デジタルワールドストーリー   作:ZeroRain

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ファイル島への道

 ———俺達の旅が始まってから数日が経った。

 この数日間だけで俺達が襲われた回数が二桁を超え、みんなの疲れが見え始める。

 俺自身は自分の足? で歩いていないが時間がある度にアグモンさんが俺を鍛える為に限界まで様々なトレーニングを課してるので俺もだいぶ疲れが溜まってる……赤ん坊に優しくない時代に生まれたせいではあるけど。

 

 襲撃自体はティラノモンさん達のお陰でなんとか凌いでいた。

 ジジモンさんは戦わないのか? って最初は思ったがどうやらこれはティラノモンさん達が自ら立候補した事で決まった事らしい。

 代表のティラノモンさん曰く———

 

「いつまでもジジモンにおんぶに抱っこは良くねえ、俺達はこの先の為に少しでも次の進化に繋げる為に努力をしなければ成らない」との事。

 

 成熟期の次の進化……完全体になるには様々な要因が必要とされている。

 主には戦闘経験、鍛錬、そして素質。

 進化の素質はそのデジモンが持つデジコアで決まったと言われいる、幼年期の自分ではわからないがどうやらこれは常識らしい。

 成長期までしか成れないデジモン達はデジコアの容量がそこまでしかないと言う事になる、俺を鍛えてるアグモンさんはこの口である。

 

 そして狭き門である完全体にもその先がある、その進化の名は究極体。

 デジモンの中にも屈指の強さを誇る偉大なデジモン達、そしてその内の一人こそが我らのジジモンさんだ。

 なによりも噂によるとグレイモン様も究極体らしいよ、アグモンさんが凄い喜びながら教えてくれたから印象深かった。

 

「ボクと同じ竜型が究極体だなんてとっても誇らしいよ!」との事。

 

 でも例外がある。

 それこそこのデジタルワールドに混沌や暗黒の時代をもたらしたルーチェモンだ。

 彼は成長期でありながら完全体……それどころか究極体に迫る程の強さを持っているとアグモンさんが語ってくれた、ジジモンさんと戦ったら高確率でジジモンさんが負けるとも言った。

 そんなバケモノは一体どうやって勝つって言うんだ? 

 

「———ってこんな事を話してもわからないよね」

 

 苦笑しつつ、アグモンさんはまだ孵化していないデジタマを優しく撫でた。

 

「キミ達が大きくなる頃にはボクやティラノモンがまだ生きているかすらわからないけれど……最後の瞬間までボク達は全力でキミ達を守って見せるよ」

 

 真剣なその眼差しはきっと彼の覚悟そのものだろう。

 

 ———旅はまだ続く。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 その夜はあんまりにも騒がしかったから思わずアグモンさんから離れて音がする方に向かった。

 そこには戦ってる数体のデジモンの姿があった。

「いつもこうやって戦ってるんだ」と思いながら木の影に姿を隠す。

 

「いい加減にくたばれゴブリンども!」

 

 ティラノモンさんはそう強く尻尾を薙ぎ払った。

 そんなフルスイングを受けた【ゴブリモン】達は断末魔をあげながら崖に落ちて行く。

 

「……チッ暗黒の連中はしつこいが、オレたちの身体の大きさを見て襲い掛かるこのアホ共もいい加減にウンザリだ!」

 

 ティラノモンさんはイラついた顔でそう吐き捨てた。

 

「小さいから弱い、他の連中ではそれが当たり前常識だったからだ」

 

 そんなティラノモンさんを宥めたのは青い獣———【グリズモン】さんだ。

 

「けどこのままじゃまともに休めねえぞ!」

「ああ、【回復フロッピー】がない今だからこそ休む機会が大事なのは俺も理解している、だが一旦落ち着け」

 

 納得してない顔をしつつティラノモンさんはその場で座り込んだ。

 

「だからオレはオレに【回復フロッピー】を使うのが反対だったんだ! 回復しなくともオレは戦える!」

「たわけ、貴様がまともに動けないと俺達に未来はない。【レオモン】や【シェルモン】などの我々の主力が居ない今、頼れるのは俺達しかない」

「……クソ!」

 

 ティラノモンさんは尻尾を床に叩きつけた。

 その揺れの影響で俺は隠れていた場所からゴロンと転んだ。

 

「んァ?」「ムッ?」

 

 そんな俺を見て、二人は呆れた表情を浮かべた。

 

「おい、ワルガキ。オマエはもう寝る時間だろうが」

 

 爪先で俺を優しく摘み上げたティラノモンさんがため息を吐いた。

 

「我々の戦いで目を覚めて抜け出したのだろう、ほれアグモンの奴がこの子を探してるぞ?」

 

 グリズモンさんは愉快そうに笑う。ほぼ同時に遠くからアグモンさんが俺を探している声が聞こえた。

 グリズモンさんは「こっちだ!」と叫んだしばらくした後アグモンさんが駆け寄って来た。

 

「あっ! よかった! いきなりいなくなってるから心配したよ!」

「このワルガキも悪いが、オマエもオマエで赤ん坊から目を離すなって何回言えばわかる! オマエはコイツを守るって言っただろ!?」

 

 ティラノモンさんは厳しい視線で睨み付けていた。

 

「ご、ごめん……」

「今回は無事だから良いではないか? みんな疲れているんだ、それぐらい貴様にもわかるだろ?」

 

 思わず顔を伏せたアグモンさんにグリズモンさんがフォローを入れた。

 それを見たティラノモンさんは俺をアグモンさんに託した後無言で自分の持ち場所に戻った。

 

「……彼が言いたいこと、わかるだろ?」

「……うん、合流地点に近くなったから思わず気を緩んでしまったよ」

「……あの襲撃で失った仲間のぶんまで、もう誰一人を欠ける事は許されないんだ」

「……そうだね」

 

 冷たい夜の風に撫でられながら俺は深く反省した。




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