社畜系TS魔法少女(旧題TS魔法少女と終末世界)   作:無知覚

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第13話〇「襲撃者」

 いつもの訓練の日。今日も魔力の節約のための訓練なのかなと思っていたら今日からは別の訓練をやることになっていて、いつもよりたくさんの人がいた。

 

 フォルテさんがマイクを使い話し始めようとした瞬間、訓練場の結界は粉々に崩れ去った。

 

 何が起きたのかとみんなが動揺する中、フォルテさんは真っ先に変身して辺りを警戒していた。それを見て周りの人たちも変身しだし、私も変身していると、突然結界が張られそこに衝撃が走る。慌ててそちらを見ると、魔法少女のような人が姿を現した。黒い衣装に身を包んでいて大きな鎌を手にしていて。普通、魔法少女は手に何も持たないか、ステッキを持つくらいがせいぜいで武器を持つことはないのになぜそんなものを持っているんだろう。

 私は固有魔法を活かすために持っているけれど、あの人も同じなのだろうか。

 

 警戒しながら、様子を見ていると

 

「……特級魔法少女ふぉるて、お前を殺しに来た」

 

 と言った。

 その発言の後に撃たれた魔法はフォルテさんの結界を一撃で割ってしまった。あんな魔法を使われたら私じゃ1回も防げないでやられてしまいそう。

 

「建物内の設備で安全な場所へと退避してください!」

 フォルテさんの指示でやるべきことが分かりみんなで動き出す。建物の中に入りテレポート装置があるからそこから逃げるということだと思う。

 

 建物へと駆け寄ろうとしていると

「そうは問屋が卸さないってな。特級魔法少女の足枷外すわけないやん」

 また別の魔法少女がやってきて攻撃をされ、フォルテさんが結界を張ったものの数人は結界の外に取り残されて魔法を受けてしまった。

 近くにいた人が助け出していたけれど意識がないみたいだった。

 フォルテさんが結界を何重にもすることで攻撃を防いでくれている。結界が破られる度に瞬時に結界が張り直されている。あまりに早く張り直されるため攻撃をしている魔法少女たちも結界を全て破壊できないみたい。

 

 今のうちにと通信機器を使って本部に通信を行ってみたけれど繋がらない。今までそんなことなかったのに。周りの人と一緒にどうしようかと相談していると、突然戦闘が激しくなった。

 フォルテさんが攻撃を仕掛けている。死神のような女の子を攻撃している。もう片方の狐のお面の方の女の子は結界で閉じ込められているみたいだ。

 しかし、フォルテさんの攻撃は一切のダメージを与えることはなく、むしろ死神のような女の子による攻撃がフォルテさんを襲った。

 鎌による攻撃は結界を素通りしフォルテさんへと迫った。

 フォルテさんがギリギリで躱しているけど、もしフォルテさんが武器を持っていれば武器で対応できそう。

 

「今のうちに退避してください!」

 そう言いながらフォルテさんが結界を解除した。

 今なら刀を渡せると思い思いっきり刀を投げる。

「フォルテさん! これを!」

 フォルテさんはすぐにこちらに気づき刀を器用に受け取ってくれた。

「ありがとうございます」

 そんな声を聞きつつ私も逃げようとしていると、狐のお面の女の子が閉じ込められていた結界が割れた。

 そしてこちらに攻撃をしたけれど、その攻撃は私たちに届くことはなかった。

 どの攻撃も結界によって全て防御されていて私たちは結界の中に入っていた。

 

 結界の中からフォルテさんの戦いを見ていると、様々な攻撃を全て無視するように動く敵の魔法少女たちはまるで幽霊であるかのような不気味さを醸し出していた。でもフォルテさんはそれに怯むことなく冷静に対処をしている。

 

 千日手のような状況の中、フォルテさんが突然攻撃の手を強めて、近接戦闘を仕掛けた。すると、いままで無敵かのように振舞っていた敵たちがフォルテさんとまともな戦闘を成立させはじめた。

 

 しかも、そのおかげで結界の方へと飛んでくる攻撃がほぼなくなって、それを知ってか結界が解除されて私たちは逃げることができるようになった。フォルテさんが敵を食い止めてくれている間に訓練生たちはテレポート装置で本部へと向かった。

 しかし、私は日本刀に掛けた特殊効果付与(エンチャント)の効果が切れないよう建物の扉の裏で待機していた。

 

 私はこれ以上の手助けはできないけれど、フォルテさんがやられるはずはないと思っている。だからここで見守ることにした。

 

「あれ、セイント?」

 名前を呼ばれて振り返るとそこには見知った顔があった。

「あ、ツグミちゃん!」

 ツグミちゃんだ。元々同じグループのメンバーだったけど最近会えてなかったからかすごく懐かしい気がする。

「久しぶり。まあ状況が状況だからあんまり感動の再会とは言えないかもだけどね」

 周りを見て苦笑いしながらそんなことを言うツグミちゃん。確かにこの状況じゃ感動の再開とはいかないかもしれないけど、それでも久しぶりに話せるのは嬉しいことだよね。

「そうだね……。今は時間もないしあとでゆっくり話そうね!」

「うん、分かった。……って、行かないの?」

「えっと、や、やらないといけないことがあって」

 これがフォルテさんに必要なことなのかは分からないけれど、やれることはやっておきたい。

「ここじゃないとできないことなの?」

 私を心配してくれての言葉だと思う。けれど、私にはここに残らなければいけない理由がある。

「う、うん。実は、さっき私がフォルテさんに渡した刀に、固有魔法を掛けてるから、あまり離れられなくて」

 私の固有魔法のことも軽く話すと、少し悩んだような顔をした後

「……そう。なら、仕方ないか。また後でね。それと、これあげる」

 と言って私に何かを手渡した。それは小さなお守りのようなものだった。

 何が入っているのかは分からないけれど、きっと大事なものだと思う。

 渡されたそれを握りしめてからありがとうと伝えると私は何もしてないよと言いながらも少し嬉しそうな表情をしていた。

 その後、その場を離れるツグミを見送った。

 そして再び視線を戻すと、フォルテさんがちょうど攻撃をされたタイミングだった。

 鎌での攻撃を防ごうとするフォルテさんだったが、死神の方の女の子の攻撃はフォルテさんに防がれることはなく、スルりとフォルテさんの後ろへと抜けていった。そのせいでフォルテさんは敵2人に囲まれる形になってしまった。

 前方からの攻撃を防ぐことには成功したものの、後方からの攻撃に対しての防御が間に合ってない。

 死神の凶刃はフォルテさんの首を狩るように迫る。

「これで……終わり」

 その攻撃はフォルテさんの首へと吸い込まれるように進み、首が飛ぶ様子を幻視してしまった。

「フォルテさんっ!!!!!」

 思わず声が出てしまう。

 慌てて攻撃をしたがそれでも攻撃は止まらない。

 

 しかし、その攻撃は結果的にフォルテさんに当たることはなかった。

 死神の女の子の攻撃が当たる直前に、爆発が起きたのだ。

 爆発により死神の女の子は吹き飛ばされて攻撃が空振りに終わる。

 フォルテさんは爆発で私の方へと吹き飛ばされてきたため私は急いで扉から出る。

 受け身が取れない状態で地面に叩きつけられたフォルテさんは苦しげな声を漏らしていた。

 そんなフォルテさんに駆け寄り回復魔法をかける。

「大丈夫ですか!?」

 フォルテさんはすぐに起き上がり体勢を整えていた。しかし、息は荒く、額からは汗が流れている。フォルテさんの持つ刀も特殊効果付与(エンチャント)されて耐久力が増えていたのにもうボロボロだった。

 何も考えず出てきてしまったことを少し後悔しながら恐る恐る敵の方を見ると敵2人もかなりボロボロで、特に狐のお面の方の女の子は傷だらけで今にも倒れてしまいそうだった。

「……まだやりますか?」

 フォルテさんが尋ねると狐のお面の女の子は武器をポイッと捨てた。武器は空中でスッと消えていった。

「もう無理や。これ以上やったら死ぬわ。時間稼ぎは十分したし撤退させてもらうで。ほな帰ろか」

 そう言って狐のお面の女の子は死神の女の子と共に姿を消した。

「はあ、まずはここから出ましょうか。新手が出る可能性はありますし」

 そう言いながら歩き出すフォルテさんについていく。私はフォルテさんに肩を

 貸す形で一緒に歩いた。途中回復魔法をかけてあげたが、それでもフォルテさんの顔色は悪いままだった。

 

 移動している最中、私は気になっていたことを聞いてみた。

「ところで、あの爆発は一体なんだったんでしょうね?」

「あれは私の魔法ですよ。自分では回避できなかったため爆風で無理やり回避しました」

 なんてことのないように言っているが、結構無茶をしていると思う。

 それからしばらく歩くとテレポート装置があり、それを使って私たちは本部へと戻ろうとしたのだけど本部へは行けなかった。

「恐らくこの訓練場が襲われたことで本部へと転移できないようにゲートが閉じられたのではないでしょうか」

 他の訓練生たちはこことは別の訓練場に行ったみたいだ。

「じゃあ私たちもここにいけば……」

「本部への距離はここの方が近そうですね。ふむ、では私はここから直接本部へ行きます。セイントさんは転移してそこで待機していてください」

「え、あ、はい」

 いきなりの提案に戸惑いつつも返事をする。するとフォルテさんは早速テレポート装置を発動させ、私を転移させた。

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