ランス verV   作:ヤミナギ

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次回も一週間以内を予定しています。

宜しくお願いします。


Mission04 閻魔刀

 

 奥州への旅路は順調といえた。

 

 襲ってくる山賊や野良妖怪はいるものの、レベル80を超えているバージルにとってしてみれば他愛のない相手だ。それこそ、殺さずに捨て置く程度の余裕を見せることができる程度に力量に差がある。

 

 そもそもからして、移動時に山賊にばったりということはあまり多くない。

 

 なぜならバージルの移動手段は修行をかねて幻影剣の射出からそこを起点とした高速移動だ。並みの人間では目で追うことすらできやしない。よってバージルにちょっかいをかけてくるのは、はぐれ妖怪の中でもかなりの腕前を持つものが主となっていた。

 

 そんな相手をして一方的に封殺できているあたり、それなりの力はついたと確信出来てはいるが、それでも彼が憧れたバージルという存在にはまだまだ程遠いと感じている。

 

 結局、現状においてバージルが再現できている憧れは幻影剣くらいなのだから、当然の話ではあった。

 

 

「閻魔刀、ベオウルフ、そしてフォースエッジ」

 

 

 バージルが保有していた三つの魔具。

 

 その再現を今は目指しているが、結局再現が進んでいるのはフォースエッジくらいのモノだ。そのフォースエッジとてあくまでDMC5にてミラージュエッジが登場していたからこそ、武器を用いるのではなく魔力でその装備を再現するという方向に舵をとれたから再現が進んでいるだけであって、魔具が必要となる装備の技々の再現はあまり進んでいないのが現状だった。

 

 とはいえ。

 

 

「ふん」

 

 

 鬼の一撃をブロッキングではじき返す。

 

 そしてそのままスティンガーで相手を吹き飛ばし、距離の離れた相手に向かってドライブをたたきつける。

 

 直撃した事によって鬼は真上に吹き飛び、その隙を狙ったトリックアップで頭上を取ると、そのまま兜割(ヘルムブレイカー)によって地面にたたきつける。

 

 再度後方へと吹き飛んだ鬼をミリオンスタブで追撃。数十発の突きの連打は鬼の体積そのものを削り取り、フィニッシュの一撃で粉々に砕いた。

 

 

「つまらん」

 

 

「凄まじいものですなぁ」

 

 

 奥州へ向かう途中の関東。

 

 その地で遭遇した鬼とそれを封じようとする陰陽師に遭遇したバージルは苦戦していた陰陽師へと手を貸していた。

 

 無論、手を貸す事が目的だったわけではない。

 

 強敵。すなわち鬼と戦ってみたかったが故の助太刀だったが、どうやら下級の鬼。

 

 タフさはあったがそれだけだ。

 

 タフさだけの相手など、ミラージュエッジしか使えない今の現状であっても圧倒できる。

 

 そのことを再確認して、それでも他の武器を使えない今の現状に歯がみする。

 

 

「助力ありがたく。これより儂は地獄穴の封印作業を行います故、礼に関しましては後ほどとさせていただきたく」

 

 

「礼を求めて鬼を狩ったわけじゃない。別段必要ないが・・・・・・」

 

 

「ははは剛毅なお方だ。とはいえ、此方も北条家のメンツというモノがあります。助けられて何も返せるものがない、と言うわけにはいきませんが故に」

 

 

「北条家・・・・・・陰陽師の統括だったか」

 

 

「あくまで組み合い寄り合いどころが大きくなったところですがね。歴史だけは古く、故に恩人をそのまま帰すという事は出来ないのですよ」

 

 

 そう言いながら、鬼と戦っていた男はかぶっていた笠を脱いで笑って見せた。

 

 バージルより遙かに年を重ねた男だった。

 

 声の張りからして四十代前後と踏んでいたのだが、どう見ても六十前後。

 

 この年まで鬼と戦い続けていた事は尊敬に値する。

 

 そんな男からの誘いをバージルは無下に断る事が出来なかった。

 

 別段急ぐ旅でもない。それに陰陽師を総括しているものの出とあれば、妖刀のたぐいには詳しいだろうという打算もある。

 

 

「分かった。ならば地獄穴の封印をさっさと済ませろ。・・・・・・あるいはそれにも手が必要か?」

 

 

「貸していただけるというのであれば、ありがたくお借りしますが」

 

 

「最初からそれが目的だったくせに、食えない男だ。・・・・・・もっとも此方に出来る助力なんぞ、魔力の融通程度しかないんだが・・・・・・」

 

 

「はは、それで結構でさぁ。術式の制御に関してはまだまだ若いもんには負けないと自負しておりますが、肉体の衰えはなかなかどうして、誤魔化せないものです」

 

 

「そうか」

 

 

 簡潔に言葉を終えるとバージルは北条の男の肩に手を置いて魔力をゆっくりと流し込む。

 

 その流し込まれた魔力を自身の魔力と調和させ、喧嘩させずに見事な術式を練り上げる北条の男。

 

 その術式の見事さに、バージルは目を細めてじっくりと観察する。

 

 陰陽術に関する造詣はほとんど無い彼をして見事としか言いようのない美しい術式。

 

 その術式だけで目の前の男の力量が測れるというもの。

 

 即ち。

 

 

「北条家の当代早雲とは・・・・・・全く、鬼への手助けすら無用だったか?」

 

 

「かか。間違いなく助かりやしたぜ異人殿。あの鬼、儂だけでは苦戦は免れぬ程度には強大な力を持っておりました故に、貴行の手助けはまさに天佑といったものでした」

 

 

「ふん。魔力まで持っていったんだから、相応の礼は期待させて貰うぞ」

 

 

「ええ、そいつは何とかいたしましょうや」

 

 

その言葉を受けてバージルは北条の館にやっかいとなった。

 

 

 

 

 

 

 そして数日の時がたった。

 

 当代の早雲が、組合への地獄穴封印の報告のため家を暫く留守にする間、バージルは北条の館に留め置かれている。

 

 賓客という待遇ではあったが、彼自身が異人という事も有り、少しばかり見世物にされている気分となってあまり気がいいものではなかったが、だからといってその程度で怒るほどバージルの器も小さくはない。

 

 むしろ、この状況を楽しんでいる節があった。

 

 先代早雲の館であるという事は当代早雲。現状であれば次代の早雲がいる事は明白。

 

 そのことに気づく事もなくほいほいとついてきた結果として。

 

 

「まあ、こうなるか」

 

 

「参ります」

 

 

 バージルは若かりし頃の早雲共に修行を行う事になっていた。

 

 共に修行を行う事になった理由は簡単だ。

 

 バージルは未だに自分が望むべき姿に届いているとは考えていないが為に、自身の修行を怠る事はなく、一方で次代の早雲、宗瑞も祖父の跡目を継ぐために厳しい修行を課している最中だ。

 

 その二人が出会った以上、修行を共にする事になるのは自然な流れであるといえたかもしれない。

 

 宗瑞を訪ねてきた南条蘭があきれる・・・・・・あるいは嫉妬してしまうほどに、二人は意気投合し互いに互いの術理を高め合っている。

 

 宗瑞はバージルに陰陽術に関する技を伝えたし、バージルも自身の剣技や魔法について宗瑞に伝えている。

 

 そして修行の最後の仕上げとして二人で組み手を行うのがここ数日の日課となっている。

 

 そして、その組み手を幼い蘭が見届けるのも。

 

 符術により現れた女武士がバージルの前に現れた。

 

 式神だ。

 

 幼くしてこのレベルの式神を宗瑞は数体以上操る。その例に漏れず数は六。彼が操れる限度数を超えている。しかし、今までの修行で成長したと言わんばかりに見事に操りバージルを取り囲むと、連携を持って攻めかかってきた。

 

 そんな一撃を黙って食らってやるほどバージルは優しくはない。

 

 迫る六人の式神の一体に向けて幻影剣を飛ばして瞬間移動。

 

 腰にある刀を持って武士の一撃を弾き返すと、後ろから斬りかかってきていた相手の攻撃を鞘先で打ちのめす事で距離を取り、そのまま居合いの体勢に移行し抜刀。刀で受けようとした式神を、その刀ごと両断して見せた。

 

 

「流石は」

 

 

「連携がまだまだ遅い。これでは各個撃破と同じだ」

 

 

 宗瑞へのアドバイスを送りながら納刀、同時に抜刀。放つのは次元斬。と言いたいが実際には魔力と抜刀術で誤魔化した偽物だ。とはいえ切れ味は本物で、三度放ち三体の式神を無に帰す。

 

 

「くっ!?」

 

 

「予想外に応じろ。戦場は常に予想外で満ちている」

 

 

 

 疾走居合い。

 

 バージルが得意とした閻魔刀を用いた神速の一撃。

 

 形になっていないため複数の斬撃が発生する事はないが、それでも残る一体の式神を斬り飛ばすには十分で、切り抜けながら宗瑞の目の前に立った。

 

 

「チェックメイトだ」

 

 

「・・・・・・ええ、手も足も出ませんでしたね」

 

 

「流石に元服前の子供に負けるほど、ぬるい鍛練を重ねてきたわけじゃない」

 

 

「それでももう少し勝負になるとは思っていたんですけどね」

 

 

「少しは対応できてきている。それだけでも十分な進歩だろうに。それともあれか? かっこつけたい理由でもあったか?」

 

 

 

 バージルのからかうような台詞に宗瑞は顔を一瞬朱色に染めた。

 

 だが即座に平静を取り戻すと、肩をすくめる事で降参の意を示した。

 

 これ以上触れられたくない部分らしい。だとするなら、そのことに触れない程度にはバージルも宗瑞の事を気に入っていた。だが、見過ごせない事もまたある。だからこそ、アドバイスを送る。それがきっと宗瑞に理解できなくとも。

 

 

「大事なら目を離すなよ次代の早雲」

 

 

「え?」

 

 

「間に合わせているつもりだが、お前が目を光らせていればまず問題ないだろうからな」

 

 

「えっと・・・・・・一体どういう意味ですか? バージル」

 

 

「分からないままであった方が幸せな事だ」

 

 

 そう言うとバージルは武器を直して屋敷の方へと歩き去って行く。

 

 そんな彼を見送る宗瑞に向かって蘭がとてとてと近づいていった。

 

 

「バージル殿」

 

 

「早雲殿か。報告にはしては随分かかったな」

 

 

「報告自体はすぐ終わったのだがな、なにぶん頭の硬い奴らが多くての。納得させるのに時間がかかってしもうたのじゃよ」

 

 

 そう言って呵々と笑う早雲は一振りの刀をバージルに向けて投げ渡した。

 

 受け取っただけで分かる。妖刀だ。

 

 

「こいつは・・・・・・」

 

 

 手になじんだ。

 

 まるで何年も前から使い込んできたような感触。小さく金属音を立てて鞘から刃を引き抜けば、見事な刀身がバージルの顔を映し出した。

 

 

「持っていた鬼に曰く、地獄の閻魔が作らせた刀らしい。が何をどう間違えたか人が扱うサイズの刀になってな。宝物庫に死蔵されていたのをとある鬼が盗み出して地上にもたらされた妖刀だ。名前は・・・・・・」

 

 

「閻魔刀」

 

 

「ぬ? 知っていたのか?」

 

 

「いや、何となく分かる。これを俺に?」

 

 

「ああ、その通りだ。此方は陰陽師。刀の扱いに関しては専門外もいいとこ。死蔵しておくならあんたのような腕利きに託す方が何倍もましってもんだろう?」

 

 

「恩に着る」

 

 

「おう、着てくれ。んでまたどっかでその恩を返してくれりゃいい。そうだな、あるいは次代辺りにな」

 

 

 その言葉にバージルは苦笑しながら閻魔刀を腰から下げた。

 

 随分としっくりくる、二本目のメインウェポン。喜色見せるバージルに対して早雲は一つだけ忠告を送った。

 

 

「気をつけろよバージル殿。その刀は人の穢れを分かつ剣だ。自身が穢れに飲まれたとき。どうなるか分からないからな」

 

 

 そのことにバージルは微笑を浮かべる事で回答とした。

 

 

 

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