社畜系TS魔法少女(旧題TS魔法少女と終末世界)   作:無知覚

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15話「対立」

 テロ対策部隊主導の訓練が始まった。しかし、当たり前というかなんというか、訓練をサボったり、酷いときにはあからさまに喧嘩売るやつがいたりという有様らしい。

 

 なんか相当酷いようだけど私には関係ない。そう言いたかったのだが、なんかテロ対策部隊との対立がなかなか過激なものになっているようで本部の治安が悪化しているらしく、私に少しの間本部にいて欲しいとメアリーから頼まれてしまった。普段から世話になりっぱなしだしそれくらいならと引き受けた。

 

 まあやることもなく治療室付近でウロウロしたりしてるだけなんだけど、やたら魔法少女に話しかけられた。こんなとこでウロウロしてるのが珍しいからかな。

 サインくれとかいう人がいたり戦闘に関しての質問だったり普段何してるのかみたいな質問だったりした。

 そんな感じで平和に過ごしていたかったのだが、やはりというかなんというかトラブルが起きたようだ。なんかうるさいなと思ったので見に行ってみると口論が起きていた。一触即発という雰囲気で周りもかなりザワついている。

「こんな場所で喧嘩はしないでもらえますか?」

 無駄な仕事を作らないで欲しい。せめて平和に過ごしたい。

 

 軽く話を聞くとどっちもどっちという感じだったので喧嘩をやめろとだけ言って解散させたりしたが、同じようなことが何度もあった。

 

 これでは対立がなくなるのもかなり遅くなりそうだ。ここに変なルールとかが多いというのも原因の1つっぽいし。

 

 

 それからちょくちょく暇なときに本部にいるようにしていた。

 知り合いもよくいるのでそういうときは少し話をしたり、たまに知らない魔法少女から話しかけられたりしたのでいい感じに時間を潰すことができた。

 

 メアリーやヴィオラ、セイントとかと話をしたりする機会が多くなった。

 メアリーにはまた怪我してないかとか疑われたりした。ヴィオラにはまた模擬戦に誘われたりして結局模擬戦ではないけど接近戦の訓練に付き合わされた。思った以上に強くて驚いた。それでも私が勝ったけど。セイントはなんだか様子がおかしかったので不安だ。今度また話をじっくり聞いてみるか。

 他にも私の下級、中級魔法少女時代の知り合いとかが来て話をすることができたりした。昔のことを思い出しながら話をするだけでも楽しかった。

 あとは知り合いではなかったが話しかけてくれた子がそこそこいて、そこそこ仲良くなれたと思う。会って挨拶くらいはできるようになった。

 

 

 そんなこんなで意外と楽しくは過ごせた。もう少し普段からある程度ここにいてもいいかもしれないと思うくらいに。

 

 

 喧嘩とかはたまに起こってはいたが段々頻度が少なくなってきた気がする。そろそろまた家でたくさんゲームできそうだ。

 

 

 

「え? 嫌がらせ?」

 メアリーにもうそろそろいいかと話そうとしたらそんなことを言われた。

「ええ、そんなことをしているみたいで。お互い協力しないといけないのにこんなことしていたら……はあ」

 そんなことしてたらそりゃ口論になるよ。むしろよく口論で済んで……いや、何回か喧嘩1歩手前くらいのもあったような気もする。

「というわけで、お互い嫌がらせする状況をなんとかして欲しいんだけど」

 

「なんとかと言われても、私では……」

 メアリーの方が知り合い多そうだし適任じゃないのかな。

「嫌がらせの証拠を見つけて注意するだけでいいの。それならできそうじゃない?」

 まあそれくらいならできるかな? けどそんなことしたところでどうにもならないのでは? そう思ったが1度だけでもいいからと言われやることになった。偉い? 人が注意することで表立ってやるやつがいなくなるとかそういうことだろうか。

 それから、たまに施設内の監視カメラの映像を見せてもらったりとかしていたのだがすぐには証拠が見つからなかった。そりゃそうか。

 

 

 少し休憩してお菓子を食べているとテロ対策部隊の2人組が近づいてきた。

「嫌がらせを即刻やめてもらいます。特級魔法少女であろうと横暴が許される理由にはなりません!」

 え、私に言ってるの? 

「これまでの嫌がらせ、その証拠は掴んでいます」

 様々な写真などが見せつけられた。私ではないだれかが嫌がらせをした証拠っぽい。嫌がらせの音声なんかもあるっぽい。うわ、本当に嫌がらせがあるんだな。もちろん私がやった証拠ではないが。

「配下の魔法少女を使った様々な嫌がらせ。私たちだけではなくテロ対策部隊のみんなにも被害が及んでいます」

「これ以上の嫌がらせは看過できません!」

 え、そういう解釈か。

「……私は何もしていないのですが、というのは置いておいてまずその証拠を見せてもらっても?」

 私が近づくとめちゃくちゃ警戒されたがとりあえず見ることはできた。

 ものを傷つけたり、衣類を汚したりする様子なんかが写真におさめられたりしている。この証拠使えそう。注意で済むか怪しい気がするけど。

「この証拠はコピーもとってあります。今このパソコンを壊しても意味はありませんよ。あなたが指示したというのももう分かっています。さあ、覚悟してください!」

 

「とりあえず色々と言いたいことはありますが、2つ言わせてもらいます。まず、これらの証拠を得て来るのは私のところではありません。そして、私には配下もいなければ指示もしていません。つまり無実だということです」

 証拠あるんならさっさとスタッフにでも任せるのがいいよ。たぶん。直接捕まえようなんてのは無謀だよ。

「え、無実?」

「いや、嘘に決まってるよ! しっかりしてよリーフ」

 本当なんだけど。私が誰かに指示した証拠なんてやってないんだから出てくるわけがない。

 しかし、2人とも止まってくれそうにないので仕方ない。立ち上がり周りの様子も見て安全そうなところへと出ていく。

「ちょっと、どこ行くの!?」

「待ってよ、お姉ちゃん!」

 後ろからうるさい声が聞こえてくる。まあこの辺ならあの2人を相手しても周りに被害がでないだろう。まあ適当に相手してればこの騒ぎを聞きつけてメアリーとかが来てくれると思う。

 軽く走っていい感じに開けた場所に出る。振り返ると2人もまだついてきていた。

 

「やっと観念した? じゃあ捕まってちょうだい」

「ふう、やっと追いついた」

 2人が変身しだした。薄い緑と白の組み合わせの衣装の魔法少女と濃い緑と紺色の組み合わせの衣装の魔法少女が現れる。所々にテロ対策部隊の装備がついている。

 衣装が似ていると思ってよく見ていたら顔まで似ていた。双子だろうか。

「よそ見してたら倒しちゃうよ!」

「喰らえ!」

 2人が突っ込んでくるので変身して魔法を撃つが結界を斜めに合わせて受け流された。結界で後ろへ向かった魔法を受け止めつつすぐ目の前に来た魔法少女2人からまた距離を置く。

 なんかあの受け流し前にも見た気がする。まあアレ魔力の節約めちゃくちゃできそうだよな。

 

 とりあえず相手が攻撃しても私が攻撃しても全部結界で周りに被害が出ないようにしないといけないのが面倒だな。攻撃し続けたら防御に集中してくれないかな。

 

 結界を使った受け流し対策に見え見えの広範囲攻撃を行う。目論見通りガードしてくれたが次のはかわされてしまった。上手いこと時間差とかを使って攻撃してくるから躱さないように気をつけて結界を張っているのが面倒だ。なんかこう、小さな部品の仕分けとかしてる気分。

 

 適当に攻撃してみたけど思ったより練度が高い。対人戦特化型ってだけはあるってことだろうか。なんか楽しくなってきたかもしれない。そんなことを考えていると、双子の後ろから何かが高速で近づいてきた。

 

「馬鹿ども! 何してるのか理解してるのか!?」

 それは突然やってきたかと思えば双子を魔法で気絶させた。見ると魔法少女のようで、黒い衣装に身を包んでいる。長身とハスキーな声が特徴的だ。

 

「大変なご無礼を。特級魔法少女フォルテ様」

 どういうこと? というか誰? 

「私はこの2人の上司のミュゼです」

 上司? あ、テロ対策部隊は上司とか部下みたいな概念があるんだっけ。

 

 

 その後、やたらと謝られたあと情報共有すると嫌がらせについて証拠集めしている途中で私が指示してるとかいうタレコミをしてるやつがいたとかで双子が早とちりしてしまったということが分かった。私の知らぬ間にそんなことされるとは。迷惑すぎる。

 

 とりあえず証拠とか後でコピーとかでいいからくれと言ったら貰えることになった。まあ正直こいつらが勝手にこの証拠出して嫌がらせはなくなりそうだしメアリーに報告するか。

 

 

 

 

「……というわけです」

 

「そ、そう。それは良かったわ。怪我はしてない?」

 はいと返事する前にもう診察された。信用ないね。

「まあ向こうの嫌がらせの証拠はこちらにもあるし、お互い様ってことにはなるでしょうけど、ちょっとヒヤッとしてもらうくらいはいいわよね」

 ……やっぱりメアリーは怒ると怖いタイプだなあ。

 

 その後証拠を貰って帰るころには割りと暗くなっていた。

 

「フォルテさん!」

 帰ろうかと思っているとセイントに声をかけられた。

「あ、セイントさん」

 何かあったか聞こうかと思ってたからちょうどいいな。

 世間話を少ししたあとセイントに何かあったのかと尋ねるとここでは話しにくいと言われ外に出てカフェに入った。

「フォルテさん、あの、えっと、お話いいですか?」

 急に改まって一体なんの話しをしようとしてるんだろう。

「はい。なんの話でしょう?」

 

「あの、い、妹さんの話なんですが」

 ……やぶ蛇だったかもしれない。

「えっと、すみません。この前フォルテさんがどこか行っちゃったときに妹さんと一緒に探していて、そのときに連絡先も交換したんですが、フォルテさんと1回でいいからお話したいと言ってまして」

 

「……話すことはありません」

 

「で、でも、妹さんはフォルテさんが突然いなくなってしまったと。何も説明せずにいなくなってしまうなんて……。せめて、なぜいなくなってしまったのかを教えてあげることはできませんか?」

 

「単に家族が嫌いなだけです。嫌いだからもう二度と会おうとは思えない。ただそれだけです」

 会わない方が良い。私なんか異物なんだし。

「そ、うですか……」

 それ以上は家族の話題は出ず、別の話題のみを話し続けたが、セイントの顔は曇ったままだった。

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