社畜系TS魔法少女(旧題TS魔法少女と終末世界) 作:無知覚
突然、特級魔法少女による魔法少女育成計画が発表された。下級魔法少女や中級魔法少女の戦力を増やすことが目的らしい。
地方ごとにそれぞれの特級魔法少女たちが育成を行い、私はフォルテさんの指導を受けることができるとか。
当日が楽しみだなあと思っていると、魔法少女管理局からメールが来ていたことに気づいた。この前フォルテさんに教えてもらったことを報告したからそのことかも。
メールを開くと固有魔法について実験を行いたいと書かれていた。ちょうど明日のことだったから気づかなかったら大変だった。危ない危ない。
「実験かあ」
どんなことをするんだろう?
次の日、私は実験のために船に載っていた。外敵を海上で倒すために魔法少女たちが乗る船だ。といっても私は戦闘をしに来たのではない。外敵の死体に私が固有魔法の
外敵が出てきて魔法少女たちが倒す。最後に外敵の死体に対して剣や銃で攻撃する。結果、表皮が貫けた。つまり、私の固有魔法があれば剣や銃で外敵に攻撃が通用するということみたいだ。少なくとも死体には。
実験が終わり管理局の人からまた固有魔法の発動条件などを詳しく調べて実践で扱えるようにしようと言われた。
私自身どんな固有魔法なのか、制限とかはどんなものなのかは詳しく分かっていないので首肯する。
そしてそれを調べている間にフォルテさんの訓練が始まった。
訓練の内容は魔法を制限することで魔力を節約するというものだった。
そんなことできることも知らなかったしやる理由なんてないと思っていた。けどフォルテさんのお手本はあまりにも綺麗で、なんなら範囲や時間を狭めるとその分だけ魔法の威力も強くなっていることが分かった。
少しでも長く戦えるようにと言っているけれどこの技術を学べば色んな魔法の威力も強くすることができるようになるんだろうな。そう思って私は頑張ろうと思えた。周りの人たちも同じように思っていたみたいで最初の数日はみんな頑張っていた。けどフォルテさんみたいにやるのは難しくて、フォルテさんの練度までいかなければ本当にこれが魔力の節約のための訓練でしかないんだなと気づかされた。その頃には周りの人たちの多くも心が折れて諦めはじめていたようだった。
1週間ほど経ち、管理局での私の固有魔法の詳細の調査が完了した。
私の固有魔法である
そして、私は何故か固有魔法の実践での調査をフォルテさんと行うことになった。管理局の人によるとフォルテさんが最も適任だということだけど、どういうことなんだろう。
管理局でフォルテさんと会う。固有魔法の使い道を教えてくれたお礼を言おう。
「私の固有魔法の使い道が分かりました! フォルテさんのおかげです」
フォルテさんは少し考え込んだあと私の固有魔法と武器の関連性に気づいたようだった。
「なるほど、そういうことでしたか」
私はこれから、フォルテさんに固有魔法を使った武器を渡して外敵を倒す実験をするらしい。
また船に乗り外敵のもとへと行く。フォルテさんだけなら空を飛んで外敵を倒して終わりらしいんだけど、私はずっと空を飛んで行って帰るには魔力が足りないからフォルテさんと一緒に船に乗っている。
「フォルテさん、今日はよろしくお願いします!」
「ええ、こちらこそ」
フォルテさんとお話をしながら船に乗っている。なんだか不思議な気分だ。まるで私だけがフォルテさんを独り占めしているみたいな感覚になってドキドキする。フォルテさんからしてみればただ話してるだけなんだけどね。
到着時刻まで近づいてくると、段々緊張してきた。私の固有魔法が有用なのかどうかがようやく分かるときが来たことの嬉しさから、落ち着かない気持ちになってきた。
私がソワソワしているのを見兼ねてかフォルテさんが声をかけてくれた。
「大丈夫ですか?」
「だ、だいじょうぶです……ちょっと、楽しみだなって思っただけですから」
「楽しみ、ですか」
「はい。自分の固有魔法のことがもっと知れると思うと嬉しいんです」
私がそう言うとフォルテさんは少し意外そうな顔をしていた。
船がようやく到着し、私はフォルテさんと船上へと出た。前の方に外敵がいるのが見える。
「じゃあ
フォルテさんに
「では後ろの方で待機をお願いします」
あれ、フォルテさんだけで行っちゃった。私も強化魔法くらいなら手伝えるかと思ったけどフォルテさんは飛びながら魔法を使っているのが見えたし必要なかったみたいだ。
外敵に向かって飛ぶフォルテさんは外敵の数を魔法で減らすこともなく単身で突撃して行った。囲まれると思ったが、フォルテさんは複雑な軌道で空を飛びまわり囲まれないでいた。銃で攻撃する音が聞こえてきたり剣を使って外敵をスパスパと切り裂いているのが見える。まるで今までも敵と近くで戦っていたみたいに手馴れていて、全く迷いのない戦いぶりだった。
もしかして、これを知ってたから管理局の人がフォルテさんを推してたのかな。こんなことができるなんて一体フォルテさんは昔何してたんだろう。そんなことを考えてるうちにもフォルテさんは外敵を一匹ずつ倒していて残すは一匹となっていた。最後の一匹は銃で倒して戦闘が終わった。
私の固有魔法の実験だからかフォルテさんはほぼ魔法を使っていなかった。つまり、私の固有魔法の
「お疲れ様でした! 怪我はないですか?」
「はい、大丈夫です。怪我はしていませんよ」
そう言ったフォルテさんは確かに無傷で、あれだけの戦闘を行ったのか疑わしくなるほど綺麗なままだった。
その後、フォルテさんに
確かにそうだなあと思い少し落ち込みそうになったけど、でも剣や銃が生きている外敵にも通用することが分かったのでそれだけでも良かったと前向きに考えた。
私が戦うときにこれからは武器を使うことになるだろうし、フォルテさんの動きを今のうちに学んでおこう。
その後、フォルテさんと色んな場所で様々な外敵との戦闘実験を繰り返しているうちにフォルテさんとよく会話するようになった。魔法のこととかを聞くと丁寧に教えてくれるのでとても分かりやすかった。それから、実はフォルテさんはゲームとかアニメとか漫画が大好きだそうで、私の好きな漫画とかの話をしてみると話が弾んだ。その話の流れで連絡先を交換できた。たまに会話するくらいではあるけれど、それでも嬉しかった。
実験をはじめて2週間くらいが経過したとき、私は管理局で話があると言われて呼び出されていた。
どうやら、私の固有魔法をどう扱うかということについてだったようで、どう使うとしてもまずは私が強くならないといけないみたい。人に武器を使ってもらうにしてもせめて足手まといにならないくらいの実力が必要だとか。
管理局で話を聞き、家に帰ろうと思っていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「だから、模擬戦などやらないと言っているじゃないですか」
「別にいいじゃない。私もあなたも依頼は入ってないのは確認済みよ」
この声、フォルテさんだよね。何か揉めてる?
声のする方へと行ってみると、フォルテさんともう1人魔法少女らしき人がいた。
フォルテさんに模擬戦の申し込み? ってことはあの人も特級魔法少女ってことかな。と思っているとフォルテさんと目が合った。
「あ、セイントさんちょうど良いところに」
「え?」
フォルテさんがこちらに近づき少し話を合わせて欲しいと言われた。最初は何のことか分からなかったけれど、どうやら模擬戦を断る口実作りを手伝えということだったらしい。
「そういうわけで私はセイントさんと食事に行くという予定があるから暇じゃないの」
「ええ、はい! フォルテさんと一緒に食事に行く約束があったんですよ」
こちらに振り向いたフォルテさんの話し相手は特級魔法少女のヴィオラさんだということが分かった衝撃で口がうまくまわらずあははと愛想笑いをしながらなんとか話を合わせる。
「ふーん。へえ、そう。それなら仕方がないわね。ならまた今度お願いできるかしら?」
すごく疑われていそうだけど特に深く追求されることもなかった。ほっとしていると、フォルテさんはじゃあそろそろ行きましょうかと言って私の手を引いて歩き出した。少し離れると、フォルテさんが小声ですみませんありがとうございますと謝ってきた。いえ、大丈夫ですと答えつつ、何があったのか聞いてみると管理局での仕事が終わって休憩しているとヴィオラさんに模擬戦を申し込まれたから断っていたけれど、なかなか引いてくれなくて困っていたのだと説明してくれた。な、なるほど。それで、私と用事が既にあると嘘をついたと。
「でもどうして模擬戦しなかったんですか」
そう言うと、フォルテさんは少し気まずそうな顔をしながら教えてくれた。
「模擬戦ってあまり好きではなくて」
そういうことだったのか。魔法少女同士で戦うのが嫌で模擬戦嫌いな人がよくいるけど、フォルテさんも嫌いなんだなあ。
その後、フォルテさんと本当に食事をすることになり私の実家の方でご飯を一緒に食べた。相変わらずフォルテさんがご飯を食べるときはとても可愛かった。食事を終えたあとはそのまま別れた。
また2週間ほど一緒に実験をしている間にフォルテさんの昔のこととか色々聞くことができて楽しかった。そんなこんなでしばらくフォルテさんと実験を繰り返したあと、フォルテさんとの実験が終了してしまった。