社畜系TS魔法少女(旧題TS魔法少女と終末世界)   作:無知覚

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前回の話を投稿する前にそれ以前の話を少しずつ変えたりしてます。


17話「北の大地」

 最近人手が足りないらしい。

 

 何が原因かと言われたらテロのせいである。あれのせいで他の魔法少女たちが訓練に時間と魔力を割かれてしまい私が割を食っている。普段よりも仕事の頻度が増えて家にも帰れていない。家に帰ってもすぐ通信入るからね、もう家帰らない方が楽。

 

 最近は本部で寝泊まりしている。特級魔法少女はそれぞれ本部に個室があるのでそこで生活している。ここで生活したことはあんまりなかったので新鮮な気持ちになる。生活に必要なものは一通りある。私物を持ち込んでもいいということなので少し持ってきている。

 

 

 朝を迎えてベッドから起き上がると髪を整え、顔を洗い朝食を食べに行く。食堂にはすでに多くの魔法少女がいて、なかなか姦しい。

 適当なものを頼み朝食を食べる。味はいいしいつもは食べないようなものもあるし種類も豊富なので飽きずにいられている。

 

 ご飯を食べたことで一旦部屋に戻り休憩していると、スマホに連絡が来た。また外敵が出たのかと見てみると今日は北海道まで行けと書いてあった。北海道って。転移装置のせいで仕事増えてるんだけど。

 

 転移装置で北海道まで向かうと、特級魔法少女が出迎えてくれた。

「フォルテさん、来てくれてありがとう」

 狩衣を彷彿とさせる衣装に身を包んだ魔法少女だ。青の髪色が特徴的だ。確か名前はシャルムだったか。北海道の担当だって聞いた。確か固有魔法は支援系統だった気がする。

「任務ですので」

 私は仕事はやるよ。

 

「お礼を言う程じゃないって? それでも、私は本当に感謝してるからさ。伝えられるときに感謝は伝えとかないと、あとでなんて思って後悔しても遅いから」

 ふーん。丁寧だね。

 

「それじゃ早速色々説明するから会議室行こうか」

 

 シャルムに話を聞くと、やはりこちらでも人手不足らしくその穴を埋めるために私を呼んだということらしい。ここまで人手不足になってるのはさすがにやりすぎだと思うな。政府はもう少し私の負担を考えてくれてもいいと思う。

 

 今回の任務は外敵に占拠された島を奪い返すというものだった。どうやら無人島に外敵が大量に上陸してしまったらしい。

 外敵が数匹くらい上陸したってそこまで問題はないんだけど、たくさんいるってなると下手すると外敵が固着している可能性がある。固着とは外敵が動くことがなくなり生物の住めない環境を作り出すようになることで、要は敵の拠点になるってことだ。しばらく放っておくと長時間の活動に防護服や変身が必要になってしまうから防がないといけない。

 無人島といっても北海道との距離が近く、放っておくと面倒なことになる。だからその処理を任されることになったらしい。

 

「そんな感じの任務なんだけど、私の固有魔法での支援があるから安心してね。はいコレどうぞ」

 

「これは一体?」

 人型に切られた和紙のようなものを数枚渡された。

「私の固有魔法で生成された式神だよ。私の固有魔法は式神(コレクト)。その効果でできた紙を持っていけば私が遠くからでも色々支援できるんだ。種類が色々とあるからそれも説明しておくね」

 その後、それぞれの式神の使い方を教えてもらった。戦闘で使えるものなんかもあったが、1番自信を持って勧められたのは近くの外敵の居場所を見つけるための式神だった。外敵というのは魔法でカメラに映らないことがある。だからこれがあれば不意打ちされにくそうで便利そうだ。

 

「まあこんなところかな。あ、そうだ。仕事終わったらまた会おうね。渡したいものがあるんだ」

 

「そうですか。分かりました」

 何を渡されるんだ。

 

 転移装置はまだ北海道には設置数が少ないらしく飛行機に乗り目的地まで移動することになった。途中本を読む時間ができるので飛行機は割りと好きだ。スマホ使えないから不便だけど。最近落ち着いて本を読むこともできなかった気がするしなかなか楽しかった。

 飛行機が着いてしまったのでさっと降りて管理局の支部へと向かう。荷物を置き少し休憩すると任務のために出発する。

 

 船に乗り件の無人島から少し離れた場所へとたどり着いた。すでに船からでも確認できるほど多くの外敵がいる。そこから飛行して島の近くまでやってくると外敵が襲ってくる。数十匹はいるだろうか。なかなかの量だ。

 飛行したままで私は冷静に魔法を展開する。

 

「魔法少女フォルテ、排除を開始します」

 

 炎の魔法でまとめて攻撃し、風の魔法で弱点を撃ち抜く。弱点が分からないやつは電気の魔法でゴリ押しした。水の魔法は何故か抵抗(レジスト)されやすいので使わない。そういえば氷の魔法なら効くことが多いのはどういうことなんだろうか。素材自体は変わらないはずだけど、魔法にも硬さとかそういう概念でもあるのだろうか。

 

 そんな考察をしながら大量に湧いてくる外敵を処理し終えた。

 

 他にいるか探してみようとするが木が多く遠くからでは外敵の姿は見えなかった。ならばと1枚紙を取り出して少し魔力を込める。すると、式神が空中に浮き上がりとある方向を示した。向こうに外敵がいるのだろう。

 

 すぐ近くにいるのかとその辺に軽く攻撃をしてみる。反応は無い。どうやらもっと遠くにいるみたいだ。いる方向がわかっても距離が分からないと不便だな。

 

 

 森の中を進んでいく。しばらくしても敵との接触がない。外敵との距離が正確にわからないため少し疲れてきた。そろそろ一旦止まろうかと思っていると、ガサッと音がした。そちらをこっそりと覗いてみると外敵がいた。

 

 所々熊みたいな見た目をしており、毛皮が目立つ。先制攻撃を仕掛けるがなかなかタフですぐに倒れず電撃系の魔法が飛んできた。結界でそれを防ぎつつ光系統の魔法であまり音をたてないように攻撃をする。レーザーを重ね毛皮を貫通させて外敵の防御を突破する。しかし、外敵はそこで魔法を使わず突進を仕掛けてきた。物理攻撃に少し驚くが一瞬魔法で飛行して大きく躱す。その間に外敵は木に当たっており木が大きく揺れる。大きな音がたってしまいもう目立たないように戦うのは無理そうだと思い少し離れ安全に倒すことにする。遠くからなら魔法しかないので普段と変わらない。思ったより俊敏だったから油断していたらさっき怪我してたかもしれないな。

 

 

 

 周りにまだ外敵がいないかと思ったが近くにはいないようだ。またしばらく式神に索敵を任せて森の中を移動していると日が落ちてきたので一旦船へと戻り睡眠をとった。

 

 次の日、太陽が上ったころに起きて食事をすると変身して船を出る。無人島に到着しまた式神を使う。浮き上がり少しの間ふらふらとした後外敵のいる方向を示し出した。

 

 昨日は島の内部では外敵が1匹しか見つからなかった。さすがにもっと島の内部にいるだろうし今日で終わるかは怪しそうだ。不意打ちされないよう警戒しながら進むのだがなかなか疲れる。いつもは海の上だから森の中で索敵をしなくてはならないのは慣れない。

 

 それでも数匹の外敵を見つけて駆除した。あまり群れてもいなかったので戦闘自体は何も苦戦する要素はなかった。

 

 固着済みの個体はいないのかと思い始めた頃、川の近くにソレはいた。まるで石のような姿で蠢いている。あれが固着個体だ。その場から動く様子はなく淀んだ空気を生み出し続けている。私は近づくことなく魔法を使い遠くから破壊を試みる。結界を生成することで身を守っており少し面倒だ。守りが思った以上に堅い。結界を破壊するために大規模破壊魔法(ミーティア)を放った。隕石を擬似的に生成し落とす魔法で、私の作った魔法の1つだ。魔力の消費量に対する威力の効率としては攻撃系固有魔法に負けてたり、そもそも規模が大きいために周りに被害がでやすい地上に落ちてくるまで時間がかかるとか欠点は多いが多少物理的なエネルギーを持っているため敵を撃ち落とすのにはかなり使える。あと見た目がかっこいい。

 

 魔法が落ちてくるのを待つ。しばらくするとその姿が見える。今回は少し小さめだがそれで十分だろう。固着個体の結界の耐久力は高くなかなか壊せなかったが隕石のダメージでは結界を破壊することに成功した。中は苦労せず破壊できた。一応完全に破壊できたか少し待って確認してみるが再生などはする様子はなかった。

 

 その後、また固着化した外敵を発見し破壊していたら式神の反応はなくなった。おそらく島の中の外敵はもういないのだろう。これで任務完了だ。

 

 帰りにシャルムに会う。一体何を渡すつもりなんだろう。

 

「お疲れ様。本当にありがとう。これでしばらくは安全になりそうだよ。それで、あんまり時間がないって聞いたからさ、一緒に美味しいものでも食べたかったんだけど今回は色々お土産渡すだけにしておくね。今度時間あるときにもっとお話ししたいな。同じ特級魔法少女なんだし」

「渡すもの」はお土産のことだったのか。厄介事ではなかったようで良かった。

「ええ、機会があれば」

 シャルムがその後大量のお土産を持ってきたことで私はドン引きすることになった。荷物だけで二回くらい本部まで転送することになったのは正直今でも信じられない。私そんなでかい冷蔵庫とか持ってないんだけど。結局本部の魔法少女にお土産のほとんどを分配することにした。1人分ですら結構な量があったし迷惑だっただろうけど全部捨てるよりはマシだったと思いたい。かなり私の分は取ってあるけどそれでも多すぎるんだよ。

 

 式神は便利だったがシャルムに返すことになった。単純に式神の和紙を用意するのが面倒だから使い回したいとか。色々文字が書かれていたし作るのにも割りと時間がかかりそうだったから仕方ないね。

 まあ索敵とかは普段は必要じゃないしいいか。また陸地の奪還作戦を行うのなら話は変わるけど。

 

 本部に戻りお土産を分けているとセイントを見かけた。ちょうどいいからお土産を押しつけてこよう。

 セイントに話しかけようと思っていると隣の女の子と話している最中だったようだ。邪魔するのも悪いかなと思っているとセイントが私に気づいたが、突然黙り込んでしまった。

「ほら、固まってないで話さないと。フォルテさん、私セイントの友達のツグミです。今日この子が謝りたいことがあるみたいなので聞いてあげてください」

 

「なるほど?」

 何かあったっけ。と思っていたらセイントが調子に乗ってたみたいな話だった。何のことか真面目に分からなくて聞いたらあとでもう一度話すと言われた。結局あとで聞いたら家族関係に口出ししてすみませんという話だった。正直私は家族にもう関わる気がないというだけの話なので全く気にしていなかったのだが。最初いじめかと思ってびっくりしたのは内緒。

 

「まあそれはあとで聞くとしてとりあえずこれをどうぞ」

 紙袋に入れたお土産を2人に手渡す。重たいせいで少しびっくりしてたが私はそんなものを紙袋程度では収まらないほど貰ってるからな。貰えないとかなんとか言ってるので事情を説明して押し付けることに成功した。と思ったらお菓子をセイントから渡された。

 

 お土産を処理し終える頃には仕事が出てきていた。そろそろ家のベッドが恋しいなと思いながら船でまた眠る羽目になった。

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