドライン)”後半の海、通称“新世界”は【ワノ国】からきた伝説の侍

その手に握られているのは漆黒の刀身を持つ刀であり、傍にはその刀の魂である一人の男が立っていた

浅黒い肌に黒の着物、深紅と黒のグラデーションとなっている髪の男は、偽りの魂によって動く主人に黙って付き従っていた

 

「三本も刀をお持ちのようですが」

「一本折れてる。納まりが悪ィんでぶら下げてるだけだ。おれァ三刀流なんだ」

「曲芸ですか?」と笑うリューマに対し、「今見せられねェのが残念だ。その低い鼻っ柱でも折ってみせるのによ」と相変わらず強気な態度のゾロ

《笑っていられるのも、今の内ですわよ》

雪走も彼に同調するようにクスリと笑みを浮かべた

 

ゾロとリューマの戦いが始まった

圧倒的な気迫の激突に、激しい技の応酬

外野の驚きなどお構いなしに二人は刀をぶつけ合う

((あっははははは!!))

((折らないように気を付けて!この人は仲間になるんだから!))

((オイオイ、この程度で折れたら黒刀は詐欺だろ!))

((ははっ、そうだね!))

エニエスロビー以来となる強者との戦いに歓喜する鬼徹と、それを窘めながらもしっかりとゾロを支えていく

和道

相も変わらずな彼らの姿を、雪走は安心したような苦笑を浮かべて見守った

 

戦場を屋外に変えて尚、二人は激しくぶつかり合う

だが、決着の時は近い

((最後決めろ!))

((オッケー!))

和道を構えたゾロが斬り裂かれた屋根を駆け上がり、空を舞った

それを見たリューマも駆ける

この一撃で全てが決まる

「“一刀流”……“飛竜”」

「……“鼻唄三丁…」

そして…

 

「“矢筈斬……」

「“火焔”!!!!」

 

一瞬の勝負を制したのは、ゾロだった

 

決着がつき、黒刀がゾロの元に譲られた

雪走は彼の隣でそれを見守りながら、主の勝利を喜んだ

秋水の魂は、燃え上がるリューマの身体とそれを動かしていた偽りの魂たる影が吐き出されるのを見届けた後、和道達の輪の中に加わった

これからは、彼がゾロ達と共に世界の高みへと行くだろう

彼に嫉妬していないと言えば嘘になる

《それでも…》

死して尚主と慕う男の野望を、叶えて欲しいから

《主様を、頼みましたよ…》

雪走は寂しげな笑みを浮かべながら一方的な言葉を零すと、そっと目を閉じた

 

 

 

だが、まだ戦いは終わっていなかった




・秋水
一人称:俺
浅黒い肌に黒い着物、根元が黒で毛先にかけて真紅のグラデーションになった髪
外見年齢は21歳ぐらいで、『MONSTERS』の頃のリューマに少し似ている
イメージ声優は細谷佳正さん


次回、くま登場。
エピローグも含めてあと三話ぐらいの予定です。
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