ランス verV   作:ヤミナギ

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 自分でも続くとは思っていませんでした。

 書き溜めはないので続きは未定。

 多分一週間以内。


Mission01 力を求めて

 

 ランスと分かれて数年の月日がたった。

 

 未だにバージルの肉体は子供の領域を出ていない。

 

 だが、レベルアップの加護はすさまじい。

 

 こんな子供の状態であっても、雑魚モンスター相手なら一方的に勝てるようにはなってきている。

 

 だからこそ。

 

 

「もう少し割のいい依頼は無いのか? キース」

 

 

「ふん。そんな事はもう少しでかくなってから言うんだな」

 

 

「チッ・・・・・・力だけならこのギルドの中でも屈指になったと思ったんだがな」

 

 

「そうかもな。だが、力だけじゃ人からは信頼されないもんさ」

 

 

「ガキである事は自覚している。だから文句は言ってないだろうに」

 

 

「おう? さっきの問いかけは文句じゃないと?」

 

 

「真実、ただの質問だ」

 

 

「そうかい。そうしておくよ」

 

 

 自身の問いかけに対してあっさりと返されたが、そのことに対してバージルは事実不満を抱いてはいなかった。

 

 何せ今のバージルはロウティーン。

 

 見た目も事実としても子供である事に違いなく。

 

 こんな子供に仕事を回してくれると言うだけでも、目の前の頭の寂しい男には感謝しておかなければならないだろう。

 

 

「それで、今回はどんな仕事だ?」

 

 

「プルーペット商会からの依頼で、ポルトガルまでの商品の輸送依頼だ」

 

 

「街道を通る分には危険なんぞほとんど無いと思うが? それこそ輸送はうし車だろう? だったら何を心配して冒険者なんぞを護衛に雇う?」

 

 

「だから言っただろう? 割のいい仕事だと。GOLDの多寡だけで割の善し悪しを判断するようじゃ、冒険者としてはまだまだ未熟だなバージル」

 

 

「余計なお世話だ。俺は別に冒険者として大成したいわけじゃないんでね」

 

 

「ほう、なら一体何を目指しているんだ?」

 

 

「貴様には以前にも伝えているだろう?」

 

 

 そう言うとバージルは依頼受領の書類にサインをして、その書類に書かれていた場所へと向かうため、キースギルドの扉を開ける。

 

 その後ろ姿をキースは眺めながら小さくため息をついた。

 

 そして彼に対する忠告をこぼす。

 

 

「何を求めているかわかりにくい冒険者ってのも、存外に扱いにくいもんなんだぜバージル」

 

 

「俺の求めているモノなんぞ、簡潔明快だ」

 

 

「簡潔明快ねぇ。金でもねぇ、女でもねぇ、とすれば確かに求めるモノは一つか」

 

 

「そうその通り。俺が求めているモノは力だ。I need more power(もっと力を) それ以外に俺の求めているモノはない」

 

 

「力・・・・・・ねぇ。そいつに関してはもう十分だと思うがレベルだって30を越えたんだろう?」

 

 

「だからどうした。俺が憧れ、追い求めている力にはほど遠い。ならば、そこを目指すのは当然だろう」

 

 

「使徒なり、魔人にでもなるつもりかよお前」

 

 

「それしか手段がないとするならば、あるいは・・・・・・な」

 

 

 

 それだけ言ってキースギルドより立ち去るバージル。

 

 後に残されたのはバージルの鬼気に触れて冷や汗を流すキースだけだ。

 

 

「は・・・・・・十五に届かないガキがああまでの気勢を見せるかよ」

 

 

 そのあり方は凄絶だ。

 

 そのあり方は凄惨だ。

 

 そのあり方は、だが同時に悲哀さえ感じさせる。

 

 彼が抱く力への渇望は、もはや強迫観念にもほど近い。

 

 それほどのモノを求めて求めて、求め続けた先にどうなるのかをキースという男はよく知っていた。

 

 とはいえそれで、バージルに対してどうこう言うつもりはキースにはなかった。

 

 彼にとってのバージルとは、将来有望な冒険者のひとりでしかなく、いずれ早死にするだろう生き急いだ子供でしかないのだから。

 

 少なくとも、今はまだ。

 

 

 

 

 

 

 

 街道をひた走るうし車でバージルは瞑想していた。

 

 魔力を高めるための鍛錬で有り、同時に魔力のコントロール能力を鍛えるためのモノでもある。

 

 バージルがバージルたらしめていたモノ。

 

 スタイリッシュな戦闘スタイル。

 

 それをモノにするため、まずは基礎能力を鍛えている最中だった。

 

 魔力を高めコントロール能力を極める事で魔力による身体能力の強化能力の向上、そして第一目標としてまずは幻影剣を扱えるようにすることをおいている。

 

 しかし、これがなかなかに難しい。

 

 身体能力の強化はバフをかける魔法の術式を皮膚の内側に魔力を持って刻み込む事で、魔力を流すだけで発動できるようにしてクリアした。

 

 幻影剣もダメージを与える通常の幻影剣は無属性の魔法の矢を剣状にする事で、貫通力を増したモノとして既に運用できている。

 

 急襲幻影剣、円陣幻影剣は既に形になっている。幻影剣自体を薄く、鋭く、それでいて魔力密度を強める事で強度を担保する事で、既に並の剣を投擲したり振るうよりも威力が出るようになり、これである程度の完成としたのだ。

 

 しかしながら、未だに幻影剣を起点とした瞬間移動じみた高速移動や烈風幻影剣のように真上に吹き飛ばす術式、五月雨幻影剣のように相手の動きを止める術式などは完成していない。

 

 烈風幻影剣は対象の周囲に幻影剣を配置するだけであるし、五月雨幻影剣もただ上空から無数の幻影剣を降らせるだけ。

 

 幻影剣一つとってもこの程度。

 

 目指す目標の偉大さに瞑想しているのにめまいが起きそうになる。

 

 それでも。

 

 

I need more power(もっと力を)

 

 

 魂から漏れ出た言葉を呟きつつ目を開く。

 

 バージルの瞳はうし車の屋根上からの風景は行く先にて待ち構えている盗賊の姿を既にとらえていた。

 

 距離にして数百メートル。

 

 魔力のコントロールに熟達していくにつれて、生き物が潜在的に持つ魔力を遠くからでも感じる事が出来るようになり、目をつぶった状態でもある程度どこに何がいるかを把握できる。そして、その生き物が抱く感情もまた同じく。

 

 うし車の前に男達が展開する。

 

 そして、リーダー格らしい男が下卑た目で止まろうとしたうし車に向かって声をかけようとして・・・・・・

 

 

「おっと、ここ・・・・・・」

 

 

「跪け」

 

 

 脅迫の言葉を最後まで続ける事さえ出来ずに、降り注ぐ幻影の剣が周囲に展開していた男達ごと盗賊のリーダー格を刺し殺した。

 

 

「え?」

 

 

 

 一瞬で引き起こされた地獄絵図。

 

 目の前の光景はいっそ現実感がなく、残った男達の意識は一瞬の空白に支配された。

 

 その隙を逃してやるほど、バージルは優しくはない。

 

 背に負っていた魔力で作り上げた大剣、ミラージュエッジ。

 

 それを握り、うし車の屋根より飛び降りながら魔力によって重力を強めて落下斬る。

 

 兜割り(ヘルムブレイカー)

 

 そう呼ばれる魔性の一撃は、蒼い魔力剣の切れ味も相まって、頭の天頂より股下まで一直線に割断。そのまま縦に泣き別れさせて見せた。

 

 残る敵の数は7。

 

 それを横目で確認すると、振り下ろしたミラージュエッジをそのままに投擲。

 

 一瞬で4人の首をはね飛ばす。

 

 その光景を見て残った盗賊達はようやく自身の置かれた状況に理解が及んだらしい。慌てて逃げだそうとバージルに背を向けた。

 

 

「愚かな」

 

 

 そんな盗賊達に向かって挑発の台詞を吐きつつ、戻ってきたミラージュエッジを用いて剣風を放つ。

 

 その剣風は衝撃波となり魔力を纏って刃と化し、無防備な背中をさらした男達を全て袈裟斬りに切裂いた。

 

 バージル、そしてダンテも扱うドライブと呼ばれる魔技だ。

 

 本来は剣風だけで衝撃波を生み、魔力を纏わせる事も無く刃として機能するのだが、現在のバージルの力量ではそこまでは至っておらず、魔力を纏わせる事で無理矢理に再現しただけの模倣技でしかない。

 

 必殺技ではないただの技の一つをとってしても、本物との明らかな違いが浮き彫りになる。

 

 そのことがバージルに不満を抱かせる。

 

 まだまだ、全く届いていない自分自身に。そして同時に遙か彼方にある憧憬がさらに深くなっていく。

 

 故にこぼれた言葉は本物だ。

 

 

「そうだ I need more power(もっと力を)

 

 

 心からの渇望を口にしながらミラージュエッジを背中に負い直す。

 

 そして、音もなく跳躍して再びうし車の屋根上へと着地すると、再びその場に座り瞑想の体勢に入った。

 

 

 

 

 バージルが瞑想の体勢に入ったあと暫くして、うし車はゆっくりと動き出した。

 

 うし車の御者がようやく状況を理解したのだ。

 

 まあ、突然男達が道に飛び出してきたのを轢かないように止めようとした瞬間、その男達が皆殺しにされれば驚きで状況理解が遅れても仕方が無い。バージルが再び屋根上に飛び乗ったときにようやく盗賊達に襲われている事に理解が及び、バージルが瞑想を始めた頃に襲撃してきた者達の全滅に驚愕しつつも理解が及んだわけだ。

 

 なにはともあれ雇った冒険者の活躍で、無事に旅が続けられる。

 

 そのことに安堵のため息をつきながらうし車は一路ポルトガルへと向かう。

 

 その間に襲われる事は特になく無事にポルトガルへと到着し、バージルはキースギルド寄りの依頼を達成した。

 

 筋としては一度アイスの街に戻りキースギルドに報告するべきである。

 

 だが、わざわざポルトガルにまで来て、そのままキースギルドに戻るというのも少しばかり味気ない。

 

 無論バージル自身がポルトガルを観光したいというような事を考えているわけではなく、彼が考えているのはポルトガルから延びる橋、天満橋。そしてその先にあるJAPANの地の事だった。

 

 

「閻魔刀の代わりになるモノがあればいいが・・・・・・」

 

 

 無論バージル自身もそこまでの高望みをしているわけではない。

 

 そもそも閻魔刀からしてDMCシリーズ最高峰の魔具にして、作中屈指の名刀である。

 

 それに並ぶようなモノがたやすく手に入るなど期待できるようなモノではない。

 

 特に人と魔を別つ剣。

 

 その特性を持った刀なぞ、ルドラサウム大陸全土を探してもあるかどうか怪しい。

 

 とはいえ、バージルに憧れた以上その刀を求めるのは当然だ。少なくとも代替品は必要になる。

 

 その代替品出来れば、名刀、妖刀辺りを入手したいところでは有った。

 

 

「まあ、それすらも望みすぎか」

 

 

 ともかく、せっかくJAPAN付近にたどり着いたのだからと、バージルは天満橋へと足を向けた。

 

 目的はJAPANにあるだろう名刀、あるいは妖刀。

 

 それを探すためにJAPANに滞在する事をバージルは決め、脳内で手持ちのGOLDに思いをはせる。現状のバージルはレベルが多少高いだけの人間の子供だ。滞在費について考えるのはある種当然だった。

 

 

 

 

 

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