ライブが無いウマ娘世界で、なんとかライブを根付かせたい転生者のお話   作:貯金缶

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まったく勝てませんでしたが、桜花賞とか皐月賞は面白かったです。


3年目夏

 心機一転した俺にファル子が渡したいものがあるらしく、いつもの河川敷で待っていたが、いつもより少し遅れてファル子がやって来た。最近の連日の熱帯夜の所為だろうか、寝不足のようで幾分か目元に隈があるように思えた。

 

「はい、これファル子が考えた歌詞だよ☆名付けて『全速!前進!ウマドルパワー☆』だぞ♪よく読んでみてね♪」

 

俺の目の前にファル子が紙を差しだした。

 

「えーと、とりあえず先ずは読んでみるね。」

 

 俺はファル子に渡された紙に書かれた冒頭の歌詞をよく読み込んだ。うむむっ、これはファル子らしい元気な歌詞だろう。それに所々心に響く感銘を受けた。口元から笑みが滲みでてきそうだ。

 

「ファル子って、ファンの事をキミって呼ぶんだね。なんかちょっと意外。ファンのみんな~みたいな感じかと思っていたよ。でも、この歌詞は聞く人に対して誠実というか、ちょっと活力を与えるようなものなのかな?」

 

「トレーナーさん、ここで問題です♪ ファル子の一番初めのファンは誰でしょうか?」

 

「えっと、間違いでなければ俺のはずだよね。ということは、俺に向けての歌なのか!」

 

 自分で言っておきながら、我ながらなかなかの自惚れ具合で恥ずかしくなり、顔に熱が籠り始めていた。

 

「そういう事だから、トレーナーさんにはこのファル子が書いた歌詞にぴったりの曲を作ってね。出来上がりはファル子の誕生日がいいなぁ。それじゃあ、ファル子はウォーミングアップしてくるから、今日のトレーニングの準備よろしくね!」

 

 元気よく柔軟体操をしているファル子を横目にいれつつ、俺は目の前の『全速!前進!ウマドルパワー☆』について考えていた。この歌詞の内容からして曲作りに数か月は必要だろうということが容易に理解できたし、生半可な曲を作る訳にはいかなかった。なにしろこの歌は、ウマドルとしての初めてのファル子が作ったファル子の為の歌なのだから。

 

 その日の後から曲作りもそうだが、もちろんトレーニングも並行してやっていた。そしてファル子の通っている学校の夏休みに入ったということなので、いつものように気分転換の遊びに行くことにした。最近はファル子の親御さんからの許可がすぐに貰えるので、予定が立てやすく大変ありがたかった。

 

「さて、ファル子はどこか行きたいところとかある?」

 

「トレーナーさんと一緒に行けるところなら、どこまでもついて行くよ」

 

 ふむふむ、これは俺のプロデュース力というかエスコート力が試されているみたいだ。ファル子との会話を思い出してみる。そういえば冬の夜空の下で星座について話し合いながら帰ったことがあったかな。そうだな、プラネタリウムにしよう。

 

「じゃあ、あそこのショッピングモールのプラネタリウムにしようか?」

 

 俺は比較的に簡単に行ける場所のショッピングモールのプラネタリウムを提案しつつ、チケット代とか必要なお金を計算していた。

 

「トレーナーさん、もう一声、良いところ見せてちょーだい♪」

 

 だが、本日のファル子検定特級に落ちたらしい。ただこの返答からして、もしかして雑誌で見たあそこかなと思い出した。あそこなら中央トレセン学園に近いはずだ。むむっ、そういうことなのか、そうなのだな。気の迷いで約束したあそこへ行くんだな。今ここで!俺はふふーんといった感じで、たまたま思いついたように聞いてみた。

 

「ふわふわしたソファで座って眺められる、雑誌に書いてあったあのプラネタリウムならどうだろうか?えーとっ、とりあえずチケットだけは押さえておくか」

 

「わー、嬉しい!さっそくお母さんに聞いてみるね。」

 

「お父さんはどうしたの?」

 ちょっと揶揄うだけであったが、俺は墓穴を掘った。

 

「お父さんはいいの」

 

 何かあったのだろうか深く追求できなかったが、ファル子はツーンとした顔でバッサリと手短に答えた。

 

「あっ、はい」

 

 ファル子の気迫に気圧された俺はちょっと遠いプラネタリウムへの旅行の計画を考え始めていた。ファル子がお母さんに電話をしている後ろ姿を見ながら、俺はファル子のお父さんに遠くの空から力及ばずすまないと謝っておいた。ファル子のお父さんからは絶対に許さないといった思念を受けた気がした。

 

 約束したプラネタリウム旅行に出かけた俺たちは、特に何事もなく目的地であるプラネタリウムに入場した。ふかふかでふわふわで人間を駄目にしそうな大きなソファに二人で隣り合って座るというよりも体を沈める感じで寝ころんだ。

 

 プロジェクターから写し出されている星座をファル子と二人でぼーっと眺めていると、射手座の紹介のアナウンスが流れてきたが、なぜか朧げな声しか聞こえなかった。そういえば、あまり気にもかけなかったが、この世界ではケンタウルスの4本足は何の動物なのだろうか。そう考えていると、どこからか声が聞こえてきた。

 

「その機密を閲覧できるのは、ウルトラヴァイオレットのみです。貴方のセキュリティクリアランスは、インフラレッドです。ところで、どこからこの情報を聞いたのですか?すみやかに自決しなさい」

 

 その言葉を聞いた瞬間!ZAPZAPZAP!俺の体はバラバラになってから、すぐさま新しい俺が生まれた気がした。

 

「はい、コンピューター様、幸福は義務です」

 

「どうしたの?トレーナーさん。ところで、お空がキラキラして綺麗だね」

 

 ファル子のさらさらと丁寧に手入れがされた尻尾が俺の腕に巻き付いた。すべすべして心地よかった。その心地よさに俺の意識は別の世界からこちらの現実に引き戻されたようだった。

 

「そうだね」

 

 ファル子の尻尾の魅力にすこし頭がくらくらしている俺は、適当な相槌を打った。

 

「トレーナーさんが前に言ってくれたことを実現するとしたら、このキラキラした星座に住んでいるかもしれない宇宙人さんもファル子のファンになるのかなぁ?」

 

 ファル子が天井に映し出された煌びやかに輝く星座に向かって手を開き、星を掴み取るかのように握りこぶしを作ってから、胸に当てて俺に問いかけた。

 

「きっとなるよ。いや、絶対にファンにしてみせるよ。目指せ、ファン3兆人ってな」

 

 俺はおどけて握りこぶしを作って、天上へ向けて突き上げた。ファル子と出会ってから、この人生には後悔なんて無いんだと新たに決意した。

 

「ふふふっ、目指せー3兆人。ファイト、おー!」

 

 静かに決意したファル子は握りこぶしを静かに天に向けて突き上げた。二人で拳を突き上げた格好は、幾分か不思議な恰好だったのだが、なぜかこのプラネタリウムを見ていた人達も同じように拳を天に突き上げた。これが日本人の同調圧力というか、未だよく分からないが、みんなで同じ事をやる風習といったものだろうか。

 

 その日のプラネタリウムのウマッターを見てみると、俺とファル子を中心としたその様子が写真でアップされていた。その後、分かったことだったが、このプラネタリウムの恒例行事になったらしい。もちろん、ファル子が有名になるまでは、その動作の由来など分かっていなかった。

 




アプリのストーリーとか新しいアニメとかマンガを追っていると、設定が追加されているので、この矛盾をどうしようかと考えていると、ちょっとお話の追加が遅くなります。とりあえずは、トレセン学園編を書くために、モブウマ娘の名前を探すことにします。

あと、感想ください。このお話もそういう考えもあるのかと影響を受けた作品なので。
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