社畜系TS魔法少女(旧題TS魔法少女と終末世界) 作:無知覚
治療室には、負傷した魔法少女たちがやってきます。外敵を相手にしている魔法少女たちが負傷するのはよくあることではあるのですが、中には大怪我をして帰ってくる人もいます。そんな魔法少女たちに癒しの魔法で怪我の治療を行うのが治療室勤務の魔法少女の役割です。
私もまた治療室で働く魔法少女です。以前は戦闘が行われる場所へと行く前線治療班と呼ばれるものに参加していたのですが最近は魔法による転移ができるようになったことで治療室から出ることが少なくなってしまいました。
怪我人のもとへと駆けつけるのではなく怪我人がやってくるのを待つのはなんだかあまり好きではないです。できることがなさすぎるので。暇なときに何もできないのだと言われているような気分になってしまいます。
とはいえそれで仕事の量が減ったかといえばそうではなく、むしろより治療する人の数は増えたように思えます。それだけ人を助けることができているので私の気持ちはともかくこちらの方がいいのでしょう。
いつも通り怪我の治療を行って休憩に入ったので遅めの昼食を食べて少しぼーっとしていたのですが、遠くから声が聞こえてきました。また負傷した魔法少女が来たのでしょうか。椅子から立ち上がり、声のする方へと向かいます。
声の主のところまでやってくると、致命傷としか思えないほどに酷い怪我をした魔法少女を担架に乗せ運ぶスタッフがいました。
「メアリーさん」
私の出番だと治療室勤務の医者である富士見さんに言われます。
「はい、すぐに治療を開始しましょう。魔法少女メアリー、治療を開始します!」
「はい、問題ないようです。あとは任せてください」
治療が無事に終わりました。酷い怪我ではあったのですが、応急処置のおかげでどうにか命をつなぎとめることができたようです。あとはほかの魔法少女たちの魔法によって回復し、しばらく入院することになるでしょう。
「はい......」
少し疲れが出てきました。命の危機であったことによる緊張や治療のための魔法が原因のものでしょう。いつも通りなので椅子に座り休憩をとることにします。この疲れは魔法で一時的に誤魔化すことはできてもなくすことはできないので自然に落ち着くまで待たないといけません。
私は軽く瞑想をしながら身体を休めることにしました。どうしても大きな怪我をした人を見ると怖いという気持ちが出てきてしまい落ち着かなくなってしまうことを回避するために治療を行った後によくやります。
私が大怪我をした人を診る頻度はそれなりにはあるのですが、その度こんな気持ちになってしまうのは、多分トラウマになってしまっているからなのでしょう。
瞑想を終えてできることはないか探そうとしていたところ、フォルテさんがやってきたのが目に入りました。そういえば午前中にフォルテさんが怪我して治療はされたと聞いていたのだけどと思っていると、フォルテさんがヴィオラさんをおんぶして連れてきていました。
「あら、こんなところに来るなんて珍しいわね。今回は……ヴィオラさんの転移酔いかしら?」
顔が青いようだけど転移酔いならベッドで少し休憩していれば治ることでしょう。
「ええ、まあ。じゃああとはよろしくお願いします」
「怪我をしたって聞いたわ」
ヴィオラさんが治療室から出ていくのを引き止めます。以前フォルテさんが大きな負傷をした際背中などにいくつもの切り傷があった。戦闘だけで受けたにしては不自然な傷が多かった。フォルテさんは普段から治療をほとんど受けないのは怪我を隠しているからではないかと疑っています。なぜそんなことをしていたかまでははっきりとは分かりませんが。
フォルテさんは逃げることはなく、フォルテさんの身体に怪我がないかを診ますが今回は特に怪我はありませんでした。
「確かに怪我はないようね。今回もそうだけど怪我をしたら自分だけで治そうとしないこと。私たちを頼ってちょうだいね」
フォルテさんは素直に頷いて返事をしてくれました。本当にわかっているのか不安なのでこれからたまに声をかけてみることにしましょう。